コーラスガーデン IN SAGA 番外編「ふるかわ」


さて、コーラスガーデン感想も単独団体はひとつを残すだけなんですが
ここでちょっと寄り道を。(まだ引っ張るのか!)



コーラスガーデンレポートその3で寝坊して
佐賀女子のコンサートに行けず、
その後レセプションに参加、と書いたのですが。
http://d.hatena.ne.jp/bungo618/20100402/1270159928


寝坊して19時半に起き、
20時半のレセプションまでの間に
実はあるところに寄っていたのです。


太田和彦の居酒屋味酒覧―精選173

太田和彦の居酒屋味酒覧―精選173

居酒屋味酒覧第二版



佐賀県で唯一紹介されている店「ふるかわ」。
読んでみると・・・大好きなビール、エーデルピルスを出してる!
さらに。合唱関係で地方のあちこちへ行きますが大人数の宴会だと
その地方の名物などはなかなか食べられないもの。
「ふるかわ」はそういう名物を出しているよう。これは行かねば!



ホテルから歩いて約10分。
・・・えー、フィリピン系のお姉さんが
盛んに声をかけてくる界隈に突入しました。
「オニイサン、オニイサン!」
えーいやかましい、あなた達のような妹を持った覚えはないわ!
そんなかなりアヤしい雰囲気です。
住所はこの辺でいいのかな。
・・・うっ、薄汚れた雑居ビル。ここかあ?!
2階へ上がって。





「ふるかわ」入り口。うーむ。




おそるおそる中へ入る。「すいませーん」
あー、お客が誰もいない。ひょっとして失敗したかなあ。






あれ、でもカウンター7席、
8人ほどでもキツそうな小上がりと狭い店だけど
カウンター後ろの磨かれたガラスの保冷庫にいっぱいの日本酒、
並ぶ旨そうな大皿料理、とくたびれた感じがしない。




人の良さそうなおじさんが奥から出てきて笑顔で
「いらっしゃいませ」。
えーと、エーデルピルスを下さい。
あとはカウンターの料理から見つくろってお願いします。




グラスにエーデルピルスが丁寧に注がれて目の前へ。
泡の割合といい、専用のグラスといい、良い景色だなあ。
なんて思う間もなく一気に半分ほど飲んでしまいます。



「―――…ッ!!!」 (ウマイ!)


グラスを改めて見ると、きちんと洗って乾燥させた証として
泡がリング状でグラスに残っている。おーっ。




感心しているとさらに料理の数々が。



いそぎんちゃく、タケノコの煮付け、
めかじゃという有明海で採れる貝のようなものなどなど。
(貝ではなく触手動物腕足類の仲間、だとか)
おお、こういうものを食べたかったんだよなあ。


口に含むと。
こういう大皿を並べている店は
濃い目の味付けで酒を飲ませる料理が多いものだけど
上品な味付けで素材の味が伝わってきます。
出汁がすっきりして、甘みもしつこくない。
(後で聞いたところ、「ふるかわ」は砂糖を一切使わず
赤酒という熊本地方の甘みのある酒を使っているとか)


これは・・・良い店じゃないか?!


エーデルピルスの2杯目を頼むと
ちゃんと新しいグラスに注いでくれるし。
注いでいる間にも
「数年前までエーデルピルスを出しているのは
 中国地方から西側ではこの店だけだったんですよ〜。
 サッポロビールの担当の人が苦労してねえ・・・」
(現在でも佐賀県ではこの店だけだとか)


私が岡山在住なことを話すと
廃業した岡山の酒蔵の話を愛情込めて語ってくれる。
料理といい、ビールといい、日本酒といい、
驚くほどのこだわりがあるのだけど決して自慢気じゃなく
ひょうひょうとしている。
(そしてそのこだわりの多くはこちらから尋ねないと
 ご自分から話すことがない!)



むう、良い店だ。
唸ってばかりではいられないので今度は日本酒を頼みます。
すると着物姿の女将が。
こちらはやや気の強そうな、
江戸風に言えば「ちゃきちゃき」とした気持良さがある方。



ええっと、何にしようかな。
あ!好きな青森の「田酒」がある!
じゃあ田酒と同じタイプの佐賀の地酒をお願いします。




心得ました、と頷き出された日本酒は「特別純米・宮の松」。


おっ!スッキリしてやや辛口の味は私のストライク!
これは好みだ〜。
純米と書かれていますが吟醸みたいですね?


