「いかに私は全国大会へ遅れゾリステンを聴けなかったか」



<9月某日>


「では、こちらの便でお取りするということで」
「・・・は、い・・・」
旅行会社男性社員の電話に、迷いながらも肯定の返事をした。
まさか、2か月以上前なのに、
一般Aが始まる直前にしか札幌へ間に合う便が無いとは。


大阪まで行って関空から札幌へ向かう便も考えた。
しかしちょうど良い便が残っているとはあまり考えられず、
何より東京乗継とは言え「岡山・札幌間、ホテル1泊付き」で
○万円はかなり安値のはずだ。
これ以上高くなってしまうと結構サイフが苦しい。


「…こりゃ、何かあったら、確実に遅刻だな・・・」


そう、この時はまだ楽観視していたのだ。
まさかその「何か」が起こるとは!



そして月日は流れ札幌へ向かう日。
<11月21日土曜日午前9時>


カウンターのお姉さんから航空券を渡されるときに
「札幌上空は現在雪の影響で、
 飛行機に遅延の恐れがあります。
 そのことをご了承の上、お乗りになられるということで
 よろしいでしょうか?」との言葉にビビる。


んなこと言われてもいまさら!
とりあえず飛行機が遅れないのを祈るばかりだ。




<11月21日土曜日午後12時>


羽田空港へ無事到着。
30分しか乗り継ぎの時間が無いため。
札幌へ乗り継ぎ組おっさん4人はバスに乗って
札幌行きのゲートへ向かう。


ゲートに着くと、あれ?あの姿は・・・。


「山本さん!」
なんとMODOKI指揮者:山本さんとここで会うとは。


「飛行機、遅れないといいですねー」などと会話し、
機内へ乗り込む。
12時30分より少し遅れ、出発。
(手荷物検査で遅れた女性2人がいたということ。
 みなさん!ゲートへは余裕を持ってね!!)



(…遅れませんように、遅れませんように…)


と祈りながら約1時間半のフライト。
願いが通じたのか、午後2時過ぎに無事札幌へ到着。


やったー!


これで午後2時18分発札幌行きの快速エアポートに乗れば、
札幌まで所要時間35分。
札幌駅南口からタクシーで約10分。
…ギリギリ、午後3時15分開始の
一般Aの始まる時間に間に合う!



座席の関係で先に飛行機を出て
改札口へ向かっている山本さんから電話が。
はい、自分もすぐ向かいます!
よし18分の列車に間に合うぞ!!




<午後2時15分>


改札口で私が見たものは・・・。
人、人、人、で非常に混み合っている改札口だった。
・・・なんだ、これ・・・。
山本さんの姿を見つけ、情報を待つ。


・・・なんでも桑園駅で発生した人身事故の影響で
列車が遅れているのだとか。


なっ、なんだよ〜〜〜、飛行機は遅れなかったのにJRが!
しかもこんな時に人身事故!!



定刻の18分を過ぎても列車は動かず。
満員の列車が動き出したのは14時半を過ぎてからだった…。



もちろん座れず、立ったまま車窓から懐かしの札幌の風景を見たり、
近くにいたグリークラブ香川団員さんと山本さんの会話を聴きながらも
心は上の空。


これで1番目の団体の
ゾリステン アンサンブルは聴けないことが確定してしまったが、
その後の団体は・・・。



「…せめてシェンヌは聴きたいなあ・・・」と山本さんがつぶやく。


そうだ!ゾリステンの後はフィオーリ、そして3番目の団体が・・・
クール・シェンヌだ!!
このまま何事も起こらず進めばシェンヌには間に合いそうだが。



次々と目の前を通り過ぎていく駅名。
恵庭、北広島、新札幌・・・よし!次が札幌!
山本さんが
「…なあ新“札幌”って名前なんやから
 ここからタクシー乗ってキタラへ向かうのはどうなんや?」


…うーん、新札幌、と言ってもけっこう札幌の外れですからねえ。
このまままっすぐ札幌へ向かって
タクシー拾った方が早いと思いますよ、と答える。


そして新札幌を過ぎ、札幌へ無事到着。
と思ったがそうは問屋が卸さなかった!


札幌駅直前で「列車乗り入れのため」停止。


こ、ここで止まるのかぁ〜〜〜!!!
外は見慣れた札幌のビル街だと言うのに。
時刻は午後3時を回ろうとしている。あああ。
焦るが何も出来ることは無い。じっと待つのみ。


…10分ほど過ぎ、ようやく列車が動き出す。




<午後3時20分>


ようやく札幌駅到着!
「南口でタクシーおさえときますんで!」と山本さんに言い
走ってタクシー乗り場へ向かう。



それほど乗り場には並んでおらず、山本さんとタクシーへ乗り込む。
「急いでるんです!」と運転手さんに言うと、大きく回り道を。




<午後3時35分>


キタラ到着!
しかしホール入口から少し離れている!
山本さんを見ると
「俺にかまうな! 行ってくれ!!」「はいーーーーッ!!!」


ええ、本当にあの時は申し訳ありませんでした山本さん。
私はヒドイ奴です。
「すいませーんっ!」と言い残し、ひとりホールへ走る私。




? ちょうどホール入口から出てくる団体に見知った顔がいくつも・・・。


ゾリステン アンサンブルのみなさんだ!
走りながら指揮者の西さんにあいさつをし、
「すいません!今来たんです〜」と言うと
団員さんから「えーっ!?」と非難の声が。ごめんなさいごめんなさい。



チケットを渡し、プログラムを受け取り、
扉の前で息を整えながらスピーカーから流れるフィオーリの演奏を聴く。



待ちながら、私は自分を省みた。
やっぱり遠距離の移動は余裕を持たなきゃダメだ!
聴けなかったゾリステンのみなさん、
本当に申し訳ありませんでした!深く深く反省してます。
これからは余裕を持った行動を心がけます!!



やがて聴こえる拍手とともに開けられる扉。


さあ! シェンヌの演奏だ!!




<11月24日札幌の最終日>



さて、岡山へ帰る札幌最終日の火曜日。
人気ラーメン店で行列をし、かなり時間をロスした私は
「飛行機の出発12分前」に空港へ到着することに。





・・・全く反省してねえ・・・。




(完)