「コンクール出場団体あれやこれや:出張版2014」(その2)

 

 

 

 

みなさまお元気ですか?

連日更新を目指す「あれやこれや出張版」です。

 

さて、全日本合唱連盟公式ツイッターさんから

気になるツイートが。

 

 

 

 

 https://twitter.com/JCA_from1948/status/529928276731392000

 

 

 

・・・売れてないのかなあ・・・。

関東圏・関西圏ではたちまち売り切れる全国大会のチケット。

でも、地方ではなかなか…なようです。

 

このブログを読んでいるみなさま、

お時間が空いていたら、さぬきの国へぜひ!

うどん…じゃなく名演奏が待っている!!

 

 

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さて、今日は2団体をご紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

2.福島県・東北支部代表

 

L'Aube des Temps

(混声22名・2回目・2年連続出場)

 

 

福島県内出身の若手シンガーを中心に結成した合唱団。
L'Aube des Temps(ローブ・デ・タン)。
「時代の夜明け」を意味する団名が示されるように
昨年、初出場にもかかわらず、
見事金賞の栄冠に輝きました。



ぜん 「綺麗な演奏だな~」と客席で聴いて
   印象に残ってます。


昨年自由曲の
James MacMillan作曲「Lux Æterna」が大変良い曲で。
この曲が入っているアルバムを2枚も買ってしまいました(笑)。
あと団員さん個人個人が声楽的に練られていましたね。


ぜん うん、団員のみなさんが音楽をわかっている印象でした。
   だから音楽の捉え方が良かったと思います。
   福島県の団体にはいつも思うけど
   基礎力が高いですよね。
   凄みさえ感じるほどです。


その基礎力の高さに加え、
指揮者:菅野正美先生の音楽が加わる・・・
今年も期待してしまいます。


今年の演奏曲は


課題曲はG2Nachtlied(Max Reger)
自由曲は

O magnum mysterium(Nicholas White)
Vidi calumnias et lacrymas!(Wolfram Buchenberg) 

自由曲はどちらも1960年代生まれの現代作曲家の作品。
大変聴きやすく美しい「O magnum mysterium」。
一転してソリストから始まる不穏な雰囲気の
「Vidi calumnias et lacrymas!」


どんな意図で選ばれ、そしてどんな曲なのでしょうか。

L'Aube des Temps団員の金田さんから
選曲についての解説文をいただきました。



 

L'Aube des Tempsの選曲では、
作曲者の国籍や活躍した年代、詩の言語などに囚われず、
一聴して優れた音楽として感じられ、
後世にも伝えられるべきだと思える作品を取り上げています。
今年の選曲においても、このコンセプトは貫いています。

 



(1)課題曲G2 Nachtlied について


 「8 Geistliche Gesänge
  〜8つの宗教的歌曲 Op.138」より
 ◆3. Nachtlied: "Die Nacht ist kommen"
 〜夜の歌『夜が来た』
 作曲: Max Reger
 Text: Petrus Herbert

ドイツロマン派の音楽がもつ重厚さを感じさせながら、
和声進行が一筋縄ではいかない…というのが
この曲への第一印象でした。
しかし、Regerの奏でる盛衰を複雑に繰り返す音運びは、
詩の韻律と叙情を巧みに表現しています。


(2)自由曲-1 O magnum mysterium について


 「Alleluia! Puer Natus Est Nobis
  〜アレルヤ!私たちのもとに嬰児がうまれた」より
 ◆O Magnum Mysterium 〜おお 大いなる神秘よ
 作曲: Nicholas White

過去に取り組んだVictoriaや多数の名作と比べると、
拍子抜けするくらいに一際、耳馴染みしやすい曲です。
現代を生きる私たちにとって、
これほどまでに安定感のあるコード進行をもった曲は、
安らぎを感じることを禁じ得ないでしょう。

国内では2000年代初頭より、
ヒーリング・ミュージックというジャンルが現れ、
「feel」や「image」などの
コンピレーションアルバムが流行したのを
記憶している方も多いと思います。
これらの癒し音系楽の要素は、
宗教音楽が指し示す一つの方向性である
"平穏・神秘・愛情"などを表すのに
非常にマッチしていると思います。

昨年の全国大会出場以来、
全国合唱祭や医療施設での慰問演奏、
そして今年12月に岡山県早島町で行われる
東日本大震災チャリティーコンサートの機会を
得ることができました。
より多くの方に合唱音楽の魅力を伝えるのも、
L'Aubeの使命と考えています。
自然と聴き容れられる音楽を通して、
声楽のもつ魅力を感じ取っていただきたいと思います。


(3)自由曲-2 Vidi calumnias et lacrymas! について


 ◆Vidi calumnias et lacrymas!
 〜私は弾圧と涙を見た!
 作曲: Wolfram Buchenberg
 Text: 旧約聖書『コヘレトの言葉』
 第4章1-3節、第3章12-15節


「私は弾圧と涙を見た!」

非常にセンセーショナルな題名を打ったこの曲は、
混沌とした現代社会において、
改めて"世の理"を説くべく歌われるものであると考えます。
作曲者自身が指摘するように、
冒頭と終末とでSoloが登場するのは、
曲の均質性や終結を印象付けることを
目的にしているだけでなく、
このtextの最終節が指し示していることを体現しているのです。


[Vidi calumnias et lacrymas! の意訳]


§4-1. 私は改めて、太陽の下に行われる弾圧と(無実の*)涙を見た。
それを慰めるものはない。
彼らは暴力に屈することも出来ない。
すべての助けを失ったのだから。

