全国大会一般の部感想 その2


さて、ここまでの2団体はかなり高水準の演奏で
「やっぱり一般Aは凄いなあ」と感心してたんです。
それで創価関西の演奏が終わると
扉から多くの人がどわーっ!とホールへ。
・・・次の団体への期待の高さがうかがわれます。




奈良県、関西支部代表
クール シェンヌ(混声32名)


課題曲はG1:バードです。
前の2団体がかなり良かったのは書いたとおり。
…しかし!シェンヌの第一声がホールに響くと
(おおおおお)
心で歓声を上げていました。
声の存在感が、違う。
思わず視線をステージ上の高い天井まで移します。
音が広がると同時に立ち昇っていくよう・・・。


音楽は澄み切った水の流れのように
どこにも障ることなく流麗に進んでいきます。
そして、どこへでも行けて、
どれだけでも大きくできるはずなのに、
それをせず泰然と、ゆったりと音楽を作っている印象。
こういうことを人は余裕と表すのでしょうか。


瞳の表面の水分量が多くなったところで、
演奏会よりもさらに磨かれたメンデルスゾーン
明るく、軽やかに、美しく。
そして自由曲2曲目のブルックナー「Os Justi」。
不思議だなあ、とこういう演奏に触れていつも思うのは
なぜ、そんなに難しいとは言えない、
他の団体の選曲と比較しても易しいとさえ言える音楽が
どうしてここまで心を掴んでしまうのか。


もちろんよく知られた、分かりやすい曲ということで
細かなミスにいくつか気づいてしまい
曲へ没入するのを妨げることもあったんです。


それでも、meditabiturからsapientiamの痺れるようなフォルテ。
特にet lingua ejus loquetur judicium.からの
胸が締め付けられるような切なさと美しさは忘れがたいものがありました。


どれだけ楽譜を見ても
何をやってるんだか分からないほどの
難しい曲をちゃんと演奏しているはずなのに、
それでも心が動かされないこともあります。


しかし、このシェンヌの演奏のように
初見でも歌えそうな難易度で
自分でも歌ったことがあり数え切れないくらい聴いた曲でも
目が潤んでしまう演奏は、あるのです。



・・・音楽って、不思議ですね。



(つづきます)