コーラス・どーなっツー演奏会感想 その1

 

 

10月12日3連休最後の日、


呉で行われた
「コーラス・どーなっツー」演奏会へ行きました。

「コーラス・どーなっツー」とは
中国・四国地方の大学生が2泊3日の合宿をして、
最終日に演奏会を行うという企画。
昨年、聴きに行ったぜんぱくさんがその感想を
熱く、長く語られていて。
そして今年はそのぜんぱくさんも講師として参加。
どういうものなのか、と興味を持ち、行った次第です。

(↓昨年のぜんぱくさんの感想)
http://talk21self2.blog111.fc2.com/blog-date-201410-6.html

 

 

 

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会場の呉市文化ホールは非常に良い響きのホール。
かなり前に呉混声合唱団さんの
定期演奏会を聴きに行った時と同じホールかな。

お客さんの数は非常に少なく、50人ほど。
(…でも「昨年の10倍!」だそう。
 まあ昨年は台風直撃だったそうですからね)


前半は21名が1列のアンサンブル。
何の曲をやるのかな~と思ったら
ダウランドの「come again」!
こういう曲を演奏する機会、良いですね。


続いて各合唱団の単独ステージ。

広島大学合唱団(混声15名)
山口大学・香川大学合唱団(混声25名)
安田女子大学合唱研究会Vivid Nova(女声16名)
広島大学東雲混声合唱団パストラール(混声24名)

の4団体。
人数については正確では無いかも。

 

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手作り感あふれるプログラム

 

 

 


ぜんぱくさんから事前に「声ないよ~。ヘタだよ~(笑)」
と言われていました。
実際に演奏を聴いて・・・
うん、個別の感想は控えます(笑)。

すいません。かなり厳しいことを書くと
「他者へ聴かせる意識が少ない演奏」でした。
横にいたぜんぱくさんへ
「麺つゆも薬味もないそうめんを食べているような気が…」と
言ってしまったのですが、そんな印象。

それは「伝えるという意識」
「自分たちの演奏の客観的な評価と分析」…など
いろいろ難しい面があるのですが。
その大きな原因かな、と思った2点。




1)指揮者の重要性

発声面で各団体ともそんなに差はなかったのですが、
そうなると、いや、だからこそ重要なのは
「指揮者の役割」なのですね。

講師の一人である縄裕次郎さんは別格として、
各団体の学生指揮者さんには
「声を指揮者で止めてしまう」印象の人が多かった。
歌い出しの最初の指揮で声を流れに乗せられない。

先日の九州大会で
「指揮者無しのアンサンブルではなかなか外せない
 『歌い手の表現のリミッター』を外すのも
 指揮者の役割なのでは」などと思ったのですが
声が足りない、出せない団体だからこそ
「いいよいいよ~! もっと歌おう!」と鼓舞できる
指揮者の重要性を感じました。

指揮者がいろいろ指摘していくうちに
合唱団側が委縮してしまうのかな。
学生指揮者を指導した山本さんが

「演奏の欠点の指摘は的を得ていたよ。
 でもその欠点をどうするかの
 処方箋が足りていない」

という意のことを語られていて、
そういうことなのかなあとも思ったり。



 


2)「上手い演奏を聴いている」という経験値

指揮者はもちろん、歌う団員さんも
「上手い、良い演奏をあまり聞いていないんじゃ?」と。

「演奏する曲の模範演奏」だけではなく、
いわゆる「名演」とされる演奏。
音量の増減、音色、子音、発声の変化、テンポなどなど。
音楽を構成する要素はたくさんありますが、
「何がこの演奏を良い演奏にしているか?」を
意識し、考えながら聴くことは非常に大切だと思うのです。


現時点では全くできていなくても、
高い目標を真摯に目指していれば
それは演奏に表れるはず。


あと、どこかで指揮者じゃない団員さんの
「上手い演奏を聴いても、
 自分が上手くなるわけじゃないし…」という意見を
目にしたことがあるのですが、これは大間違い!

喩えですが、指揮者が「赤」と言って
歌い手が赤をイメージして歌うのと、
赤を知らない歌い手が歌うのでは
全く違う結果が生まれるのはわかりますよね?
「上手い、良い演奏」のイメージを
指揮者、歌い手共に共有するのは
良い演奏をするために非常に大事なことなんです。


 


・・・とは言え、演奏のレベルとは無関係に
なんだか聴いて、ほのぼのしてしまう演奏ばかりでした。
「他者に聴かせる意識が少ない演奏」というのは
言い換えれば
「自分たちだけで楽しんでいる演奏」ということ。
正規の練習後、音楽室の片隅で
3、4人で自然発生的に声を合わせて歌うような、
そんな合唱の原点とでも言うべき楽しさを
彼らの演奏から感じてしまったからかもしれません。

 

 


※後記

講師の一人、山本啓之さんによると

合同は二泊三日でしっかり練るんだけど、
単独ステージは当日の20分しかリハがない

ということだそうなので、
その与えられた時間の少なさが
単独のステージに大きく影響しているのかもしれません。
「今後の改善ポイント」だとも。




(その2へ続きます)