今年度の本屋大賞受賞作、というわけでも無いですが
http://www.hontai.jp/
ようやく読み終えました、伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」!
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/11/29
- メディア: ハードカバー
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いや、伊坂作品は「出ればまず読む」で
出版された本は全部読んでいるんですよ。
おもしろかったー!
この作品が本に書かれているように
伊坂氏の「集大成」かどうかはともかく
凝った時系列、意外な展開(ご都合主義なのはあっても)
魅力あるキャラクターに軽妙な会話・・・と
最初から最後まで楽しめた作品でした。
ラジコンヘリの爆弾による首相の暗殺事件で
犯人と仕立てられ、
警察をも巻き込んだ壮大な陰謀の冤罪に陥った主人公の
2日間の逃走劇、という筋。
ここまで巧妙に証拠がでっち上げられたら、
例えばこの主人公が自分だったら
無実を信じてくれる人がいるだろうか・・・などと想像してみたり。
ケネディ暗殺のオズワルド事件も
国家ぐるみのでっち上げ、というのは目にしたことがあるけれど
「アポロは実際には月へ行かなかった」程度の
ネタかと思っていました。(不勉強ですいません)
「マスコミは嘘は言わないけど
必要/不必要な情報の取捨選択はする」という箇所に頷いたり。
情報を取り上げて伝える段に、
何らかの恣意的なものは絶対介入するわけで。
他にも国家や政治は必要とあらば
一般市民に罪をなすりつけて局面を打開するくらい何とも思っていない、など。
物事を多面的に見る、どこかに疑いの目を持つ・・・というメッセージが
最近の伊坂作品の根底に流れている気がします。
若い年代に広く受け入られている伊坂作品ですが
単純に読みやすい、楽しい、だけではなく
同時にこういうある種の「毒」も広まるのは痛快です。
ラストの手紙、ハンコの文字、の2つの後日談は
「巧いな〜」と唸らされました。
物語の舞台やシチュエーションがかなり映像を意識しているので
この作品も数年後には映画化されるでしょう。
いや、是非して欲しいなあ!大予算で!!
サッ、と読む分には気軽に楽しめて
深読みすればいくらでも考える材料を与えてくれる、
そんな意味でも一級のエンターテイメント作品だと思います!
今年の本屋大賞、10位までは「赤朽葉家の伝説」以外は
読んだことが無い本ばかりだけどどうしようかな・・・。
吉田修一と金城一紀に手を出してみようかな・・・。
あ。蛇足だけどこの本に縁の深い
ビートルズ「アビー・ロード」B面に合わせて
超絶ジャグリングを繰り広げる人の映像。
「ゴールデンスランバー」が最初に流れます。