東京工業大学混声合唱団コール・クライネス第52回演奏会のお知らせ

 



先日の全国大会で3年ぶりに出場され
センス良い素敵なプーランクを聴かせてくれた
東京工業大学混声合唱団コール・クライネスさん。
(私も観客賞の一票を投じました!)

そのプーランクを一切選曲しない、
「凄い」プログラムの演奏会です。



第52回演奏会 [ALL信長作品演奏会]


日程 2017年12月27日(水)

時間 17:00 開場, 17:30 開演

会場 すみだトリフォニーホール大ホール
(JR総武線「錦糸町駅」北口より徒歩3分)
https://www.triphony.com/



プログラム [ALL信長作品演奏会]

1st stage (指揮:諸澤 直香, 外池 周平)

・呼び交わす言葉たち
~無伴奏混声合唱のための2つのエチュード~



2nd stage (指揮:岩本 達明)


・無伴奏混声合唱のために
「廃墟から」より「第一章 絶え間なく流れてゆく」
・リフレイン [弦楽版]
・奏楽 [フルート+弦楽版]



3rd stage (指揮:大谷 研二)
・混声合唱とピアノのための
「加速し続けるエレジー」 ─折れ曲がった線路の先に─



4th stage (指揮:大谷 研二)
管弦楽付き合唱作品集
・夜明けから日暮れまで
・楽譜を開けば野原に風が吹く
・夕焼け
・くちびるに歌を
・ありがとう [混声版編曲初演]


出演
・指揮:大谷 研二
・指揮:岩本 達明
・ピアノ:山部 陽子
・フルート:北川 森央
・オーケストラ:横浜シンフォニエッタ
・指揮:諸澤 直香(学生指揮者)
・指揮:外池 周平(学生指揮者)
・合唱:東京工業大学混声合唱団コール・クライネス



料金
前売り1200円, 当日1500円
CNプレイガイドにてチケットの販売中です。
http://www.cnplayguide.com/evt/evtdtl.aspx?ecd=CNI23881
都連のHPからも購入できます。
http://tokyochorus.com/
HP→都連チケットサービス→クライネス演奏会からどうぞ。
お問合わせはkleines.52ndconcert[at]gmail.comまで。

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この演奏会については学生指揮者の外池さんから
大変アツい文章が届いています!


今年のクライネスの演奏会のテーマは、
「信長貴富先生の個展」です!
われらが常任指揮者・大谷研二先生が
信長先生に惚れ込んだことから
企画されたALL信長演奏会ということです。
当演奏会での押しポイントは二つあります。



➀ 「加速し続けるエレジー –折れ曲がった線路の先に-」

ここまで大谷先生が信長先生に
ゾッコンになってしまったきっかけとなった作品が、
私たちが3rdステージで演奏する
「加速し続けるエレジー」です。

東日本大震災後の和合亮一さんのTwitterに
投稿された詩を中心に作曲された曲です。
とても激しい器楽的な場面から
ロマンチックな歌まであり、
その構成に圧倒されるような曲です。
東京混声合唱団で委嘱初演をしてから、
大谷先生がかかわっているMIWOでも再演され、
今度はクライネスの番がきました!
日本有数のプロである東混、
文吾さんから日本一の合唱団!?と称される
MIWOに続いて演奏するというのは大変光栄であり、
かつ荷が重いです!
しかし、私たちにしかできない演奏があると確信して、
日々練習しています。
ぜひ聴いていただきたいです。


➁ 混声版編曲委嘱初演「ありがとう」

クライネスのメインステージは毎年派手で、
ボリューミーなのですが、
今年も派手でボリュームのある
ステージにしたい大谷先生は
「信長くんの管弦楽の作品をやろう」というわけです!
その流れがあって信長先生とやり取りするなか
信長先生から「是非書きたい!」と言われたのが、
この「ありがとう」でした。

「ありがとう」は、もともと児童合唱と管弦楽のための
「子どもたちの遺言」という作品の
最終楽章にあたる曲で、
この組曲も大谷先生と
NHK児童合唱団によって初演されました。

団員のなかでも
「もともと児童合唱だったものが、混声になるのか~」
とか不安が上がっていましたが、
曲が来た時にはみんな態度が一変!
感動的な素晴らしい曲でした。
楽譜を下さった信長先生のメールにも
「渾身の作です」と一言添えられていました。

新しく生み出された、そんな素晴らしい作品を、
皆さんに素晴らしいと思っていただけるように
渾身の演奏をしたいと思います。

他にも、
学指揮ステージは学指揮二人で同時に曲を振ったり!
「全部信長くんの曲ってまた極端だね~」
と言いながら極端な選曲をされた
岩本先生の熱いステージがあったり、
メインステージも盛りだくさんで、
聴いた人が楽しい信長ワールドに
ハマること間違いなし!の演奏会になっております。

信長先生×大谷先生×岩本先生のスペシャルトークもあります!

ぜひ足を運んでいただければ!と思います。
よろしくお願いします。 



先日の全国大会、
合唱団こぶさんが演奏された
信長先生「夕焼け」でのバイオリンとの協奏のように
知っている曲にピアノ以外の楽器が付くと
また新たな魅力が発せられる時がありますね。

そんな管弦楽と合唱との協奏も魅力的ですが
自ら「渾身の作」と仰る委嘱作品。
信長先生の多面的で奥深い作風を楽しめる
クライネスさんの演奏会。
どうかお近くの方もそうでない方も27日は
すみだトリフォニーホールへ!

 

Ensemble Mikanier第10回定期演奏会のお知らせ




宝塚国際室内合唱コンクールで
いつも心に迫る演奏が印象的な
和歌山のEnsemble Mikanierさん。


いろいろと豪華な、注目の演奏会のお知らせです。



Ensemble Mikanier第10回定期演奏会
~千原英喜×みなづきみのりによるシューベルティアーデ in 京都~

日時:2017年12月10日(日)

開場 13:30 開演 14:00

会場:ベアティホール
https://beati-rakusai.jimdo.com/


入場料:前売り1,500円、当日2,000円(高校生以下無料)



第1部《委嘱初演》
「シューベルト名曲集」
作曲:Franz Schubert
編曲:千原英喜
訳詩:みなづきみのり
「野薔薇よ」
「鱒」

指揮:阪本健悟
ピアノ:千原英喜



第2部
混声合唱とピアノのための歌物語
「美しき水車小屋の娘」<全曲>
作曲:Franz Schubert
編曲:千原英喜
訳詩:みなづきみのり

指揮:伊東恵司
ピアノ:松本望



【特別企画】
松本望×千原英喜によるピアノ連弾
「楽興の時 第3番」
「シューベルトの子守歌」他

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演奏曲があのみなづきみのりさんによる訳詞、
千原英喜先生による編曲で
「シューベルト名曲集」、
「美しき水車小屋の娘」。

指揮は阪本健悟先生に加え、
伊東恵司さん!

さらにピアノが千原先生と
名ピアニストでもある松本望先生!
加えてピアノ連弾もあるとか!!

これだけ豪華な演奏会、
やはりチケットも残り少なくなっているようです。
行こうと思われた方は
Ensemble MikanierさんFacebookでご確認&お問い合わせを。
https://www.facebook.com/EnsembleMikanier/


きっときっと充実した演奏会になるはずです!

 

 

観客賞発表!

 

 

 

 

大変遅くなりました!

