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「コンクール出場団体あれやこれや:出張版2015」(最終回)

 

 

 

 


14日間にわたって
連日更新してきたこの企画も今日が最終回です。
そして8年間続いた企画としても終わりになります。

 

最終回ということで、
もう一度周知しておきたい2点です。

 





1)閉会式で
「Ave Verum Corpus」を歌おうという企画が
全日本合唱連盟から上がっています。


詳しい説明、演奏音源、無料楽譜のご紹介は
↓ こちらからどうぞ。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2015/11/07/202914

 

 

 

 

2)<観客賞のお知らせ>


今年で3回目になる観客賞のお知らせです。

昨年の観客賞:室内合唱部門
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2014/12/23/095451
昨年の観客賞:混声合唱部門
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2015/01/03/180439




今回、室内合唱と混声合唱に加え
「大学ユース部門」「同声部門」の全部門で行うことにしました。



参加資格:「大学ユース部門」「室内合唱部門」
     「同声合唱部門」「混声合唱の部」、
      それぞれ全団体を聴いていること。


投票方法は2つあります。


1)ツイッターによる投票

投票方法:ご自分のツイッターアカウントで
「大学ユース部門」「室内合唱部門」なら
それぞれハッシュタグ 

#大学ユース15 
#室内合唱15 

を付けて
22日室内合唱の部終演(予定16:44)から
審査発表の17:30までに
良かった2団体を書いてツイート。



「同声合唱部門」「混声合唱部門」なら
それぞれハッシュタグ 

#同声合唱15
#混声合唱15 

を付けて
23日混声合唱の部終演(予定17:59)から
審査発表の18:50までに
良かった2団体を書いてツイート。

その際、各団体の後に感想を書いていただけると
とても嬉しいです。
1団体だけの投票でも結構ですよ。
(3団体以上を書かれると無効です。すみません・・・)

※昨年、ハッシュタグを間違えた方が
何人かいらっしゃいました。
1文字でも間違うと捕捉できないので
正確にお願いします!



ツイート投票の例:

コール・●● 熱い演奏に燃えました!
合唱団▲▲ 密なアンサンブルと笑顔が良かったです。#室内合唱15 

 

 

 

 

 

 

ツイッターアカウントを持っていない方は

2)メールによる投票

投票方法:メールアドレス
bungo0618*yahoo.co.jp
(↑ *を@に替えて下さい)
良かった2団体を書いて送って下さい。

件名は「観客賞」で。
締め切りの時間は
ツイッターでの投票と同じです。


いかがでしょうか?
発表は後日、このブログで発表したいと思います。
みなさんのご協力あっての観客賞。
たくさんのご投票をよろしくお願いします!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全国大会の地、長崎市の週末の天気予報です。

 

 

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金曜日は晴れ時々曇り

土曜日は晴れ時々曇り

日曜日は曇り

月曜日は曇り時々雨

 

 

前日とコンクールの2日間は雨の心配は無いようですね。

ありがたい!

 

 

 

 

さあ、全15団体が出場する混声合唱部門。
最後の2団体のご紹介です。
1団体目は昨年第1位、観客賞第3位の、この団体です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

14.東京都・東京支部代表

CANTUS ANIMAE

(51名・5年連続出場・第52回大会以来12回目の出場)



 


最近の4年間では
上位の金賞を受賞されているCA(シーエー)さん。
それ以上に聴く者へ強烈な印象を与えることでも知られ。



次の出番を待つ指揮者の方を震えさせたり、
審査員に「ここにある奇跡」「言葉は要らない」と言わしめたり、
昨年の演奏で私は、頭が真っ白になり
その後の団体の演奏がほとんど耳に入らなくなりました。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2015/01/03/180439




指揮者の雨森文也先生は室内部門の合唱団まいさん、
同声部門のHIKARI BRILLANTEさんでも指揮をされます。



今年の8月に練習見学をさせていただいたとき、
私はこんな記事を書きました。

CAさんの練習について
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2015/08/16/143048


今回の企画「我が団のこの人!」
通じるものがあると思いますがいかがでしょうか。

 

 

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CAさんの今年の演奏曲は
課題曲はG2
Auf dem See 
(Johann Wolfgang von Goethe 詩/Felix Mendelssohn 曲)



自由曲はJohannes Brahms作曲
Ein Deutsches Requiem Op.45(ドイツ・レクイエム)より
「Denn alles Fleisch, es ist wie Gras」
(人はみな草のごとく)



ブラームスの名曲、ドイツ・レクイエムから第二楽章!

