大分旅行記 その1


6月の中頃。
疲れていた。
非常に、疲れていた。


職場が急に忙しくなり連日の長時間残業。
毎週の休日出勤に加えこの状況が最低8月まで続くとか。


梅雨に入り蒸し暑い職場環境で同僚たちはみな疲れた顔を引っさげ
ピリピリした空気をまとわせている。


肩こり、肘痛、腰痛・・・痛む場所をさすりながら
ネットの画面を見ていると


 「大分」


という単語が目についた。
大分、まだ行ったことがない県だ。
大分について調べはじめる。
・・・ほう、別府温泉!関あじ!城下かれい!
そしてこの時期は大分市民合唱団ウイステリア・コール演奏会。
同時期に関西でタリス・スコラーズの演奏会があるのは知っていたが
自分を癒してくれるのは温泉…じゃなかった


「タリスより、ウイスだ!」


とばかりに夜勤の仕事を終え、そのまま寝ずに
朝5時の始発で岡山からまず松山へJRで向かう。
晴れた日なら輝く瀬戸内海が見れるのだが、あいにくの雨。
それでも松山駅で揚げたてのじゃこ天とビールを購入し、
八幡浜への列車内で一口かじり、缶を傾けると雨でも天国!
ここでようやく仕事のことを忘れることができた。
(…演奏会前にはアルコールを摂取しないのが常なのですが
 8時間以上前のことでお許しを・・・)







八幡浜からタクシーでフェリー乗り場まで。
2等客船室へ乗り込み、これから大分の臼杵まで約2時間半の船旅だ。
窓を叩く雨の向こうに遠ざかる四国を見、
読もうと思っていたが時間が足りずなかなか読めなかった小説を開き、
同じフロアにいる仲が良い老夫婦の会話を
聞くともなしに聞いていると・・・眠ってしまった。







目が覚めると、臼杵に到着。
四国から九州へ移動したせいか雨は上がっていた。
フェリーを降り、臼杵駅までの道をGoogleMapで探し、歩き始める。


道を曲がると、海へ流れ込む水路沿いの遊歩道に当たる。
雨上がりの緑の濃い匂いと汽水域の匂い。
広がる初めての風景、初めての匂い。
これだ。こんな瞬間を感じたくて自分は旅に出るのだ。







臼杵は国宝の石仏で有名だそうだが、
残念ながら今回は時間が無いので素通り。
また、ふぐでも有名だそうなのだが
こちらも旬ではなく、私の財布も「まだ早い」と告げているので素通り…。


大分駅へのJRに乗り込む。
さすがJR九州:水戸岡鋭治さんバンザイ!なデザインの良さに感心し、
やがて大分到着。
着く頃には見事な晴天。
夏を感じさせる青空だ。
さあ、楽しむぞ初の大分!!




(つづきます)