観客賞、各部門の発表です。


まず1日目、大学ユース部門。

 


第5位 混声合唱団名古屋大学コール・グランツェ


第4位 都留文科大学合唱団


第3位 Chor OBANDES


第2位 関西学院グリークラブ


そして第1位!

ジュニア&ユースコーラスRaw-Ore



室内部門の発表です。


第5位 混声合唱団 鈴優会


第4位 Chor Doma


第3位 合唱団まい


第2位 女声合唱団ソレイユ


そして第1位!

アンサンブルVine

 



続いて2日目、同声合唱部門です。

同率第5位 monosso


La Pura Fuente


第3位 合唱団お江戸コラリアーず


そして同率第1位!

創価学会しなの合唱団

VOCI BRILLANTI



混声合唱部門です。


第5位 合唱団 やえ山組


第4位 合唱団こぶ


第3位 MODOKI


第2位 Combinir di Corista


そして第1位!

CANTUS ANIMAE


 

 


最後に2日間全51団体から選ぶ「観客大賞」は・・・


CANTUS ANIMAE


でした!
ご投票して下さったみなさま、本当にありがとうございました。


全国大会のエピソードを紹介する「全国大会あれこれ」、
さらにご寄稿して下さった団体さんの広告、
そして「観客賞座談会」など、
予定していることはいっぱいあるのですが
さすがに疲れました!(笑)

「観客賞スポットライト」のように連日とは行きませんが
休み休み、なるべくがんばって更新したいと思います。

 

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観客賞スポットライト 混声合唱部門 最終回






11月3日から毎日更新してきたこの連載も今日で最終回!

週末の東京の天気は…

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土曜は晴れ時々曇り、
日曜は曇り。
降水確率は20~30%なので
傘の心配はいらないかも?
(岡山より2、3度温かいんですね…)





11月3日から21日間に渡って連載してきました
この「観客賞スポットライト」。
今日は最後の2団体をご紹介します。








昨年はトリでしたが今年はそのひとつ前。
素晴らしい発声と確固たる音楽性で魅了する団体です。









19.奈良県・関西支部代表

クール シェンヌ


(51名・16年連続・第50回大会以来17回目の出場)





昨年は課題曲のモンテヴェルディで

紳士・淑女の団体ですね~。

ゆったりしたテンポで
あそこまで音楽を聴かせられる凄さ!

オーソドックスと言うか、王道と言うか。
「シェンヌ」の音が戻ってきた!

 


自由曲のレーガーでは

オトナでしたね~。

声が他と違いましたよ。
やっぱり激戦区の関西支部を抜け出ただけはあるな、と。

複雑な和音を丁寧に、流れも素晴らしく。
そしてあの浄化されるような美しいラスト!

たっぷり歌い、美しくこの大会を締めてくれましたね。

 

 

 

指揮者:上西一郎先生の
団員さん個々への徹底した指導と
堅牢な音楽作りが確かな説得力を生み出します。



シェンヌさんの今年の課題曲は
G1 Adorna thalamum tuum, Sion 

自由曲はJohannes Brahms
「Vier Quartette Op.92」
 (4つの四重唱曲)」より
「O schöne Nacht(おお、美しい夜)」
「Spätherbst(晩秋)」
「Warum(なぜ?)」


団員の山氏さんからメッセージをいただきました。

 

 

こんにちは。
奈良市内の大和西大寺で活動中の
クール シェンヌです。
今年は昨年の『43名』を更新し(笑)
『51名』での出場です。

そうなると、G1を選ぶのは去年以上に冒険!
になるはずなのですが、
今年も迷わずにG1の一択。
近年入団の若いメンバーをレッスンするには
ちょうど良いので、
毎回まずはこの曲を
たっぷり1時間はかけて練習しています。


自由曲は、今年3曲
(ドイツ・レクイエム、3つのモテット、
 祭典と記念の格言)取り組んだJ.ブラームスから、
44歳時作の「4つの四重唱曲op.92」を選択しました。
シェンヌのコンクール史上では初となる、
ピアニストとの共演曲となります。
今回は全国で活躍されているピアニストの
水戸見弥子さん( http://mitomiyako.com/ )に
ご共演頂きます。

表題の通り、
この曲は本来は四重唱曲として
作曲されていますが、
J.E.ガーディナーの名演CDもある様に、
合唱団で演奏されることも多いです。
とはいえ元々が独唱者用に書かれたものですので、
一見簡単な様に見える譜面でもこれが難曲…。
人数も増えた中、
『独唱者の様に各自が歌いながら、
 パートで一つにまとまって聞こえる』。
お聴き頂く方にこう感じて頂ける様に、
後少し更にブラッシュアップしてまいります。


・1曲目「おお、美しい夜」
 ピアノの左手でのE-Durの
 美しい分散和音で始まる、
 夜の星々が瞬き
 ナイチンゲールの囀(さえず)る夜。


・2曲目「晩秋」
 1曲目と同じE音で始まりながら、
 調性が同主調のe-mollで語られる
 ドイツ晩秋の風景。

個人的には一番好きな曲です。
色濃いブラームス的憂愁の世界に浸りましょう!


そして最終曲の「なぜ?」では、
前半の4/4 Lebhaft(活発な)の曲想から、
後半の6/8 Anmutig bewegt(優雅に動いて)への
対比で表現されるゲーテの詩の世界をお楽しみください。

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人数が増えた分、なかなか練習や合宿で全員が揃った写真が撮れないので、
唯一オンステメンバーが全員揃った貴重な瞬間を撮影した(笑)
『関西コンクール』でのパート別写真
(女声の人数が特に増えたのが判りますね)と、
指揮者上西とピアニスト水戸さんとのツーショットです。

上西と水戸さんの別バージョンの写真を見たい方は、
クール シェンヌの公式フェイスブックへどうぞ(笑)!
https://www.facebook.com/ChoeurChene/

 


山氏さん、ありがとうございました。
51名という人数になっても
G1のルネサンスポリフォニーを選択するその志。
素晴らしいですね。

そしてブラームスの四重唱曲!
独唱者用として書かれただけあって、
そのフレーズの美しいこと。
さらにピアノが華麗に彩りを添え、
「さすがブラームス!」と唸ってしまいます。

山氏さんは
『独唱者の様に各自が歌いながら、
 パートで一つにまとまって聞こえる』ように、
とされていますが
一見矛盾したその理想。
シェンヌさんなら大いに期待してしまいます。

うーん、こうなると「4つの4重唱曲」なのに
3曲しか演奏されないのは非常にもったいない。
「Abendlied」もぜひ聴かせてください!(笑)


コンクールで初めてのピアノとの協演。
ひたすらに美しいブラームスの作品。
上西先生の高い音楽性と
人数が増えても理想を失わないシェンヌさん。
コンクールのステージでありながら
コンクールを忘れさせる…
そんな素敵な音楽の時間になることを願っています。











さて、記念すべき第70回全日本合唱コンクールも
次の団体で最後です。
幅広い年代にもかかわらず、
常に意欲的な選曲をされる実力団体は?













20.宮城県・東北支部代表

グリーン・ウッド・ハーモニー

(64名・19年連続出場・第2回大会以来35回目の出場)





比較的大人数でも課題曲はG1を選曲することが多い
グリーン・ウッド・ハーモニー(以下GWH)さん。

昨年の課題曲:モンテヴェルディでも

個人的には一番納得がいく演奏でした。

今井先生の音楽性が
演奏へ豊かにあふれていた。
各部の表現に気を配りながらも
全体の流れを失わない。さすがです。


…などと少人数の団体も顔負けの
アンサンブルを聴かせ。

さらに自由曲は80代の団員さんもいらっしゃるというのに
難解な現代作品を選曲し、
しかも説得力ある演奏をして下さいます。 

 

歌い手さんも現代作品の音を
聴けるようになってきてるんじゃないかと。
だって、クルタークをするって決まった時、
団員さんみんな喜んだらしいんですよ!

