観客賞座談会:大学ユースの部 その1

 

 

 

大変お待たせいたしました。
観客賞の座談会、
まず大学ユースの部をお届けします。


・・・とその前に、この観客賞の意義を説明します。

 

 

 

審査員による順位、賞の決定は
音楽のプロフェッショナルたる審査員が
それぞれ真剣に誠実に演奏へ向かい、出された結果であり、
それは尊重しなければいけないと思います。

 

しかし、「傷はあるけどあの演奏凄く良かった!」
「コンクールに向いてない選曲はわかるけど涙があふれた!」
…などという声を多く聞いていた自分は、
「じゃあ、観客による投票を行ったら
 演奏への新しい価値観が生まれるのではないか?」と考え、
Tさんの後押しもあり、3年前から仲間内で実行し、
昨年からツイッターでの投票も始めました。

 


さらに「この賞が銅賞だったから私は投票する!」…のような
判官贔屓を無くすため、投票は審査結果前に締め切っています。
(公式審査後の投票は、知人、例えば、ぜんぱくさんでも
 「ご投票ありがとうございます。
  でも集計には影響しません!」と
 私が冷たく答えているのを 
 座談会メンバーは目撃しているのでは(笑)。


賞という絶対的な価値観があるコンクール。
その絶対的な価値観を横に、バカ話を交えながら
「あの演奏が良かった!」
と忌憚なく仲間と話し合うことの楽しさが伝われば幸いです。




ツイッター、投票用紙、メールでおよそ30票が集まり、
有志11人は長崎繁華街のとある店へ。
最初は入り口がわからず、何とか中へ入るも
個室、椅子席という予想以上に豪華な部屋に驚き、
それでも長崎名物の鯨を含む刺身に舌鼓を打ったところで
座談会の開始です!

 

 

 

 



まずは第5位の

 

新潟大学合唱団(混声・38名)から。

 



個人的に自分たちがやったG1にとても似ていたので
聴いていてすごく腑に落ちる演奏でした。



全体的に演奏が温かく爽やかでしたね。



うん、その温かさに惹きつけられるというか。



そうそう!
短めのスカートにブーツをあわせていた女子に釘付けでした!
(お前は何を言ってるんだ、と総ツッコミ 笑)



自由曲がメンデルスゾーンの
「Aus tiefer Not schrei ich zu dir」
 (深き困窮より、われ汝に呼ばわる)」より
「Choral」「Fuge」

佐藤賢太郎の「Ortus Carminis for Mixed Chorus」
(歌の誕生)

この選曲がなかなか面白いと話題に。



「あー、好きで歌ってるんだなあ」と感じさせる演奏でした。



自由曲にメンデルスゾーンを選んでいるのに
課題曲がG2ではなかったこと、こだわりがあったのでは?



メンデルスゾーンとKen-P、
時代は離れているけれども違和感が無かった。



なんか・・・素直な大学生の感じで。

 

(この発言に、
 横から「それ!」と強く同意する人が出て、一同 笑)



一番大学生っぽかったんじゃないかな!



背伸びをしていない等身大の演奏でしたね。



指揮者の先生が全部作ってしまう演奏じゃない、
自分たちの気持ちが入った演奏でした。





《文吾の感想》

「等身大の演奏」という言葉のまま
自分たちを飾るのではなく、
裸の自分たちを出したような、
特に自由曲の表現が良かったですね。

指揮者の名島啓太先生の
コントロールし過ぎるのではない、
学生さんたちの「歌いたい気持ち」を
活かした演奏だったと思います。


ツイッターでは
「課題曲が部門で1番好きでした♪」との感想もありましたよ。











つづいて第4位の

 

関西学院グリークラブ(男声・94名)


「演奏終わって課題曲の楽譜を見直した!」
という発言に一同(笑)。
M2Türkisches Schenkenliedはソリが指定されていて、
この課題曲に注目していなかった人には
「そういう曲だったんだ!」と驚きだったようです。



良いグリークラブ!
すごく「関学」のトーンでしたね!