「はい、精米歩合が◯◯%で…」
うわあ、やっぱりこちらから尋ねないと言わないんだ!





やがて届いた刺身盛り合わせに手を付け始めて時計に気づいた。
やばい!レセプションが始まってる!!


すす、すいません!必ずあと2時間後に来ますから!
と残った刺身を保存してもらいタクシーを呼んでもらい勘定を。


タクシーでレセプション会場へ乗り付け、
まずはCAお姉さまの横へすすすっと移動し。


M姐さん、2次会の会場が決定しました、と耳打ち。


「えー?! 私、このレセプションの前に
0.5次会してるんだけど!!」


いやいやいやもう絶対のお勧めですからホントにホント、と口説き倒す。


んもう、と言われながらもなんとか了承してもらい
他の方も誘ってもらう。


そしてレセプションが終わり集まったのは・・・7人?!
どうしてこうなった、というかさすがですCAお姉さまズ。
2台のタクシーに分乗し、ふたたびふるかわへ。


「このビル?!」と分かりやすい反応にニヤリとし
まあまあ、と背中を押します。
カウンターをすべて埋める7人。
…素敵な光景だなあ。


「お久しぶりですね」との店主さんのギャグをかわし
ふたたびエーデルピルスで乾杯!
そして料理をつまむ頃には
CAお姉さまたちの目が輝いていることに気が付きます。
…分かりやすい人たちだなあ、大好きだ!


今度は日本酒を中心に、と女将さんにお願いする。
先程の「宮の松」を冷やで飲んだ後、
女将さんのお勧めで今度はぬる燗にしてもらいます。


おおっ「宮の松」、冷やの時は爽やかな魅力があって
喩えるなら女子高生の佐賀女子だけど、
ぬる燗の方はふくらみと柔らかさが出てきて
これは女声合唱団ソレイユだな!



(…などと日本酒を女性に喩えるのは
太田和彦さんもされていますが
女性の横で実際に口に出すと
大変冷ややかな目で見られる場合があるので自重しましょう…)



お燗の名手でもある女将さん。
同じ酒で冷やと燗の味の違いを教えてくれるだけではなく、
日向燗、人肌燗、熱燗などそれぞれの温度にふさわしい
違った酒を燗して出してくれる。
またその旨さと味の豊富さと言ったら!
や〜、程良く温まった日本酒と旨い肴は
本当にリラックスできますね。
日本人で良かった〜。


隣ではCAお姉さまズが「この野菜、美味しい!」と叫んでいる。
なんでも野菜も自家製だとか。


すっかり気に入ったお姉さまは「明日も来たい!」。
残念ですね〜、この店、日曜は休みなんですよ。
「え〜」


それを聞きつけた女将さん
「いいですよ、開けましょう、明日!」


…えっ? で、でも明日は練習があるから
私たち、22時以降じゃないと店に来れないんですよ?!


「遅くに店を開ければ済むことですから。
せっかく遠くからいらしたんだし…」


歓声をあげるお姉さまズ。
あー、良かったですねえ。
それにしても良い店だ・・・よいみ、せだ、な、あ・・・。


(気づくとホテルのベッドに転がってました。
 だから睡眠不足で深酒すると…。
 お姉さまズにおそるおそる後で聞くと
 「え? 意識なかったの? 別に大丈夫だったよ?」
 ・・・良かった)


そして本来は店休日の日曜日。
約束通りに店を開けてくれ、
昨晩の倍以上の人数で大宴会だったようです。
うーむ、つくづく良い店だ。





「いい酒、いい人、いい肴」は太田和彦氏が
良い居酒屋の条件として挙げているもの。
佐賀の「ふるかわ」は間違いなくこの3つを満たしている名店です。


また「ふるかわ」へ行くためだけでも佐賀に行きたい、
本当にそう思わせる店でした。
みなさんも是非どうぞ!



(日曜日、別の宴会に出ていた私は
 最後の方にだけ「ふるかわ」へ顔を出したのですが。
 …えーっと、なぜ昨日とは違って大将、女将さんから私
 「坊ちゃん」呼ばわりされてるの?
 「皿洗いしてくんでしょ?」とか言われてるの?
 意識失ってからやっぱりなんかあった?!)





ふるかわ
〒840-0812 佐賀県佐賀市愛敬町3−7
0952-26-6380
営業 17:00〜24:00  日曜・祝日休
カウンター7席 小上がり8席
佐賀駅より徒歩10分