過去4年間では邦人作品を選曲されてきたCAさん。
ここでブラームス、しかもドイツ・レクイエムとは!

ドイツ・レクイエムを全国大会で選曲された団体は
私が知っている限りでは日本興業銀行合唱団が
約30年前に第4楽章を演奏していたと記憶しています。
その他にも演奏された団体はあったかもしれませんが、
おそらく数は少ないのでは。




選曲の理由を団員のMariさんからお聞きしました。

 

今年のCAはドイツイヤー。
8月の第19回定期演奏会では、
ドイツ音楽の系譜と銘打って、
シャイン、ブラームス、高田三郎を取り上げました。
シャインはドイツバロック音楽の礎を築き、
ブラームスはベートーヴェンを敬愛するとともに、
バッハやバッハ以前の音楽を学び
大きな影響を受けた人でした。
高田三郎には、え?と思われる方も多いと思いますが、
高田三郎先生はドイツロマン派の継承者を自認され、
演奏会で取り上げた「わたしの願い」にも
その影響は随所に見られます。

さて、ではなぜドイツ音楽を
取り上げることになったのかというと、
それは、昨年の3月、
バッハのロ短調ミサ曲を演奏したことに遡ります。
バッハの深淵で壮大な音楽に触れ、
バッハ以前、バッハ以後の音楽も
探求してみたいと純粋に思ったからです。


課題曲のAuf dem See
自由曲のドイツ・レクイエムは、
そのドイツイヤーの締めくくりとなります。
でも、ブラームスにはたくさんの合唱曲があるのに、
なぜオケ付きのドイツ・レクイエムなんだと、
疑問に思われるかもしれませんね。
実際に8月の演奏会ではアカペラの
二つのモテットを取り上げました。



理由は二つあります。
一つは、ドイツ・レクイエムは、
紛れもなくブラームスの合唱作品の最高峰であること。
二つ目は、ブラームス自身がピアノ版に編曲していること。
通常、オケ付きの曲を
アマチュア合唱団が取り上げるとなると、
リハーサル用のピアノ譜を使って
演奏することになると思います。
オケをお願いして演奏するのは
費用的にそう簡単にできることではないからです。
でも、リハーサル用のピアノでは、
オケの持つ豊かで色彩感たっぷりの音楽を
再現することは難しいですよね。
作曲者が意図した音楽とは違ったものになってしまいます。
しかし、今回のドイツ・レクイエムは作曲者自身の編曲です。
ブラームスの意図した音がそこにあるはずです。
日本語版出版譜の監修者、村谷達也氏はこう書かれています。


「ブラームスの編曲は、
 オーケストラ総譜の単なる書き換えではない。
 合唱つきのオーケストラ総譜とは異なる、
 独自の個性を持った編曲作品といえる。
 ブラームスによって豊かな発想を持って
 技術的、音楽的独創性が展開された、
 人声の聖なる言葉が
 語られることのないピアノフォルテ作品として成り立っている。」
(芸術現代社刊『ヨハネス・ブラームス自身の編曲による
 自筆楽譜に基づいた4手のピアノと2人の独唱者と合唱のための
 「ドイツ・レクイエム」』監修にあたってより)


ドイツ・レクイエムは演奏時間70分にも及ぶ大作ですが、
今回は第二楽章を取り上げます。
とはいえ、第二楽章だけでも
全部演奏すると時間オーバーになってしまうため、
さらに一部をカットして演奏します。

