コーラスガーデン IN SAGA レポートその9


・・・長らく間が空いてしまいました、すいません!
せめて単独合唱団演奏の感想だけでも終わらせ・・・たいなあ。




大分ウイステリアの次の団体は京都から来た


合唱団「葡萄の樹」。


伊東恵司さんが指揮をする合唱団です。
コンクールへ出場する「アンサンブルVine」のメンバーの多くが
この合唱団の団員ということだったかな。
(プログラムにも書かれていましたが「葡萄の樹」自体は
 コンクールには出場していないそうです)



会場に、若い声が響きます。
武満徹の名曲「翼」
ピアノが珍しく伴奏に。(誰のピアノ版だろう?)
ニゾンの歌から合唱へ。
その澄み切った、クリアな音と響き。
「風よ 雲よ 光よ…」
高く広い青空の下にいるような、気持ち良さを感じさせる演奏。


葡萄の樹は今回女声23人、男声17人。
この団体も初めて聞いたのですが
やや会場の響きがつかみきれなかったのか
Vineと比べ、少し声が伝わらないというか
「全員が歌っている」感があまりしない印象もありました。
しかし、京都らしい上品さとでも言うべきでしょうか、
押し付けがましい表現ではなく、
どれも聴く者を静かにさせるような世界を表出して。


続いてのグリーグ「Varen」


そしてアルゼンチンの作曲家というユパンキ「Duerme Negrito」
軽快なリズムでパーカッション、
クラベスなどの鳴り物を使っているのに
決して雑な騒がしさなどではなく上品さを感じさせる演奏。



アメリカ民謡の「Shenandoah」
ネイティヴアメリカンの言葉で「星々の美しい娘」の意だそう。
(…初めて知りました)
両側にそれぞれ女声と男声に別れ、
女声が男声へ向かって歌い、
その返歌?として男声が女声へ歌う。
男女、声が合わさるコーラスになってから
立ち位置もお互いに近づき、重なっていく・・・という
昨年の全国大会でのVine演奏で教えてもらった
「愛の隠しテーマ」があるのかな?と
いろいろ想像してしまうような演出。



そのテーマを繋ぐようにそれぞれ対となった男女での
すみれの花咲く頃
ブラームスの子守唄に、
長田弘氏の詩による信長貴富先生の曲が組み合わされた
「日本語のうたとドイツ語のうたとの融合
(というよりむしろせめぎ合い)」と紹介されている
新曲の「Wiegenlied/樫の木のように」



最後の曲は
バスク地方の民謡をブストが編曲した
「Axuri beltza」
少女の踊りというコンセプトで書かれた曲、
そんな紹介が納得できるようなリズムの楽しさに満ちた
軽やかで爽やかな曲と演奏。
どこまでも濁らず、知性を感じさせ、
静かな世界が包んでいるのに心と体のどこかで高揚を感じてしまう…
Vineの演奏と共通した
強烈ではないのに不思議に印象に残る、
他の合唱団とは明らかに異なる個性を持ったステージだったと思います。




(つづきます)