観客賞座談会・室内合唱の部 その3

 







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常寂光寺
京都フリー写真素材

 



それでは2019年観客賞室内合唱部門、第1位!


合唱団まい

 

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(混声24名)


 

 


一同 拍手!

 いやぁ~相変わらず凄かったです。
  課題曲G3「蜂が一ぴき…」
  テンポを縦横無尽に変えていて。
  これ、まい劇場はもちろん、
  「雨森劇場」では?!

A いや、楽譜を見ながら聴いてみたら
 色々やってるんだけど
 全部納得がいった!

B そう!説得力があった!

A 楽譜から離れたことをやる時って
 説得力が無いといけないんだけど、
 今日の演奏にはありましたよね。
 詩の内容を色々な変化に
 しっかり活かしていました。

 もちろん良い演奏なんですけど
  この宮澤賢治のテキストを
  どう読むかが難しい問題で。
  妹の死への情動を抑えているために
  作曲もそのようになっているのかなと。
  まいの演奏は悲しみに振り切れていて。
  凄い緊張感があり、死を感じさせる。

A 四分音符が短めで余韻があって。
 65小節、「もう」の「う」が
 本当に置くだけの感じなんだけど
 それが余韻を残している。
 他にも20小節目、助詞の「は」。
 短めで消えていくようだから
 間の休符があっても
 次につながっているような
 ニュアンスがあって。
 …俳優がセリフを言う時に
 間があるんだけど、
 プツンと切れているんじゃなく、
 つながっている感じ。
 まいは本当に演技派だなぁ・・・と。

B 最初の音から命、
 生き生きしたものが伝わってきました。
 終盤は「けむっている」から
 妹への悼みがあふれて。
 ピアノで「標本をいっぱいもって
 気持ちが再び込み上げたメゾフォルテで
 「わたくしは
 最後、八分休符の間があり、
 ピアニッシモでポツンと
 「宗谷海峡をわたる」・・・
 寂寞、何とも言えない余韻で、
 胸にじーん…と広がるものが。

文 自由曲、信長貴富作曲
  混声合唱による
  うたの劇場「不完全な死体」より
  「Ⅰ 書物の私生児」
  「Ⅵ〈終曲〉流れ星・流れ星」。
  雨森先生が指揮を
  振らなかったのにビックリ!
  しかも三味線が中央だったでしょ?
  誰がアンサンブルを進めたんでしょうね?

A たぶん練習の時に
 要所を確認して進めていたのと
 平林先生のピアノをみんなで共有し、
 自分の中身を入れて
 歌っていたんじゃないかな。
 ソリストは三味線の横に
 ちゃんと陣取っていたから。

 なるほど。

A 特にテノールの若いソリストさんは
 都都逸っぽいとでも言うか、
 日本的なニュアンスを
 上手く捉えていましたね。

 都都逸・・・聴きながら
  「あ~オレって日本人だな~」って(笑)。
  合唱も民謡、昭和歌謡、都都逸なり
  「ここから変えました」じゃなく
  流れの中でさりげなく、
  シームレスに変わっていくのが
  良かったです。

B けっこうリフレインが多い曲と思ったけど
 それを同じように演奏するのではなく
 それぞれ違った歌い方に変えていたのが
 やはり、まい凄いぞ!って。

A それにしても今年は声に艶があった印象が。
 若返った?と思っちゃった。

 ・・・そんなに団員さんは
  入れ替わっていないはず(笑)。

A そうだろうね(笑)。
 このホールに
 まいの発声が合っていたのか、
 色々な音楽体験をしてきた人たちなので
 ステージに立って声を出してから
 最適なように修正したのか。
 凄くつやつやした声が届いてきました。

B その届いてきた声は表現力が幅広く、
 本当に劇場でやっているような。
 動きは無かったけどひとつの舞台として
 日本語のミュージカルを観ているようでした。

 そうだね、自分は大衆演劇とか
  他にも黒テントや天井桟敷、
  小劇場の雰囲気を少し感じたな。
  図書館で調べても残念ながら
  確認できなかったんだけど
  「流れ星・流れ星」は
  寺山修司の戯曲「疫病流行記」から、
  という情報があって。
  戯曲の劇中歌かもしれないので、
  演劇を思わせるのは当然だったのかも。

B 今回はコンクール版で
 けっこうカットしているそうだから
 全部観てみたくなる演奏!

 他の団体のDVDで観たけど
  なかなか凄い曲集ですよ。
  …でも聴きながら
  「これは審査難しいだろうなあ」って。
  ある意味審査員に
  「どうだっ?!」と問いかける
  選曲と演奏でしょう?

A 自分は文部科学大臣賞行くかな?って
 思ったんだけどね。

 うーん、評価が分かれるんじゃないかなと。
  観客賞は絶対上位だなと思いましたけど(笑)。

A 今までまいの弱点と思っていた
 表現や発声の粗くなりがちなところが
 無かったと思う。
 今年はいろんなものが伝わってくるけど
 粗くない。
 だからパワーアップした演奏に感じたんだな。

C 自分には
 「コンクールなんて本当にどうでもいいや!!」
 そんな風に思わせる演奏でした。




メール、ツイッターの感想です。

 

まいは、自由曲が良いですね。
三味線とソロはなんか都々逸を聴いてるようで、こんな世界も良いなと思いました。
かねごん@よどこん最低(音)

 

始まった瞬間からコンクールじゃなくてまいさんのステージが始まった!って感じがした
まいさんのまるで劇見てるような感じ、とにかく最高

 

G3も信長も言葉と音と音楽を自分達のものにしている 聴き惚れた

 

課題曲も素晴らしかったですが、なんといっても自由曲!
一人一人が楽しんで歌ってる感じが伝わってきました。

 

伴奏者の化学反応○
まいの意地○

 

G3はまさに「生きたアンサンブル」。
自由曲は読んで字のごとく「うたの劇場」。
劇団まいの熱演が刺さりました。
所属している団の都合上色々な意味で目標となっている団体ということもあり、こう歌えたらなぁと思いました。
本当に素敵でした。

 

改めて結果です。

《2019年観客賞・室内合唱部門》


同率第3位の3団体

合唱団「い〜すたん」
倉敷少年少女合唱団
女声合唱団ソレイユ


第2位 アンサンブルVine

そして第1位は…


合唱団まい


でした。


室内合唱部門第1位ということで、まい団員さんよりメッセージをいただいております。

* * * * * * * * * * * *


観客賞の企画、今年もありがとうございました。
そして観客賞1位、多くの方に投票をいただき、感激しております!!