 


「悲しむ人々は、幸いである、その人たちは慰められる」

第一楽章冒頭のテキストです。
ドイツ・レクイエムのテキストは典礼文ではなく、
聖書からブラームス自身が選んで構成しています。
日本語に訳すと「悲しむ人々」が冒頭に来てしまいますが、
ドイツ語の冒頭のテキストは"Selig"。
「幸いである」と訳されています。
そして、最終楽章の最後のテキストも"Selig"。
ドイツ・レクイエム全編を通して、
労苦を背負い死を恐れて生きる人々に、
あなた方は幸いである、
神によって祝福されているのだと語りかけるように
テキストが選ばれています。
そういう意味で、ドイツ・レクイエムは、
死者のためのレクイエムというよりは、
苦しみながら精いっぱい生きている人々のための
レクイエムだとも言えます。
今回歌う第二楽章も、
直接的に"Selig"という言葉は出てきませんが、
テキストにはそのエッセンスが色濃く反映されています。

「人は皆、草のようで、
 その華やかさはすべて、草の花のようだ。
 草は枯れ、花は散る。

 兄弟たち、主が来られる時まで忍耐しなさい。
 農夫は朝の雨と夕べの雨が降るまで忍耐しながら、
 大地の尊い実りを待つのです。

 しかし、主の言葉は永遠に変わることがない。

 主に贖なわれた人々は帰ってくる。
 とこしえの喜びを先頭に立てて、
 喜び歌いつつシオンに帰り着く。
 喜びと楽しみが彼らを迎え、嘆きと悲しみは逃げ去る。」
 (第二楽章テキスト訳)



戦後70年の今年、
長崎でドイツ・レクイエムを歌うことに
感慨を覚える団員も多くいます。
わたしもその一人です。
今こうして生きている私たちが、
より良い未来を求めて精いっぱい生きること、
それこそが、亡くなられた多くの方々への
最良の鎮魂となるでしょう。

ブラームスは、
「ドイツ・レクイエムを、
 いつでも人間のレクイエムと言い換えても良い」と
手紙に書いていたそうです。

長崎の地で、人間のためのレクイエムを歌う感慨を胸に、
心からの演奏をしたいと思います。

 

 

 

 

Mariさん、ありがとうございました。
CAさんドイツ・イヤーの締めくくりとなる2曲。
「ブラームス自身の編曲による4手のピアノ版」の
ドイツ・レクイエムを選ばれた意義が伝わりました。

音楽の力とはなにか?と考える時、
私の場合、いつも名曲に触れた時です

 

 


4年前になりますが
東日本大震災からわずか2日後、
東京:さくらホールで行われた
MODOKIさんとCANTUS ANIMAEさんのjoint concertの感想で
私はこう書きました。


「宗教曲」のくくりとしての前半2ステージ。
宗教を信じない自分が書いてふさわしいことか分からないが
人の力ではどうしようもない、
身動きができない、まともに考えることができない状態。
やり場のない悲しみ、不安、怒りが心に広がっているとき。
そんなとき、
人のそばに寄り添い、
心の行く先を示してくれる音楽の力を感じた。
生、そして死、人の力ではどうしようもない事態に直面したとき、
人知を超えた存在を意識し、その存在へ祈るという行為。
宗教というもの、そして宗教曲が必要とされ、生まれてきた意味を、
演奏から非常に感じさせる2ステージだったと思う。

 http://bungo618.hatenablog.com/entry/20110327/1301226632

 

 


先日のパリでの同時多発テロでは多くの方が亡くなりました。
合唱連盟も「Ave verum corpus」を歌おうと企画するこの時
CANTUS ANIMAEさんによる名曲「ドイツ・レクイエム」、
いや、「人間のためのレクイエム」を聴き、
音楽の力、鎮魂ということを今一度考えたいと思います。


CANTUS ANIMAEさんの音楽が
悲しみ、苦しむ人たちへの慰めとなることを願って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2日間にわたって行われた、この長崎での全国大会。
混声部門15団体、全部門50団体の最後は
東北から出場の、この団体です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


