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「コンクール出場団体あれやこれや:出張版2015」(その2)

 

 

 

 

全日本合唱連盟公式アカウントさんが
こんなツイートを。

 

 

 

 

 

おお! 九州大会の時、伊藤理事長が
「こんなことをやりたいんだけどね…」と仰られたことが現実に!
指揮はどなたが? そしてオルガン伴奏なんでしょうか?


さて、モーツァルト「Ave Verum Corpus」、
どんな曲か聴いてみましょう。

  

 


Mozart Ave Verum Corpus K.618 - YouTube

 

 

・・・良い曲です。
ちなみに指揮はリッカルド・ムーティ。
オーケストラはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団。
合唱はスウェーデン放送合唱団。


でも、「楽譜につきましては、各人でご準備いただければ」かあ。
私は20年ほど前に歌ったんですけど、まだ取り置いてるかなあ、楽譜。
これから楽譜を注文して、届くのに日数がかかると難しいですよね。

悩んでいると、VOCE ARMONICA指揮者:黒川和伸さんが
こんな情報を。

   

 

Ave verum corpus, K.618 (Mozart, Wolfgang Amadeus)

http://petrucci.mus.auth.gr/imglnks/usimg/8/8b/IMSLP28882-PMLP14118-Ave_verum.pdf

 


※Choral Public Domain Library (CPDL)とは
パブリックドメインもしくは
自由利用できる印刷物や演奏
(著作権者や著作隣接権者の許可を受けた)からの
合唱や声楽曲を主にした楽譜…ということ。


↑のpdfファイルを開ける方ならすぐ楽譜が入手できます!
そしてダウンロードし、印刷しても法に触れないそう。
黒川さん、ありがとう!

 

 

 
70年前、ブリックホールの
すぐ近くで亡くなられた人を慰撫するため
「Ave Verum Corpus」を歌う・・・良い試みだと思います。

 

 

Ave verum corpus natum de Maria Virgine. めでたし、乙女マリアより生まれ給いしまことのお体よ。
Vere passum immolatum in cruce pro homine: 人々のため犠牲となりて十字架上でまことの苦しみを受け、
cujus latus perforatum fluxit aqua et sanguine. 貫かれたその脇腹から血と水を流し給いし方よ。
Esto nobis praegustatum mortis in examine. 我らの臨終の試練をあらかじめ知らせ給え。
O Iesu dulcis, 優しきイエスよ。
O Iesu pie, 慈悲深きイエスよ。
O Iesu Fili Mariae. Amen.

マリアの子イエスよ。アーメン。

 

 

早速楽譜をダウンロードして音を確認しようかな。

 

 

 

 

さて、今日は室内部門の3団体をご紹介します。
最初は声と響き、リズムに定評のある東京の団体です。

 

 

 







2.東京都・東京支部代表

杉並学院・菊華女声合唱団

(女声24人・女声としては初出場)
(杉並学院・菊華混声合唱団としては
 3年ぶりの出場・64回大会以来3回目の出場)
(菊華アンサンブルとしては59回以来5回目の出場)
(※リンクは菊華アンサンブルHPのもの)



女子高の菊華高校が共学化により
杉並学院に名称が変わり、
このような名称になった団体ですね。

3年前の混声合唱団の演奏は
明るく響く声とリズム感の良さが相まって
一般Aの部で金賞2位を獲得。



今年の選曲は課題曲F3
氷雨(「冬の歌」から) (新美南吉 詩/柴田南雄 曲)

自由曲:「日本の民謡 第1集」より「八木節」
「日本の民謡 第2集」より「会津磐梯山」
作曲:松下耕

杉並学院・菊華さんお得意のリズムが活かせる「八木節」、
神秘的な響きの「会津磐梯山」と対照的な2曲。


杉並学院・菊華女声合唱団さん、
先日参加されたスペイン・トロサ国際合唱コンクールにて
ポリフォニー部門、民族部門の2部門で2位を受賞されたとか!

その勢いで長崎のステージもがんばってください!




 

女声合唱が続きます。
前身の団体から今に至るまでファンが多いその団体とは…?

