全国大会あれやこれや:出張版 その7

どうも、「尋常ならざる熱意で」更新している一人です。
・・・長崎の伊藤さん、元気ですか? 私は・・・厳、幻、減、…元気です・・・。


さて、2度も原稿を消してしまってかなり凹んでいる
Web交換日記相手さんですが・・・元気出して下さいよ〜。
ぜんぱくさん、ひょっとしてブログに直接書いてるんじゃあ?
駄目ですよ!ワードでも文書ソフトでも別のところに書いて
合間合間にしっかり保存しないと!!


まだ、職場の部を書かれていないけど大丈夫かな・・・。
などと人の心配もできないほど私も切羽詰まった状況。
メール、メッセージの返信、全くできずにすいません!
今日、ようやく航空チケットを確認したぐらいでして。
…オレ、ほんとに3日後に札幌にいるのかな〜?


はい!今日も顔晴って書きますので楽しく読んでもらえますように!!




東北支部代表・宮城県
グリーン・ウッド・ハーモニー
(混声67人・11年連続の出場)



昨年で創立60周年を迎えた歴史ある合唱団、
グリーン・ウッド・ハーモニー。
毎年私は
「難しい音の曲を毎回やるけど、
 その音が合ってるのか合ってないのかわかんない!」
…などとぶつくさ言ってますが、
実はけっこう好きな合唱団なんですよ。
音が合わない理由は、団員に年配の方が多かったりね…。


まず課題曲はG1のジェズアルド。
おお、来たか〜という感じ。
去年のGWH(グリーン・ウッド・ハーモニーの略称)は
G3だったからなあ。


GWHはこの大人数で
驚くほど緻密なアンサンブルを実現することがあって。
特にルネサンスの作品でその真価を発揮するんですね。
過去に課題曲として演奏された
モンテベルディの「波はささやき」なんて、
この課題曲を演奏した一般部門の中で
(もちろん少人数A部門も含めて!)
最高の演奏をした、と後々まで語り草になっていましたっけ。
そんなわけで今年のG1も
指揮者:今井邦男先生の光る解釈を期待してしまうわけです。



さて、自由曲については・・・
…ようやく質問に答えてくれました!
GWH団員のMARさんからメッセージを頂いている、んです、が。

ほとんどがあくまでも「個人的意見」ですので、
できれば文吾さんのほうで
文章を煮るなり焼くなり
好きなように調理して載せてほしいです。
さんまのコンフィよりは
ちょっと手が込んだ感じでお願いします(笑)


あのですね、さんまのコンフィは最低2時間かかるんです!
じゃなくって。今回ホント時間無いんで、すいません
さんまはさんまでも刺身でいきます(笑)。



さて、今回の自由曲は
まずGWHがよく取り上げるシェーンベルクの2曲。
「UNENTRINNBAR(逃れられない)」
「DU SOLLST NICHT, DU MUSST(偶像を崇拝せず、魂を信ぜよ)」


この2曲をなぜ選ばれたのでしょう?

選曲の理由はですね…
念のため指揮者に確認しましたが




「やってみたら面白かったから。」


…いやはや(汗)


や、まあ、それが一番なんでしょうけどね。
今井先生もなんかお茶目だなあ(笑)。

このシェーンベルクの2曲は
「12音技法」を初めて合唱曲にしたもので、
詩もシェーンベルク自身のものです。
キリスト教からユダヤ教に改宗した、
彼の心からのメッセージが表れています。
実は指揮者が何年も前からやってみたかった曲とのことでした。


へえ〜、そんな理由が。
これは聴くのが楽しみですね。

GWHではここ数年
シェーンベルクの曲をいくつか歌っていますが、
だんだん不協和音に(聴き)慣れていくようで…
それどころか「この和音キレイだー」
とか言えるようになっちゃう(笑)
個人的には、楽譜を追っていくと
各パートとの音(並びなど)の関係がわかったりして
なんだかパズルのようで、
曲の構造だけでも十分面白いと思えます。


まあそのように興味が深まっていくのは、
指揮者が出すアナリーゼのおかげだと思うのですが…
なにも知識がなく聞いてるだけでは
「うわーなんだこの不協和音は!ワケわかんねぇぇぇ(泣)」
…で終わってると思いますし(笑)少なくとも私は。
なにげに、毎回指揮者も分析を楽しんでいるようです。
徹夜して作った、という年もありましたし。


コレ、絶対今井先生の力が大きいですよね。
GWHはそんなに「合唱命!」と見えない(失礼)
幅広い年代の団員さんが多くいらっしゃる合唱団なんですが、
それが「よくあそこまで極まっている曲を・・・」と
毎回感心してしまう曲へ果敢に挑戦しているのは
「努力・根性」だけじゃなく、
その作品の成り立ちの面白さを、
こうやってしっかりアナリーゼされてから
団員さんへ伝えているからなんだなあ、
というのがとても良くわかるお話でした。



あ、そういや自由曲3曲目は
クール・シェンヌと同じレーガーの「Abendlied」!
上西先生と今井先生の音楽の違いを聴き比べるのが楽しみです。


それでは、この札幌の全国大会に対する意気込みなどは?

