コーラスガーデン IN SAGA レポートその4


3月21日(日) コーラスガーデン2日目
(イトウさん、感想最終回お疲れ様でした!&ありがとうございました!)


単独で出演する合唱団は午前10時前から練習ですが
合同合唱に参加するだけの私はホテル近所でとんこつラーメンを食べ、
ゆっくりと13時直前に文化会館へ。




大ホールでクール・シェンヌ指揮者:上西一郎先生によるリハーサル。
曲はBruckner「Christus factus est(キリストは我らの為に)」。


そう言えば上西先生の指導も、
観るのも受けるのもこれが初めて。


さて、上西先生の指導ですが一言でいうと
「無駄が無い!」 これに尽きます。
指示のひとつひとつが的確で、
かつ分かりやすく具体的です。
世の中には抽象的なイメージを滔々と語って己の世界に陶酔する…
なぁんて指揮者もいらっしゃるようですがそんな事は一切無い。


上西先生の指導はその点「これをやればいいんだな」
というのが歌い手に大変分かりやすい。
その内容も非常に納得が行くものです。


その場の感性で演奏者と対峙する指揮者もいらっしゃいますが
もちろん上西先生にもその面はあるにしても、
(私ごときがこんなことを書くのはおこがましいですが)
それ以上に
「…よく考えてこられたのだろうなあ」と思う練習内容。


この「Christus factus est」が音楽として成立する要素を考え、
要素の優先順位をさらに考え、
その指導法、伝えるべき言葉をさらに深く考えた、そんな印象。



練習の進め方も大まかに流すこともなく、
1小節ずつ着実に進み、ある程度出来るようになったら
ブロックごとを通し、それに納得が行ったら、次の小節へ・・・。


例えるなら
「堅牢な石をひとつずつ積み上げる音楽」です。
シェンヌの演奏を聴いて受ける印象の
「がっちりした、確固たる、王道を行く演奏」は、
なるほどこうして作られるのだなあ、と
思わせるに充分な指導でした。


練習前半の途中で1小節ずつ進む、
ややスローペースな進行に「大丈夫かな?」と
少し不安を感じたのですが
休憩を挟んで、上西先生もややくだけた雰囲気になった後半。
終わってみると特に急いだ記憶もなく、
どの部分も満遍なく練習した充実感に満ちながら、
しっかりと最後まで通した約2時間の練習だったのが、さすが!でした。








続いて「合唱団ある」の福原先生による
Faure「Cantique de Jean Racine(ラシーヌの雅歌)」などを
見学しているうちに体に異変が。
…寒気が止まらない!


本来なら「Special Pass」の強みを活かして
講習会やその成果発表会のレポートをするべきだったんですが・・・。
大ホールの客席でコートをかき抱き、ガタガタと震えていました。
それでもウィステリアの照明リハなどを見学しているうちに
体調もなんとか戻り。


18時からの山本さんの女声合唱リハを見学し。
(…後で考えると、
 ここは伊東さんの男声リハを見学するべきだったよなあ)



19時半からふたたび雨森先生の「Agnus Dei」のリハーサルです。
単独で出演する合唱団の団員さんは
12時と17時からそれぞれ1時間の休憩があったと言うものの
移動時間や次の準備を考えると午前10時前からほぼ歌いっぱなし。
しかも昨日から参加した人がいるのはもちろんのこと。
だいたい本番は明日なのです!
・・・会場を見渡すと、気怠い、疲れた空気が漂っています。


そんな空気を読んだのか、雨森先生。
「みなさんお疲れ様です! ・・・歌いたくないよね(笑)」
会場が笑いで沸いたところに
「Agnus Deiの原曲である『弦楽のためのアダージョ』を聴いて欲しい。
 残念ながら初演(1938年)では無いのですが、
 初演の4年後の演奏で、
 初演と同じトスカニーニの指揮、NBC交響楽団の演奏です」


ノイズが混じる古い録音の演奏が流れ始めます。
…おお、誰もいないステージなのに、自分たちのパートになると
前のめりになって力強く弓を動かす奏者の姿が浮かんでくるよう。
熱い!なんて熱い演奏なんだ!!


「調和とか、お互い聞き合ってとか、そういう音楽ではなく、
 メロディが来たら
『俺たちの番だー!』…と、弾きまくるような、ね・・・」


これでまた空気が変わり、歌い手に火が入りました。
熱い練習が21時まで続き、
そして山本さんのアンコール練習が21時45分まであり、
本日の練習は終了!
みなさまお疲れ様でした〜。



さて、22時も過ぎて「非公式だけど公式」飲み会にも
20人を越える人数が集まり、
遅れて伊東さんや山本さん、松前先生などの指揮者陣も合流。
(かすれ声の山本さんは
 「明日の本番はずっと司会なんで申し訳ないけどお先に!」と中座を。
 しっかり体を休めて下さい!)


MODOKIの団員さんはもちろん、
MUSICA FERVIDAやスプリッツァーの団員さんや
古くからの知り合いとも話せて楽しい飲み会でした。


さあ、明日は本番だ!




(つづきます)