「コンクール出場団体あれやこれや:出張版」 その4

みなさん、こんにちわ。
今日もおなじみ、おっさん2人の公開交換日記の時間がやってまいりました。


で、今日もおっさん2人が褒め合うという、
なんだかな〜な展開なのですが、
やはりぜんぱくさんがイイコトを代弁してくださったので。


>いち聴衆としての、出演団体の皆様への「エール」です。


そう! エール、なんですよエール!!
プレッシャーを演奏する皆さんに与えるとかじゃなくてですね、
聴く前からこれだけその合唱団を考えている人間もいるよ!
…と伝えたいのですね。
そしてそれが力になればいいなあ、などと。


まあ親しい団体には「…エール?」と思う内容かもしれませんが、
でもホラ、近い距離の近い関係だと素直になれなかったりするじゃない。
「べっ、別に応援なんかしてないんだからね!」

 

だからCANTUS ANIMAEの記事もエールと言ったらエールです、ええ。


あと、
>でも、賞の種類にとらわれる事無く
>自分が良いと思った演奏は良い!と言い続けたいのですね


これもまた、その通りで。
プロフェッショナルな審査員の評価したものは
もちろん拝聴に値するし勉強するべきだと思いますが、
その評価が例え低くても、自分が良い!と思った演奏は大事にすべきだし
さらに「なぜ自分は良いと思ったのか?」
そんな風に一歩踏み込むと面白くなるんですね。


浅い批判は非常に簡単なことです。
なぜなら自分の理想の姿があれば、
実際の演奏が傷つけたその部分を「ここがダメそこもダメ」と
指摘するだけで済むわけですから。


逆に「良い!」と思ったものを
「じゃあなんで良いと思うの?」と訊かれると困っちゃいますね。
なぜなら「良い!」と思ったときは
その「良い!」で自分の器を満たしているから。
欠けているものじゃなく、
満たされていることを他の人に説明するのってかなり難しい。
あ、「○○より優れているから」という説明は
結局その○○を批判している事に近いので残念。


でもね、何かあるはずなんですよ。
自分の心が認めたものは、心の奥底に理由が。
それを他の人にちゃんと説明しようとすると
深く、長く、自分の心を見つめなきゃいけないだろうし大変だけど。
でもやる価値はあると思うんだよなあ・・・。




関東支部代表 神奈川県
小田原少年少女合唱隊 (女声40人)


一般Bのトップバッターは小田原少年少女です!
・・・これねえ、言ってもしょうがないと思うけど
順番もったいないですねえ。
何と言うかフルコースなのに、
「お口直しの極上シャーベットを最初に食べる」って感じ。


けっこう耳が疲れて来た後半
この小田原少年少女を聴いたら
耳が洗われたようになって、その後も元気に聴ける!
…ような気がします。


小田原少年少女のステージって
コンクールっぽくない、んですよ。演奏も選曲も。
演奏会の1ステージをそのままコンクールへ持ってきました、
という感じがする。
賞を狙うケレン味とかをほとんど感じさせない。


課題曲はF1、そして
Jeffers作曲の「Missa Brevis in tempore violentiae」からGloria、
1曲おいて
Mutafchiev作曲のSednalo e Djore dos。
・・・不勉強な私は調べても
1曲目が6声で「紛争時の短いミサ曲」という邦題、
3曲目がブルガリア民謡で
「ジョレが座っている」という訳しか分かりませんでした。


が!自由曲2曲目はさすがに知ってますよ!
Sibelius作曲「Finlandia Hymni(フィンランディア賛歌)」


この曲については小田原少年少女に近しい人から情報が。

今年の自由曲、いいですよ〜
特に2曲目のフィンランディアはすごいです。
実は松下耕先生に練習見てもらう機会があって(9月でした)
その時にフィンランド人がこの曲に込めた想いという話をされました。


>2つの強国(ロシアとスウェーデン)に挟まれた苦難の歴史の末
>勝ち取った独立、その象徴ともなったこの歌。
>「オイ、スオミ・・」という歌い出しに込める万感の想い。


このようなエピソードを紹介されたのですが。
その日から、歌により一層の気持ちがこもってきたように思います。


おおお、そうですかそうですか。
私のような心が汚れきったおっさんには眩しい演奏になりそうです。
一般Bも遅刻しないように聴かないとね、みなさん!



・ ・ ・ ねえ、ホントに後半どこかの団体、
小田原少年少女と順番交換しませんか?