一同 へー!

「自由曲はクルタークです!」
その発表で拍手が起きる合唱団!

一同(笑)。

同じ世界の話とは思えないな。
GWHの団員さんは
違う次元から来てるんじゃないか(笑)。

 



そんなGWHさん、
今年の課題曲はG1 Adorna thalamum tuum, Sion 

自由曲は
Anton Webern
「Entflieht auf leichten Kähnen」
 (軽やかな小舟に乗って逃れよ)

Paul Hindemith
「Messe」より「Gloria」

課題曲はやはりルネサンス・ポリフォニーのG1。
自由曲はウェーベルン、ヒンデミット。
どちらも20世紀前半に名を成したドイツの現代作曲家。



団員のMARさんからメッセージをいただきました。

 


今年も全国大会のステージに立てることを嬉しく思います。

例年のごとく、課題曲、自由曲ともに
今井先生の細かい解釈の書かれた
「分析譜」を使って練習していますが、
作曲家によって
「ああ、こんな作り方をしているのか!」と
音の構成などがまるでパズルのように
見えることもあったりして、
面白さを感じ、曲に対して
さらなる興味を持つことも多々あります。
この分析譜から発せられる要求に、
団員はどれだけ応えられるのか!

今年は大トリで歌わせていただくようですが…
自由曲の1曲目にウェーベルンを選んでいますが、
団としては3回目になるのかな?
もはやレパートリーの1曲ですね。
もちろん今までとは違う新しい解釈になっています。

そして最後に歌う、ヒンデミットのGloria。
Gloriaのことばに
ヒンデミットの音楽の美しさを乗せ、
また表現することができればいいなと思っております。


少なくとも昨年、一昨年のような
「?」ということにはならないのではないかと(^^; 

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上の写真は東北支部大会、下の写真は今井先生と分析譜とのこと。

 

 



MARさんありがとうございました。

ウェーベルンは3回目ということですが
前回?の2006年熊本大会での演奏は、
私も聴いていました。
その時はシェーンベルクの
「深き淵より」と一緒でしたね。
こんな曲をレパートリーにするのは間違いなく
日本でGWHさんだけです(笑)。

ヒンデミット「Gloria」も確かに
昨今のGWHさんの選曲にしては聴きやすい作品です。
この和声の連なる緊張感…痺れます。


少し音楽と離れるのですが
今年のハーモニー誌の春号の企画がとても良く
「ハーモニー誌春号、2つの座談会がイイ!」
という記事を書きました。
そこにGWH団員の中村さんによる
大変興味深い発言があったんですね。

 



記事中の「合唱団とマネジメント」という項で
GWHさんは多くの人に仕事を割り振る。
「立ってる者は年寄りでも使う(笑)」…そう。

少しでも合唱団の仕事に関わることで、
より一層、団の活動に主体的になれるし、
「団にとって自分が必要!」
との意識も生まれるのじゃないかと。


同じ年代で活動するほうが気は合うし、
声の均質性も生まれやすいし、
それはそれで素晴らしいと思います。
ただ、GWHさんのように
10代から80代までの幅広い年代層の人が
指揮者:今井邦男先生を中心に
それぞれ主体的に現代作品へ挑む!
それが記念すべき第70回全国大会のトリということに
なんかいいなぁ、と思ってしまったのでした。


GWHさんの現代曲を聴き始めは
大きな「?」が浮かんでいた私と仲間ですが
いつの間にか

「なんか…耳が慣れてきたかも」
「現代曲特有の和音にハマりそう」などと。

この東京大会で初めてウェーベルン、ヒンデミット。
そしてGWHさんを聴く方がいらっしゃるかもしれません。

GWHさん、どうかまた新たな音楽への扉を開いてください!








<ありがとうございました>



これで大学ユース、室内合唱、同声合唱、混声合唱部門、
全51団体のご紹介を終わります。

前企画「コンクール出場団体あれやこれや:出張版」から数えて
今回でちょうど10回目になりました。


今回も本当に多くの方にお世話になりました。


すべての合唱団のみなさまに
お礼を申し上げるのはもちろんですが
メッセージをご寄稿して下さった方、
団員さんをご紹介して下さった方、
写真を送って下さった方・・・などなど。


もう一度この場で、お名前だけを記して
この連載を終わりにしたいと思います。


わかさん、K.Mさん、都留文科大学合唱団幹部のみなさま、こんみさん、外池さん、りかさん、たさん、Yさん、Tさん、はるのさん、河野さん、アンチ野菜さん、池上さん、まのさん、内藤正太郎さん、いつつばさん、Mさん、縄裕次郎さん、宮井さん、M.Tさん、寺田有吾先生、Kさん、ふじもりさん、池田大樹さん、T.Sさん、I田さん(M村さん)、桑原春子先生、雨宮昌子さん、古作敦さん、さゆさん、山本啓之さん、Mariさん、Yさん、N.Oさん、せのをさん、平林知子先生、マネージャーIさん、村田さん、安積フィメールコール東京のSさん、エリカさん、きらりんさん、おのださん、猿渡健司先生、Oさん、後藤秀樹先生、合唱団ユートライツイッター担当さん、もっつぁさん、K.Sさん、黒川和伸さん、aranさん、K.Oさん、阿部さん、C.Eさん、Fさん、M園さん、おやびんさん、伊東恵司さん、村上信介先生、大山敬子先生、藤原さん、しおりさん、山氏さん、MARさん、全日本合唱連盟の中の人さん、くーらさん、ピアノストさん、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団様、鯖くん、最初にこの企画を始められたぜんぱくさん。

 

お名前が漏れた方がいらっしゃいましたら大変申し訳ありません。

他にもこのブログにスターを付けて下さった方、読者になって下さった方、ツイッターで「いいね」やリツイートをして下さったみなさま、Facebookで「いいね!」やシェアして下さったみなさま、感想を寄せて下さったみなさま、そして最後に。

読んで下さったみなさまに心から感謝を申し上げます。

ありがとうございました!


(観客賞スポットライト2017 おわり)

 

 

 

 

観客賞スポットライト 混声合唱部門 その6

 

 

 



これが最後のご案内です。

 

観客賞の投票について!



参加資格:「大学ユース部門」「室内合唱部門」
     「同声合唱部門」「混声合唱の部」、
      それぞれ全団体を聴いていること。
      (その部門の出演者は投票できません)


投票方法は2つあります。
(必ず各部門の全団体を聴いてくださいね!)



1)ツイッターによる投票

投票方法:ご自分のツイッターアカウントで
ハッシュタグ 


#混声合唱17



を付けて
20日混声合唱の部終演(予定18:57)から
審査発表が始まる前の19:30まで
良かった2団体を書いてツイート。
(時間が短いので注意!)



その際、各団体の後に感想を書いていただけると
とても嬉しいです。
1団体だけの投票でも結構ですよ。
3団体以上を書かれると無効です。すみません・・・)

※昨年、ハッシュタグを間違えた方が
何人かいらっしゃいました。
1文字でも間違うと捕捉できないので
正確にお願いします! 

