第25回宝塚国際室内合唱コンクール感想 その2


続いてはフォークロア部門 出場団体5団体


金銀銅各1団体ずつ。




銅賞
Vox Coeleistis Choir ITN Malang Indonesia
(混声20人・インドネシア)


Kerraben Sape(Budi Susanto Yohanes編曲)
Janger(Budi Susanto Yohanes編曲)を演奏。


初出場のこの団体はマラン国立工芸大学で設立された合唱団。
バリ島?の民族衣装のような服装で出場。


ほぼ2部合唱で、和音や旋律ではなくリズムで聴かせる音楽。
なんというか…“作っていない”自然な声で、音楽も素朴な印象でした。







銀賞
合唱団senza Nome(混声16人・新潟)


でいらほん(間宮芳生)
のよさ(間宮芳生)を演奏。


合宿型合唱団というこの団体。
ルネサンス部門でも出場していましたが柔らかな声と音楽が魅力的な団体です。
その柔らかさの中に、非常に上品な抑揚、リズムが存在していて。


この演奏でも対照的な2曲それぞれの世界を丁寧に作りこんでいたと思います。
仁階堂先生が指揮する合唱団の演奏って
とても失礼なんだけど今までは聴き終わった後に印象があまり残らなかったのだけど
今回はその音楽の魅力がルネサンスフォークロア両部門とも
大変自分の心に迫ってきました。
合唱団senza Nome(センツァ・ノーメ)、憶えました!






金賞
Lirica(女声16人・ベルギー)


Schoon Jonkvrouw(Kurt Bikkembergs編曲)
Hotaru Koi(Ro Ogura編曲)
Skromna(Antonin Dvorak編曲)
The water of Tyne(Michael Neaum編曲)を演奏。


10代後半から20代前半に見える女性たち。
声はその印象よりさらに幼く「少女合唱団」のような。
Vox Coeleistis Choir ITN Malang Indonesiaと同じく
自然で「作っていない」声の印象。
3曲目からはピアノも入り。
2曲目の「ほたるこい」では1列に並び小さなライトを光らせる演出もあって
(客席で大変ウケていました)
素直で伸びやかな雰囲気が気持ち良かったな〜。



賞以外で印象に残ったのは
CORO Giovanni(混声16人・岐阜)
信長先生編曲の「さくら」や「一番星見つけた」。
松村禎三先生編曲の「牧歌」を。
聴き合い、合唱団としての響きを作り出すセンスが良かったのと
楽譜をしっかり演奏へ落とし込んで
「なるほど、こういうことをやっているんだなあ」というのが
目に見えるような明確さがあったのに好感を持ちました。



フォークロア部門を聴き終えて
海外団体 vs 日本団体 …という図式は違うと思いますが、
しかし素朴で素直な発声と音楽の海外団体、
音楽の作りこみが緻密で深い日本団体・・・と差を感じてしまう結果に。
音楽を扱う単位が、海外団体がセンチメートルなら
日本の団体はミリメートル、とでも言いましょうか。


もちろん海外のセンチメートルの音楽でも前述の通り
伸びやかさや聴き手を緊張させない雰囲気はありました。
それは明らかに長所だったと思います。


ただ「もう一度聴こうか?」と尋ねられたら
いや、一度でいいですよ・・・という浅さはあったかなあ。


後は「フォークロア部門」の選曲として、
「日本の曲」を日本人が歌っているのだけど
これは果たして「日本人の血」が歌い、
「日本人」として特有の世界を作り出しているのだろうか?
…という疑問が残りました。
いや、正直に言えば、海外団体も日本の団体の演奏も
その地以外の合唱団が演奏しても
フォークロア」として決して真似のできない個性が存在している、
とはそれほど感じることができなかったんですよね。


それは私の不勉強や感性の低さかもしれないけれど、
では「日本人らしさって何?」
「それを合唱曲で表現することって?」
…と考える良いきっかけになりました。


それにしてもコンクールという場で
フォークロアとしての日本の合唱曲」を選曲するって難しいですね!
全体講評では
「(日本の団体は)ちょっと真面目に、学術的にやりすぎているのでは?」
という意見がありましたが
そんなに真面目じゃなく、魅力がストレートに伝わるもので
なおかつコンクールにふさわしい内容の深い曲…って・・・ううう〜〜〜んんん・・・。







表彰されるLirica代表。
中央のコスプレ女性は宝塚出身の手塚治虫先生にちなんで
リボンの騎士」の「サファイア」のコスプレだとか。




(おそらく続きます)