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第29回宝塚国際室内合唱コンクール感想 その2


ルネサンス・バロック部門>感想の続きです。



銀賞は2団体。
まず《EST》シンガーズ(三重・20名)は
向井正雄先生の指揮でPalestrinaのEgo sum panis vivusと
VictoriaのO magnum mysteriumを演奏。

どちらも全日本の課題曲。
男女半々の混声合唱
女声のワインレッドのドレスが鮮やか!
力強く会場中に響き渡るその声は
「…し、室内合唱?」と疑問に思うほど。


4声のバランスも良く、
フレーズの始点と終わり、抑揚、表情付けも高度なもの。
特にバスのフレーズ入りが
表情、体全体で音楽を表していて非常に好感を持ちましたね。
他のパートの音楽を受ける、なるほどこう来たか、じゃあ自分は!
…そんな心の動きと音楽が表情と体で伝わってくる。
良いなあ〜、と思いましたよ。


ヴィクトリアはさらに前へ前へ!と熱さも増し。
いやあ、声も表現も呑まれました!




銀賞のもう一団体は
安積合唱協会(福島・15名)。
PalestrinaのMissa Papae MarcelliよりKyrie,Gloriaを演奏。
教皇マルチェルスのミサ、生では初めて聴くかも。


テノールを中心に発せられる清冽な音!
この曲本来のスタイルに従っているのかもしれないけれど
(それぞれボーイソプラノカウンターテナーのアルトをイメージ?)
やはりバランスとして男声、特にテナーが強すぎかな?


しかし演奏は柔らかく優しく、
この曲を愛しているのがしみじみ伝わります。
ESTがスペインの全てを照らす強烈な太陽のような声としたら
安積合唱協会は冬に枝先の氷が陽射しに輝くような、
控えめな、しかしクリスタルのような美しい声。
さらにESTとの比較で言うならば、
カンニングブレスなども上手く使い、
感嘆するほど長いフレーズを歌うのがESTなら、
安積合唱協会は無理のない、
ブレスからブレスまでの自然なフレーズ、
「人の呼吸の音楽」として繊細な表現があって。
音楽への秘めていた喜びが徐々に解放されていくさま。
歌い手それぞれ等身大の表現として共感し、ちょっと涙腺に来ました。




金賞はThe Cygnus Vocal Octet(東京・8名)
「ジャパンユース合唱団での出会いをきっかけに、
 8人8声のハイ・レヴェルなアンサンブルを追求するために
 結成されたグループ」だそうで
メンバーは東北から九州にわたる全国各地から集まっているのだとか。
見た目も20代後半から40代、と幅広い?


Hierinymus PraetoriusのMagnificatを演奏。
この団体、並びが面白く。


 女女女   男女男
男         男


男女半々のメンバーが2つのグループに分かれ、
半円状、男女がやや変則的に並ぶ。
どういう意図が?と疑問に思っていたら
8声部の合唱なのだろうけど、フレーズが重なる場所で
同性の離れた声が引かれ合い、響き合って、
目の前の空間以上の広い響きを錯覚させるんですね。
もちろん音程の正確さや声質を揃えるなど、
同じ並びをしただけではこの響きには決してならないでしょう。


私にはちょっとだけ決め事のような音楽に感じましたが
別空間をも感じさせる響きとその意図、
グループごとの音楽の呼びかけ、
精緻な表現など、充分に練られている金賞にふさわしい演奏でした。






(つづきます)