自由曲については昨年と同じく信長先生の「不完全な死体」から選曲しましたが、今年は、どちらかといえば寺山修司の所謂アングラ劇な側面に焦点を当てた選曲でした。
けっして万人受けするものではなく、もしかしたら歌詞に嫌悪感を覚える人もいるのでは、という心配があったことも事実で、まさか観客賞1位をいただけるとは思っていませんでした。

信長先生が見事に描き出した寺山修司の世界。
その一端を多くの皆様にお伝えできたことを大変嬉しく思います。
ありがとうございました!!


* * * * * * * * * * * *


まい団員さん、ありがとうございました。
昨年と同じ曲集から、ここまで振り幅の広い世界を堪能できるのか!と驚いた今回の演奏。
それは寺山修司、信長貴富、そして合唱団まいという存在の振り幅かもしれません。

次回聴かせていただく時は、どんな世界を見せていただけるのか?
今後の活動に、また大きく期待しております!





(同声合唱の部の感想に続きます)

 

 

 

 

Brilliant Harmony&Men’s Vocal Ensemble“寺漢”ジョイントコンサートのお知らせ




昨年の全国大会同声合唱部門で人気を呼んだ、広島の男声合唱団寺漢さんと、松下耕先生の実力高く、キュートな東京の女声合唱団ブリリアント・ハーモニーさんとの、広島でのジョイントコンサートのお知らせです。


■2020年1月13日(月・祝)
開演 15:00(開場14:30)[ 終演 17:00予定 ]




於:エリザベト音楽大学セシリアホール
(広島市中区幟町4-15)
http://eum.ac.jp/facilities_access/cecilia_hall/
※JR広島駅南口から 徒歩約12分
市内電車またはバス「銀山町」下車徒歩約4分

 

 


※入場料(全席自由) 2,500円(前売り2,000円)

 


【program】

 

~オープニング~

松下 耕 きょうこそ神がつくられた日
 指揮 松下 耕 
 オルガン 佐々木 悠


~Men’s Vocal Ensemble“寺漢”~

スウェーデン民謡 リムリムリマ
J.Holma Ave Maria
H.Dahlgren Son to Mother
寺沢 希 真っ白な雪  
 指揮 寺沢 希 
 ピアノ 山下 雅靖 
 サクソフォーン 山下雅也



~ユース世代(公募)との合同ステージ~

松下 耕 信じる (混声三部合唱版)
松下 耕 夏 ~混声三部合唱組曲『風の夏』より~
 指揮 松下 耕 
 ピアノ 前田 勝則



~Brilliant Harmony~

松下 耕 女声合唱のための組曲≪空をかついで≫
[ Brilliant Harmony30周年記念委嘱作品 ] 
詩:石垣 りん
太陽のほとり
私の前にある鍋とお釜と燃える火と
シジミ
挨拶
空をかついで
 指揮 松下 耕 
 ピアノ 前田 勝則



~Brilliant Harmony & Men’s Vocal Ensemble“寺漢”~

松下 耕 O magnum mysterium
千原 英喜 Assumpta est Maria
松下 耕 De profundis clamavi
松下 耕 O lux beata Trinitas
 指揮 松下 耕 寺沢 希 


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松下先生が手塩にかけて育てたブリリさんが広島に!
松下作品の自作自演の素晴らしさは言うに及ばず。
寺漢さんも多彩なプログラミングで楽しみですね。
さらにユース世代との合同ステージや、ブリリ&寺漢の合同混声ステージなど興味を惹かれるものばかり。

大変残念なことに私は仕事で行けないのですが、多くの方がこの貴重な演奏会へ行かれることを願っています!

             

観客賞座談会・室内合唱の部 その2










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渡月橋
京都フリー写真素材

 

 

 

 

観客賞座談会・室内合唱の部、同率第3位の3団体目です。

 

 

 


女声合唱団ソレイユ
https://www.facebook.com/soleilsaga/
(女声24名)

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 横綱相撲でしたね~。

A 課題曲F3「飛翔―白鷺」
 音楽か言葉、
 どちらかに寄っていく演奏が
 多いと思うんだけど
 その割合が良い具合でした。
 音楽をしっかりしながら、
 言葉の良いニュアンスもあり。

B 言葉、確かにこだわっていました!

 とにかく声楽的に余裕がありましたね。
  自分の発声が苦しいから
  演奏に苦しさ、
  切迫感があるのではなく、
  表現として切迫感だけが伝わる。
  豊かで落ち着いているし。

A そう! 柔らかだったし、
 フォルテからピアニッシモまで
 全然無理が無い。

 ああいう自分の状態と切り離し、
  余裕のある表現だと
  本当に曲の良さが引き立つんです。

C あとピアノの白鳥佳先生が
 「白鷺」を弾いてるのが
 ちょっと面白かった(笑)。

B 「どっちやねん!」って?(笑)

A 今回、課題曲と自由曲で
 白鷺と白鳥の組み合わせが
 2団体あったけど
 まさか演奏者とは(笑)。

文 自由曲1曲目
  MACONCHY, Elizabeth
  「Prayer Before Birth」
  (生まれ来るものの祈り)、
  難易度の高い現代曲でしたが
  これも表現力が素晴らしかった。

B 叫びのような歌もあり、
 軽やかなリズムもあり。

A ある意味、今まで積み上げてきた
 ソレイユの真骨頂とでも言うか。

 ピアニッシモの安定感も良かったです。
  「第2次世界大戦に生まれる胎児の祈り」
  そういう不穏なテキストだけど、
  恐ろしさだけじゃない、
  多様な表情を見せてくれて
  説得力がありましたね。

  自由曲2曲目
  J.Rutter「When Daisies Pied」
  (ヒナギクの咲く頃)
  ガラリと雰囲気を変えて!

