「コンクール出場団体あれやこれや:出張版2012」(その2)

※この記事は2012年富山での全日本合唱コンクール
全国大会へ出場される一般団体を紹介しております。



みなさん、もうチケットは購入されましたか?
出場される方々は専用の入場券をお持ちとは思いますが。


私も以前は「当日券でいいじゃん!」と思っていたのですが
東京大会で当日券が売り切れ、
遠方から来た知人が入場できず嘆いていたのを見て以来、
必ず事前に購入するようにしています。




送料などの負担はありますが、
チケットを自宅で眺めていると
「今年もこの時期がやってきたなあ〜」という
思いが湧き起こってくるんですよね。



さあ今日も始めましょう!
今回は初出場と昨年A部門第1位の2団体をご紹介します。






3.徳島県・四国支部代表

Serenitatis Ensemble
(混声26人・初出場)



初出場おめでとうございます!
結成が2005年の「セレアン」とも呼ばれるSerenitatis Ensemble。
こちらの団体は
一般B部門出場の徳島男声合唱団「響」の指揮者、
白神直之さんが指揮をされます。



今年のSerenitatis Ensembleの課題曲はG1
自由曲は
Pierre Villette作曲「THREE MOTETS」より
O Quam Amabilis Es
Jesu , dulcis Memoria


villetteのフランス的な優美でどこか温かさを感じさせる曲。
初出場のSerenitatis Ensembleが
どんな響きを醸し出すか楽しみです。
指揮者の白神さんにお話を伺いました。

選曲に関しては、
ピアノ伴奏曲以外はすべてある程度まで練習してみました。
その結果残ったのがG1だったというわけです。
やさしい曲だと思っていましたが、
歌い込むうちに大変な曲だとわかってきて・・・
こういう曲はやってもやっても
先がまだまだあるような気がしますね。
自由曲については、
2年前のコンクール課題曲で
Villetteの「O magnum mysterium」が取り上げられてから、
大ファンになりました。
いつかは自由曲として取り上げたいと思っていました。

この全国大会への目標や志がありましたら…という問いには

コンクールだけに限りませんが、セレアンも響も、
上手に歌おうなんて思ったことは一度もありません。
それぞれメンバー個人がもつ希望や幸福感、
はたまた絶望感や悲壮感、
そんなものが歌にこめられてこそ、
指揮者主導ではなく合唱団主導の
「団らしい演奏」ができるのではないかと思っています。
とはいえ、もっているものはみんな様々ですから、
それをコントロールするのが指揮者の役目かなと・・・
毎度、コントロールできておりませんが。

白神さん、ありがとうございました。
「指導者主導ではなく合唱団主導の団らしい演奏」
「上手に歌おうなんて思ったことは一度もありません」。
徳島男声合唱団「響」のステージで感じる
どこか自由な風の理由がわかったような気がしました。
セレアンの演奏を聴くのはこれが初めてなのですが、
きっと同じ、心地良い風を感じることができるはずです。


演奏を聴かれたことのある方からは

基本的には線の太い演奏をされる団体です。
徳島男声合唱団「響」の混声版?
響のテノールEさんが、
奥様と一緒に歌うために結成された(と一応聞きました)
合唱団らしいです。味付けはソース!


ソ、ソース?
線の太さとソースという言葉から、濃い演奏を想像してしまいます。
そして…愛妻家がいらっしゃるんですねえ(笑)。






HPから写真転載の許可をいただきました。
全国大会初出場の喜びが伝わる写真ですね。




「Serenitatis (セレニターティス)」とは
ラテン語で「晴れやかな」「穏やかな」という意味があるとか。

いつも心の中が晴れやかで落ち着いた状態でありますように♪
そしてそんな気持ちを常に抱いて
アンサンブルに向き合えますように♪・・・
そんな思いで名付けられた合唱団が
 “Serenitatis Ensemble ” です。


(Serenitatis EnsembleHPより)


セレアンの団名にこめられた願いが備わり
音になって富山のステージで満ちあふれますように!








