第29回宝塚国際室内合唱コンクール感想 その3


フォークロア部門>


8団体が出場。
「世界の民族音楽を合唱曲に編曲、作曲された作品を演奏します。
 伝統的リズム、旋律が特徴的で、各地の生活様式が伺えます。
 海外団体の演奏する母国の作品演奏も楽しめます」
というプログラム紹介文。


この部門で疑問に思ったのは
民族音楽を歌うのは良いけど、
 なぜ同じタイプの曲を続けちゃうかなー?」ということ。
凝った編曲じゃないのは、
民族音楽の持ち味を活かす理由もあるのだろうけど、
でも例えば「素材のままの子守唄2曲」が演奏曲だったら
やはり聞き手は飽きてしまうし、
その演奏団体の一面的な魅力しか伝わらないんじゃないかなあ…。



印象に残った団体で、まず賞外から。



合唱団La・Lu・La(兵庫・20名)
岸本雅弘先生指揮の混声合唱
Josu ElberdinのSegalarik、
松下耕先生の湯かむり唄などの3曲を演奏。


最初のセガラリに表れるように
「大向こうを唸らせるような」演奏ではないけれど
振り付けが楽しく、雰囲気の大変良い団体。
湯かむり唄では手ぬぐいを頭に巻いたり、法被に着替えたり。
軽い声の女声も良かったのですが、
歌う意志や実力、パフォーマンスも男声には一歩及ばず。
女声が男声と並ぶくらいの実力が付いたら
賞に届いたかも?!


指揮者の岸本先生も率先してパフォーマンスをされていましたが
それが浮かずに、先生と渡り合う団員さんたちもスゴイ(笑)。
楽しめました!




銅賞は2団体。
Taipei Century Choir(台湾・20名)は
オーディションから選ばれたメンバーなだけあって
素質は大変素晴らしいものを持っているなと思わせる混声合唱


・・・しかしですね、合唱団としての発声が、
一昔、いや二昔前の日本の合唱団に似ていまして。
響き少なく、強い音圧で押し付けるような印象を持ちました。
平たく、浅い発声のようにも聞こえるけど、
これは演奏曲の台湾の民族音楽にふさわしいんだろうなあ。
演奏はよく練られているし、3曲さまざまに個性があって。
「日本の合唱では通過点?の発声をどう捉えるか」という難問に
うーん、うーん、と悩んでしまい、演奏を聴くというまでに至らず。
申し訳ないです。




銅賞のもう1団体は
女声合唱団ソレイユ(佐賀・17名)
樋口久子先生の指揮で。
池辺晋一郎先生の東洋民謡集I,IIからそれぞれ
アイヌ民謡を2曲演奏。


ソレイユ良かったですよ!
フレーズのずらしによるこだまのような効果など、
作曲上の狙いを巧みに表現し、
それぞれの声の選択や対比が鮮やか。
声で空間を作り上げる多彩さ、空気を感じられる演奏でした。
これから全日本のコンクールに向けてますます磨いていくんだろうなあ…。





(銀賞以上は次回に)