C リズム取って踊るわ(笑)。

B 広がってフォーメーションを作るわ(笑)。

A いきなりのジャズナンバー!(笑)
 やっぱり自由自在で引き出しも多いから
 何をやってもしっくりくると言うか。
 動きにしてもオシャレ。
 広がった時にただ動くんじゃなく、
 ソプラノの人がその場で一回転したりね。

 それは気付かなかった!(笑)

A あとね、ソプラノが2人だけの時は
 ソリスティックな発声だったけど、
 合唱に戻ったら
 ちゃんと合唱の声に合わせていて。
 そういう使い分けが本当に素晴らしい。

 同意です。
  もちろん基本には
  声楽的なものがあるべきですけど、
  その場の表現として目標とする声は?
  そういう視点からの使い分けが
  良かったですね。

B タイプが全然違う3曲だったから
 ひとつの演奏会みたいでした!

AC文 うんうん。

A 今回で文部科学大臣賞を連続7年受賞でしょう。
 10年続けられたら
 次の年はゲスト演奏が良いんじゃないかな。

B 「ソレイユ オンステージ」!?
 そうですね、東京支部のシード演奏みたいに
 20分や30分時間を取って
 ひとつのステージを設けても嬉しいですね!

A 全国大会でも
 そういうことが実現したら素敵だね。



メール、ツイッターの感想です。

 

さすがのソレイユ

 

ソレイユは貫禄と言うか、流石と言うしかない演奏でした。
自由曲ではガラリと世界が変わり圧倒され、ラターの曲では思わずブラボーって言いたくなるような演奏でした。
まさかVineと同じ路線を行くとか?でも楽しかった!!
かねごん@よどこん最低(音)の男

 

すべて好きでした。最後の曲でズキュンでした。

 

 完全に横綱相撲 
完成度があまりにも高すぎる 
7連覇でも驚かない

 

 

 

 

 

 


続いて室内合唱の部、第2位!




アンサンブルVine
http://yumemirusakana.sakura.ne.jp/chorus/play-list/vine.html
(※上の団名リンクはVine指揮者:伊東恵司さんのHP
「~目をひらく 耳をすます つぶやく~」内のものです)
(混声24名)

 

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文 課題曲G1
  それぞれの細やかな感情表現が上手くて。

B 「gratia」の「ra」を明るく響かせて。
 一言で済ますと「ソツがない!」(笑)

A 京都の地元団体なだけあって
 このホールを知り尽くしているよなあって。
 …案外このホールって
 悪い所がダイレクトに聞こえてくるんだけど
 Vineは全然聞こえてこなかった。

B 統一感があり、
 ちゃんとパートの線が存在していましたね。
 その線が上手く織り重なって、
 極上の布を作っていた。

A 声の冴えが抜群に良かった。
 それもこのホールを知っているからかな。

 もちろん今までも
  気負っている感は無かったけど
  今回は特にリラックスしていたような。

  自由曲1曲目
  NARVERUD, Jacob「Alleluia」。
  華やかなファンファーレ!
  リズムも軽やかで楽しい!

B 上手いんだけど、さりげないんですよ。
 上手さを押し付けない。

文 自由曲2曲目
  STROOPE, Z. Randall
  「How Sweet the Moonlight」
  (なんと美しい月の光)
  こちらはバスが凄く良かったですね。

C アルトの主旋律に
 軽めなソプラノとのバランスも良かったです。

B この曲の抒情が出ていたと思いました。

 そして自由曲3曲目。
  山下祐加「T-outua」。
  海外の作品っぽかった!

B オリジナルの「しゃち子。」さんの演奏は
 そこまで海外っぽいと思わなかったけど
 Vineの演奏は確かに海外の曲みたいでしたね。
 生で聴いたからか、Vineの演奏だからかな?

A ハッチャケてるけど崩れない。  
 ハンドクラップも
 聴こえ過ぎず、聴こえなさ過ぎず。

 絶妙な塩梅でね。
  カッコ良かったな~。
  広がるとき女声が軽くスキップしてた。
  ポーズも上手く決めてましたね(笑)。

B フリも洗練されていたし、
 楽しかったです!

 団員のふじもりさんの話だと
  「指揮者の伊東さんが大事にしているのは
   奇をてらったものではなく、
   曲の流れに合って
   自然に想起されるような動き、
   そういうものでありたい」 。
  それが納得できる動きでした。

A なんかVineって
 観客賞で人気あるときは銀賞で、
 そんなに上位じゃない時は金賞みたいな?

