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「コンクール出場団体あれやこれや:出張版2015」(その13)

 

 

 

 

今日の3団体と明日の2団体でこの連載は終了です!

 




休憩後、16:50から2年ぶりの若き実力団体の登場です。

 

 

 

 





11.千葉県・関東支部代表

VOCE ARMONICA

(32名・2年ぶりの出場・第64回大会以来3回目の出場)

 

 

 

 


一昨年の全国大会では地元:千葉だったため
団員さんがステージへ出てきた時の拍手が凄く、
また演奏もそれに応え、
松下耕先生の難易度が高い曲を
若々しく素敵に演奏し、人気も高かったですね。

 


今回の演奏曲は
課題曲はG4


ねむりのもりのはなし
(「ねむりのもりのはなし」から)
(長田 弘 詩/山下祐加 曲)



そして自由曲は鈴木輝昭作曲
無伴奏混声合唱のための「組曲 春と修羅」より

春と修羅i
春と修羅ii

 


一般の部ではG4を演奏するのは
このARMONICAさんだけ。
さらに自由曲が鈴木輝昭先生の作品と、
これも一般の部では珍しい選曲です。
「春と修羅」は輝昭先生らしい輝くような音と
宮沢賢治の詩を活かしたリズムが散りばめられ
難曲ですが魅力的な作品です。



VOCE ARMONICA団員さんにお聞きしました。



課題曲はG4「ねむりのもりのはなし」。

詩は現在の日本を皮肉ったようにも取れる内容で、
アルモニカも最初は
おどろおどろしい空気感で演奏していました。
しかし作曲の山下さんにお話を伺うと、
子供に絵本を読み聞かせているイメージだそうです。
肩すかしを食らいました(笑)
長崎ではどの様に物語が展開されるのか
楽しみにしていただければと思います。
千葉県が誇るピアニスト・松原賢司(さとし)先生にも注目です。




自由曲は「組曲 春と修羅」より。

コンクールで鈴木輝昭作品が演奏されると、
演奏によってネガティブなイメージで
受け取られることが少なからずあるように思います。
指揮者の黒川はそのことを残念に思っており、
そのイメージを払拭する演奏を目指しています。
具体的なポイントはいくつかあるのですが、
そこは是非お聴きいただいて
「今までに聴いた輝昭作品と違う」と
感じていただければ嬉しいです。


確かに中学・高校生のコンクールでの
鈴木輝昭先生のある種の演奏を考えると
ネガティブなイメージは否定できないところはあります。
「今までに聴いた輝昭作品と違う」
そんな演奏を是非聴かせていただきたいですね。


 

 


この全国大会に対する意気込み(もしくは目標や志)がありましたら…


全国大会への出場は2年ぶりです。
前回の「若い」「声がデカい」といった印象から
一歩進んだ演奏をお聴かせできるよう練習に励んでおります。

 

 

 


聴く人に伝えたいことがありましたら…


超有名団体が名を連ねる混声合唱の部。
アルモニカはまだまだひよっこですが、
休憩延長と言わず多くの方にお聴きいただければ幸いです。

 

 

 


VOCE ARMONICAさんの「我が団のこの人!」です。
 

 

我が団のこの人!といえば、
やはりアルモニカを支えてきてくれた団長です。
常に冷静な目でアルモニカを見つめる高身長イケメンは、
団員の精神的支柱となっています。

 

 

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中央に写っておられるのはG4を作曲された山下祐加先生とのこと。

 

 

 

 

VOCE ARMONICA団員さん、ありがとうございました。
写真の山下祐加先生のように、
VOCE ARMONICAさんは
練習へ松下耕先生や荻久保和明先生など
作曲家を積極的にお呼びしていて
学び取ろうとする姿勢が凄いと思います。

さらに指揮者の黒川和伸先生が今年ご結婚!ということで
その勢いと若さでまた一歩進んだ演奏を期待しています。

 

 

 












次は昨年2位の香川県知事賞を受賞、
観客賞1位のこの団体です!
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2015/01/04/191822














12.佐賀県・九州支部代表

MODOKI

(62名・2年連続の出場・50回大会以来17回目の出場)






10月中旬、MODOKI指揮者:山本啓之さんに
スカイプでお話を伺いました。

 

 

 


【課題曲について】


全国大会出場おめでとうございます!

 

 

 

 

山本 ありがとうございます!




今回は前置き無しに
早速選曲についてお訊きしたいんですが、
課題曲G2:Auf dem See
やはり続けてきたドイツ語ということで?

