コンクールと吹奏楽作品2題

 

 

 

あまりにも周囲の評判が良いので、観てしまいました、最後まで。
「響け! ユーフォニアム」

 

 

f:id:bungo618:20150804071735j:plain

TVアニメ『響け!ユーフォニアム』公式サイト



燦き、高らかに鳴り響く管楽器たち。
期待を胸に、主人公・久美子は北宇治高校の門をくぐる。
しかし、登校初日の入学式で久美子が目にしたのは、
今にも萎れそうな朝顔のような楽器の演奏。
そんな中、久美子は生来の性格より
北宇治高校吹奏楽部に入部することになるが、
彼女に待ち受けていたのは想像だにしない
かつての強豪校であった吹部の凋残。
生徒たちは、「全国大会に行く」という目標を掲げ、
新顧問である滝昇の指導のもと日々練習に明け暮れるが、
その実際はトラブルの連続であった。
これは、そんな少女たちの青春や葛藤模様を描いた物語である。
(Wikipediaより)

 

…いやあ、素晴らしい作品でした。
吹奏楽と合唱という違いはあれども、
コンクールシーズンの夏、
多くの人へ勧めたい質の高いアニメーションです。

ただ、まあ、
「若い強さって、視野が狭いということ。
 だから鋭く、奥深くまで行ける」
という言葉を思い出してしまいました。

コンクールという狭い世界を肯定しているこの作品に触れて、
若くない大人は、
コンクールの否定ではなく、

コンクールとは違う価値観を、楽しみとして、
若い人へ提供しなければいけないのでは…と。

しかし各楽器の録音、
主役の、いわゆる萌えアニメにはない等身大の優れた演技、
息遣いも感じられるような演出、細やかな起伏のドラマ、
そして何と言ってもテレビアニメとは信じられない品質の美術!と
素晴らしい作品です。
多くの人が見るべき。
最終話のコンクール演奏にはぐっと来ましたよ、うん。


ニコニコ動画で第1話が無料で観られるので
興味が湧いた方はぜひ!
http://www.nicovideo.jp/watch/1428548903





吹奏楽に関連して、さらにこんな本を。


冨田篤「息を聴け 熊本盲学校アンサンブルの挑戦」

息を聴け

息を聴け

 

 「お前たちの武器は、その耳だ!」
視覚障害を持つ8人の若者が
全日本アンサンブルコンテストに挑戦した!
楽譜はどうする? 出だしの合図は?

手探りで彼らを指導し、ともに涙を流した
一人の打楽器奏者が綴る奇跡のドキュメント。

 

 

依頼され、初めて盲学校の生徒に

打楽器を教えることになった冨田篤先生。
けれど2人の全盲と6人の弱視の生徒たちに
楽器の演奏を教えるのは困難を究めます。
まず、楽譜が読めない。
(点字楽譜はあるのだけど、そちらは冨田先生が読めない)
結果、それぞれの楽器を冨田先生が
個別に録音し、生徒に聴かせて覚えさせる方法を取ることに。
さらに演奏法を視覚で理解できないので
二人羽織のようにドラムロールを教えたり…。
極めつけは、最初に合奏をしようとする時
「始めていいよ」と先生が言うもなかなか始まらない。
疑問に思った先生が尋ねると
「先生……、出だしが……分かりません……」
指揮を見ることができない彼らにとって
合奏を揃えて始めるというのは至難の業だった!

だが、視覚が不自由ゆえの
彼らの鋭敏な耳に気付いた冨田先生は
「耳を使う」、「気配を感じる」
つまりタイトルの「息を聴け」に繋がっていくことから
演奏が上手く進んでいくようになるのです。



そして熊本盲学校アンサンブルは盲学校として初めて
全日本アンサンブルコンテストに出場し、
初出場ながら県大会を突破し、九州大会へ。

冨田先生の指導は熱血で「絶対、金賞を取るぞ!」と
非常に金賞にこだわり、それ以外の賞なら賞状を破るといい、
常に激を飛ばし続けます。
そして最後は・・・。



 

もう、どんな賞がもたらされてもかまわなかった。
ここに八人が立ち、演奏し、拍手をもらった。
それが、私と彼らのすべてだった。それでいい。それだけで十分だ。

 

 

この心境に至るまでの過程は、ぜひ本文で!

 


コンクールには勝負の側面があり、
賞という絶対の価値観があり、
それは時に悲しみをもたらすのですが、
その狭い世界が冨田先生自らの心によって

破られる瞬間に私も同調し、
ステージ上の熊本盲学校アンサンブルを
実際に聴いたように震えてしまいました。


 興味を持たれた方は ↓ の動画を是非!

 


熊本県立盲学校アンサンブル部 - YouTube