 …うっ。
  今回も観客賞、1位と僅差の2位で。
  2年前の観客賞1位の時も
  賞は銀でした・・・。

C 良くないジンクスが
 生まれようとしている(笑)。

 来年こそは観客賞も成績も
  両方上位間違いなしですよ、きっと!(笑)



メール、ツイッターの感想です。

 

始まった瞬間からコンクールじゃなくてVineさんのステージが始まった!って感じがした
Vineさんのめっちゃ楽しい感じ、とにかく最高

 

安定感満載のVine

 

コンクールの舞台と感じさせない○
選曲○

 

室内合唱のたのしさがてんこ盛りでした。

 

締まっていながらしなやかで、何よりオシャレなアンサンブルは流石。
24人であの息の長さのG1を見せられると「もっと修行しないとな…」と思わされました。

 

安心と信頼のVine 
自由曲は素晴らしい
特に山下は委嘱だけあってとても様になってた 
今回の振りは上品かつお茶目

 

 


(観客賞座談会・室内合唱の部、第1位の演奏に続きます)  

 

 

観客賞座談会・室内合唱の部 その1





私、文吾(以下、「文」)が司会になり4名で行った観客賞の座談会。
今回から室内合唱の部をお届けします。

 

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同率第3位の3団体。
出演順にご紹介します。

 

 

 



合唱団「い~すたん」
https://twitter.com/easternokinawa
(混声24名)

 

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 良かったです。
  自分には凄く響きました!
  課題曲G3は美しいソプラノを筆頭に
  声に力、生命感がありました。

A 楽譜に忠実でしたね。
 言葉も聞き取れて。

 林光先生の作品って
  感情を込め過ぎない演奏の方が
  「らしい」と言うか。
  楽譜に忠実でありながらも
  音楽は確かに変化があり、
  しかもわざとらしくなかったのが
  素敵だな、と。

A あまり奇をてらっていなかったね。

 そうそう。

B 声に生命感・・・
 自分なりの言い方だと
 感情の込め方が上手かったです。
 込めながらも、
 しっかりひとつの作品として
 音楽が流れていた。

A この「蜂が一ぴき…」という作品、
 前に某指揮者の方から
 「組曲の中で間奏曲、
  箸休め的な1曲だから
  そんなに色々やっても……」って。

 サラリと流した方が良いってね。

B そういう意味でとても良い塩梅の演奏。

 昨年の全国初出場で自信を付けられたのか
  安定感が増していた印象で。
  ラストには何かじーんとしました。

  自由曲1曲目
  「無伴奏混声合唱のためのAfter…」から
  「言葉」(作曲:信長貴富)
   これも凄く良かった!

C 今回、文吾さん熱く推すね(笑)。

 おうよ!(笑)
  最初から豊かに響く声、
  ほとばしる想いに圧倒されました。

A 確かにフレーズの変化を
 的確に捉えていたし、
 音響造りを立体的に
 やろうとしているところは見えたけど、
 「言葉」なのに
 「言葉」があまり明瞭じゃなかった(苦笑)。

 えー? それは想いが勝ったと
  自分は好意的に解釈したんですよね。
  精妙に言葉を扱わなきゃいけないのを
  ひとつの感情で押し切ったかもしれない。
  でも、その想いの強さを評価したいな。

B 発語はともかく、
 音楽の変化はあったと思いますよ。

 うん、切り替わりが鮮やかだった!
  この曲はバスの歌が良かったね。
  喪失から復活への
  強い意志が染みたなぁ。

B い~すたんの声のパワーを
 存分に発揮する曲として
 「言葉」はうってつけでした。

 続いて自由曲2曲目。
  三善晃「五つの願い」から
  「4.若さのイメージ」
  こ~れも良かった!

C もう文吾さん一人で良いんじゃないかな(笑)。

 聴いてよ!(笑)。
  いやこの「若さのイメージ」ね。
  まずうちら、おっさんじゃないですか?

ABC (苦笑)。

 今日の福島大みたいに
  若者が自分たちの歌として
  「若さのイメージ」を歌う良さじゃなく、
  おっさんが歌う意味を真に感じたんだよね。
  例えば若者への挑発だったり叱責だったり。

C 老害だ!(笑)

 もちろんそれだけじゃなく(笑)
  「スモッグのかなたに
   夢が見えるんだ君には 
   そうじゃないのか?
  …理想も信頼も激励もこもっている。
  さまざまな想いが描く「若さのイメージ」。
  最後にこの曲を持ってきた意味を考えて、
  ちょっと泣けてきたんだよね。

B 「言葉」は東日本大震災の後に
   発表された詩へ作曲された作品でしょう。
 「若さのイメージ」も含めて
 「希望を持とう!」
 というプログラミングだった。

 そうそう。
  これは自分の勝手な思い入れだけど
  火災に遭った首里城に勤められていた方も
  団員さんにいらっしゃったという話を聞いて
  さらに演奏が深まる気がしたな。

A い~すたんは確か年齢層が
 高校生もいれば60代もいるという
 幅広い団だね。
 若さ、フレッシュさを残しつつ、
 大人っぽい所もあり。
 もう少し言葉の表現を考えたら
 ひとつ上を狙えたんじゃないかな~。

 今回みたいな自由曲を
  熱く丁寧に歌える混声合唱団って
  室内合唱の部では貴重だから、
  頑張って欲しいですね。
  これからも期待しております!




ツイッター、メールの感想です。

 

去年の重厚なハーモニーに繊細さが加わった印象を受けました。
ホールが一番鳴っていた。

 

「蜂が一ぴき…」が抜群に好きでした。
「言葉」も良かったです。

 

歌ってる方たちの気持ちが伝わってくる素晴らしい演奏でした。
自由曲いい曲ですね。

  

 3曲とも支部大会からめちゃくちゃ良くなってる 
信長は背景に切実さが感じ取れたし三善は未来への希望だった

 

 

 

 



続いて同率第3位の2団体目。




倉敷少年少女合唱団
(女声23名)

 

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A 課題曲F4は安定感、
 そしてハーモニーの精度が抜群!

B 力いっぱい歌っていましたね!
 …もうちょっと日本語のニュアンスで
 さりげなくても良かったかな?(笑)

A 昨年の
 「地球に寄り添って」が
 彼女たちの等身大の持ち味を
 活かしたものだったから
 その延長線上の演奏を
 期待してしまったかな。
 声がちょっと大人寄りだよね。

 でも、先月聴いた
  中学校の全国大会でも
  こういう発声の団体もあったでしょ?
  倉敷には高校生の団員さんもいるんだし。

B 声楽のコンクールに
 上位入賞している団員さんもいるそうなので
 ああいう発声なのは理解できますね。
 自分は「少年少女合唱」と聞くと
 小田原少年少女みたいな発声を
 思い浮かべてしまうので・・・。

 「少年少女合唱」という言葉に
  引っ張られ過ぎなんじゃない?