15.宮城県・東北支部代表

グリーン・ウッド・ハーモニー

(55名・17年連続出場・第2回大会以来33回目の出場)

 

 

 

 



グリーン・ウッド・ハーモニーさん(以下GWHさん)
指揮者:今井邦男先生の深い考察の元に
ルネサンス・ポリフォニーから12音技法の現代曲まで
幅広いレパートリーを得意とする団体です。




今年の演奏曲は
課題曲はG1
Super flumina Babylonis 
(Giovanni Pierluigi da Palestrina 曲)



自由曲は
Anton von Webern作曲
2. Kantate Op.31(「第2カンタータ」作品31)より
「Ⅵ.Gelokkert aus dem Schosse」
(母の胎から暖められて)


Kurtág György作曲
Omaggio a Luigi Nono Op.16
「ルイジ・ノーノへの頌歌」作品16より
2.РАЗРЫВ (決別(抄))
3.ЛЮБОВЬ НА МЕСЯЦ...
(月の愛(トリスタンへのオマージュ))
4.НО КАК УЗНАТЬ МНЕ...
(しかし、どうして知るだろう)


Arnold Schönberg作曲
「Vier Stücke für gemischten Chor」より)
「MOND UND MENSCHEN」(月と人間)



課題曲のパレストリーナは
4番目に出場のクール・シェンヌさんと同じ。
しかもシェーンベルクの「月と人間」も同じとは!

パレストリーナの課題曲から
ウェーベルン、クルターグ、シェーンベルクと
20世紀前半の現代作曲家3人を揃えた自由曲。



団員のまーさんにお聞きしました。
「この選曲はどういう理由で?」
 

 

以前から今井先生の頭の中には上がっていたようです。
ようやく機が熟したんでしょうかね…。
理由とするならば、おそらく
「様々な12音への挑戦」といったところでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

「自由曲全5曲。いずれもバリバリの12音技法。
 20世紀以降の音楽ということで
 この緊張感満ちる雰囲気がたまりませんが(笑)」

 

ですよね(^_^;)
歌ってる方もそうですよ。

 


最初は、シェーンベルクの弟子でもあるウェーベルン。
「第2カンタータ」は、
第2次世界大戦中の1943年に完成した最後の作品です。
このカンタータの終曲である6番は
オーケストラで歌われることも多いようですが、
今回はアカペラで演奏します。

 


次に、今回初めて取り上げるクルターグ(現在89歳!)。
彼の曲について苦労話など。

初めてのクルターグ。
この人を知ってる団員はほぼ皆無じゃなかったかな。
日本でもこの曲を演奏しているところはあまりないらしいです。

まず楽譜のサイズが普通じゃない。横に広いんです。
このカタチからして何かあるな…
と思ったところで中を見てみると
見慣れない記号がたくさん!
音楽記号じゃないんです。
彼独特の表現らしいのですが。
ビジュアルから、してやられる(笑)。

そして歌ってみるも、
今まで何度となく歌ってきたシェーンベルクテイストとは
ぜんぜん違うものでした。
彼の音楽に慣れるまで、
結構時間がかかった気がします。
今もだ、という団員も中にはいるでしょうね。

で、そのあとにシェーンベルクの練習をすると、
大半の団員が


「なんかシェーンベルク歌うとホッとするねー」


…とか言うようになるんですよ!!
なんだか恐ろしいでしょ(笑)

でも、クルターグもだんだん歌っていくと、
いろんなことがわかってきて。
(毎回恒例の、今井先生の分析譜の助けも
 あってのことではあるんですが)
例えば2番の最後なんて13の音が一度に鳴るので、
ぐしゃっとしているように思えるのですが
これが男性と女性に分けて歌ってみると、
実は至極まっとうな美しい和音なのです。
そういうことがわかってくると、
現代曲といえど身近(というと大げさかもしれませんが)に
感じられる、というところはあるかな。

