「コンクール出場団体あれやこれや:出張版その5」

 今日は複数回更新する予定です。
メールのお返事、遅くなっていて申し訳ありません!
さて時間が足りな〜い!ので前置きも短く2団体を。



九州支部代表 大分県
大分市民合唱団ウイステリア・コール (混声38人)


かなり昔から、そして今も参加し続けている九州の合唱団ウイステリア。
私がウイステリアの演奏を初めて聴いたのは高校生の時。
ラジオから流れる自由曲:柴田南雄先生の「人間と死」で
「世の中にはこんな合唱曲もあるんだなー!」と驚いた記憶があります。
(余談ですが、お金が無い地方の学生にとって
 このNHKラジオでの全国大会の放送はほんっとうに有難いものでした。
 あの放送があったからこそ今の自分があると思っています。
 再開しないかなあ・・・)


 MODOKIと同じ九州の合唱団なのに、
ウイステリアの印象は実に対照的です。
ひとことで言うと 『端正』 な演奏。


 その音楽はどんどん表現を加え厚く盛って行くのではなく、
むしろ音楽の『あるべき姿』になるよう削ぎ落として行くような…。
 引き算の音楽、と言ってもいいかもしれません。


 そんな音楽に、どちらかというと濃い目の音楽が好きな私は
ここで告白するとウイステリアに少しの物足りなさを感じていたのですが・・・。
 その認識が一変する演奏がありました、2年前の全国大会。
 ウイステリアの演奏した曲は柴田南雄先生の「追分節考」。
 幾度と無く聴いて、演奏した事もあるこの曲。
 それがウイステリアのこの演奏で、自分でも不思議なほど
涙を流してしまったんですね。
 この涙が私だけでは無かったのは
交換日記相手のこの方も詳しく書かれています。
http://talk-to-oneself.blog.drecom.jp/archive/862


 ところで “技術” ってなんでしょう?
 コンクールという場だから “技術” を求めるのは当然なのですが
なんだかハナにつく技術もあったり、
巧さだけが先走りしちゃうこともあったり。
 技術を私は否定するものでは全くありませんが
何のための技術なんだろう?と思うこともしばしば。


 作家の京極夏彦氏はインタビューでこんなことを語られたそうです。

「文字を追う目が止まらない」という状況が生み出せれば、
それで本望。
どんな時にも作者が読者に
読み方を押し付けるようなことはあっちゃいけませんからね。
感動やら笑いやら怒りやら哲学やら、
そうしたものはテキストの中にあるのじゃなくて、
読者の中に湧くものなんです。

>読者の中に湧くものなんです



あの時のウイステリアの追分節考は大変心に響きましたが、
それでも「なるほどこの技法か」「巧いなあ」という感想は
出なかった気がします。
「引き算の音楽」であり、
これみよがしに技術を誇らずに
音楽のあるべき姿を描こうとするウイステリアの音楽が、
私のあの時の涙に繋がったとしたら。


あれ以来、ウイステリアの演奏だけではなく、
他の合唱団の演奏で
「あまりアピールしてこないな」「薄味の演奏だな…」と思いダレ始めたときでも
「いや、それはどうだろう?」と少し姿勢を直して聴くようになりました。


少々物足りないと思うような演奏でも、
それは音楽の方が、
私の心に何かが湧くのを待っているだけなのかもしれない。


今年のウイステリアは課題曲G1のバード。
千原英喜先生の「天地始之事」。
ふたたび私の心に何かが湧くのを期待したいと思います。





関西支部代表 兵庫県
混声合唱団はもーるKOBE (混声59人)



こちらも非常に伝統ある合唱団です。
なんと今年で創立30周年とか!おめでとうございます。
全国大会は2年ぶりの出場となるのでしょうか。


はもーるKOBEと言えば思い出すのは指揮者の平田勝先生。
全国大会に出場される度に現役指揮者最高齢記録を更新し、
またその音楽も細かい所まで大ベテランゆえの気配りがありながら
弾む若々しさが随所に感じられる素晴らしいもの。


前回は団内指揮者のお若い岸本雅弘先生が振られて
ちょっと辛口の感想が申し訳なかったんですが、
それでも才能を感じさせる音楽でした。
あれから2年、岸本先生と合唱団もさらに呼吸が合ってることでしょう。
平田先生か岸本先生のどちらが振られるにしても楽しみです。
(それともまた違う指揮者だったりして?!)


課題曲はG2のシューベルト
自由曲はStroope作曲の「We Beheld Once Again The Stars」。
美しく叙情的なメロディーから激しくリズミックな中間部を経て
ふたたび平安の地へ還っていく・・・のようなイメージを抱かせる曲。


・・・なーんて知ったかで書いちゃいましたが、作曲者と曲名で検索したら
某動画がすぐヒットしちゃいました!(安直だなー、オレ)
この演奏もなかなか良いものですが、
ライブならではの感動をはもーるKOBEに期待してしまいます。




さーて、天気も良いのでちょっくら出かけてきます!
夜の更新をお楽しみに!!