B そうかもしれない(笑)。
 ステージから高く伸びあがるような発声に
 まず度肝を抜かれました!

文 自由曲の鈴木輝昭
  「幻の風・光の海」から
  「3rd Scene」も凄かったですね。

A 本当に!
 この人数でさらに2群で歌ったら
 1パート何人になるんだよ?!ってね。

BC文 (笑)

A 中学や高校生みたいに
 毎日練習しているわけじゃないはずなのに
 あの難曲をあれだけの精度で
 聴かせられたのは凄いこと。

 やっぱり輝昭作品の
  ああいう器楽的な音響って
  倉敷みたいに統一感ある音色が向いてますね。
  2群合唱でユニゾンや2度を鳴らされると
  「おぉ!」って感じました。

A 鮮やかだったね。
 まったく破綻することもなく。
 自然さ、柔らかさもあり、
 指揮の難波先生に操縦されている感も無かった。

 操縦(笑)。
  そこら辺は中学生とは違う、
  倉敷の良い面かもしれませんね。

B 構成もしっかり考えられていたし。
 「涼しい風」のような
 印象的な言葉の扱いも良かったです。

 そうそう。
  音響現象だけがずっと続くんじゃなく
  要所で言葉の魅力が生きていた!

A ああいう若さを武器にするなら
 輝昭作品はピッタリだと改めて思ったな。

 少しの懸念があるとすれば、
  確かに選曲がハマってましたし、
  金賞に異議は無いんですけど
  これからずっとこのような方向で
  行ってしまうのかな?と。

A どうなんだろうね?
 まるで違う方向へ行くのか。
 それとも自由曲1曲目を
 比較的やさしい曲にして内容を深め、
 2曲目で輝昭作品のような
 難易度の高い曲を演奏とかね。
 いろいろなやり方があると思うよ。

 なるほど。
  …最後、ホモフォニックになる箇所で
  全員がバッ!と正面を向いたでしょう。
  あそこ、鳥肌立ったな!

B 立ちました立ちました!
 「やるなぁ~!」って(笑)。
 これが私たちひとりひとりの歌、
 そんなメッセージを強く感じました。

C 倉敷から金賞団体って、
 文吾さん誇らしいんじゃないですか?(笑)

 自慢しちゃうね(笑)。
  「おらが街に金メダルが!」って!
  岡山県の一般代表団体が
  全国で金賞を受賞したのは
  今回が初めてだそうだよ!

ABC おぉ~!!

 



ツイッター、メールの感想です。

 

23人のダブルコーラスを一糸乱れぬ演奏で、聴き終わった後間違いなく金賞だと感じる演奏でした。
緻密なアンサンブルで好印象。
音符が浮かび上がってくる感じ。素晴らしい!!
かねごん@よどこん最低(音)の男

 

私の世界、と目を見て言われた気がしてドキっとしてしまった

 

音色とそれを活かした曲想の付け方がいい
自由曲後半で前を向いた時はグッときた

 

 


(同率3位、3団体目の女声合唱団ソレイユさんの感想に続きます)

 

 

 

観客賞座談会・大学ユースの部 その3

 

 

 

 

 

 

 

大学ユースの部、2019年度観客賞第1位は!

 

 

 


北海道大学合唱団


(男声42名)

 

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一同 拍手!

B 課題曲M2が素晴らしかったですね!
 「これこそシベリウスだ!」と。
 フィンランドの空気が漂う…
 俺、行ったことないけど(笑)。

A 北国同士、通じるものがあったのかな(笑)。

 全体の響きが優しく、美しくて。

A さらに音楽がありましたね。
 今回の課題曲M2は
 男声の3団体がすべて選んでいたけど。
 素材の関学、
 言葉の扱いに長けた同志社、
 そして総合力の北大。
 音楽の面では北大が一番こなれていた。

 北欧の男声を過去に何団体か聴いたけど、
  この北大の演奏とサウンドが似ていましたね。

A シベリウスをあまり知らなくても
 「これがシベリウスかぁ~」と思うような、ね。

B 「フィンランドの音ってこうなのかも?!」
 いやホントに行ったことないんだけど(笑)。

 昨年の「秋の夜の会話」、
  一昨年のプーランク、
  4年前の「またある夜に」…と
  北大は課題曲に名演が多い印象が。

A まず課題曲でお客さんの心を掴んでる。

 掴みとして課題曲は重要ですよね。
  指揮の尾﨑先生、そこは上手い!
  審査基準も自由曲と50:50なんですし。

A 課題曲を「課題」として歌っていない感じ。

BC文 うんうん。

A ひとつの作品としてちゃんと捉えて
 良い所を引き出そうとしている。
 歌い手から、この曲を好きになろう!
 と向かっている感じがするな。

B きっと実際好きになってる!

C 自分、課題曲聴きながら思わず
 「うんうん」って
 うなずきながら聴いちゃったんですよ。
 それで前の席の知らないおじさん見たら、
 同じく「うんうん」うなずきながら聴いてて!

 みんなうなずきたくなる、
  納得の演奏だったと!(笑)
  自由曲:西村朗「永訣の朝」は?

A 泣けた!

B 自分も!
 大人を感じさせる声、歌い方で。
 凄くカッコ良かったです。
 3声のバランスがとても素晴らしかった。

C 特にベースの音が深く染みて…。
 涙腺を刺激してくれました。

 みんな絶賛なの?!
  もちろん非常に優れた演奏だと思ったけど、
  このテキストなら、
  頂点ではもっと突き抜けた部分があっても
  良い気がしたかな。
  8~9割で自分を絶対失わずに
  歌い通した印象なんだよね。

B わかって無いなあ~。
 北大の演奏のように
 悲しみに耐え、平静を保ち、
 心で泣いている…
 これがダンディズムですよ!