 


最後は、以前にも歌ったことがある
シェーンベルク「月と人間」
幻想的に輝き、毎夜川の流れのように軌道を進む月。
対して混乱し、落ち着きなく不安定な人間たち。
その対比をうまく音に表すことができるといいのですが。


どの曲も、曲の構造がわかるにつれて
面白くなっていく曲ばかりです。

 

 

 

 

シェーンベルク、その弟子のウェーベルン
ウェーベルンの後継者クルターグ…と
実は繋がっているんですね。


難解な印象のこれらの曲も
実際に取り組まれているGWH団員さんの言葉で
なんだか親しみやすくなるような気がします。

まーさんも記されているように
指揮者の今井先生は毎回、
非常に詳細な分析譜を作成されています。

GWHさんの演奏に説得力があるのも
今井先生のお力があってこそなのでしょう。







 

 

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10月4日に仙台駅で行われた『杜の都コンサート』に出演した時とのこと

 

 

 

 



全国大会に対する意気込み(もしくは目標や志)がありましたら…


悔いなく歌いあげるのみです。
ステージで楽しめたら最高ですね。

個人的には、
こんな12音満載の曲ばかりで大トリだなんて
なんだか聴衆の皆さんの反応が気になって
ワクワクしますね(笑)。


12音技法といえど、
ウェーベルン、クルターグ、シェーンベルクと
作曲のスタイルが様々です。
三者三様のスタイルを楽しんで(?)
いただければと思います。

 

 

 

まーさん、ありがとうございました。
「12音技法」と聞くと
難解でわからない作品…と
私なぞは思ってしまうのですが
ひとくちに12音技法と言えども、
作曲者によってさまざまなんだ!と
理解することができれば最高ですね。

GWHさんの演奏で音楽の新しい世界が開けるかもしれません!


















以上で、室内部門11団体。
混声合唱部門15団体のご紹介を終わります。

 

 

 

 

 

 

【8年間ありがとうございました】



今回を持ちまして
「コンクール出場団体あれやこれや:出張版」を終わります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
そして今年はもちろん、この8年間でお世話になった
数多くの合唱団のみなさまに深くお礼を申し上げます。


なぜ、この企画を始めたかというと
最初はぜんぱくさんが忙しさのため、
この企画を中断されるのがもったいないと感じ、
半分を引き受けたというのは本当なのですが、
続けていくうちに、ふたつの理由ができました。


ひとつは「選曲の重要性」というもの。

当たり前じゃないか、と言われそうですが、
賞で価値を決定されるコンクールにおいて、
賞と同程度の重要性を選曲に認めているかということです。

「千の曲から選ぶから、選曲と言うんだ!」という
栗山文昭先生の名言を借りるまでなく、
幅広く、数多くの楽曲の中から選ぶ重要性は
みなさまもご存知だと思います。

指揮者と合唱団の音楽への知見が現れ、
このコンクールへ自分たちは何を投げかけるのか、
さらに指揮者と合唱団の未来を示すものが
選曲というものだと私は考えます。

昨年の高松での全国大会、
CANTUS ANIMAEさんの
八村義夫:アウトサイダーⅠ「愛の園」は
雨森文也先生が1994年金沢での全国大会、
合唱団OMPさんの演奏で衝撃を受け、
2000年にCAさんで演奏しようと試みるも
退団者が続出して諦め、
14年を過ぎ、やっと演奏することができた念願の曲です。


同じ年、初出場のscatola di voceさんの自由曲、
Ešenvaldsの「Stars」はグラスハープを使用する幻想的な曲。
海外のコンクールを経験し、
日本のコンクールの「お勉強」的な雰囲気に疑問を抱いていた
指揮者の森田悠介先生の選曲ということに意味があります。

賞としての結果はCAさんが第1位金賞、
scatolaさんは銅賞でしたが、
それではscatolaさんが「Stars」を選ばれたことに
価値が無かったかと言うと絶対そんなことはない。
(個人的にはとても良い演奏と思いました)