 

 

 

 

 

 

 

 



3.北海道・北海道支部代表

ウィスティリア アンサンブル

(女声14名・6年連続出場・60回大会から7度目の出場)



藤岡直美先生が指導された
枝幸、岩見沢、札幌の中学校OGの合同団体。
今年で結成15年目です。
以前は「枝幸ジュニア合唱団」という団名でした。
ジュニアの団体が、年月が過ぎ、
ロングドレスが似合う大人の女声合唱団に…。


北海道の冬を思わせるクリスタル・ヴォイスに加え、
近年は演奏会に言葉の魔術師:高嶋昌二先生を
客演指揮者に迎え、日本語にも磨きがかかっている印象が。


今年の選曲は課題曲F4
夏へ(「立原道造の詩による四つの心象」から)
(立原道造 詩/鷹羽弘晃 曲)


おっ! この課題曲、大好きなんですよ。
ピアノ、音響、言葉と繊細な表現が要求される作品ですが
ウィスティリアさんなら北海道特有の透明な夏を
感じさせてくれるかなあ。


そして自由曲は


アイヌ歌謡による無伴奏女声合唱集「神様飛び立つよ」より
1.イノンノ イタ[祝詞]
2.カムイ ホプニ ナ [神さま、飛び立つよ]
7.イフンナ [子守唄]
8.サケカ ウポポ [酒造り歌]

作曲:信長貴富


ウィスティリアさんの委嘱曲だそうです。

北海道支部大会を聴かれたken5さんのレポートです。


最先端の「攻めた」信長作品、だということ。
決してフワッとした(旧枝幸ジュニアの)イメージで
当て書きされたりはしてないです。
アイヌをテーマにした曲は
古今東西・混声男声と様々ありますが、
そのどれとも違う。
「アイヌ歌謡」というモチーフはあれど、
フルコンタクトのノブナガ現代曲として聴かれるべき。
その意味では人数の少なさはあまり不利に働かないかも。
気づけば個人が
ハイパフォーマンスできる集団になっていましたね… 。


ほーう、信長先生の「攻めた」作品!
ウィスティリアさんと信長作品では
2年前の「種子はさへづる」の演奏も印象深かったですね。

ken5さんのレポートはさらに

 


周到に準備し、
自分達の音楽性・響きの特徴をよく自覚したうえで
表現について勝負をかけてきた感じ。
(借り物のドレスでなく、
自分達に一番ぴったり似合う服を
時間をかけて用意してきた、とでも喩えられるかな)
自分達にしかできない表現を求め、
聞いてもらいたいという挑戦意欲。
大きな、また長期にわたる「前へ進む」意志。
そんなものが感じられました。

手元の、今年の道大会パンフには、
ウィスティリアの箇所に
「鈴の鳴るような」とひと言、
自分は響きの印象をメモしています。
全国の皆さんに、楽しみに待っていてほしい、です!

 

 

…とのことなので、
信長先生の意欲作を自分たちのものにして
演奏してくれそうですね。
ウィスティリアさんは14人と、室内部門はもちろん
この長崎での全国大会、全部門で一番少ない人数の団体。

どうか九州・長崎という南の地で、
北の響きを涼やかに鳴らして欲しいものです。
うん、楽しみだ!



 

 

 

今日最後にご紹介する団体。
独特の存在感を発揮している混声合唱団です。

 

 

 

 

 

 

 

 





4.中国支部・島根県代表

ゾリステン アンサンブル

(混声24名・4年連続出場・43回大会以来13回目の出場)

 


昨年は自由曲にヒンデミットを選曲され、
その近視眼的ではない音楽作りに「ほーっ」と唸ったのですが。
今年のゾリステンさんの演奏曲は・・・


課題曲G1 Super flumina Babylonis 
(Giovanni Pierluigi da Palestrina 曲)


自由曲「Five songs on old texts」より
True Love (真の愛)
Of Household Rule (家庭の規則について)
Trooper's Drinking Song  (騎兵たちの酒飲み歌)
The devil a monk would be (修道士になろうとした悪魔)

作曲:Paul Hindemith


おお、今年もヒンデミットとは!
どういう曲か検索してみて
この曲が入っているCDを見つけ喜び勇んで
購入ボタンを押したら品切れ…なんじゃそりゃ!
PayPalなんてものを初めて登録までしたのに・・・。

そこで、昨年もお世話になった
指揮者の西真紀先生ご自身のブログ「murmur」
今年も「全国大会曲紹介」という題で
http://solisten.seesaa.net/article/429078908.html
今年のゾリステン アンサンブルの演奏曲について
とても興味深い解説を書いてくださっているので
転載許可をいただきました。
(抜粋なので全文を読まれたい方は元リンクへぜひ!)

