第25回宝塚国際室内合唱コンクール感想 その3


続いては世界的にも珍しい「シアターピース部門」。


「シアターピースって何?」(宝塚国際室内合唱コンクールHPより)
http://takarazuka-c.jp/page0136.html


出場団体2団体でどちらも金賞。
最初の団体は
豊中少年少女合唱団(20人・大阪)


“ふしぎの国から 〜藤井貞和の詩による児童合唱のための構成〜”より
1.あいさつ 2.ビ ラブド(be loved) 3.すくなびこな、二
高橋悠治 曲)


最初に謝ってしまいます、ごめんなさい!
もっぱら私の問題で、この演奏を受け入れることができませんでした…。


演奏曲についてプログラムから引用すると

今日の曲は、学校でのいじめが原因で自殺した子どもは
死んだ子ども達だけの学校にいて、
子どもの神の「すくなびこな」に、
この国をもっとよくして下さいとお願いする、という内容です


・・・うーむ・・・。


このテキストが「子どもの言葉」、
あるいはそれに類するものだけで構成されていれば
まだ受け入れられたのかもしれませんが
ニュースやドキュメンタリーのような「大人の言葉、口調」も入っていて。


白の貫頭衣風の衣装を来た子どもたちが舞台上で集まり、離れ、
上記のような言葉を歌い、語り、そしてやや異物的に挿入されるピアノ、と
非常に独特の世界を作り上げていました。
これは高橋悠治氏が思い描いた世界を
ちゃんと具現化しているのだろうなあ、とは思うものの・・・。
その世界のあまりの独特さに、自身を入りこませる意志が湧かず。


テキストを私がちゃんと読み込んでいれば、
もっと印象が違っていたのかもしれません。
藤井貞和氏の詩集の
「悲しみをさがす時」「明るいニュース」、読んでみたいですね。


(追記:できれば↓のコメント欄での
 せきさんと私のやりとりをお読みください)




次の団体は
和歌山児童合唱団(20人・和歌山)


樹の国・声の森(信長貴富 曲)


和歌山で有名な2つの祭「御坊祭」と「笑い祭」をテーマにした
この団体の委嘱作品だそう。
色とりどりの浴衣の少女と少年が出てきて・・・。


あああ、これはわかりやすいし楽しい!


会場の通路を歩きながら歌う。
会場の四隅からそれぞれ歌う。
独唱と合唱との重なり合い。
クライマックスは拍子木(?)を鳴らしながら会場中を回り、歌い、
指揮者の先生(男性)も独唱で加わり盛り上がる!


何と言うか…「よくできたハリウッド娯楽映画」みたいな印象でしたね。
(ほ、誉めてるんですよ・・・)
作家性をヘンに出すのではなく、
観客が求めるものをストレートに手渡す、というような。
新しいアイディアは無かったかもしれませんが
「会場すべてを使った場合の声の響き、効果」
そんなテーマで、考えられるアイディアを目いっぱい盛り込んだ、
という印象。
信長先生、わかってるなあー!って感じでした。


音の移動が耳だけではなく、目でも楽しめて。
和歌山の祭りをテーマにしているとは言っても
それを全く知らない私のようなものでも十分楽しめる明解さがある。


「児童合唱団」の委嘱作品ですが、
若い女声合唱団のステージにもふさわしい内容だと思いましたよ。
違う団体でも聴いてみたいですね、もちろん生演奏で。





(近・現代部門は全15団体で受賞団体も9団体と大変多いので
 書かないか、非常にざっくりした感想になるかもしれません。
 …表彰式の写真だけでもいいですよね?)