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1府3県旅行記 その1

 

 

先週の土曜から月曜までの3日間、
岡山から京都、滋賀、佐賀、福岡と
1府3県を回る旅をしてきました。

慌ただしくもなかなか楽しい旅行だったので
備忘録がてら記してみます。

 


3月8日土曜日

朝6時に起き最寄り駅からまず京都へ向かう。
京都までは新幹線も特急も使わずのんびり普通列車の旅。
日ごろ時間に追いまくられる生活を過ごしているため、
せめて旅行中はゆっくりとした時間を・・・
という意図は全く無く、単純に交通費節約。
睡眠が足りなかったのか持ってきた本もほとんど読まず
半分寝ている状態で約4時間かかって京都へ着く。

昼飯は何にしようか、
びわ湖湖畔で和食ランチかな~などと考えたが
ツイッターでフォロワーの方に意見を募ったら
複数の方から同じ店を勧められた。



京都:新福菜館


5人ほど並んでいましたがすぐ案内されます。
相席は良いのだけど入口すぐ近くの席で
しかも人気店なのでひっきりなしに扉が開け閉めされ、サ、サムイ。

 

 

 

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中華そばの小(550円)。


中太麺と濃い醤油味がなかなかクセになりそう。
あと、相席の学生風男子2人も中華そば、
それにヤキメシひとつを仲良く分け合っていて。
その学生さんが席を立ち、続いて座った
お母さんと大学生っぽい男子も同じく中華そば。
そしてひとつのヤキメシを分け合って食べていました。
・・・「半ヤキメシ」とかあったらなあ。
まあいつか機会があれば!


ちなみに食べた新福菜館と同じく人気の
第一旭というお店は隣接しているんですね。

 

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経営上関係があるのかな。不思議。

 


ラーメンで腹をふくらませてふたたび列車に乗り込み、
滋賀県はびわ湖ホールへ。

 

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オペラ「死の都」。
http://www.biwako-hall.or.jp/2013/08/7886/

 

 


主人公:パウル役の鈴木准さんが
実は高校の合唱部時代の一級上の先輩で
このオペラのご案内をしてくださったんですね。
いつもは合唱ばかりでオペラなどとはトンと縁がない自分。
プロフェッショナルなオペラに接する良いチャンスと思い、
安いB席(…それでも9000円)を購入し、いざ!

 

 



・・・ふー・・・。
約3時間が経ち、
博多行きの新幹線の中で放心した状態の自分がいました。


作曲家のエーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルトは
1897年オーストリア=ハンガリー帝国(現在のチェコ)生まれ。
19歳の時にマーラーに「天才だ!」と激賞され、
この「死の都」もなんと23歳の時の作品。
ユダヤ系だったためアメリカに渡り、
ハリウッドで映画音楽に携わったコルンゴルト。
そのためか物語、心情に沿う、非常にわかりやすい音楽。

大変簡略的に物語を語ると、
亡き妻マリーを忘れられない主人公パウル。
そこへ妻に生き写しの踊り子マリエッタが現れ、
パウルは惹かれるが、やがて奔放なマリエッタの姿に幻滅し、
さらに妻の遺髪を侮辱したマリエッタをその髪で絞殺してしまう。
しかしそれはパウルの見た幻影夢だった。
現実に目覚めたパウルは親友の勧めに従い、
死の都ブリージュを離れることを決心する…。

今年88歳になる演出家栗山昌良氏。
指揮は沼尻竜典氏。
オーケストラは京都市交響楽団。

亡き妻マリーとマリエッタ役の砂川涼子さん。
親友フランク役の小森輝彦氏。
どちらも本当に素晴らしく、
音量、声の輝き、説得力、申し分なく聞き惚れました。
日本人の声楽家でもここまで技量が高く、
かつ安定感ある歌唱が聴けるものなのか!と驚いたほど。
そして主役パウルの鈴木准さん。

札幌にいた時、所属していた合唱団のソリストとして
准先輩の歌唱を聞かせていただいたこともあったのですが、
それもかれこれ20年近く前。
「今」の准先輩の歌唱、

そして主役という「音楽的に最大の挑戦」が
どういうものになるのか、見届けたかった。

今日の舞台、准先輩の出番を前のめりで待ち、
その歌唱を聴いた時、納得しました。
なにか非常に、納得しました。

長年修練を積み上げた料理人が
天麩羅の温度を指で計れるぐらいになるように。
才能を持った人が、長い年月一流と呼ばれる人たちに囲まれ、
切磋琢磨して自身を磨き上げた結果がここにある。
それだけ以前聞いた歌唱とは別次元の領域に達した、
極めて集中し、高密度の、音楽の粋とも言うべき歌唱に…
自分は非常に納得したのです。

特にコルンゴルトの「単なる映画音楽」に堕さない部分。
例えば生の奔放さに背き、死への憧れを匂わせるような翳り。
そんな難しい微妙な表現、美しさを巧みに歌われていたと思います。


最終の第3幕、人を殺めたことが幻だったことを知った主人公パウル。
親友フランクに死の都:ブリージュからの旅立ちを誘われ、承諾し、
最後にパウルが歌う。

「この世では、亡くなった人とは二度と会うことはできないのだ。
 さようなら、愛しい人よ。
 天国で待っていてくれ」

…体が持ち上がり、胸が締め付けられ、痺れたようになり。
そう、このオペラ「死の都」の世界に完全に酔いしれていました。

もう高校時代の先輩、准先輩ということも忘れ、
音楽だけに魅了されている自分がいました。
親交がある贔屓目などと無関係に、
純粋に囚われてしまうほどの音楽がそこにあったという素晴らしさ。

聴きに行って良かった、と本当に思いました。


* * * * * * * * * * * * * * * * * * 


それにしてもオペラという芸術形態は贅沢なものですね。
語弊を恐れずに書くと、
プロフェッショナルの中のプロフェッショナルである
演出家も衣装担当もオケの団員も、そして歌手たちも
美しい旋律をひたすら美しく聴かせる、
そんなシンプルな目的のために
ただ一心に自らの才能を注ぎ込んだ、その結晶。それがオペラ。
そんな気がしました。
ひたすら、甘やかな旋律の数々に酔いしれました。



さて、行きは普通列車だったものの
終演後ダッシュでタクシーに飛び乗り、
大津から京都、京都から新幹線で博多に向かう。
さらに博多で乗り換え贅沢にも新幹線つばめに。
新鳥栖で乗り換え、佐賀へ!

なぜそこまでして急ぐのかって?
それは・・・



(つづきます)