C そうそう、どんな時にも毅然と立つ強い意思。
 だから文吾さんダサいんだよ!

 そこをディスる?!

A 混声の演奏も聴いてきたけど、
 宮澤賢治が妹の死によって書いた詩だから、
 やはり男だけの声がしっくりきましたね。
 言葉の扱いが良く考えられていたのもあって、
 男の悲しみが伝わってきた。

B 話は違うんですけど、
 指揮の尾﨑あかり先生、女性じゃないですか。
 個人的に、異性の指揮者が振る団体って
 その方の理想像が現われるんじゃないかと思って。

 松下耕先生が指揮する女声合唱団は
  なにかお茶目で
  表情がくるくる変わる魅力みたいに?

C なるほど。
 〇〇先生が指揮するXXXXは…

AB文 おいやめろ。

B そういう、
 女性からこうあって欲しい、
 男同士では気付きにくい魅力や理想像が
 北大の演奏から感じられるんですよねぇ。
 今回の「永訣の朝」も、
 そんな男のカッコ良さが凄くあった。

A 正直に言うと、この「永訣の朝」は
 今まであまり良さがわからなかったんだけど
 今日初めて
 「あ、良い曲だ!」と思ったな。

B 演奏が楽曲を輝かせていましたね。

A 北大のみなさんの想いを
 多くの人が受け取って心が動いたから
 観客賞も1位になったんだと思う。
 ……そういえば表彰式で。

B え、なにか感動的なエピソードが?

A 金賞の賞状を受け取るとき、
 客席の北大団員はみんな座ってたんだよ。
 それでステージ上の団員が
 「立って! 立って!!」

一同 (笑)

 ダンディズム~?!

C いやこれも、
 権威にたやすく追従しないという
 毅然とした姿勢をですね…

 無理がある!!(笑)







メール、ツイッターの感想です。

 

柔らかい男声合唱、いいですね。
課題曲の雰囲気ととてもマッチしていました。

 

宮澤賢治と西村朗の世界をよく表現していたと思います。

 

声と曲がマッチしてて、余計にグッと来た

 

推しが尊い
初めて生で聞けたけど、重圧とハーモニーと技量が合わさって最高

 

北大の課題曲は北国らしい冷たい空気感と軽やかで落ち着いた音運びがとても良かったです。
自由曲も「静かな説得力」というか、淡々と、しかし切々と気持ちを訴えていく表現が印象的でした。

  

 音がとか言葉がというより(それも勿論良かったのだが)、一人一人の歌いっぷりが半端なくよかった。全員が生きた音楽を奏でていた。 

  

シベリウスの発音いい…フィンランドっぽかったさすが北国
永訣の朝は北大のあっさりした声と賢治の感情がマッチしすぎてた




(文吾より:感想で「マッチ」という表現が重複しているので、その言葉を記されているアカウントを念のため確認したところ、みなさん何年も前からツイッターを始められて、フォロー・フォロワー数も3ケタ以上の方ばかりでした。疑ってすみません。これからもよろしくお願いします。
 ……と言うか、北大の演奏、よっぽどマッチしてたんだね!)

 

 

 

改めて結果です。

《2019年観客賞・大学ユース部門》


第5位 東京工業大学混声合唱団コール・クライネス

第4位 混声合唱団名古屋大学コール・グランツェ

第3位 福島大学混声合唱団

第2位 都留文科大学合唱団

 


そして第1位は…

 


北海道大学合唱団

 


でした。



観客賞・大学ユース合唱の部第1位ということで団員さんからメッセージをいただいております。

* * * * * * * * *


観客賞1位を頂きまして、大変喜ばしく思います。
昨年に続き金賞受賞、順位は1つ上げて3位と成長を実感したコンクールとなりました。
審査員の方だけでなく、聴衆の皆さまからもご支持いただけたことは、今後の活動の糧にもなります。
この場を借りて御礼申し上げます。

今年の選曲は団にとって大きなチャレンジでした。
課題曲M2は同部門で他の男声2団体と重複し、演奏順が3団体中の最後であったことから、審査員の目が厳しくなるのは必至でした。
そんな中で自分たちらしい演奏ができたのは尾﨑先生のご指導のおかげであり、歌い手側の不断の努力の甲斐もあって実を結んだのだと思います。

自由曲は、近年和声が比較的複雑で歌い切るだけでも労力を要する曲を多く選んでいましたが、「永訣の朝」は3声のシンプルな和音から構成される曲で、言葉の端々の処理、ピアノとの兼ね合いなど完成度を高くすることに大変苦労しました。
この曲に取り組んだ結果として、普段以上に曲の細部に目や耳が行き届くようになり、洗練された演奏に取り組む姿勢を養えたと思います。

このように成長した弊団の演奏をもっと聴きたいという方は、来る2020年2月15日(土)、札幌文化芸術劇場hitaruにて行われる第68回定期演奏会に是非お越しください。
今年はコンクールで演奏した「永訣の朝」の他、混声ではお馴染みの「ティオの夜の旅」等を演奏します。
そして目玉は、数々の演奏会・コンクールで演奏されてきました混声合唱の名曲、松下耕作曲の「八重山・宮古の三つの島唄」の男声版委嘱初演です。
北海道の団ながら沖縄県出身の団員も在籍しており、寒空の中琉球の情緒溢れる演奏を披露する予定です。
是非聴きにいらしてください。

 

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団員さん、ありがとうございました。

>松下耕作曲の「八重山・宮古の三つの島唄」の男声版委嘱初演です。

おお! 松下耕先生の編曲初演とは楽しみですね!
コンクール曲を含め、ティオなどの定番の名曲以外にも面川倫一先生の作品を取り上げるなど、良い選曲。
しかも会場は札幌の新しいホール、ウルカス…じゃなかったhitaruとは。

お近くの方も、そうじゃない方も真冬の2月の札幌で、北大合唱団の熱風を味わうのも一興かと!
ぜひぜひ札幌へ!!