 

 


今年の課題曲はパレストリーナ。
自由曲はヒンデミット。
今回は近づいたのでヒンデミットの曲について紹介してみたい。

ヒンデミットは1895年生まれ。
ドイツ人であったが、ヒトラーの支配を嫌い、
1940年にアメリカに亡命している。
詳しくは以下へ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%92%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%88

今回の自由曲、「Five songs on old texts」は、
1936年の作曲で、ヒンデミット41歳の作品。
ただ実は1923年に同じテキスト4つを使った
「Lieder nach alten Texten op.33」
(古い詩文による歌曲集)という曲集がある。
この曲集は6曲からなり、4声~6声であり、ドイツ語による。
曲もこっちの方がやや渋く、難易度も高い。
(ちなみに今年の高校Aの不来方高校は
この曲集から選曲している)

今回の自由曲は
もともと西暦1000年前後につくられたような古い詩を
さらに英訳したものに作曲されている。
なぜか、ということについてはわからないが、
楽譜の発行がショットであり、
調べても英語表記のものしか出てこないところを見ると
やはり英訳されたものに作曲されたと考えている。

第1曲は「True Love(真の愛)」
歌詞に出てくるのはトリスタン。
トリスタンといえば、あの「トリスタンとイゾルデ」。
媚薬の力によってイゾルデとの恋が始まる、というあの人。
この詩は愛を熱狂的に語るが、さて、はたと気づく。
媚薬によって始まったこの恋は果たして「真の愛」なのか?
この熱狂も真実なのか?
音楽はただひたすらロマンティックに
テナーに旋律を歌わせるのみ。。。

第3曲(第2曲は今回カット。これも素晴らしい曲なのだけど。)は
「Of household rule(家庭の規則について)」
この曲だけ歌詞が新しい。
なんと宗教改革者マルティン・ルター。
「敬虔な生活を送る男性とは、自分自身に妻をめとるものである。
敬虔な道を歩む妻とは、
夫に対して忠実であり続けるものである。・・・」と
延々と家庭における夫と妻の心得のようなものが説かれる。
どんな曲をご想像だろうか。
聞いてのお楽しみだが、ヒンデミットは多分、
ルターをあんまり信仰していないのかも(私の想像)、
夫と妻の役割について
この詩に納得してないのでは!と思わせる曲なのだ!

第4曲は「Troopers' Drinking Song(騎兵たちの酒飲み歌)」
これはとにかく楽しい曲。
「どんどんまわせ、どんどんまわせ、こっちにもっとワインを!」
変拍子でスピード感あふれる中で、
酔っ払うソプラノとテナー、ぴったり!(←飲み助は大体・・・)

第5曲は
「The Devil a monk would be!(修道士になろうとした悪魔)」
この曲は主役は一匹のオオカミ。
良心の呵責に苦しみ、
安らぎを求めて修道院へ行き、そこを気に入る。
しかし、彼は羊と豚をかみ殺し、
司祭様の犬が殺したんだ、と言う。。。
修道士になっていた場面と
本能のままに殺戮をする場面の音楽のギャップが
おそらくたいていの人が思う曲想と真逆。
本能のままの場面の軽やかさ、爽やかさ、輝きといったら!

この曲集は「音楽」と「詩」の組み合わせが大変おもしろい。
詩の世界を表現しようと大抵の作曲家が
技巧を凝らし作曲していくのだと思うのだが、
ヒンデミットは詩の世界を十分に理解した上で、
自分の考えを音楽で表現している。
それがくちびるの端で
にやりと笑うような音楽につながっていると思う。

12のマドリガルも大変有名だが
ドイツ語のせいかかなり重苦しい。
この曲集はもっと軽く、明るさが強い。
もっともっと歌われていい曲だと思う。


今回の曲は、
ヒンデミットの保守的な部分が
大きく出ているのかもしれないが、
ドイツ人のアイデンティティのようなものも感じられ、
とても楽しい曲。
ぜひ楽しんで(団員は必死、かな?)聴いていただけたらと思う。
あと少し、精進したい。

 

 

西先生、ありがとうございました。

西先生のブログの元ページにはヒンデミットの
「アマチュア音楽家が元気になる言葉」も載っているので
是非とも訪れてみて下さいね。



ヒンデミットという名前から
もっと「現代音楽!」のような印象だったのですが

 

この曲集はもっと軽く、明るさが強い。
もっともっと歌われていい曲だと思う。


テキストといい、予想以上に親しみやすい曲のようですね。


 

指揮の西先生は声楽専攻ですが
器楽も扱っていた経験があるそうで。

そのためかどうかは不明ですが、
演奏に他の団体とは違う「おっ?!」と思う所がある。
音の響かせ方であったり、リズムの捉え方であったり…。
(団員さんに個性的な人が多いせいかも!)

今回の選曲のヒンデミットといい、
「アマチュア合唱のコンクールの価値観」に
あまり囚われない演奏が聴けると、
今年も期待しています。

 

 

 

 

 

 

(明日に続きます)