 

 

 

 

山本 そうやね。
   それにMODOKIに向いているかというと
   あんまりそうじゃない気がしたので
   「じゃあやろう!」と。
   自分たちに合っていない曲を選ぶというのも
   スタンスなので。

 

 

 

 

今年も「challenge!」ですね。
ああいうパッと明るい曲って
確かにMODOKIのイメージとは少し違う気もしますね。

 

 

 

 

山本 どちらかというと集中力で
   じっくりもっていくタイプだからね。
   明るい世俗的な曲は
   今まであんまりしたことがなかったかな。
   …ああいう曲って「良い声」じゃないと
   ダメなんだよね。

 

 

 

 

あー、わかります。
最初の一声で明るいメンデルスゾーンらしさを
輝かせて欲しいというか。

 

 

 

 

山本 そう。
   音楽もがんばって作り込んでいるんだけど
   サウンドの天然な明るさが欲しいよね。
   さらにテンポが速い上のドイツ語もあるし。
   あとやっぱり「恋の歌」はやらないと!

 

 

 

 

おお、9年前のThe Coolin、と来て!

 

 

 

 

山本 ・・・まあ失恋やけど(笑)。

 

 

 

 

(笑)。
課題曲を選ばれた理由をお聞きしたところで。






【我が団のこの人!】


今回の特別企画「我が団のこの人!」なんですが。

 

 

 

 

山本 やっぱりベースの坂田さんかな。




「御大」と呼ばれる…。




山本 そう、ベースの精神的、そして技術的な支柱だし。

 

 

 

 

おお。

 

 

 

 

山本 さらに、酒の席でも支柱である(笑)。

 

 

 

 

(笑)。

 

 

 

 

山本 佐賀大学の自分より5つか6つ上の先輩でもある。
   大学では一緒にやったことはないけど。

 

 

 

 

そうすると・・・50代!
MODOKIのような団体でそれぐらいの年代の方が
精神的にも技術的にも支柱というのは凄いですね。

 

 

 

 

山本 漢気があるしね。
   寡黙だし、「俺の背中を見ろ!」と
   背中で語るタイプ。
   それが男としても尊敬できるとこやね。
   ヘンな話、いちばん練習せんで良い人が、
   いちばん練習してるみたいな。




カッコイイですね!




山本 …で、いちばん練習しなきゃいけない人が
   いちばん練習しないんだな~。




それ、書いていいんですか?(笑)




山本 書いていいよ、むしろ書いて!(笑)




えーと(笑)。
そういえば自由曲の
「戦いの日日」の最初のソロも
この坂田さんなのでは?



山本 そう。
   九州大会後から
   またソロはオーディションで決め直すけど
   坂田さんは変わらんやろね。




あのソロは良かったですね!





【自由曲「嫁ぐ娘に」について】


それではその自由曲、
高田敏子:詩
三善晃:作曲「嫁ぐ娘に」から
「戦いの日日」「かどで」について
お伺いしたいのですが。

 

 

 

 

山本 今年は「良い曲」をキチッと
   みんなで学ぼうということなので。
   三善先生の作品で
   コンクールに出るのは初めてだし。

 

 

 

 

日本語の自由曲も2010年、
西宮での「風紋」以来ですね。

 

 

 

 

山本 そうなんだよ、日本語の表現もこだわってね。
   美しいパートソロで繋いでいくメロディ。
   言葉を語り、歌を歌っていく。
   そして、三善先生独特の世界観をどう伝えるか。

   コンクールとしては、
   ふさわしい曲が他にあるかもしれんけど、
   毎年のごとく、今年のチャレンジをやっています。

 

 

 

 

戦後70年、長崎での全国大会ということも?

 

 

 

山本 それはもちろん。
   九州大会のパンフレットにも書いたけど
   「破滅や絶望失意を胎生の糧としない
    愛を信ずることができない。」
   「戦いの日日」「かどで」は
   まさにその言葉通りだと思うので。

   「嫁ぐ娘に」、詩人の高田敏子さんは
   娘さんへ書かれたそうだけど
   三善先生も妹さんのために書かれていて。
   …というのは結婚を控えていた妹さんが
   三善先生の自殺を止めたというんだね。

 

 

 


え! そうなんですか?




山本 丘山万里子さんが書かれた文章がネットにあるんだ。
   (Vol.67 ひとりとみんな、あるいは、人となり
http://www.jazztokyo.com/column/editrial02/v67_index.html )



   妹さんが亡くなり、
   三善先生が70歳になってから
   初めて告白されたんだよ。
   「嫁ぐ娘に」は29歳の時に書かれたのに
   40年以上も語られなかったんだね。
   「命を救ってくれた妹に・・・」と。

 

 

 

 

もしそこで、妹さんが三善先生の自殺を止めなかったら…。

 

 

 

 

山本 「嫁ぐ娘に」はもちろん、
   それ以降の素晴らしい作品も生まれなかった!