 

 

ツイート投票の例:

合唱団●● 壮麗な混声合唱のお手本!
▲▲ヴォイス 大人数でも繊細な表現が素晴らしかった。
#混声合唱17

 

  


ツイッターアカウントを持っていない方は

2)メールによる投票

投票方法:メールアドレス
bungo0618*yahoo.co.jp
(↑ *を@に替えて下さい)
良かった2団体を書いて送って下さい。

件名は「観客賞」で。
締め切りの時間は
ツイッターでの投票と同じです。


つまり


1)その部門の出演者じゃない全団体聴いた人

2)2団体もしくは1団体を書いて

3)部門終了後すぐに投票


…してくださると、非常に助かります!

ご投票よろしくお願いいたします!




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Photo by A.Yamaguchi








今日と明日でこの連載は終わりです。

 

続いては若き指揮者が新鮮な感動を伝えるこの団体。







16.愛媛県・四国支部代表

I.C.Chorale


(36名・第67回大会から4年連続出場)





26歳と一般部門で最年少指揮者:村上信介先生が率いる
通称:いよコラさんは今年で創団4年目。


昨年は木下牧子先生の「方舟」を演奏されたのですが


良かったねー!

泣いた! あれは素晴らしい・・・。

うん、若さと曲がすごくリンクしていました。


…と大変好評でした。

今回の選曲は
課題曲はG2のプーランク。

自由曲は谷川俊太郎詩・松本望作曲
混声合唱とピアノのための組曲
「天使のいる構図」より
「2.Capriccio」
「3.Tempestoso」


村上信介先生よりメッセージをいただきました。

 


皆様、こんにちは!I.C.Chorale(いよコラ)です。

いよコラも早いもので創団4年目となり、
今年3月には初の単独コンサートも開催しました。
皆様のご声援が力になりました、
ありがとうございました!

さて、今年の選曲についてです。
課題曲「Salve Regina」は、
3月の練習で課題曲を全て歌ってみて
団員による投票で決定しました。
10月に受講した本山秀毅先生による
講習会でのご指導を糧にしつつ、
各パート1~2人による
少人数グループでの練習を積極的に行い、
個々人が意見を出し合いながら
曲への理解を深めています。
エスプリ、難しいですねぇ。

自由曲は例年同様、
ピアノ付き邦人作品から候補を出し、
「天使のいる構図」を選曲しました。
パウル・クレーの描いた天使の絵、
谷川俊太郎の詩、
松本望の音楽が多層的に重なり、
抗えない絶望感やどうしようもない背徳感が、
時に軽妙に、時に劇的に歌われます。

プーランクも松本望も
音楽のルーツがフランスにあり、
音遣いに似たものを感じる場面があります。
あるいはSalve Reginaが作曲された時代も
クレーの天使の絵が描かれた時代も
第二次世界大戦中ということで、
作品の奥底に一抹の不安や影を感じさせられます。
こういった、一見全く接点のないような作品の
共通点を見付けると、
各曲の有機的な繋がりが生まれてくるように感じます。
こういった出会いもコンクールならではですね。
創団4年目で4度目の全国大会に
舞台に立たせていただけることは至上の喜びです。

若さとエネルギーを武器に、
今年も全力で本番を駆け抜けたいと思います!
皆さま、是非いよコラの演奏をお楽しみください!

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四国大会での写真だそうです。「若さとエネルギー」あふれてますね!

 

 


村上先生、ありがとうございました。

自由曲の「天使のいる構図」の詩。
天使の純粋さ、
それに近づけない人としての葛藤は
若い人にこそ身近なもののような気がします。

昨年の方舟の演奏でも
「若さと曲がリンクする」魅力を
伝えてくれたいよコラさん。
「ピアノ付き邦人作品から選曲」という
ある意味割り切った、しかし歌い手の心情を考えた選曲。

松本望さんが鋭敏な感性で作曲した今回の作品でも
新鮮な魅力を私たちに与えてくれるのでしょうか。
課題曲のプーランクとの有機的繋がり、
そしてエスプリの効いた演奏にも期待!


…ところで全国大会時以外でも
いよコラさんのブログをたびたび覗いているのですが。


最新の9月3日
「第70回全日本合唱コンクール四国大会に出場しました!」

 

 


「この団の目標って何ですの?」

今思えば生意気な質問だったけれど、某アルトの某パートリーダーさんが真摯にこう答えてくださったの…。

 


「全国大会で銀賞を獲ること」

 



今年は目標が叶うと良いですね!





 

 

 




続いては中国地方から
まっすぐな声と表現が魅力のこの団体です。

 

 

 

 

 

 

 





17.岡山県・中国支部代表

合唱団こぶ

https://www.facebook.com/kobsoja/

(40名・9年連続出場・第62回大会以来9回目の出場)





こぶという団名は
指揮者:大山敬子先生のイニシャル「K」と
中学校での教え子「OB」たちの
文字をつなげた「K + OB」から。
今では教え子の中学出身以外の団員さんも
多くいらっしゃるそうです。


昨年は課題曲の「角を吹け」の男声の輝かしさ。
NICHOLAS WHITE「O Magnum Mysterium」の
ソプラノのフレーズの美しさが評判でした。


こぶさんもコンクールで「勝負!」というよりは
団員さんが共感を持って演奏できる曲を
選曲してきているようです。



今回の演奏曲は
課題曲G3 「子どもは……」

自由曲は
原民喜:詩、林光:作曲
「原爆小景」より「1.水ヲ下サイ」
高田敏子:詩、信長貴富:作曲「夕焼け」


指揮者の大山敬子先生からメッセージをいただきました。

 


『石の腕の中ですら』
「子どもは……」の最後の言葉です。
課題曲ですから、
自由曲との関連を問われることはないのですが、
私たちは、このままで終われなかったのです。
石の腕が意味するものを思うとき、
たどり着く曲は「原爆小景」でした。
コンクールでこの曲を演奏すること自体、
一歩間違えばあざとさに通じてしまうことを
知っています。
ましてや、よい演奏をめざしても、
はるかに力の及ばない地平であるということも。
「絶望を胎生の糧としない愛を私は信じない」
三善先生の言葉です。
絶望を体験しなくとも曲を歌うことで、
少しでも追体験できるならと選びました。
そして、又、私たちはこのままで終われなかったのです。
子どもが生きるべき世界を、
祈らずにはおれなかったのです。
「夕焼け」をコンクールで演奏することも、
あまりないとも言われましたが…。
私たちはこの三曲を貫いて歌いたい。



        夕焼けがばら色でありますように。

 

 



大山先生、ありがとうございました。

「原爆小景」の始まりの「水ヲ下サイ」は、
原民喜が広島で被爆した体験を記した詩。
青空文庫で読めますが、
壮絶としか言えない詩群です。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000293/files/4769_6662.html

東京混声合唱団が毎年
「八月のまつり」という名の定期演奏会で
この「原爆小景」を演奏しているように
演奏し続けなければならない、
語り続けなければならない不朽の名作です。

難易度も高く、表現力も必要とする作品ですが
「子どもは……」の
「石の腕」という言葉から想起される
過去の辛い現実の姿を
極限まで表現し尽くして欲しいと思います。


そして、信長先生の「夕焼け」。
合唱団には団員さんが映っている写真を
お願いしているのですが
こぶさんが送って下さったのは。




 

 

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写真の下に団員の藤原さんによるこんな言葉が。

 


写真は今年は集合写真でなく、
ある団員が日常の中で撮影した
「夕焼け」の写真を送らせていただきます。
この日常にある夕焼けをずっと、平和に、
見続けられる未来を信じていきたいものです・・・。
全国大会まであとわずかですが、
この素晴らしい作品と自分自身とまだまだ向き合っていきます。

 

藤原さん、ありがとうございました。
課題曲と自由曲の言葉から連想される、
祈りと愛に満ちた選曲。
この夕焼けのようにこぶさんの温かい音で
私たちを照らしてくれますように。














続いては2年連続第1位のこの団体です!