今年のGWHは、
今までになく基礎を重点的に行っています。
ピッチの正確さや縦のハーモニーなど、
そりゃもう徹底的に。
指揮者が「合唱表現」の29号で
書いていた言葉を借りると
「加齢によるさまざまな衰えにどう挑戦するかという、
かつて経験したことのない難題に右往左往」
しているというところも要因の一つかもしれません。


この地道な取り組みの結果が、
本番にいい方向で出せたらいいかな、と思っています。


ほ〜う、「音が合ってるか合ってないかワカラン!」
などと文句言うヤツを黙らせるためにも(おまえだ、おまえ)
是非ともそれはがんばって欲しいですね。
MARさん、ありがとうございました!


基礎を鍛えた新しいGWHの響きと
精密なアナリーゼと光る発想の今井先生の音楽、
楽しみにしています!





さて、GWHは9年前の札幌全国大会にも出場していました。
課題曲はG1:Kyrie(Guillaume Dufay)。
自由曲は「回心の詩篇」から「4、5、6」(作曲:シュニトケ
でした。











中部支部代表・愛知県
合唱団ノース・エコー
(混声71人・10年連続の出場)




文吾  もしもし? こんばんわー。



団員  「文吾さん!久しぶりですねー。
    どうしたんですか?」



文吾  や、ブログでさあ、
    全国出場団体の紹介記事ってのを書いてるんだけど
    ノース団員である君の話が聞きたくて。



団員  「ああ、見てますよ!
    何の話をすればいいんですか?」
 


文吾  とりあえず課題曲がG2の「Rukous」なんだけど、どうよ。



団員  「そうですね、言葉がまず難しい!
    それと4パートのバランスですよね。
    でも後半の絡みなど
    かなりハーモニーに気を付けているので
    楽しんで聴けると思いますよ。


    あ、最近のソプラノが大人っぽい声になってきて
    いい感じなんですよ〜」



文吾  ホントかよ?!



団員  「ホントですよ(笑)。
    4月に名古屋フィルハーモニーと共演して
    ハイドンの『四季』を演奏したんですが
    それから意識が変わってきたと言うか。


    ソプラノだけじゃなく、
    今までだったら、すぐ前で声を合せていたのが
    一人ひとりが声をもっと前に出すよう表現し始めて
    伝えたい気持ちが前に出てきたような気がします」



文吾  へ〜〜〜。


    じゃあ自由曲の「Lobet den Herrn(主を頌めよ)」は?
    サンドストレームという
    ノースお得意路線の現代北欧作品だけど。
    …かなりの難曲だよね。


    
団員  「そうなんです・・・。
    2群合唱でクラスターもあって。
    最後は明るく華やかに『ハレルヤ!』ってね。


    ・・・や、リズムにはみんな、か〜な〜り苦戦しました・・・」



文吾  (笑)。



団員  「だから暗譜もすごく大変で。
    中部大会を暗譜で歌って全国出場を決めた打ち上げで
    『ここまで自分たちを褒めてあげたい年は無いね!』
    …と、みんな感動でウルウルしたくらいで。


    まあ、難しい曲だけど歌ってて楽しいですよ!」



文吾  どうもありがとう〜。
    …他になにか変ったこととかない?



団員  「変わったことですか・・・。


    あ。僕、○○さんと結婚するんですよ。
    ノースのみんなには全国の打ち上げで発表しようと思って。
    内緒ですよ(笑)」



文吾  なにーーーーッ!!!




(※そんなわけでこのブログを見ている他のノース団員さん。
 この団員さんが誰かわかってもバラさないように!)



自由曲のサンドストレーム「Lobet den Herrn(主を頌めよ)」は
J.S.バッハの同名曲のモテットの旋律をモチーフにしています。


ノースの演奏を聴く前にこの旋律を憶えておくともっと楽しめるかも。



□□くん、○○さん結婚おめでとう!ハレルヤ!!




さて、合唱団ノース・エコーは
9年前の札幌全国大会にも出場しました。


課題曲はG4:走る海(廣瀬量平)
自由曲は「I Will Praise Thee,O Lord」
    「If You Receive My Words」(Nystedt)でした。



・・・このノースのプロフィール、なーんか気に障るなあ。
上手いこと書こうとしてるけどスベってると言うか・・・。
誰が書いたんだっけ?