   だからこの曲の生まれた背景も
   「破滅や絶望失意を胎生の糧としない
    愛を信ずることができない。」
   だと思うんだよ。

   作品でも「戦いの日日」では   
   男声のソリストが日常を歌い、
   その手で人を殺すという戦争の絶望。


   そして「かどで」では
   嫁いで去っていく娘への愛・・・
   いい曲やわ、やっぱり!

   あと時間の移動が織り込まれている曲なんやね。

 

 

 

 

時間の移動?




山本 「かどで」の最初は
   「白いドレス あすのよそおいの娘よ」で
   明日結婚式を控えた娘さんでしょ。
   次は「オムレツ作りの上手な娘よ」で
   おそらく中学、高校生や。
   「かくれんぼの大好きだったいたずらっ子」は
   小学生ぐらい。  
   「吹雪の夜には寝つかなかった赤ん坊」・・・と
   どんどん幼くなっていく。




ああ、そうですね!

 

 

 

 

山本 「戦いの日日」はどこかわからない声と
   悲鳴が交錯している。 

   「おれの手は 麦を育てた」など
   自分が生活する場と戦場が
   オーバーラップしているんだよね。
   詩がそうだけど、
   音楽もすごく時間の移動を感じる。
   だから現在、過去、未来への
   場面転換のスイッチングが重要かな。

   あと、楽譜にコンマがいっぱい書かれていて。
   だから楽譜の一音符、一コンマも
   見逃せないんだろうな・・・と。

 

 

 


和音も重要ですよね。

 

 

 

 

山本 うん、九州大会が終わってから
   全部の和音の分析をしてもらって
   自分がいま第何音を出しているか?とか
   どういうふうに展開していっているとか
   全部調べてもらった。

   そういう和音、言葉、メロディ、表情・・・
   やっぱり全部大事だよね。

 

 

 

 

「かくれんぼの大好きだった」のハミングが
「もういいかい」のメロディだという…。

 

 

 

 

山本 そうそう。
   練習の時に「もういいかい」「まぁだだよ」と
   言わせてるもん。

 

 

 

 

そうなんですか!
あ、そういえば練習中、
団長のしおりさんにいつも突っ込まれるとか?
「おまえら、娘を持つ気持ちがわからんのか?!」
と山本さんが言うと。

 

 

 

 

山本 「あんた息子しかおらんやん!」ってね(笑)。
   いや、この曲の練習中に、
   自分、しょっちゅう泣きよるから。

 

 

 

 

えー、泣く?!

 

 

 

 

山本 そうなの(笑)。
   自分の中では娘がいることになってる。
   だから「息子しかおらんやん!」のやり取りは
   定番となっております。




(笑)。 

 

 

 


山本 「嫁ぐ娘に」の魅力って
   そういう共感できる、
   ある種の抒情性にもあるよね。
   メロディ、和音ともに
   感情に寄り添っているので。

   いや、ホント、深い作品です!  




 


【まとめとして】



では最後になにか仰りたいことは・・・。




山本 今年は長崎での全国大会なので
   九州支部代表の私たちもいろいろがんばります!

 

 

 

 

いろいろ(笑)。
そういえば今年の「史上かつてない2次会」の幹事は
MODOKIさんでしたね。
昨年は山本さんが中心になって…お疲れさまです!

 

 

 

 

山本 まあMODOKIが始めた宴会なので。
   2006年の熊本から始まって
   これで全国の支部を一周したことになるね。
   そういう一周という想いを込められればいいな、と。

   あとMODOKIも今年で25年目なんだよね。




え、4半世紀!




山本 かと言って特別なことは何もしないけど(笑)。




まあ、いつも通り「challenge!」も
カッコイイじゃないですか。




山本 メンバーが毎回多く変わるから
   毎回challengeせざるをえないのよ!!




(笑)。

 

 

 

 

山本 前に言ったように
   三善先生の作品は初チャレンジなので
   とにかくいつもの通り
   『全 身 全 霊 で 行 き ま す !』




山本さん、ありがとうございました!