自分たちのスタイルを貫いている。
それが見えたのが良かったです。



自由曲:トルミス「大波の魔術」では
海、波を感じさせてくれました。



ダイナミクスの迫力がありましたね。



そう、フォルテッシモも力任せで張り上げていなくて。
それは抑制しているということではなく、
関学ならではの上品さなのでは。



男声合唱3団体が全部タイプが違っていて。
関学はグリーだけど「オラオラ系」ではなかったね。



オラオラ系・・・

フォルテ、フォルテッシモ、サケビッシモ!(笑)



オラビッシモ!(笑)

(「おらぶ」って方言かな? 
 いや「おらびながら~」って「方舟」にもあったでしょ?
 などとの会話も・・・脱線だ!)

 




《文吾の感想》

発言にもあったように
若さあふれる「良いグリークラブ」の印象の関学グリー。
94名の男声による張り上げないフォルテッシモは
聴く者に無条件の快感を与えますね~。
あとトップテノールの軽やかさや音色も
特筆すべきものだったかと。




 

 

 

 

 

 




同じく第4位の

 

金城学院大学グリークラブ(女声・28名)
(リンク先はFacebookのページ)



団名を言ったとたん、
「良かったですよね!」の声があり、
笑顔でうなづく一同。



すごく自然で明るい発声、しかも無理がない。
でも表現はしっかりしていて
私はすごく好きでした!

この発言にも一同、うんうんとうなづく(笑)。



公式1位の某団体の女声と比べ、
非常にグラマラスな!

(オマエは何を言ってるんだ、とふたたび総ツッコミ。
 新潟大の釘付け発言といい、もうやだこの男・・・)


いや、発声! 発声の話ですよ!
すいませんね、女性のみなさん。
(…参加した11人中4人が女性でした)

発声がボンキュッボンとかそんな印象だったんです!
藤原紀香 対 黒木瞳みたいな!



他の参加者全員「あ~…?」と納得したような
していないような微妙な表情(笑)。
「とても魅力的な発声でしたね!」とフォローが入る。
さらに
「いや、貧乳が良いって言う人もいるよ!」

・・・そういうフォローは、いらん。

 



自由曲がとても良かったという発言から。
まずブスト「Ave Maria gratia plena」



この曲、久しぶりに聴いたけど良い曲ですね。



密度が高い音楽だな~と。



ブレスを吸うタイミングがすべて揃っていて
しかも中高生みたいに訓練されているのとは違い、
自然とそうなっている印象で違和感がない。



そうそう、目指す音楽のために
ブレスが揃っているみたいな。



ブレスもそうですけど表現全体が
「作り込んだ感じのない美女」…みたいな。



一同「あぁ~」と同意。



清楚な印象があるのはお嬢様学校だからかな?との発言も。
「純金」「18金」なんて謎ワードも飛び出しました(笑)。





2曲目の自由曲カプレ「Gloria in excelsis Deo」


この曲も昔はよく演奏されていましたね。
自分が高校生の時に・・・。

(高校生の時って何年前?
 4半世紀以上前・・・おっさんが多い座談会でした 笑。
 昭和40年代に、もう歌われていたのでは?との声も)



あれだけ演奏された作品を
新鮮な響きで聴かせてくれたのが嬉しかった!




《文吾の感想》

課題曲F3「氷雨」はフレーズの力感がとても良く。
自由曲の2曲は発言にもあったように
以前はよく演奏された名曲を新鮮な響きと表現で
「今の音楽」として伝えてくれたことに好感を持ちました。
ダイナミクスと表情付けのセンスが抜群でしたね。
カプレは喜びの声に満ちていて、
特に指揮者の小原先生が振らずに
片足で軽く楽しげにリズムを取っていたのが最高でした!(笑)


ツイッターでは

「自由曲はもちろん、課題曲の説得力が冴えて聞こえました」


投票用紙では

「少人数ながらしっかり鳴っていた。
 様式にあった曲作りで良かった」

…なんて感想もありましたよ。

 

 

 

 

 

 

(第3位の団体につづきます)