もちろん賞は賞として、
審査員が演奏へ真剣に向かった判断の結果ですから
尊重すべきかもしれませんが、
それとは別に
「なぜこの曲を選んだのか?」という理由を知ることは
合唱を知るために、とても重要だと私は考えたのです。

この8年間でさまざまな曲を聴き、
その曲を選んださまざまな理由を知ることができました。

最初に選曲は未来を示すものと書きましたが、
指揮者、合唱団のそれまで過ごしてきた過去、歴史、
人生も現れるのだと思います。

 

 

 



もうひとつは
「全国大会へ出場する合唱団の団員さんも、
 努力し、悩むんだ」
という、至極当たり前のことです。

私が札幌にいた時は
全国大会へ進むような団体とは
ほとんど縁が無かったのですが、
ある日、全国大会へ進む団体について
知人からこんな言葉を聞きました。

「ああいう団体はプロが指揮するし、
 音大出身の団員が多くいるもんなんだよ」

だから自分たちには全国大会なんて無理なのさ…と
続けたいようでした。

その言葉が引っかかり、
本州へ移動した私は
いわゆる「全国大会へ進む団体」を見学したり、
指揮者、団員さんにお話を聞いたりしました。
そして出た結論は

「確かにプロの指揮者の力は大きく、
 音大出身の団員さんがいるかもしれない。
 しかし、大切なことは、
 『自分たちとは違う』と言った知人よりも、
 当時の自分よりもずっと、
 その人たちは努力し、
 真摯に音楽へ向かっているんだ」

…ということでした。
今回の企画「我が団のこの人!」へのご回答にも
そのことは多く表れているように思います。

栃木県のルックスエテルナ指揮者、
内田等先生の2年前の言葉を引きましょう。


コンクールに参戦しているけれど、
なかなか結果が出せない団体の方々へ。
コンクールは賛否両論ありますし、
結果が出せないとモチベーションも低下するものですが、
ぜひ勇気を持って継続してください。
必ず、少しずつ力がついていくはずです。
力がつくと、もっとたくさんの音楽に
チャレンジできるようになりますし、
演奏活動もより意味のあるものになっていくと思うんです。
つい10年ほど前までは、
県を抜けるかどうかすら危うかった
私たちの演奏を聴いていただき、
勇気を持っていただけたら幸いです。

 


・・・私は、こういう言葉を知人に、
そして当時の私自身に読ませたかったのだと思います。

 

 


現実のいろいろな苦難を乗り越え、
それでも「いま、自分のできることを」…と
前へ進もうとするみなさんを、
私は応援します。




 

  暗譜が進まず呪文のように繰り返していたら
  隣の人に不審な目で見られた通勤途中の朝。



  団の連絡事項の調整で休み時間がほとんど潰れ
  ため息をつく昼。



  悔しさに唇を噛みしめ楽譜を抱え
  ひとりカラオケボックスの扉を開ける夕暮れ。

 

 

 

  ベッドで練習録音を聴き返していたら
  目が覚め眠れなくなった夜。

 



  遠方の練習場所への夜行バスで目覚め
  痛む体に顔をしかめながら見る夜明けの光。



 

 



・・・趣味というだけでは割り切れない思いを抱え、
がんばっている人がいるのを私は知っています。

あなたのほかはそのがんばりを知らないかもしれない。
でも、私は知っている。

「凄いぞ! よくがんばってるね!」と
力を込めて言ってあげたい。


その後に「どうしてそこまでがんばれるの?」と
尋ねてみたい。
なにがあなたをそこまで駆り立てるのか、と。

 


勝手な推測で申し訳ありません。
でも、おそらくあなたは、
はにかみながら、
大事な秘密を打ち明けるように、
こう答えてくれるのでは。





「…やっぱり好きだからね、合唱」と。






8年間ありがとうございました。
長崎でお会いしましょう!

 


(コンクール出場団体あれやこれや:出張版 おわり)