 

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続いて北欧作品のスペシャリスト、と言えばこの団体の登場です。






 

 

 

 

 





13.愛知県・中部支部代表

合唱団ノース・エコー

(70名・5年連続出場・47回大会以来18回目の出場)



今年の演奏曲は
課題曲G2
Auf dem See 
(Johann Wolfgang von Goethe 詩/Felix Mendelssohn 曲)



自由曲はKnut Nystedt作曲

 

Jerusalem

 



スウェーデンの作曲家:サンドストレムの作品を
コンクールで多く演奏してきたノースさん。

今回は、同じ北欧の作曲家である
ニーステッドの作品を演奏されます。

選曲の理由を団員のM園さんにお聞きしました。

 

 


2014年12月8日、
Knut Nystedtが99歳でこの世を去りました。
ノース・エコーが北欧の無伴奏作品に
取り組むようになって間もない頃から
「O Crux」「I will praise thee, O Lord」
「If you receive my words」「Sing and rejoice」
「Peace I leave with you」「Veni」「Adoro te」
「Audi」「Be not afraid」「Sakura」「Immortal Bach」
と、ニーステッド作品を歌い続けてきた私たちにとって、
彼の訃報を聞いて、彼の曲を、
しかも死後の神の国の到来を約束するこの曲を選ぶことは、
とても自然なことでした。

テキストは新約聖書 ヨハネの黙示録21章の1~5節。
偶然ですが、2002年に歌ったサンドストレムの
「En ny himmel och en ny jord
(新しい天と新しい地)」と同じ箇所
(但しサンドストレムのはスウェーデン語、
 今回のニーステッドのはラテン語)です。
男声の不穏な雰囲気で始まり、
変拍子や不協和音もありますが、
しっかりした発声で歌えば
美しいハーモニーが鳴る曲だと
最近ようやくわかってきました。


さて一方、課題曲の選曲については、
実は団内で議論がありました。
ドイツ語の曲はこれまでにもよく取り上げてきているが、
母音の響きを深めに保ちつつ、
子音もきちんと聞かせることができるのか?
日本人の苦手とされる8分の6拍子で、
しかもアウフタクトも多用される曲にノっていけるのか?
テノールのパートソロとか、
バスのパートソロって…大丈夫?(をい)

激論の末、G2に決まりはしましたが、
課題は山積み、歌うほどに難しさを思い知る私たち。
しかし、「家貧しくして孝子出づ」ではありませんが
自らメンデルスゾーンの人となりや
ゲーテとの関係を資料にまとめてくれた団員や、
少人数の自主練を企画して指導してくれた団員など、
特に若手のメンバーに自主的な動きが出てきてくれたのは
大きな収穫だったのではないかと思います。


これも偶然ですが、今回コンクールで歌う2曲はどちらも
「そして私は」から始まるんですよね。
長崎での全国大会のステージでは、
敬愛するニーステッドの冥福への祈り、
ゲーテの離別のつらさと再生、
メンデルスゾーンの伸びやかさ、
いろんな思いをひっくるめて。
そして、私たちは…。



M園さん、ありがとうございました。
痛みと、そして団の成長を伴った課題曲の選択。
さらにずっと北欧作品を演奏されてきたノースさんにとって
多く歌ったニーステッドへの思い入れは
格別のものがあるのでしょう。

 

精度と、音色の透明さには定評があるノースさん。
どうか深い祈りの歌を聴かせて欲しいと思います。





続いてノースさんの「我が団のこの人!」です。


すーさんは、創団時からのメンバーで、
パートはバリトンです。
現在は大阪に単身赴任されており、
週末にこちらに戻って練習に参加されています。

すーさんには、ある時は、練習態度がなってない、
とお叱りを受けることもあれば、
時には指揮者に対して、歌い方の確認をしていただいたり、
地に足のついたことをおっしゃるので、
その場の雰囲気を一変させる説得力を感じます。

実はすーさん、今年の初めに入院され、
手術を受けていました。
今は退院されて、私たちと一緒に歌っていますが、
一時は本当に心配しました。

すーさん、また一緒に歌いましょう。
そしてノースのご意見番としても、末永く活躍してください。


30年以上団に在籍されているベテラン団員さん、
すーさんの存在感の重さを感じました。
退院されて本当に良かったですね!



 

 

 

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昨年の演奏会、コーラス・コレクションXVの写真です。
ノース・エコーの演奏会は不定期に行なっていますが、
昨年は創立30周年を記念して、皆でTシャツを作り、
ステージでお披露目しました。

 

 




ノースさんの演奏を聴くと
「続けていくうちに宿る力」
というものを考えてしまいます。
その音は年々透き通っていくようなのに
不思議と、いや、だからこそ、
説得力を増しているように感じます。
今回のニーステッドも
きっとノースさんらしい素晴らしい音が鳴ることでしょう。










(明日に続きます)