「おとなの合唱団への脱皮」の難しさ


前回
「おとなの合唱団への脱皮」と言いますが
なかなか難しいんじゃないのかな〜ということを
次回に書きたいと思います。


と書きましたね。
まず、ここでは中学校、あるいは高校の部活と仮定して、
さらにその先生(指導者)が
過去に一般合唱団へ所属した経験がほとんど無いとしましょう。




1)選曲


高校生の選曲ならともかく、
中学生の合唱曲は一般合唱団の選曲とかなり隔たりがあると思うわけです。
特に混声なぞは。


そういう「中学校合唱曲」を主として探してきた先生が
「さあ!一般合唱の世界にも目を向けて!」と言われ、
すぐふさわしい曲を探せるでしょうか?


逆に考えて、一般合唱団を専門に指導してきた指揮者が
「中学校の混声合唱団にふさわしい曲を」と請われ
すぐに条件を満たした曲を提示出来る方がどれくらいいるか疑問です。


そりゃあトップレベルの中学生なら
バリバリ混声4部なんかを歌っちゃいますけど、
変声期前の男子生徒が入っているいわゆる「混声3部」の曲を
それぞれの合唱団の個性、技術にあわせてすぐ差し出せるか?


逆に考えると、意外と難しいことを要求している気がします。





2)一般合唱団のノウハウはどこから?


「おとなの合唱団への脱皮」をしようと思って
「さあ脱皮するぞ!」…で、すぐ脱皮できるワケは無いですよね。
理想とは、気の遠くなるほどのディティールの積み重ねだと思います。


例えば中学生や高校生の毎日練習する部活動が、
カレーの作り方に例えるなら何時間も玉ねぎを弱火で炒め、
そしてさらに何時間も煮込む作り方なら、
「おとなの合唱団」では「電子レンジで作る15分チキンカレー」
作り方が必要な場合がある。


・・・じゃあ、その作り方をどこで学ぶんでしょう?
先生が過去に一般合唱団へ所属していた、とか
現在一般合唱団へ所属しているならそのノウハウを応用出来ますが
縁が無い先生だと、
そういった時間の少ない中で効果を上げる方法を
(あるいは団員が集まる練習以外の自主練習の方法を)
なかなか学べない可能性がある。





3)唯一絶対神の「先生」と、対等な関係の「指揮者」


いやいや、団員が別の一般合唱団に所属して、
そのノウハウをOB合唱団へ還元すればいいんじゃないの?
という意見もあるでしょう。


でもそれって簡単なことなのかな?
一般合唱団だったら指揮者の先生は、
もちろん音楽的に上の位置にいますけど
団員が全く先生へ意見を出せない、ということはあまり無いのでは?
(もちろん一般合唱団にも色々あって
 絶対君主みたいな指揮者の一般合唱団もあるでしょうが)


しかし、いわゆる「部活」だと「先生」の指示には「ハイ!」と
間髪入れず従うイメージがあります。
もちろん「部活」も色々で、
先生と対等な立場で音楽を作っていく部活もあるのかもしれません。


それでもやはり年齢、そして音楽経験といったものからして
本当の意味で対等の立場になるのは難しいのではないでしょうか。
それは中学の部活がより難しそうです。



そして、仮にそのOB合唱団の団員が
他の一般合唱団のノウハウをOB合唱団へ取り入れようとしたら。
・・・あまり好意的に迎えられなさそうなイメージがあるんですよね。
もちろんその団員さんがそのOB合唱団で
どれくらい実力・発言力を持っているかどうかにもよりますが
唯一絶対神の「先生」が教えてきた今までのやり方を壊すように捉えられ、
あまり歓迎されないのではないかと想像します。
少なくとも様々な経歴の団員が集まる一般合唱団より
新しい練習方法を取り入れるハードルはかなり高いのでは。




ざっと考えるに、「おとなの合唱団」への脱皮には
こんな難しさがあると思います。



(次回へ続きます)