ディファレント・トレインズ

 

 

 

facebookで国立音楽大学作曲専修から
「音大生なら聴いておきたい100曲」
というものが回ってきました。

 

音大生なら聴いておきたい100曲

 

 



音大現役生でも卒でも無いけど
ちゃんと聴いてない曲が意外といっぱいあるなーと思いつつ
100曲目のスティーヴ・ライヒ
「ディファレント・トレインズ」を検索。


NHKで8年前に放送された動画が見つかりました。
演奏だけではなく、セット、カメラワーク、
すべてが素晴らしい!

…音源でここまで心が震わせられたのは久しぶりかも。


www.nicozon.net



「ディファレント・トレインズ」は
アメリカ生まれのユダヤ人作曲家スティーヴ・ライヒが、
自分の幼少時代と、
同時期のヨーロッパで起こっていたホロコーストを、
「汽車」というキーワードによって結びつけ、
ミニマル・ミュージックの技法によって作曲した
ドキュメンタリー性の強い楽曲。

父親とともにニューヨークで暮らしていた幼少のライヒは、
ロサンゼルスに移り住んだ母親に会うために
たびたび家庭教師の同行を得て汽車で旅行をしていた。

後にライヒは、
「もし、ユダヤ人である自分が
あの時代にヨーロッパにいたらどうなっていただろうか?
おそらく、強制収容所行きの、
全く違う汽車(Different Trains )に
乗ることになっていたのではないか?」と考え、
このことが作品を書くきっかけとなった。

(Wikipediaより)



この作品はあらかじめ録音された、
話し言葉の断片、電気的に加工された汽車の音、
サイレンの音のテープを流し、
さらにそれらの音を弦楽がなぞった演奏が交差し、
重なるところに妙味があります。



第1楽章がアメリカ 第二次世界大戦前で高まる緊張感。
第2楽章がヨーロッパ 第二次世界大戦中で
アウシュヴィッツへ送られるユダヤ人たち…。
そして第3楽章の第二次世界大戦後。

戦争の暗い影と恐怖を伝えてきたこの作品が
素晴らしいラストを迎えるのです。
以下、流されるセリフ。


「There was one girl, who had a beautiful voice」
(美しい声の少女がいました)

「and they loved to listen to singing, the Germans」
(彼らドイツ人は彼女の歌を聴くのが好きでした)」

「and when she stop to singing they said,
 "More, more" and they applauded」
(少女が歌うのをやめると彼らは
「もっともっと」と言って拍手をしました)


ホロコーストを行った残虐なドイツ人…で終わるのではなく
純粋に少女の歌を求める、
ある意味人間の存在への希望がこもったラスト。

何回も繰り返される "More, more" がこの上なく美しく。
聴きながら涙が。



「ディファレント・トレインズ」以来、
ライヒの音楽を探して聴く毎日です。
世の中にはまだまだ自分の知らない、
素晴らしいものがたくさんありますね!