関東支部代表 神奈川県
湘南はまゆう (女声35人)


初出場おめでとうございます!
HPを見ると、なんと今年で創立20周年という団体。
おかあさんコーラスの世界では高い評価を受けているんですね。

はまゆうは今年のおかあさん全国大会に出場そして入賞
その勢いで県大会・関東大会を突破
ステージを重ねる毎に演奏に磨きがかかってきています。

…などという評も。
指揮者は一般A:Combinir di corista、
通称コンビニの指揮者と同じ松村努先生。


課題曲はF3:平吉毅州先生の巨船 。
この課題曲、高校の部では何回か聴きましたが
一般の部ではこの団体だけ、大学でも宮崎学園だけです。


自由曲は土田英介先生、萩原英彦先生という
2人の異なる作曲家による
三好達治の同じ詩への作品「甃のうへ」「甃の上」。


ミサ典礼文などでは作曲家が違う
同詩の異曲ステージはよくあることですが、
邦人の詩へ違う曲、しかもコンクールの舞台というのは
ちょっと珍しい気がします。


初めての団体の演奏、あまり聴けない課題曲、
同じ詩だけど違う音楽、という
組み合わせの妙も楽しみにしたいですね。





中国支部代表 広島県
合唱団ある (混声65人)


応援してます、がんばって下さい! …終わります。



えーと次は九州支部代表 佐賀県












・ ・ ・ いや、だってさあ!このエピソード怖すぎるでしょ!!
http://talk-to-oneself.blog.drecom.jp/archive/1266



昨年の「史上かつてない2次会」の時に
同席した「合唱団ある」の方々とお話した時に
その中のお一人が
「あぁ、ぜんぱくさんですね(^-^)」とおっしゃったと思ったら
カバンの中からゴソゴソと
わたしの書いた「あれやこれや」シリーズの「合唱団ある」のページを
プリントアウトしてお持ちだったという…。
(@o@;;;;;;;ヒエーミテタノネ…


コレ怪談ですよ怪談!もう冬だというのに〜。
「お前が書いたと言う紹介記事は ・ ・ ・ これかーッ!」「ギャーッ!!」
宴会の場でもし私がそんなことやられたら
ビール吹きますよ、見せたその人の顔に!!


お・ね・が・いですから、合唱団あるのみなさま、
私にそんなことはなさらないでくださいね。
というか、他の合唱団団員の方々も右に同じ!
これは熱湯風呂を前にした芸人の
「押すなよ、絶対押すなよ!」じゃなくって
マジで勘弁して下さい。胃を痛くさせないでくだせえ。
当分胃カメラ飲むのはごめんこうむりたいのです。
いいですか!このページを絶対プリントアウトなんてしないで!!
おまけにそれを私に見せないでー!!!


(・・・でもぜんぱくさんに見せて、その方はどうするつもりだったのだろう?)


気を取り直して。
課題曲はG3の寺嶋作品。
自由曲はなんと、千原英喜先生作曲の
混声合唱のための「ラプソディー・イン・チカマツ」から「貳の段」!


コンクール痛にすると、この「ラプソディー・イン・チカマツ」には
格段の思い入れがあることでしょう。
そう、それは5年前の三重での全国大会。
指揮者:辻正行先生を亡くしたばかりの大久保混声が
鬼気迫る名演をしたことで記録(金賞1位)にも、
そして多くの人々の記憶にも残ったことです。


合唱団あるの団員さんに話を聞くと
5年前に「この曲をやろう!」という声が出た時は
団内大ブーイングの嵐で取りやめになったそうですが。


「まさか5年後に演奏するとはねえ〜」


・・・どういう心境の変化があったんでしょうね?
それと、この話題にも触れないわけにはいきません。
なんと、9番目に出場する岡崎混声と選曲が全く同じ!
課題曲も自由曲も!!


「岡崎混声、前半の部のトリなんですよ〜」と
団員さんはボヤいていましたが。
でも混声の団体として、なかなか対照的なイメージの団体です。
音圧の高い、熱い声の岡崎混声と比べ、
柔らかく明るめな声が基調の「ある」。
岡崎混声が場の中心となり「わっ!」と盛り上げるようなタイプなら
「ある」は端で静かに笑っていて、
でもその笑顔に周囲は和んでいる…そんな感じ。
「向日性」という言葉を「ある」の演奏に使ったことがあるけど
日向ぼっこをしているような、そんな印象の演奏をする団です。


それと、もうひとつ取り上げたいのは、
パフォーマンスを伴った演奏として、
「ある」は2年前に久留智之先生の
「ハミングバード」という曲をコンクールで演奏しまして。
で。中国支部大会ではどっかんどっかんウケていたこの演奏が、
全国大会では
「 ・ ・ ・ ・ ・ 」というような客席の雰囲気だったのですね。


これが「ある」の演奏が支部大会だけの一回性のものだったのか。
はたまた、支部大会と全国大会の客層・雰囲気の違いからか。
…未だに私の答えは出ていません。
(ちなみに賞としては金賞という高い評価をもらっています)


「巧い合唱団は数あれど、人を楽しませる合唱団は、少ない」


コンクールでこういうことを求めるのは間違っているとは思いますが
「人を楽しませる合唱団」の素質、
「ある」は充分持っていると思います。


大久保混声のチカマツは、
死と表裏一体の、緊迫感ある生の喜び、というような印象でしたが、
「ある」はまた違った形の生きる喜びを伝えてくれるのでは。


「パフォーマンスだけじゃなく、音楽をきちんと歌えるように」
…とは「貳の段」への団員さんの言葉。


「曲の終盤をお楽しみに!」という言葉も記憶に留めて
「ある」の伝える「生の楽しさ」を受け止めようと思っています。





九州支部代表 佐賀県
MODOKI (混声42人)



〜〜〜高松の某鉄板焼き屋のカウンターにて・深夜1時〜〜〜


今年の全国、どうなんですか?