(次回は室内合唱の部、第5位の感想からお送りします)

 

 

ハンナ誌・冬号が凄い!




歌・合唱・オペラの季刊誌 ハンナ冬号が届きました。

 

 




昨年に続き、京都・全国大会のレポートを掲載していただいています。

 

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昨年は金賞団体に触れるだけだったのですが、今年は編集部の許可を有難くも得たので、観客賞について大きく絡めたものになっております。
各部門金賞1位の団体と、観客賞1位の団体に触れていますので、おえコラさんファンはぜひ!

(amazonでも電子版でも購入できますので・・・)

 

 

それはそうと今号のハンナ誌はかなり読み応えがありましたよ。

まず特集1「アンサンブルのすすめ」。
ザ・キングズ・シンガーズ、VOCES8など来期来日予定の海外4グループから、アンサンブルの秘訣を聴く記事。
(…どれか聴きに行けるかな)
イントネーションや発声、ハーモニーなど様々な面から技術向上に役立つ記事。
どれも興味深かったです。

 

それ以上に凄かったのは付録!
約50年前に休刊した雑誌「合唱界」の1963年11月号の復刻版!

 

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掲載された記事は「合唱コンクール 参加するためか 勝つためか」。
東京都で合唱団の人数によりABCの3ブロックに分けたのはこの時期だったのか、とか。
ワセグリ、早混など大学の名門合唱団がコンクールに参加しなくなったのもこの時期だったのか、とか。
同じ指揮者でコンクールに出場した2団体の成績で差が付き、「負けたのは、指揮者の先生がウチよりも○○の方に力を入れていたからだ」とか。
うわー、今でもありそう!

 

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「合唱連盟でもね、優勝団体は翌年は不出場として後進に道を開けさせるかわりに、その団体を海外に演奏旅行させるとか、せめて連盟でリサイタルを開いてやるくらいはしてほしいな」
…1963年の時点でもこのような意見があったとは。
56年の歳月が過ぎて何が変わって、何が変わらなかったのか。
そういう視点でも大変興味深い記事でした。

 


「合唱界」の記事ふたつめは福永陽一郎先生と畑中良輔先生の対談「学生合唱ひとすじに……」。
畑中先生がワグネルを教えるようになり4年が経った頃で、コンクール、大学合唱、客演指揮についてなど、遠慮無い発言の数々がこれまた興味深い。
大学男声に興味ある人なら必見の内容なのでは。

 

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畑中先生が指揮される前のワグネルがうたっている間は、北村協一先生によると「廊下の社交の時間」と言われていたとか。
「トイレタイム」とかいう言葉は耳にしたことはありますが「廊下の社交の時間」・・・。
それにしても北村先生、ヒドイ(笑)。

畑中先生、福永先生の大学合唱に賭ける熱を感じられる記事でした。
こういう歴史の「始まり」を知るって重要ですよね。
凄く良い付録だと感心しました。


あ、一番驚いたのは「指揮者 X ピアニスト対談シリーズ4」
野間春美先生と古橋富士雄先生ってご夫婦だったの?!

 

 

 

 

観客賞座談会・大学ユースの部 その2

 

 

 

 

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観客賞:大学ユース部門

 

 

 


第3位

福島大学混声合唱団
https://twitter.com/fukukon41
(混声28名)

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B 課題曲G1はまず先唱が良かったです。
 演奏はテンポがやや遅めかなぁと思ったけど
 手のひらで温めるように大事に丁寧に歌って。
 それも味かな、と。

A 指揮者の伊藤勲先生、
 かなり前から指揮をされていた先生ですよね。
 昔から福島県は東京から
 著名な先生をお呼びして勉強会をしてきたから
 この課題曲の演奏にもその積み重ねを感じたな~。
文吾注:
 自主的研修グループ「指揮者協会」のこと。
 伊藤勲先生を含む10名の高校教諭が
 田中信昭先生や他の先生を講師として
 昭和42年から月一回の講習会を始められていた。
 「愛と栄光のハーモニー(渡部康夫・著)」より)

C 基礎力が高いと言うか。

A これが福島のふところの深さですよ!(笑)

文 自由曲は三善晃「五つの願い」から
 「3.願い」「4.若さのイメージ」
 「5.空に小鳥がいなくなった日」。
 終曲までの3曲を選ぶとは予想外!

A 3曲を8分30秒に収めるのは大変でしたね。
 だから全体的にちょっとテンポが速めだった。

 自分が三善作品の大人の演奏を
  聴き過ぎているためもあるけど、
  早さもあって、ややあっさり流れ過ぎたかな?
  もうちょっとコクと複雑味があっても…。

A いやいや、例えば「願い」は
 深刻に歌う演奏が多いんだけど、
 それを敢えてあっさり演奏することによって
 押し付けていない、
 しかし悲しみの表情を保った演奏が
 実現できたと思うよ。

C そうそう。

 そうか…日本酒も濃醇旨口だけじゃないものね。
  福島の「口万」や「一歩己」も
  すっきりフルーティーで若々しい魅力があるし!
  「若さのイメージ」はそんな勢いがあった!

C のんべえはすぐ酒に喩える…(笑)。
 速いテンポでもまとまりがあったし、
 三善作品の良さをちゃんと捉えている
 演奏でした。

A この3曲を続けて演奏することに
 意味があると思って。
 だって「若さのイメージ」で
 「スモッグの向こうに夢が見えるんだ」と歌った後、
 「空に小鳥がいなくなった」とバッサリでしょ!

 本当だ!

