全国大会高校B部門感想


続いて高校B部門の感想。
(高校名の検索で来られた方は、どうか
 「頭がオカシイ奴がなんか間違ってる感想書いてるなー」
 …ぐらいに思って読んで頂ければ幸いです)


A部門で感じられたような言葉への無神経さ、
音楽の持続が足りない部分などの印象はやや薄らぐことに。
人数が増えることで先輩から継承されるものの増加、
表現として欠点が隠されるものがあるのかな?



ただ、A部門と違って
上位グループと下位グループの実力の差を激しく感じることに。
銅賞の多くの団体は音楽以前に発声が練られていないのが残念でした。
いかに素晴らしい音楽を持っていても
伝えるべき手段《声》が磨かれていないと伝わらないんだなあ、と
改めて思ってしまいました。



それでは印象に残った団体を。
(金賞団体は例によって少し辛口に…)



福島県立会津高等学校合唱団(銅賞)


この団体の銅賞はAB部門あわせて一番意外な結果でした。
ハーモニー誌の座談会が楽しみです。勉強させていただきます。
会津高校と言えば私の中では男声合唱のイメージが強いんですけど
(実に20年ぶりの全国出場とか)
そのイメージを裏切らない、鍛えられた男声29人。(女声は46人)
テノールに特に知性を感じました。


課題曲G2はそのサウンド、音色の素晴らしさ。
そしてサウンドから浮かび上がる「歌」との対比。
フレーズの収め方なども良く、
山ノ内先生という女性指揮者のセンスがいいなー、と感心。
自由曲:鈴木輝昭「源氏幻奏」より「夕顔」でも
曲の開始から輝昭サウンドを見事に表現し
音の柱とも言うべき音響世界を造り上げていました。
難を言えば聴き合いすぎて音楽に推進力が無かったかな。
(でも自由曲は「たゆたう」感覚が魅力の曲だよねえ)
ゾクゾクさせる瞬間が何度もある非常に良い演奏でした。




星野高等学校音楽部(銀賞)


女声125名という今大会最多の人数。
課題曲F3は硬質の声で言葉を軽く明るく。
音楽の流れがしっかりしていて、かつ自然。
自由曲:篠田昌伸「白い乳房、黒い乳房」は
この団体の委嘱曲で初めて聴く曲。
(作詞のオラシオ・カスティージョって
 検索するとギタリストが出たんだけど同姓同名?)


テキストは母親の、母性と女性の2面性を表したもの?
男性ピアニストがさすがの演奏でした。


合唱も緊張感と場面転換がよく表現されていて
大人数を生かす音楽であり演奏。
・・・それにしても大人数の女子高生に
「乳房!」って何度も歌われるとなんていうか・・・。




香川県立坂出高等学校合唱部(金賞)


課題曲はF4。
代々、この合唱団は個性的な指揮者の先生が
個性的な演奏をする印象だったのだけど
現在の前田先生は、非常に素直な、自然な音楽を作られる。


自由曲はペール・グンナー・ペッテション。
(スウェーデンの作曲家だとか)
「聖ビルギッタを讃えて」より「祝福あれ」「入祭唱」。
ソプラノのソリストが素晴らしい!
曲も難易度がむやみと高いものではなく聴きやすいもの。
音楽の細かいところを流してしまったり
「合唱」として各パート合わせる箇所など
精度にやや疑問は残りましたが
この楽曲の良さを充分表現していました。




熊本県立第一高等学校合唱団(金賞)


課題曲F4「五月のうた」。
うわぁこれだ、こんな演奏を求めていたんだ!
明るく輝かしい声で歌われる、恋の予感に満ちた空気。
喜び、そして恥じらい・・・さまざまな感情表現が
歌として、合唱として、見事に現れている。素晴らしい!


自由曲は瑞慶覧尚子「花ぬ風車」から「月ぬ美しゃ」
宮古島からのたより」から「平安名のマチガマのアヤゲ」。
「月ぬ美しゃ」ではうっとりさせ、
「平安名のマチガマのアヤゲ」では鳴り物が楽しい。
曲の魅力を充分に伝えられる表現力を持つ団体でした。
インフルエンザで参加できなかった昨年の無念を見事に晴らしましたね。




宮崎学園高等学校混声合唱団(銀賞)


課題曲G3は練られた歌の説得力がさすが。
力強く、sempre mf以上の音量で、前へ、前へ、という表現。
自由曲:木下牧子「方舟」から「水底吹笛」。
声を深めようとするためかやや大仰でテンポがいつも遅れがちかな。
内村光良のコントで時代劇出身の俳優が現代劇なのに
時代劇風の大げさな演技をする、というのがあるんだけど
ちょっとそれを思い出してしまいました。
それぞれの表現、フレーズを取り出せば、
非常に胸に染みるものがたくさんあっただけに残念。
あそこまで歌を磨かれた団員さんの努力は賞賛されるべきでしょう。



(高校B部門感想 つづきます)