食と地方の関係性?!

こんな本を読みましたよ。


「すすれ!麺の甲子園」  椎名誠

すすれ!麺の甲子園

すすれ!麺の甲子園


日本全国にある麺、実に160麺を
甲子園大会のように競わせ(食べ比べて)
「日本一の麺」を決定するという何ともアホな本です。


いわゆる“麺”だけじゃなく
長くて細ければなんでもイイ!とばかりに
青森の「そばもやし」、和寒の「越冬キャベツ千切り」、
函館の「朝市イカソーメン」、下仁田「シラタキ・糸コンニャク」他多数
までエントリーしてしまうという強引さ。


読んで思ったのは
「・・・日本各地にはまだ自分の知らない、
 たくさんの麺があるんだなあ・・・」という驚き。


東北が実はラーメン強国だというのを
古川日出男の「聖家族」で知りましたが
(注:そんな小説ではありません)
宮城の「うーめん」の存在も知らなかったし
「肉吸い」と呼ばれる大阪:肉うどんの存在や
広島では「小鳥系ラーメン」と呼ばれる
トンコツ醤油が盛んなんてまるで知りませんでした。


あと私も過去に食べてうーむだった
伊勢うどん」が思いの外
椎名チームには高評価だったり(伊勢の人、ゴメンナサイ)
札幌味噌ラーメンでは代表として「彩未」という
元・地元民でも「へえ〜」という店選択の意外性とかね。
(「純●」とか「五●原」かなあ?とか予想するので)


もちろん「讃岐うどん」はやっぱり高評価だったし
(紹介されている4軒中、3軒を食べてました…)
東京の上品蕎麦にはいくつかの店には怒りながらも
並木藪蕎麦はやっぱり美味しいのですねえ。


最終的に決定する「日本一の麺は?!」
・・・それは本を開いてもらうことにして
(九州方面、ということだけ書いときます)
やっぱり味というものは、
単に「味覚」だけではなく、店の雰囲気、
それは接客であったり、行列の有無だったり、
値段と品質の兼ね合いだったりが密接に絡み合っての
結果なのだなあ、とアタリマエのことに気づかせてくれる本でした。
あと、味がまったく別のベクトルへ向かっている
それぞれの麺でも「旨さ」が成立することの不思議。
(そういや名古屋:若鯱屋のカレーうどんも
 コシなんてないがごとくのやわやわ、だけど好きだし)


「日本一の麺」の店にも行ってみたいし、
思い返してみれば「関西の麺」は
「天下一品の京都本店」ぐらいしか食べてないので
ここで紹介されている大阪:肉吸い、チリトリうどん、
京都にしかない「たぬきうどん」、今度食べますよ!
・・・え?京都の店はもう閉まってるのか、ざんねん・・・。


各地で「旨さ」が成立することの不思議さ、としては


「全日本『食の方言』地図」 野瀬泰申

全日本「食の方言」地図

全日本「食の方言」地図


も面白かったです。
まず「天ぷらにソースをかけるのはここだ!」などと
読者からアンケートをとり、
日本地図で色分けをするというもの。
この結果が糸魚川静岡構造線フォッサマグナの西端)と
ほぼ同じに分かれているのが面白い。


他にも大阪では
「紅ショーガの天ぷら」が存在する事実に驚いたり、
「肉」と言ったら「牛なのか豚なのか」とかね。


日本ってまだまだ知られていない食文化があるのだなあ、と
感嘆する本であります。



ところで私、北海道出身なんですが
茶碗蒸しに栗の甘露煮を入れて、
赤飯は食紅で着色して甘納豆を乗せるのは当然全国区ですよね?