C 夢、無かったじゃん!(笑)。

B ん~考えさせられるなあ。
 この並びも三善先生の狙いなんでしょうかね。

A 「人生そんなに甘くねぇよ…」

一同 (笑)

A いろいろ考えて欲しいんじゃないかと
 思うんですよね。
 「空に小鳥がいなくなった日」の最後も
 人工的というか、
 やや無機質に歌っていて。
 それが感情を込めて歌うよりも
 恐ろしさが出てくる。

B 機械仕掛けの鳥が鳴いているよう…。

A そう、生き物の温かさが無い世界。
 聴き終わった後に残りましたよね。
 この自由曲は鶴岡土曜会さんの演奏を聴いて
 選んだとか?

 そうです、2年前の東北大会だそう。

 

B 3曲目の「願い」が重なったためもあって、
 大人から若者へバトンを渡すような。
 鶴岡土曜会さんとはまた違った
 福島大さんらしく
 この曲の魅力を引き出した演奏でしたね。





ツイッター、メールの感想です。 

 

福大のG1が好きだった

 

規模の少なさを補って余りあるハーモニーが印象に残りました。

  

何と言っても課題曲の先唱が自然な感じが素晴らしかったです。
自由曲も心に残りました。

  

福大はあの中で圧倒的少人数でもちゃんと聴かせてくれたのが好印象でした。
G1が好きでした。
残響のなさをカバーする柔らかな声で余韻を感じさせる歌声だったなと私は感じました。
東北大会に比べて女性の声が出てたなと。
そして基礎力の高さ!

  

少人数でも意思と自然な流れが素敵な演奏の福島大。
自分たちの出来ることの中でベストを尽くしていることが分かる演奏で非常に好感が持てました。

 

 

 

 

 

第2位

都留文科大学合唱団
(混声48名)

 

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A 課題曲G3「蜂が一ぴき…」
 最初あっさりかなと思ったら。

B 明るさの中に
 かすかな悲しみがありましたね。
 フレーズの抑揚が素晴らしかった!

 あの悲しみを滲ませる表情…
  凄いセンスだし、
  大学生の演奏とは思えないくらい。
  あと、テノールとアルトを合わせた響きなど
  海外の合唱団を思わせるサウンドでした。

A 48人中、男声が8人でしょ?
 しかも昔の都留文って
 テノールに女声が入っていたけど、
 今回それも無かったような。

 (文吾補足:テノールにアルト、あったそうです)
 このアンバランスな人数で
 よくここまでバランスの良い演奏を
 実現できたなぁ!と。

C うんうん。
 …でもところどころ
 「バスが欲しい~」とかはあったよね。
 あと3人、いや2人でも!

 ちょっと歌ってやろうかな!

C 「お引き取り下さい」って言われるよ(笑)。

A だけど目をつぶって聴いたら
 絶対あの人数比とは思わないんじゃない?

B 「刺すのです」の歌い方とか
 ああいう隠していた感情が露わになる箇所、
 上手い!と思いました。

文 アントニーニの自由曲、
  1曲目の「O Gloriosa Domina」
  中間部の舞踏っぽい部分、
  オッシャレでしたね~!

B 音楽の移り変わりも鮮やか!
 あと少ないバスを上手く活かしてた!

 キメの中間色めいたハーモニーも
  素晴らしく良かった。
  気品を感じました。

A アントニーニ、
 昨年は中高全国の審査員だったから
 今年も呼べば良かったのに…。

B そんな無茶な(笑)。
 でもきっと作曲者も喜ぶ演奏でしたね。

文 2曲目の「WAR」はオーボエとの協演で。
  「あれ、これってコンクール?」
  演奏会の1ステージのようでとても良かった。

A 合唱とオーボエの立体感が存在してたなぁ。

B 響き合う空間がありましたね。
 なかなか合唱と協演する楽器じゃないので、
 都留文のようなトップ団体が
 こういうチャレンジをやってくれるのは
 凄く良いことだと。

C シード獲ったし、
 来年の山形ではまた違ったチャレンジを!

 ……外野は無責任に煽るだけでスミマセン(笑)。

A 表彰式の時にさ、
 通路挟んで真後ろに都留文の団員さんがいて。

 いましたね!

A 「金賞・文部科学大臣賞!」と発表されてから
 男性の一人が凄く泣いていてね。
 そうだよなあ、いくら万全の練習していても
 本番で何かアクシデントがあったら、
 あの少ない人数ならそこでアウト!
 少なければ少ないほど
 プレッシャーがのしかかったと思うし。
 ……なにか自分の事のように感じてしまった。
 自分、男だけど
 「お~、よしよし、よくがんばったね!」って。

C 思わぬ母性が出た!(笑)。

 茶化すな(笑)。
  都留文ほどじゃないけど、
  私も男性が少ない団体の経験があるし。
  ああいう姿を見ると、じんとしますね。
  都留文の男性諸君、応援してます!

B もちろん女性団員さんもね!(笑)




ツイッター、メールの感想です。

 

女性の声の透明感が素晴らしかった

 

歌声に合唱の美しさが全て詰まっていた。
自由曲1曲目、舞踏会で一緒に踊ってるような感じがした。

 

響きがとても素敵でした。
課題曲もよかったです。

 

都留文の個々のスキルの高さ!

 

課題曲が納得の演奏でした(100点)

 

男声が少ないのに無理のない発声で女声とのバランスが良く高評価。

 

表現力が一番あったと思いました。

  

O Gloriosa Dominaの響きえげつなかった

 

本当にあの男女比なのか?と思わせるほど男声が鳴ってた。女声ももちろん素晴らしく、特にアルトの声が熟成されてて本当に大学生か?ってなった(褒

  

 目からと耳からの情報のギャップに混乱した(褒め言葉)

  

女声の発声の美しさは相変わらず見事ですし、バートバランス云々を補って余りある表現力で魅力的なサウンドを聴かせてくれました。

 



(第1位の感想に続きます)