あ。




・・・俺だった・・・。(実話です)










一般Bの部、前半最後の団体は・・・



中部支部代表・愛知県
岡崎混声合唱団
(混声83人・6年連続の出場)



岡崎混声、昨年と同じ出演順!
名門:岡崎高コーラス部が母体のこの合唱団。
HPを見たら小林研一郎氏の指揮で
名古屋フィルハーモニーと
モーツァルトのレクイエムを共演していたり、
コンクール以外でも活発な活動をしていますね。


課題曲は岡崎高と同じG3:「風」。
自由曲は「Her Sacred Spirit Soars」(Whitacre)
「El Hambo」(Mäntyärvi )。


あれ、このウィテカーとマンテュヤルヴィの組み合わせって
曲は違うけど岡崎高と同じ・・・。
まあ、静 → 動 でわかりやすい曲の流れですしね!
(そういやアンサンブルVineも同じ組み合わせ…)


ウィテカーは特有の幻想的な和音が寄せては返す美しい曲。
この響きをずーっと維持するのはさぞかし大変だろうなあ…。
それでも素晴らしく練習を積んだ演奏を聴かせてくれる
岡崎混声ならきっと良い演奏でしょう!


マンテュヤルヴィは昨年、アンサンブルVineが
名演を聴かせてくれましたね。
岡崎混声のハジけっぷりも期待です。




16分の休憩後、15時半から一般B後半の部が開始です。



関東支部代表・神奈川県
湘南はまゆう
(女声36人・2年連続の出場)


昨年初出場の、おかあさんコーラスでも定評のある団体。
Combinir di Corista指揮者でもある松村努先生の指揮。
昨年の自由曲は同じ詩を2人の違う作曲家で…というステージと
ツボが的確な松村先生の音楽に
「やるな!」と思わせるものだったので、今年も期待です。


課題曲はG3:機織る星も、
松村先生なら「若い頃への単なるセンチメンタルな想い」
のような印象には決してならないでしょうし。


自由曲は・・・おお、信長貴富先生への委嘱曲「鎌倉」。
文部省唱歌の編曲らしいんですが、
どんな曲だったんでしょう。
関東支部レポーターの鱸さ〜ん!

湘南はまゆうさんは、去年に続いての出場。
去年は、全国おかあさんコーラス大会入賞の勢いを感じましたが
今年は、県大会から余裕を感じさせるうまさでした。
(本当にママさんコーラスなの?という感じです)
課題曲はやっぱり「機織る星」ママさんの定番なんでしょうか?
指揮は去年全国で衝撃デビュー(笑)を飾った
Conbinir di Coristaの松村努先生
昨年のコンビニも課題曲G4の出来が出色でしたが
今年のはまゆうさんの課題曲もいい出来です。
浜松フラウエンと比べると本当におもしろく聞けます。
テンポ設定が従来の高田作品と比べると若干早め
でも、決してさらさらと流れるだけの音楽にならず
曲が進むにつれ
織女の願いと哀しみが空気として伝わってくる
さすが松村先生!ですね。


自由曲の「鎌倉」は文部省唱歌の
「七里ヶ浜の磯伝い、稲村ヶ崎名勝の」
と歌われる曲のアレンジです。
曲調は暗く、
一歩間違えると退屈な曲になってしまうところを
集中力を切らさず歌いきっていました。
(信長先生もよくこういう曲書くなあ・・)
ママさんってすごいなあ・・・て言うか、全国出た自信が
こういう演奏させるんでしょうね。
(なにしろ、少年少女を食っちゃった訳ですから
 小田原もすごい演奏だったのですが、
 ママさんの気迫に負けました?)

鱸さん、毎度のことながら本当にありがとうございました!
もう、私からは何も書くことが無いんですが、
はまゆうHPからリンクしてある団員さんのブログが
歌に対する愛情に満ち溢れていて良いんですよ〜。
引用させてもらいます!