 


18.佐賀県・九州支部代表

MODOKI

(70名・4年連続出場・第50回大会以来19回目の出場)




昨年、観客賞でも第2位だったMODOKIさん。
課題曲「むらさきの」の繊細さ、要所のニュアンス。
自由曲バーバー「アニュス・デイ」の緊張感の持続、
団員一人一人の想いが撚り合わさった演奏が好評でした。



10月29日夜。
MODOKI指揮者:山本啓之さんに電話でお聞きしました。

 

* * * * * * * * * * * *


まず課題曲がG3の三善晃先生「子どもは……」ですが。

 


「今年の課題曲は他にも良い曲ばかりで
 G4の『まぶしい朝』もいいなと思ったけど
 三善晃先生の曲はやはりやらなきゃダメだな!と」

 


ほー。

 


「逆に言うと自分たちの良いところを出したいとか
 自由曲との兼ね合いも考えてない!(笑)
 良い曲をやりたい!
 自分たちの勉強したい曲を選んだだけやな」

 


実際練習されてどうですか?

 


「やっぱり凄いよね。
 和声といい、メロディの運びといい、
 ひとつひとつの表情の作り方といい、凄い!
 三善先生は孤高の作曲家だなと思ったよ。

 それでね、
 簡単そうに聞こえなきゃいかんわけだけど
 簡単じゃないわけよ!」

 



(笑)。

 



「ストイックに聞こえて良いもんかと
 いう問題もあるし。
 レガートというのもまた大事。
 八分音符が並んでいるだけになったら終わりやし。
 今は『子どもは……』じゃなく、
 自分たちが『子どもっ!』みたいな状態かな(笑)」

 



…大人な演奏を願ってます(笑)。
自由曲はJohannes Brahms作曲
「Zwei Motetten(2つのモテット)」より
「Schaffe in mir Gott ein rein Herz
(神よ、私の中に清い心を創って下さい)」。

5年前の富山大会で「Warum ist das licht gegeben?」
演奏して以来のブラームスですが?

 


「ロマン派から離れたけど、
 やっぱり何年かに一度はロマン派に戻ろう、と。
 そして前回は晩年の作品だったので
 今回は一番最初に書かれたモテットをやろうと。
 若い頃のブラームスの危うさを作品から感じるなぁ」

 



いつ頃の時の作品なんですか?

 


「20代後半、27歳くらいかな。
 シューマンの妻、クララとの関係に悩んで
 鬱々としていた時に書いているような気がするね」

 


曲調はかなり明るい感じですが。

 


「曲調はそうやけど
 言ってることは清い心を求める、
 『助けて下さい』『導いて下さい』だからね。

 また音楽が絶妙!
 最初の提示部は5声で書かれていて
 フーガ、男声、女声、
 最後にまたフーガという構成も見事やし。
 やっぱり世界遺産やわ!」

 



軽井沢国際合唱フェスティバルでも
聴かせていただきましたが

フーガの箇所など難しい曲ですね。

 

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「フーガって各パートが歌えないと形にならなくて。
 それも主と対があり、
 今はどこが主なのか考えなきゃいけないし。
 そして下降形のフレーズが『支えて下さい』のような
 力強い言葉から上昇形になるなど、
 凄く複雑に書かれているんだよね」

 



この曲、全国大会で演奏した団体あるんでしょうかね?

 


「シェンヌさんがちょうど10年前の
 東京大会で演奏してるね」

 


えっ! 面白い偶然ですねえ。 
そういえば次に出場のシェンヌさんも
自由曲が同じブラームスで聴き比べが(笑)。

 



「それよ! …一番辛いパターンやね(苦笑)。
 まぁ、ちゃんと前座をつとめます!」

 


シェンヌ兄さん、場を温めておきました!みたいな?(笑)

 



「シェンヌさんもそうだけど、
 他の団体も素晴らしい団体ばかり。
 だって混声部門のチケット、
 30分で売り切れたんでしょ?

 全国から集まった20団体の演奏会の一員として
 そういう期待に応えられる演奏になるよう、
 がんばりたいと思うね。
 いつ何時もコンクールはチャレンジ!

 …『チャレンジ』って去年も言ってない?」

 


実は毎年言ってます(笑)。

 


「いや、チャレンジが無いと
 コンクールに出る意味無いもんね!」


 

昨年、一昨年も1位でチャンピオンの
MODOKI指揮者さんが「チャレンジ」って
少し違和感があるんですが。
「防衛」ならまだしも(笑)。

 



「いやいや!
 『ディフェンディングチャンピオン』
 …なんて微塵も思ってないし。
 どれだけやっても『これが答えや!』にならない、
 掘っても掘っても新しいものが出てくる名曲を
 一番良い形で伝えられるようにがんばるだけ!」

 


なるほど…。
山本さん、ありがとうございました。
今年のMODOKIさんの「チャレンジ」、期待してます!

 

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(明日に続きます)

 

 

観客賞スポットライト 混声合唱部門 その5

 

 

 




今回は3団体をご紹介します。

 

 

 

 

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昨年初演された委嘱曲が大人気。
毎回観客の心を揺さぶる演奏が評判の団体です。










13.東京都・東京支部代表

CANTUS ANIMAE

(62名・7年連続出場・第52回大会以来14回目の出場)


 


室内部門の合唱団まいさん、
同声部門のVOCI BRILLANTIさんも指揮される
雨森文也先生が指揮者です。


昨年、松本望さんに委嘱された「二つの祈りの音楽」は
全国で盛んに演奏されるようになり、
2番目に出場の合唱団ことのはさんも
1曲目の「夜ノ祈リ」を演奏します。
CANTUS ANIMAEさんも昨年の全国大会で
2曲目の「永遠の光」(短縮版)を演奏し、好評でした。



今年の演奏曲はG3 三善晃作曲「子どもは……」

自由曲は宗左近詩、三善晃作曲
混声合唱と2台のピアノのための
「交聲詩 海」より「I」「III」


団員さんからメッセージをいただきました。 

 

 


今年の自由曲は「交聲詩 海」です。
この曲は1987年に、
合唱団OMP・栗山文昭先生によって初演されました。
その年の全国コンクールでも「海」を歌ったOMP、
それは今でも界隈で「伝説」と語り継がれるステージでした。
CA音楽監督の雨森先生も観客席に居合わせ、
あまりの衝撃で椅子から立ち上がれなくなったそうです。

「つながる魂のうた」と題した演奏会を、
私たちは昨年から開催してきました。
三善晃先生作品と
影響を受けた若い作曲家の作品を取り上げ、
三善先生から受け継がれている音楽を
味わう演奏会です。
演奏会を通して、
私たちは先生への思いを深めてきました。
そして今年の全国コンクール。
初演から三十年という節目の年に、
初演と同じ東京で「海」を歌う機会に恵まれました。