§4-2. 生きる者よりも、
死ぬ者のことを讃えよう。

§4-3. その両者よりも幸福なのは、
生まれてこなかった者であろう。
彼らは太陽の下で行われる悪行を見ていないのだから。

§3-12. 私は気付いた。
歓喜に勝るものは無いということを。
喜びは人生をよりよくするものだ。

§3-13. すべての人にとって、飲み食いをし、
労苦によって得られる満足は、神からの賜り物である。

§3-14. 私は理解した。
神がつくり出したものはすべて永遠に不変であり、
人の手によって、
加えることも除くこともできないことを。
神の御業は畏れるべき存在であるということを。

§3-15. 今ある事は既に起きたこと、
将来あることは今まさに起きていることである。
変わりゆくものを、神は再び創始される。

 

 

 

金田さん、詳細かつ楽曲の奥へ入り込むような解説文を

ありがとうございました。

「Vidi calumnias et lacrymas!」の最終節

「今ある事は既に起きたこと、
 将来あることは今まさに起きていることである」は

Petr Ebenの De circuitu aeterno(永遠なる循環)を

思い出しました。

冒頭と終末のソリストの歌唱にも注目ですね。

 

 

 

さらにこの全国大会へ懸ける思いを

団員の芳賀さんからいただきました。

 


昨年の全国大会初出場から1年。
全国大会出場をきっかけに、
今までにはなかった本番の機会をいただいたり、
新入団員が増えたりして、
いろいろな変化がありました。
そして、新鮮な雰囲気の中で日々活動してきました。

昨年は東北大会銀賞での全国出場でしたが、
今年は念願の東北大会金賞での全国大会となりました。
演奏を通して、私たちの団の雰囲気や
曲の世界を感じ取っていただけたらと思います。

福島の代表、そして東北の代表の名に
恥じない演奏ができるように、
最後の最後まで集中して歌いたいと思います。

   

 

芳賀さん、ありがとうございました。

全国大会をきっかけにした変化、興味深かったです。

昨年は東北大会銀賞で全国が金賞だったのだから、

東北大会金賞の今年は、全国大会プラチナ賞?!

…などとバカなことを考えてしまいました。(ありません)

 

 

 

 

 

 

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東北大会表彰式直後の写真とのこと。

 

 

 

テキストを含め、楽曲を深く知り、

基礎力が極めて高いL'Aube des Tempsさん。

全国大会後、1年間でさまざまな新しい体験を得た上で、

3曲のそれぞれ異なる世界の魅力を

どうかステージに表出させていただきたいと思います。

 

 

 



 

次は偶然にも、昨年と同じ
L'Aube des Tempsさんの後の出演順の団体です。

 

 

 

 

 



3.北海道・北海道支部代表

ウィスティリア アンサンブル
(女声18名・5年連続出場・60回大会から6度目の出場)



藤岡直美先生が指導された
枝幸、岩見沢、札幌の中学校OGの合同団体。
今年で結成14年目です。


山本 枝幸ジュニア合唱団時代の
   Orbanの「ミサ曲第9番」が印象に残っているよ。
   凄い演奏してたもんねえ。


ここ数年は日本語の曲を演奏していますね。


ぜん この団体が「南島歌遊び」を過去に演奏した時、
   北の国らしい感じがあったね。
   言葉の使い方が南の地方とは違うな~と。


元道民としてお尋ねしますが(笑)
どんな風に違いますか?


ぜん 言葉の使い方の違いによる
   良い意味での堅さ、緊張感が
   音楽に現れていたと思う。


…ほ~う、面白いですね。


ぜん 今回もどんな音が出てくるのか、
   ウキウキするね。
   期待しています! 
   ファンなもんで(笑)。

   ・・・でも残念ながら聴けないんだよなあ。


ぜんぱくさんの分も私が聴きますよ!(笑)



ウィスティリア アンサンブルさん、
今年の演奏曲は
課題曲はF4の「ゆうやけ」
(みなづきみのり:詩 松本望:曲)

自由曲は福島雄次郎作曲
無伴奏女声合唱のための「南島歌遊び」から
「憩い」(その1 版画)
「嗚咽」(その2 伝説)
「陽気な娘たち」(その1 版画)



ぜんぱくさんが語られたように
「枝幸ジュニア合唱団」から団名が変わり
2007年東京の全国大会で
「ウィスティリア アンサンブル」として
初めて出場された時の自由曲が
無伴奏女声合唱のための「南島歌遊び」から
「嗚咽」「野茶坊」(その2 伝説から)


ここしばらくウィスティリアさんは
演奏会の客演指揮に
「言葉の魔術師」高嶋昌二先生をお呼びし、
日本語の扱いがどんどん上達している印象もあるので
7年前とは同じ曲集でも、
また違った演奏の印象になるかもしれません。


昨年の観客賞では
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2013/12/06/091645

発声の良さを賞賛する声に続き、
「どんどん声が大人になってきている」
「昨年より、また成熟した感じがあった」などの声が。

さらに
「昔の大谷短大輪声会の流れを受け継ぐ発声、
 という印象で懐かしかったです」とも。


今年の10月、

合唱音楽の素晴らしさを示してくださった名指揮者、

宍戸悟郎先生が亡くなられました。

藤岡直美先生は、宍戸先生が輪声会を指導されていた時の教え子。
そのことを思うと、ウィスティリア アンサンブルさんの声が
さらに輝きを増すように思われます…。

 



ぜんぱくさんのように、
全国にファンが多い合唱団。
(・・・実は私も 笑)


自由曲は南の歌ですが、
北国の雪や氷を思わせるクリスタル・ヴォイスと
どんな化学反応を起こすのか?

高松のステージ、 楽しみにしたいと思います。
さらに多くのファンが増えることを願って!

 

 

 

 

 

 

(明日に続きます)