全国大会:一般の部感想<その6>


佐賀県(九州支部代表)
女声合唱団ソレイユ(女声25名)


課題曲はシューマン作曲のF2。
この曲、高校の部で
同じ指揮者:樋口先生の演奏を聴いたのだけど
…まるで違う演奏です。
さすが大人!と感心するもので
声だけではなく表現の深みが素晴らしい。
フレーズの開始、収め方にも歌の巧さが際立ちます。


自由曲、コスティアイネン
「ラリン・キュエスティの詩による組曲」から1,3,4は
その歌い上げる能力の高さ。
軽やかさもちゃんと表現し、
音楽的なニュアンスの引き出しの多さ。
響きとサウンド感も良く、特にアルトが良かったですね。
優れた歌い手が集まる合唱を、
樋口先生が上手くまとめあげた、という印象でした。


実はこの団体、前回、前々回の印象では
「上手いんだけど聴く集中力が逸れてしまう…」
というものだったんですが、
今回はそんなことは無かったのが嬉しかった!





北海道(北海道支部代表)
ローズクオーツ アンサンブル(女声23名)


初出場おめでとうございます!
名門中学合唱部のOG合唱団。
課題曲はモラリスF1。
うっひゃあ、23人の女の子が出しているとは
思えないほど響くぞ。
この音圧はBグループの団体にも匹敵するのでは。


音楽は3声の絡み合いなど
まだこういう曲に慣れていない印象はありましたが
とても練習を積んでいましたね。


自由曲は高嶋みどり先生「白鳥」から「2.贈物」。
松下耕先生「日本の民謡」から「日向木挽唄」。
ぴん!とした緊張感の中、
やはり素晴らしく鳴る声。
(ただ、耳が痛くなるほどのその発声は
そこまで磨き上げたのは賞賛に値するけれど
一般の部としてはやや時代遅れかも。
今は音圧があっても耳には障らない発声が主流なので…)


全体に人形のような冷たく美しい表現。
表現としてはややニュアンスに乏しいかな?
発語は良いが、そのイメージが聴く側には伝わりにくい。
学生の部ではよくある
「詩の解釈などで歌う側のイメージは豊富かもしれないが
 それを伝える手法への客観的視点の不足」…という印象。
我ながらヒドい説明としては
ストーカーは対象への愛に満ち溢れているけれど
その行為(ストーキング)は愛情として
対象へ全く伝わらない、というのにちょっとだけ似てるかな…。


ただ、この年代の細い女の子たちが
(や、脂肪で歌うんじゃないってことは知ってるんだけど)
これだけの発声をモノにして演奏したのは凄いなあ、と思いました。


OBOG合唱団に対しては私、
どうしてもキツイ聴き方をしてしまう傾向があるので
他多くの人はもっと肯定的な聴き方をしていると思います。
関係者の方がもしここを読んでいたらごめんなさい!




さて、一般Aの部、最後の団体は
静岡県(関東支部代表)
浜松ラヴィアンクール(女声10名)


課題曲はF2。
自由曲1曲目は木下牧子先生「春二題」から「春は来ぬ」。
トレモロや「U」の発声に違和感や音程の乱れ、
生声に思えてしまうところなど色々あるのですが
課題曲との歌い分け、雰囲気を変える力はさすが。
フレーズの細やかな表現も素晴らしい。


特に2曲目の木下先生「わたしは風」から「歌」は
この年代ならでは…と言ってはいけないのでしょうが(笑)
子を想う母の気持ちがしみじみと伝わってくる深い演奏。
何度も聴いたことがある曲なのに
その詩を改めて読んでみたくなるような
記憶に残る演奏でした。



一般の部Aは出場団体が多種多様で
聴いていてやっぱり面白いですね!
初出場の団体も元気だし、
前からの出場団体も自分たちの道を究めたり
新しい顔を見せてくれたり・・・楽しかった!



(続き?ます)