「海」は、海のさまざまな表情を彩り
豊かに表現します。
太古の昔から今に至るまで、
生命の故郷であった海。
そんな海でいきいきと生きる生命、
しぶきを上げる波、
空に浮かぶ雲、虹、夕映えの海…。
しかし、そんな海で人類は愚かな行動も犯しました。
七十年前、南の海で散っていった特攻隊の若い命。
悲劇への嘆きを経て、
曲の終盤は地球や生命への感謝・輝かしい未来を
強く願う気持ちが歌われます。

今年は課題曲も三善先生作品の「子どもは……」です。
子どもは「希望」「喜び」「天使」「私たちの生きる理由」、
たとえ「屈託の時代」「あらゆる恐怖」の下にあっても…。
歌い込むほどに、課題曲も自由曲も根底にある願いは
同じであることを実感しました。

母なる海で生命が脈々と続いているように、
三善先生の魂も脈々と続いています。
その系譜を次につなぐような
熱い演奏ができたらと思っています。

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6月25日に開催された「つながる魂のうた vol.2」での写真。

 



団員さん、ありがとうございました。

この「交聲詩海」は合唱団OMP(後の「響」)による
1987年の名演がまさに伝説となりました。
CAさんもかつてコンクールでこの曲を演奏しようとし
規定が変わったため
(当時は課題曲も含めた制限時間でした)
曲のカットを三善先生にお伺いしようとしたが
既にご体調がすぐれない状態で、断念したと聞きました。


昨年10月岐阜、
CAさんとMODOKIさんのジョイントコンサートで
この「交聲詩 海」が合同で演奏され、
私はこんな感想を残していました。

 

*  *  *  *  *  *

どんどん高まり、増していく音。
それでも雨森先生の要求は止まらない。
掲げた右手を何度も何度も大きく震わせ、
更なる音を、限界を越えた、遥かな音を!

合唱団の中から何かが弾け、生まれそうな。
クライマックス。

赤い薔薇 燃えて

夢の炎の炎の花

…ああ、これは、宗左近氏、三善先生が作り上げた
死者も生者もすべてひっくるめた
海、地球、宇宙の壮大な生命の賛歌なのだ・・・。
耳を圧する音と共に
そう納得している自分がいた。


*  *  *  *  *  *


伝説の演奏から30年経ち、
会場こそ違え、同じ東京大会での演奏。
そして審査員席には栗山文昭先生がいらっしゃいます。

三善先生が亡くなられた年の2013年。
4年前に三善先生の「であい」を演奏されたCAさん。
この時の演奏も「伝説」だと私は思っているのですが、
感想をこう記していました。

 


三善先生へ音楽が届いたと感じたのはもちろんですが、
CAさんがあれだけ音楽へ、
演奏へ全てを捧げ尽くしていたのなら。
三善先生は、きっとあの時あの場所にいらしていたと思うのです。
そしてこれからも、そんな演奏があるかぎり。

 

 

あれから30年、あれから4年。
音楽へ全てを捧げ尽す人と、
三善先生の魂が東京芸術劇場に在ることを願って。


















続いては大人数でも繊細な表現と響きを得意とする
選曲にこだわりがある実力団体です。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



14.愛知県・中部支部代表

合唱団ノース・エコー


(72名・7年連続・第47回大会以来20回目の出場)





近年はスウェーデンの作曲家
Sven-David Sandströmの作品を多く演奏されている
合唱団ノース・エコーさん。
昨年もサンドストレム「Four Songs of Love」を演奏し
 

 

素晴らしかった!

和音のグラデーションがすごく良くて。

バランスも完璧でしたね。

ずっとサンドストレームをやり続けないと
出来ない表現でしたね!

ある意味クロウト好みかもしれない演奏(笑)。
でも唯一無二の世界!

 

 

…などと好評でした。


今年の演奏曲は
課題曲はG2

自由曲はFrancis Poulenc「Exultate Deo」
Sven-David Sandström「A New Song of Love」

 

おぉ! 課題曲と繋がるプーランク作品に
お得意のサンドストレーム!

団員のM園さんからメッセージをいただきました。

 


私達が歌うのは、
課題曲のプーランク“Salve Regina”、
自由曲として同じくプーランクの“Exultate Deo”、
そしてサンドストレムの“A New Song of Love”です。

プーランクの2曲は、
1941年5月に知人カップルの
結婚祝いのために作曲されました
(しかし、この結婚は結局取りやめとなる)。
ドイツ占領下のパリにあって
寡作になっていたプーランクの数少ない作品です。
聖母マリアに神への執り成しを願う“Salve ~”と、
神を讃える賑やかな祝祭曲“Exultate ~”が、
くっきりとした対比を成しています。
サンドストレムの“A New Song of Love”は、
昨年取り上げた“Four Songs of Love”の
ニュー・バージョン。
歌詞も同じく旧約聖書の雅歌から採られており、
男女の愛がテーマです。
女声と男声のダブルコーラスの形式で、
互いへの熱い気持ちを歌い交わします。

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金沢での中部大会での写真だそうです。

 

 

 

M園さんありがとうございました。
プーランクの対照的な2作品。
そして昨年好評だった
サンドストレームのニュー・バージョン曲。
ノースさんの透明な響きで
どう演奏されるか楽しみです。


M園さんからはさらに。


年明け早々の、
ニューイヤーコンサートの宣伝をさせてください。

ニューイヤーコンサート
人生はフルコーラス!! ~合唱の魅力をあなたに

指揮:田中祐子 管弦楽:愛知室内オーケストラ

【日時】2018年1月14日(日)14:00開演
【会場】名古屋市青少年文化センター・アートピアホール
【入場料】全自由席:一般3,000円 学生2000円

合唱団ノース・エコーは、
コンサート第1部の
「魅惑の日本合唱曲」に出演します。
演奏曲目は次のとおり。

・群青
・夕焼け
・あすという日が
・COSMOS
・いつまでもいつまでも
・歌声はかわらず

詳しくはweb
合唱団ノース・エコーのページ
 または名古屋市文化振興事業団のページ)にて!

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よく知られている曲がオーケストラと共に!
興味深い演奏会ですね!


 

 

 

 

 

 

 

 




19分の休憩後、
続いては混声合唱部門で最大人数!
指揮者は今大会で最多出場の団体です!


 

 

 

 

 

 

 

 


15.大阪府・関西支部代表

淀川混声合唱団


(86名・7年連続出場・57回大会以来11回目の出場)




昨年はJózsef Karai
「Stabat Mater(悲しみの聖母)」を演奏され。

 

 

こういう曲を演奏したら
やっぱりよどこんは上手いよね、って。

オールマイティな団体なんだと思いました。
叫ぶところ、音を鳴らすところ…
弱音も上手いし、なんでもできる合唱団。

演奏の音以外にも
プラスアルファがすっごい聴こえてきました・・・。

緊張感に満ちた演奏。
しかし迫力だけではなく、大音量でも破綻せず、
バランス、音色、音量の選択が
細部に至るまでキッチリ仕上げられていました。

 

そんな感想が出るように
近年は大人数でも音量だけに頼ることなく、
個々の自発性までも感じさせるようになってきた
通称:よどこんさん。

指揮者は大学ユース部門の
同志社グリークラブさん、
混声合唱団名古屋大学コール・グランツェさん、
室内部門のアンサンブルVineさん、
そしてこの淀川混声合唱団さんと
今大会最多の4団体を振られる伊東恵司さん。