4.東京都・東京都代表

Combinir di Corista
(混声31人・5年連続出場・61回大会から5回目の出場)



昨年一般A部門金賞第1位のCombinir di Corista、通称「コンビニ」。

レパートリーの「品揃えの豊富さ」にこだわるということから、
コンビニエンスストアーにちなんで
「コンビーニ・ディ・コリスタ」としました


(Combinir di CoristaHPより)


ということで毎年コンビニ並の多彩な品揃えの選曲で
初出場以来シード権を獲得し続けておられる、
コンビニはコンビニでも「超高級コンビニ」なこの合唱団。
今年の品揃え…じゃなかった選曲は
課題曲G3
そして自由曲は
Vagn Holmboe作曲 Laudate Dominum
Jørgen Jersilad作曲 Min yndlingsdal
Herman D.Koppel作曲 Kom, lad os juble for Herren
3曲ともデンマークの作曲家によるもの。
現代音楽的な響きもありながら魅力を感じる3作品。
なぜこのような選曲にされたのか、
Combinir di Coristaさんからお答えをいただきました。

今年は8月に
デンマークの国際コンクールに出場したこともあり、
自由曲はデンマークの作品でまとめました。
Holmboeのラテン語で歌う「主を褒め称えよ」、
Koppelのデンマーク語で歌う「主に向かって喜び歌おう」は、
どちらも聖書の詩篇を歌った喜びの歌です。
デンマークで見た、
真っ青な空のような爽快なHolmboeに対して、
複雑な和音の響きの中にもコミカルな表情があり、
それでいて歌っている絶大な喜びは
ブレることなくすっきりと1つ、というのが
Koppelの特徴です。


間に挟むJersildは、
「愛する谷」を描写した世俗曲です。
深い森と霧に包まれたフィヨルド、
青く深い湖の
大気のにおいを感じていただける演奏を目指します。


自由曲が「洋物」なので、
課題曲はあえて「和物」で邦人曲を選びました。
林光の極限までそぎ落とした作風の中に浮き彫りとなる、
悲しく、切なく、狂おしい宮澤の世界と
その心の機微を表現したいと思います。


この4曲4様の異なる世界観への扉を開き、
コンビニの思いとデンマークでの体験や
空気感をお届けできればと願っています。


書かれていた「デンマークの国際コンクール」は
「第4回ラナス国際合唱コンクール」のことで
Combinir di Coristaはこのコンクールにて
なんとグランプリと観客賞のダブル受賞!
詳細なレポートは
ハーモニーNo.162(秋号)59ページに掲載されていますので
是非お読み下さい。



http://www.jcanet.or.jp/Public/harmony/index.htm
グランプリ大会前にコンビニが知らされた驚くべき規定とは?!




この全国大会に対する意気込み、もしくは目標や志は?という問いには

今年の練習の成果が出せるのか、
自分たちの納得のいく演奏ができるのか、
お客様に音楽を届けられるのか、
そしてデンマークの空気を伝えられるのか、を
最優先、且つ最大の目標にしたいと思っています。


歌を通して、
私たちが本当に音楽を楽しんでいることが伝われば嬉しいです。

と答えていただきました。
志の高さが伝わるお答え、ありがとうございました。


昨年のコンビニの演奏は
発声技術、精度の高さ、
音程やパートごとの統一が驚くほど。
課題曲G4は確固たる技術でもって
ひとつの流れで過不足ない表現。
自由曲はラウタヴァーラ2曲の後、ヴィレットを。
やはりその音の精度、サウンド感がさすが。
どれも4声のバランスが良く、適度な緊張感もあり。
最後のヴィレットでは優しい語り口で
前2曲と雰囲気を見事に変えていて、
まさに第1位にふさわしい演奏でした。





写真は、ラナス国際合唱コンクール初日、
宗教曲部門会場の教会前で撮影したものということ。



コンビニがデンマークという地で実際に得た体験を
デンマークの作曲家の作品演奏で
観客が感じることができる・・・。
なんて贅沢な全国大会なんでしょう。
今年のコンビニの品揃えにも超期待!です。




(明日に続きます)