全国大会あれこれ その2

●勝手にプロフィール大賞



いつもは大学か
一般の部のプロフィール紹介から開始するのですが、
今年は中学・高校の部にも行ってきたので
この団体からはじめましょう。




高松第一高等学校女声アンサンブル

 日本一早く(8月末)全国大会出場を決めたときには蕾のような萌え萌えの演奏だったはずですが、それからちょうど2ヶ月、待ちくたびれた私たちが披露するのは、豊かに熟しきった果実のような演奏か、はたまた水分の飛んだドライフルーツのような演奏なのかは聴いてのお楽しみ。私たちが描く三善ワールド、等身大の「あげます」とちょっと背伸びした「あなたにサタンがいるなんて」、自主休憩とかせず、ちゃんと聴いてくださいね。


なかなか比喩と表現が上手いプロフィールです。
高松第一高校合唱部はこのA部門の女声アンサンブルと
B部門混声合唱の2団体で出場したのですが
混声のプロフィールは。


高松第一高等学校合唱部



 見た感じ男声が異常に少なく見えますが、これがフルメンバーです。病気で休んでいるわけじゃありません。あまりの見た目の寂しさに、顧問がアルトの子に男子の学生服を着せようと本気で考えたぐらいの男女比なので、日々普通に練習すること自体が混声合唱の限界への挑戦です。それだけに男声陣のがんばりには目を見張るものがあり、なんとか四国代表の座を得ることができました。
 今年の自由曲は「オンディーヌ」。8分半の曲を6分半で演奏する高速演奏で音楽的な表現ができるのか、興味ありませんか?ABダブル出場への挑戦、混声合唱の限界への挑戦、高速演奏への挑戦、私たちのささやかな挑戦を見守っていてください。

混声57名出場と書かれている中、
たしかステージでは男声11人だったかなあ。
正直に感想を書いちゃうと高速演奏への挑戦は
「…残念」というものだったのだけど、
自分たちの弱点をこうして楽しく
笑えるアピールにしてしまう姿勢には好感を持ちます。
(そういや銅賞ばかり取り続ける自分たちを
 「ブロンズコレクター」と称したのは
 この団体でしたね)


高松第一高校合唱部、
AB2部門とも演奏結果は銅賞だったのですが
プロフィールは文句無しに


「ゴールド金賞!」


を差し上げましょう。




さて一般部門からは楽曲紹介がそのまま“詩”の
「合唱団まい」。凄いです。

 「おぉ偉大なる神秘よ」救い主の生誕と聖母を称える。神秘を見た驚きと歓び、聖母の美しきが匂い立つ。「早春」冬が去り雀の声の華やげば季節のうつろひを感じ己が心も芽吹きを覚え、病床の悩ましき日々に苛まれるも、心さわぎ、沸き立ち、夢中の甘きが立ちこめる。麗しき花。あのひとがくれた記憶は春。「ほたるは星になった」くらい川辺にひかる。ほたるたるたるほたる恋。小さきながら命を燃やし昇華する。とこしえに瞬く星となる命がひかる。





13年ぶりの全国大会。
そして支部大会1位通過は初めてという
女声合唱団「歌姫」
全国大会というはじまりとこれからの未来が
18年の厚みとともにプロフィール通り輝いているようです。

 18年前、「全国大会で歌いたい!」の旗印の下に集まった姫たち。月日は流れ、大学生だった私が就職し、結婚し、そして母親に…。団員一人ひとりも、さまざまな18年を歩んできました。私たちはこれからも、きらきら輝きながら、女性ならではの経験をつんで、より深みのある音楽を奏でてまいります。





全国大会あれこれ その1でも触れた
「軽井沢合唱フェスティバル」に参加した
「岡崎混声合唱団」

 今年8月に参加した軽井沢合唱フェスティバル。「競い合いから認め合いへ」というテーマのもと会場で目にしたのは、年齢や地域、曲目から音色まで、さまざまな違いはすべて個性として、豊かさにあふれた音楽の根源になっているということ。舞台上でも、客席にいても、もちろん打ち上げの席でも、そのエネルギーと会場中の一体感にたくさんの刺激をもらいました。こうした経験を得ることで、それまでなかなか気付かなかった価値観を一つ一つ自分たち自身に加えながら、今こうして自由に歌を歌っていられることに心からの感謝を。

「競い合いから認め合いへ」…改めて、良い言葉だと感じます。


さて、まとまり良く平明な文章ですが
深い内容を持っているこのプロフィール。


評価を既に得た合唱団の未来。
そしてその未来をもたらすものは?
…などと考えさせる文章でもあります。
今回のプロフィール大賞は。






一般A-1 Choeur Chene[奈良県]

 平成遷都1300年祭で賑わう古の都・奈良からやってまいりました。3月のコーラスガーデンin SAGAや中之島コーラスめっせへの出演、世界的指揮者オルトナー氏によるロマン派音楽の講習会等、「シェンヌ」という枠組みを越え、合唱を愛する多くの方々と音楽を共有できる機会に恵まれたこの1年。ただ音楽を共有するだけではなく、そこには歌に対する情熱的な心、そして何よりも人に対する温もりの心がありました。目眩く間に月日が過ぎ去り立ち止まる暇がなかったここ数年…。私たちがどこかに置き忘れてしまっていた大切な忘れ物を届けてくれたのは全国各地で出会った仲間でした。心から感謝しつつ今日もこれからも歌い続けたいと思います。






シェンヌのプロフィールを読み、
この詩を思い出しました。

遠くはるばるきた人の目は
わが身のゆがみ映す鏡


遠くはるばるきた人は
身内にはない 鈴を鳴らす



木島始「路標のうた」より


(つづきます)