今年の演奏曲は
課題曲はG3「子どもは……」

自由曲はIngvar Lidholm作曲
「De profundis(深き淵より)」


伊東さんからメッセージをいただきました。


課題曲:
「和声」と「言葉の持つメッセージ性」との拮抗が
この曲の難しさと面白さなのかと思います。
言葉を使わずに和声のバランスや
展開パターンからの音楽の推進力を研究してみたり、
ひたすらに言葉を朗読しその音色を想像してみる、
などの練習をしてきておりますが、
このようなことが出来ることが
コンクールで課題曲に取り組む意味かとも思います。
課題曲選定者に感謝しながら、
楽しくもなかなかもどかしい練習を繰り返しております。
芸術表現の難しさと楽しさは人生と同じ。

 


自由曲:
深い音色に引き付けられて選択しました。
また、しばらく前に同じテキストで
違う作曲家の作品を取り上げていることもあって、
作曲家による視点や構成の違いから
テキストの深みとそれを取り巻く
(祈りの気持ちと音楽表現の関係性)について
学びながら練習したいと思いました。
北欧の神秘的なサウンドの中に、
時代の悲しみ、世界の悲しみ、に向けた
深い祈りを表現出来たらと思います。

 

 

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伊東さん、ありがとうございました。
スウェーデンの作曲家リードホルムの作品とは!
こちらの曲も昨年のカライと同じく、
実に緊張感に満ちた作品です。

課題曲、自由曲共に取り組み方へ
伊東さんの鋭い視点が感じられ、
今年のよどこんさんの演奏も楽しみです。

伊東さんからはさらに


淀川混声合唱団は
「コーラスめっせ2018」
4月21、22に出演します。
(大阪ビジネスパーク、円形ホール、Twin21)

伊東は、高嶋みどりの合唱ミュージカル
「夢にコダマする~あるボスザルの物語」の
公募合唱団を指揮します。

(コーラスめっせ2018)
http://chorusmesse.web.fc2.com/


…とのこと。
コンクールだけではなく、
こうしたイベント参加、演奏会など
多彩な活動をされるよどこんさん。
蓄積された経験で奥深い演奏を期待しています。




(明日に続きます)


観客賞スポットライト 混声合唱部門 その4

 

 



お江戸コラリアーずさんの記事でもご案内しましたが、
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2017/11/14/125506

今年は部門による客席入れ替えのため、
「客席への荷物置き」をされると
スタッフさんが非常に困ってしまいます。
お気を付けください。


そして出演者のみなさま!
ホール内のクロークのキャパがそれほど大きくないので、
出演者側は極力外部のロッカーを利用してくださると
大変助かるそうです。
ご協力よろしくお願いいたします。


↓ こちらのリンクが参考になるかと。

池袋駅のコインロッカー攻略!
安くて絶対空いてる穴場スポットを紹介!

http://tokyolucci.jp/ikebukuro-coinlocker 

 

 

 

 

また東京芸術劇場には
託児サービスも用意されているそうです。



 

 

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さあ、今日も3団体をご紹介します。
最初はなんと全国大会3日前に
●●●を予定されている団体です。


 

 

 

 




10.山形県・東北支部代表

鶴岡土曜会混声合唱団

https://twitter.com/tsuruokadoyokai

(54名・2年連続出場・第50回大会以来11回目の出場)




昨年は三善晃先生の「嫁ぐ娘に」を自由曲に選ばれ
「テノールが軽やかですごく良かったです」
「明るい響きでバランスも良かったね」
…などと好評だった鶴岡土曜会さん。


今年の選曲は
課題曲はG1 Adorna thalamum tuum, Sion

自由曲は谷川俊太郎詩・三善晃作曲
「五つの願い」より
「1.春だから」
「2.子どもは……」
「3.願い 一少女のプラカード」

ええっ?! 課題曲の「子どもは……」を自由曲に?

代表の阿部さんからメッセージをいただきました。 

 

 

今回は「名曲シリーズ」を見ながら、
「どの曲も歌ってみたい」とか
「うちの合唱団にはどれが合ってるかな」とか
考えた挙げ句、
課題曲をどれにするかという議論の前に
「自由曲では、この "子どもは……" を
 歌うことにしよう」と決まりました。
これを課題曲にしてしまうと、
自由曲の選曲がちょっと難しくなるかなというところ、
「あ、自由曲にしてしまえば
 『五つの願い』からあと何曲か歌えるし、
 課題曲で別のテイストを見せることができそうだ」と、
ストンと落ちた感じでした。

結局は、曲集での流れや時間的な要因から、
「春だから」「子どもは…」
「願い 一少女のプラカード」という順で
演奏することにしましたが、
それぞれの曲の特徴を
どのように表現できるか悩んでいるうちに、
「子どもは……」のいわば「課題曲感」というものは、
少なくとも自分たちの中では薄れていきましたので、
聴いて下さる皆さんにも
そのあたりが違和感なく伝わると良いなあと思っています。


課題曲については
G1とG2とのどちらにするかで少し迷いましたが、
G1の方が私たちの良さを引き出してくれそうな感じでしたので、
G2は泣く泣く(笑)あきらめました。
(が、いつかきちんと取り組んでみたい曲ではあります)

私たちは、約50名の中型合唱団で、
団員の年齢層が幅広い(高校生から60代まで)こともあり、
「爆発的な何か」を持ち合わせているわけではありませんが、
私たちなりの精一杯の演奏をお届けしたいと思います。
どうぞよろしくお願い致します。

 

 

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東北支部大会演奏後とのこと。

 

 


阿部さん、ありがとうございました。

なるほど~。
「子どもは……」は
「五つの願い」では2曲目の順になりますが
自由曲として選べば曲集での流れそのままにできます。
課題曲で演奏するのとは
また違った魅力が表出されるのでは。

東北大会を聴かれた方の感想では
「課題曲を自由曲にする。
 三善先生の作品へのああいうこだわりが凄いと思った。
 そしてこれがまた良いサウンドでした!」

三善先生の作品を多く演奏されてきた
鶴岡土曜会さんのこだわり、
今回も堪能したいと思います。

…ってそうそう、この全国大会前の予定のお話!

 


ここからは宣伝になりますが、
11月23日(祝・木)には
第66回定期演奏会を開催致します。
昨年、お江戸コラリアーずさんが歌われた曲集
「若者たち」を信長貴富さんに
混声版としても編曲していただき、
初演させていただきます。
「昭和歌謡とともに成長してきた世代」と、
「まったくの平成世代」とが融合して、
ひとつの世界を歌うことができたらなあと思います。

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なんと全国大会3日前に演奏会とは!
これは応援せざるを得ません!

鶴岡土曜会合唱団さん、
演奏会も、全国大会もがんばってください!!


 

 

 

 

 

 




続いては昨年の観客賞混声部門で第1位!
出場された前8回すべて金賞の超実力団体です!


 

 

 

 

 

 

 

 



11.東京都・東京支部代表

Combinir di Corista

(38名・4年連続出場・第61回大会から9回目の出場)


 


昨年は自由曲に信長貴富「春と修羅」より「II」を演奏し

 

一曲の中でいろんな声を使い分けてましたね。

サウンドスケープの世界がもの凄かったです。
あと最後の修羅感ヤベェ!

ヴォカリーズで鳥肌立った!!