「あのなあ、MODOKIは課題曲G2やろ」


はい、シューベルト


「そして自由曲はペンデレツキのAgnus Dei」


はいはい、ペンデレツキ。


「それでなあ、今年の海外からの審査員、
ドイツ人で、おまけにペンデレツキの弟子だって!」


え〜っ?!


「終わったわ、もう・・・」


うーん・・・じゃあもうハッタリかまして
指揮者が日本人じゃない!とかアピールすればどうですかね。


「たとえば」


そうですね、例えばミドルネームを加え改名して…



山本・ペンデレツキ・啓之、とか!とか!!



「・・・終わってるわ・・・」


ああっ、鉄板の上に伏せると危ないです山本・ペンデレツキ・啓之さん!



やべえ。あんまり寝ないで書いているせいか
こんなことしか思い出せない・・・。
(あ。「ペンデレツキ」は苗字だろ!という突っ込みは受け付けません)


MODOKIという団は熱い!という印象はありますが
その熱さでもって強引に曲を作って聴く者を組み伏せる、のではなく
対する楽曲に対し、非常に誠実に向かう姿勢を持っている団です。
2年前の課題曲:バーバーの「The Coolin」なんて良かったなあー!


今年のG2シューベルト、ドイツ人審査員も唸らす演奏が出来るか?!


そして自由曲のペンデレツキ「Agnus Dei」。
厚いベースが売りのMODOKIに合った
暗い緊張感と悲しみが支配する名曲です。
これはMODOKIお得意路線。
「どこまで心にねじ込んでくれるか?!」という
期待に胸が高まりますね。


九州大会を聴いた知人の感想は
「いや〜MODOKIは独自のパワーを持った団だね!」
うん、今回もその“独自のパワー”期待したいと思います!!



さて、ぜんぱくさんの言葉をふたたび引きます。


>でも、賞の種類にとらわれる事無く
>自分が良いと思った演奏は良い!と言い続けたいのですね


昨年の全国大会、MODOKIは銅賞でした。
しかも下から数えて3番目の。
一生懸命努力しても評価が低い、ということはあります。
合唱に限らず全ての事でそういうことはありますね。


ただ、この時のMODOKIの場合が
いわゆる「力が足りなかった」と少し違うのは、
そういった銅賞というコンクールでの評価と、
自分も含めた“ある種の”観客たちの評価がはなはだしく食い違ったこと。


おそらく許してくれるかな〜と
甘い期待でメールを一部無断転載してしまいますが。
MODOKI代表Fさんから頂いたメール。
U野、という名前はMODOKIの宴会部長さんです。

U野は、毎年、「予約数と違うじゃないか!」と店の人に怒られながらも
闘ってくれているそうです。
「でもさぁ、去年が一番びっくらこいたね。」とU野。
「去年はさ、26人で予約したんですよね。
そしたらさ、ゲストが23人来てさぁ。もう笑うしかなかったね。」

団員とゲストがほぼ同数の打ち上げ・・・。


自分も参加させてもらったのにこういうことを書くのはなんですが、
あの大会後のMODOKI宴会は、かなーり “ヘン!” な宴会でした。
宴会に遅れて現れた代表Fさんが入った部屋には
団員に混じり見知らぬ顔ばかり。「?」
しかもFさんの顔を見て
「あれって誰?」と周りに尋ねてる。
いやいや、あなたたちこそどなたですか??


「あの演奏が銅賞?! おかしいだろ!」
と怒る『ゲスト』をなだめるMODOKI団員。(・・・逆じゃね?)


きっと私も含めて、あの宴会の場にいたゲスト達は
「コンクールの評価はどうあれ、
 自分はMODOKIの演奏に感動したんだ!」と
直接伝えたかったのだと思います。
もちろんコンクールの評価は評価です。
その後、敬愛する審査員の詳しい「銅賞の理由」を聞いて
自分は「なるほど」と思いましたし、納得もしました。


だけど、あの時のMODOKIの演奏の感動は
その後少しも減っていません。
そして減らす気もありません。


ぜんぱくさんはこう書いています。


>でも、賞の種類にとらわれる事無く
>自分が良いと思った演奏は良い!と言い続けたいのですね


そう。賞に関係無く「良い!」と言いたい演奏は確かに存在します。
そんな演奏に出会うのもまた、コンクールの楽しみなのではないでしょうか。



ところで昨年「観客賞」というものがあったら
結構いいセン行ってたと思うMODOKI。
ちょっと団員さんに訊いてみたいんだけど


昨年の審査員の評価とは違って
金賞上位入賞だけど
聴いた人に感想を訊いたら目が泳いでる人ばかりなのと。


最下位だけど感想を訊くまでもなく
向こうからやってきて肩を掴んで熱く語って離さない、のと


どちらかしか選べない結果だったらどっちを選ぶんだろう?



・・・いや、MODOKI団員だったら
にやり、と笑って



「両方でしょ!」と答える人の顔ばかり浮かぶなあ。




それでは、また明日。