この年齢で、この人数、女声で、しかもこの曲。
全国大会ではかなり特殊な部類に属するはまゆう。
でもこの「鎌倉」なら、臆することなくのびのびと歌ってこれる。
もちろん歌う上での緊張感はたくさんたくさんあるけれど、
手塩にかけて愛情を注いだ曲を、
札幌まで行って歌えること自体が無上の喜びだ。
こんなに単純でシンプルなのに、こんなにいい曲がある、
ということが伝えられたら幸せ。
客席と感動を分かち合う一体感・・・
コンサートのときのような瞬間が味わえたらいいなぁ。

「機織る星」も「鎌倉」も、いったい何回歌ったことだろう。
いくら歌っても、まだまだやることがたくさんある。
ひたすら進化している!
あれ、前やったことをわすれている・・?
前にやったことといっても、
あらためてこんなことだったんだと思えたり、
収穫がたくさんある。
繰り返し繰り返していく中でしか発見できないこと、
ひたすら刷り込んでやっとできるようになること、
たぶんこういうものが、ほんとうに血となり肉となるのだろう。
いい練習をたくさんして、心の震えるようないい歌を歌いたい。


・・・ひたむきさは、学生だけの特権じゃないよね。
応援しています、湘南はまゆう!







さて、我が地元岡山からの団体ですよ。


中国支部代表・岡山県
合唱団こぶ
(混声38人・初出場)



初出場おめでとうございます!
合唱団こぶの前身は
岡山県総社市にある総社東中のOB合唱団として1992年に創立され
団員が総社東中だけでは無くなったので
「合唱団こぶ」に改名して今に至ったようですね。



・・・しかし、なぜ「こぶ」?
イメージ検索しても「GOUGE」以上に
不毛な結果しか出ませんでした。(するなよ)


課題曲は一般の部でこの団体だけが演奏する
G4:「歩く」(谷川俊太郎 詩・広瀬正憲 曲)
そして自由曲は同じく谷川俊太郎氏の詩、
松下耕先生作曲「今年」。


私は3年前の中国大会以来、こぶの演奏を聴いていませんが
その時は若々しい声と感性が光る印象でした。
演奏会にも高嶋昌二先生を客演に迎えたり意欲的な団体ですね。



中国支部の中学・高校は島根県勢が非常に強く、
この総社東中も全国大会に進んだことは無かったのでは?
(もしもあったらごめんなさい)
今年の出場団体を見ればお分かりのように、
母体が全国大会常連校のOB・OG合唱団が並ぶ中で
一度も全国を味わったことのない中学生が
自分たちの学校以外にも仲間を集め、
念願の全国大会へ進む・・・ちょっとイイ話じゃないですか。



ここで苦言を思い切って書いちゃうと、
3年前の印象では
「音楽の幅が所詮中学生だな〜」という感じだったんです。
指揮の先生も、音楽は合唱、
しかも中学生の合唱しか聴いていないような。


それでも、広島の「合唱団ある」団員さんで
「創立して4、5年ごろの『ある』を思い出す!」などと
強く応援している人たちがいて。
私が聴いていない3年間でさらなる成長があったのでしょう。


全国大会という貴重な機会、
どうか若い感性が多くのものを吸収してくれることを願って。
一般Bは…淀川混声くらいからしか聴けないか〜。
前日の一般Aの部も全部聴いて下さいよ!こぶのみなさん!!



自由曲の「今年」は、


涙があるだろう
今年も涙ながらのうたがあるだろう


…で始まる、1年を生きることでの普遍さを記し、
生の肯定へと繋いでいく詩。


今年もあと一月あまり。
「こぶ」の感性と歌が、過ぎ去った月日と
これからの未来を力強く肯定してくれることを願います。





東北支部代表・宮城県
宮城三女高OG合唱団
(女声90人・2年ぶりの出場)



母体が名門:宮城第三女子の・・・って団名見ればわかるか(笑)。
宮城県第三女子高等学校音楽部は今年も全国出場で金賞受賞。
現役生も120人と多いのですが、
OG合唱団も90人と一般の部では最多人数。
昨年はベルギーで行われた
「青少年のためのヨーロッパ音楽祭」で最高賞を受賞。



私はこのOG合唱団、聴くのは4年ぶりですが
明るく輝く、若さはじける声と、
桑折金三先生のダイナミックな曲作りが印象に残っています。


課題曲はF4:ほたる たんじょう。
自由曲は無伴奏女声合唱のための 「秋-相聞」(高嶋みどり)。

宮城県第三女子高校音楽部のコンクール自由曲のために委嘱された作品。
2006年の宮城県合唱コンクールにて初演され、
全国大会でも金賞を受賞した作品である。
万葉の女流歌人額田王仁徳天皇の皇后であった
磐媛皇后の2種の恋の歌(相聞)をテキストにした単一楽章の作品。


(カワイ出版HPから引用)


現役時代にも歌った団員さんがたくさんいるんでしょうね。
「恋の歌」ではありますが、
曲からはそれほど甘い雰囲気は感じられず、
日本の伝統音楽の雰囲気を漂わせつつ
「うねり」のような声の波が迫力の曲です。


きっと、kitaraを三女パワーで満たすことでしょう!




(続きます)