宝塚国際室内合唱コンクール感想 その2

<シアターピース部門>
3団体が出場。


んー!この部門の感想は難しい!!
というのは3団体の演奏を聴き
「じゃあシアターピースって、ナニ?」
という疑問が改めて湧いてきたのですね。


今回のプログラムから転載しましょう。

シアターピース部門
ホール全体を使い演奏する新しい合唱のスタイルです。
客席で歌ったり、舞台上でパフォーマンスをしたり、
演奏曲目にも制限はありません。
シアターピース作品ももちろんありますが、
既存の曲をシアターピースにして演奏することもできる、
いわゆる「何でもアリ」な部門。
この部門で大事なことは、
指揮者に合わせるだけでなく、
演奏者自身が積極的に音楽を表現することです。


んんん、わかったようなわからないような・・・。
過去何回か、このシアターピース部門を聴いてきたのだけど、
今回の出場団体の演奏、このプログラムでの説明を見て
「では、ポピュラー音楽を素敵に演出付けて演奏する、例えば
大分市民合唱団ウイステリア・コールのステージも
『シアターピース』なのか?」
という疑問が出てくるんですね。
いや、2007年出場の 
ボイス・オブ・サティヤ・ワチャナ・キリスト教大学(フィリピン)も
そんな感じの選曲・演奏と演出だったので
問題は無いのかもしれませんが・・・。


表現する行為そのものを狭める気は無いし、
主催者側が「何でもアリ」とせっかく記しているのだから
イチャモンをつけるのも野暮ってもんなんでしょうけどね〜。



でも、過去のこの部門で感動した演奏の
《EST》シンガーズの「三重五章」(柴田南雄)や
和歌山児童合唱団の「樹の国・声の森」(信長貴富)。
そして今回、近・現代部門で出場した愛知高の「山の夜」(Karai)や
宝塚音楽学校本科生によるアトラクションを考えると、
私個人の考えでは
「楽曲が演出を求めている」、もしくは
「演出を加えることで
 (逆に、歌を加えることで)
歌が(演出が)魅力を増すことが出来るか」
というのがポイントだと考えてしまうのですよ。
歌と演出、相互作用によって
それぞれが引き立てられるのが私の理想です。


その考えからすると
「既存の曲をシアターピースにして演奏する」というのは
かなり演出のハードルが高いのでは、と今回の3団体の演奏で
感じてしまいました。




金賞団体の感想を。
和歌山児童合唱団(和歌山・19名)



指揮者の沼丸晴彦先生のブログによると
http://plaza.rakuten.co.jp/wajido/diary/201107240000/


1曲目の「The Blue Eye of God」(Telfer Nancy)は
「会場全体で地球の叫びを表現」するのが目的だったようですが、
私には主旋律、それを支える旋律のバランスが混沌としてしまう
この会場全体を使って歌い歩き回る演出には疑問でした。
ただ、2曲目の「Agnus Dei -空海・真言・絶唱-」(千原英喜)は
千原先生お得意の東洋+西洋のコラボレーション。
千原先生のこの路線は時に「木に竹を接ぐ」印象の曲がありますが、
この曲は自然と聴け、魅力あるものと感じられ。
演奏も、祈りという行為が演出に良く現れていて、
歌もその演出によって力を増し、ひとつの世界を創り出し、
大変説得力がありました。
結果は金賞だけではなく総合2位ということで凄いですね!




シアターピース部門、話に聞くと来年度は無いそうで
悩まなくて安堵するような残念なような・・・(笑)。
*追記:審査員の向井先生からコメント欄にて
「シアターピース部門を来年もやります」との書き込みが。
お詫びして、追記します。



(続きます)