心に刻み込まれました。

緊張感が充溢する中、
さまざまな声、声の演技が錯綜し、
宮澤賢治の世界を眼前に迫るまで創り上げていました。


http://bungo618.hatenablog.com/entry/2017/02/19/203458

 

 
…など、持ち前の素晴らしい発声と知的な表現に
さらに熱さが加わり、観客賞座談会でも大人気!
混声部門で第1位の結果となりました。

 

 

レパートリーの「品揃えの豊富さ」にこだわるということから、
コンビニエンスストアーにちなんで
「コンビーニ・ディ・コリスタ」としました
(団HPより)


そんな通称:コンビニさん、今年の演奏曲は
課題曲G3 「子どもは……」

自由曲はGyörgy Ligeti「Lux Aeterna」。

おおお、リゲティの「ルックスエテルナ」を自由曲に?!
これはかなり凄い選曲です。

コンビニ店員さんからメッセージをいただきました。

 


こんにちは!私たちコンビニについて
紹介する機会を頂きありがとうございます。

自由曲である
〝LUX AETERNA"を歌うことが決まったのは、
東京カンタートへの出演の詳細が決まった昨年末。
まさかの難曲に店員一同驚くとともに
武者震いしたものです。

それから始まった練習は
コンビニにとって困難の連続でした。
〝LUX AETERNA"は単一の旋律を各パートが
異なるリズムで歌っていくという曲なのですが、
細かいリズム指定、密集したクラスター和音のため
自分のパートのリズム、
音があっているのか分からなくなり、
長い期間思うように練習が進みませんでした。

しかし松村先生の的確な楽曲分析により
徐々に皆が〝LUX AETERNA"の全貌をつかみ始め、
練習も熱を帯びていきます。

そして東京カンタート、
クールシェンヌさんとのジョイントコンサートを無事終え、
コンクールは…? となった時、
「この機会を逃したらこの曲を演奏する機会は
 もう二度とないかもしれない」、
「もっともっとLigetiの世界観を深めて表現できるはずだ」
という思いが皆の中で強くなり
自由曲として選ばれることになりました。

10年前東京で行われた全国大会、
コンビニは出場することが出来ず
勉強のために皆で聴きに行ったそうです。
(筆者はその時入団していませんでした。) 
そこで仙台のグリーンウッド・ハーモニーさんが
演奏していたのがなんとLigetiの 〝LUX AETERNA"でした。 
あれから10年、再び東京の全国大会で
同じ曲を演奏する機会を頂けたことに不思議な縁を感じます。

また課題曲の作曲家、
三善晃とLigeti二人の少なからぬ共通点は、
第二次世界大戦中における壮絶な戦争体験です。
子供への願いを繰り返し
「なおも…」と切に歌い上げる課題曲、
神秘的な音響で宇宙のような世界観
(それこそKubrickの映画のような!)を表現する自由曲と
一見すると対極に位置するように思える二曲ですが、
それらに込められた彼らの祈りや思いを
少しでも感じ取って頂けたら幸いです。

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6月の合宿での写真とのこと。

 

 



コンビニ店員さん、ありがとうございました。


このリゲティの「LUX AETERNA」は大変な曲で
文中にもキューブリックの映画が言及されていましたが
まさに「2001年宇宙の旅」?!
人の声とは思えない、
宇宙を感じさせる響きが存在する作品です。

この手の曲って「どんな演奏でも同じなのでは?」
という疑問の方がいらっしゃるかも。
でも、こういう曲こそ、音、声に対する想像力、
創造力が問われる作品だと思います。

10年前の東京での全国大会で
グリーンウッド・ハーモニーさんが
同じ曲を演奏されていたというのも
確かに不思議な縁ですね。


昨年の「春と修羅」ではサウンドスケープを
見事に演奏されたコンビニさん。
今回の「LUX AETERNA」でも
芸術劇場のホールとは思えないほどの異空間に
私たちを誘ってくれるかと思うと
楽しみでなりません!














続いては室内部門でも出場された
若き指揮者が率いる団体がこの部門でも登場します!















12.広島県・中国支部代表

合唱団ぽっきり

(39名・4年ぶりの出場・第66回大会から2回目の出場)




『一回一回の本番を
 その一回ぽっきりのように大切に演奏していこう』
という願いから名付けられた合唱団ぽっきりさん。

指揮者は室内合唱団“零”でも指揮をされた
縄裕次郎さん。
4年前はE.Whitacre作曲
「Leonardo Dreamimg of his flying machine」を演奏し、
そのフレッシュな持ち味と共に
「若き指揮者が仲間と一緒に!」という一体感が魅力でした。


今年の演奏曲は
課題曲はG1 Adorna thalamum tuum, Sion

自由曲は谷川俊太郎詩・三善晃作曲
ピアノのための無窮連祷による「生きる」


縄さんからメッセージをいただきました。

 


昨年度、9年ぶりに県大会を突破できませんでした。
この一年、“ぽっきり”は苦しみました。
今年のコンクール出場は、
団員全員で議論をして決めました。
私たちは評価されるために演奏するのではなく、
私たちの“うた”を歌おうと。
果たして私たちの“うた”とは何なのか。
様々な曲を検討しました。
曲が決まらず、ため息をついて、
ふと手に取ったのが《生きる》でした。

指揮者の縄にとって《生きる》は
触れることの出来ない曲でした。
初めて《生きる》を聴いたのは、
高校2年生の秋、
広島で活動された合唱指揮者、
田畑政治さんの追悼演奏会でした。 

2度目に聴いたのは、
合唱団松江ファイナルの演奏でした。
この2つの体験が意識的に私を
《生きる》から遠ざけていました。
まだ、自分には無理だ。
この曲の持つ重みに私は耐えられない。
しかし、曲を手に取った時、感じたのです。
今年の、一緒に苦しんできたこのメンバーとなら、
《生きる》が演奏できるかもしれない。
それは私が《生きる》を演奏するんじゃない。
歌い手ひとりひとりの集合として
《生きる》を演奏するんだ、と。
練習ではひとりひとりの《生きる》と向き合いました。
そうして、今の、今しかない
“ぽっきり”の《生きる》が形作られていきました。
決して予定調和などではない、
生のほとばしる営みを、
これが私たちの“うた”なんだ、と!
ホール全体に歌いあげたいと思います。

余談ですが、いくつもの舞台で《生きる》を聴きましたが、
しっくりくる演奏がありませんでした。
特に後半部分がどうしても冗長に感じられて・・・。
印象を根本から変えたのは栗友会さんが演奏された
『じゅういちもんめコンサート』のCDです。
第1音から最後の音まで衝撃的でした。
初めて無窮連祷の意味が分かった演奏でした。
この演奏に出会わなかったら私は
《生きる》を選択することは無かったと思います。

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今年3月に行われた《ぽっきりコンサートⅨ》の写真

ぽっきりコンサートⅩは
萩京子さんへの委嘱初演+萩京子さんの
ピアノでの個展となっております!
HPで委嘱会員も募集しております、とのこと。
http://hiroshimachoral.wixsite.com/gassyoudanpokkiri

 



縄さん、ありがとうございました。
若くして亡くなられた田畑政治さんのことは
私も死後に少し追ったことがあります。

三善先生の「生きる」作曲の動機には
亡くなった方たちへの想いがあり。
その中には田畑さんがいらっしゃったとか。

遠ざけていた名曲に新たに向かい合う決心。
その傍らには苦楽を共にした仲間が。


多くの団体で聴いた曲ですが、
26日はぽっきりのみなさんそれぞれの「生きる」を
また新鮮な気持ちで聴けそうです。



(明日に続きます)