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中国大会 混声合唱の部感想

 




最後の混声合唱の部感想です。

 


<銅賞受賞>


コール・凜―Ring―(鳥取・19名)


若い団員さんが多い合唱団。
課題曲G3は音の減衰に支えが欲しかったかな。
音程も良く、明るさもあり、曲全体の雰囲気が良かったです。
自由曲:千原英喜「おらしょ」からII
女声、特にソプラノは盛り上げようとするところで
喉を絞めたり、声が浅くなってしまい、
結果、音楽の頂点を充分に作れないような。
男声もフレーズ末まで神経を遣って欲しい。
後半は流れるように速くなって驚きましたが、
曲の各部分の表現変化は良く、
この名曲の魅力を伝えてくれました。






<銀賞受賞>



合唱団ある(広島・50名)


最大人数50名(実際は44名?)の合唱団ある。
山台を一番上まで使い、課題曲G2。
おお、フォルテッシモの迫力!
フォルテだけではなく、
ピアノまでのダイナミクスの幅、
音量選択も実に巧いです。
フレーズも流麗に、柔らかく、優美さがありました。
柔らかさはパートごとの声がややまとまらないのに
繋がっていたかな?
でも、良い演奏でしたね。

自由曲は
千原英喜「世の中には途方も無い仁もあるものぢや」。
あるさんの委嘱作品ですね。
同名の組曲の3曲目最終曲。
作詩:石川啄木・藪野椋十

…う~ん、啄木の短歌「東海の小島の磯の白砂に」へ
キャッチーな旋律を付けたものから始まり、
「ラプソディー・イン・チカマツ」のように
男女のしゃべりの掛け合いあり、
コミカルな部分ありの作品・・・なんですが
私には作品の力が伝わらなかったです、残念。
最後に女声の思いを込めた旋律(「何がなしに…」?)には
説得力を感じたのですが、
あの旋律へ集約される音楽として全体が聴こえませんでした。
ただ、前述の男女の掛け合いはじめ、
団員のみなさんのしゃべり、言葉の立たせ方、
演技力は全団体中ダントツでした。








松江市民合唱団(島根県・36名)


指揮者が勝部俊行先生だからか
課題曲G4のヴォカリーズが
尾形敏幸風に聴こえてしまうのは気のせいかな(笑)。
梶川邦子先生のピアノがとても良く、
合唱とアンサンブルし、時には合唱を駆り立てるもの。
歌も、友人と連れ立って天草の広い世界へ向かおう!と
聴く自分も心浮き立たせるような力を感じました。

自由曲は上田真樹「鎮魂の賦」から「家居に」「春の日」。
まず、声を出す前から
団員さんが遥か故郷を思うような、
遠くを見る目に惹かれてしまう。
そして歌われる、しみじみとした美しい旋律に
胸へあたたかいものが広がっていきます。
「春の日」もテノールソロからの音楽は
弱り、傷ついた人々を癒し、
力付けようとするような心が満ちていて…
気付くと、目に涙が。

課題曲を含めて全3曲、
音楽には、ここまで想いを込められるのだということを
再認識した素晴らしい演奏でした。

コンクールとしては、良い声の人はいるものの、
それがパートごとのまとまりに欠け、
合唱団としてのひとつの響きとして不十分なのは残念。

しかし、この中国大会で観客賞というものがあったなら
文句なしに私は松江市民さんへ票を投じます!
心に染みる、良い演奏を本当にありがとうございました。








合唱団そうなそ(山口・29名)


山口県の大学生が中心になって昨年結成した若い団体。
男声はそれぞれ色の違ったネクタイ、
女声は胸に色違いの花のコサージュがおしゃれ。
課題曲G3。
テノールは良かったけど、
発声がまだ発展途上(ソプラノさん、がんばれ!)で、
さらに歌うだけではなく音響、
合唱団のサウンドを意識した演奏なら
もっと印象が良くなるかな。
それでも全体に丁寧で、
心から出た素直な表現に好感を持つ演奏でした。

自由曲1曲目Javier Busto「Ametsetan」。
出だしの男声は狙った発声なのかできてないのか
ちょっと判断に困りました(苦笑)。
ソプラノがピアニッシモでも支えと響きがあれば。
あと、中間の「踊り」の表現をもう一歩。
踊り後半からテンポアップしてからの
フォルテッシモは聴いていて心沸き立ちました!

2曲目はJohn Elberdin「Segalariak」。
うーん、1曲目と
同じ曲調が並んだように感じてしまったかなあ。
各1曲内での表現の幅と種類が
残念ながら少し足りないためもある?
京都のアンサンブルVineのような団体を
指向しているのかもしれないけど
そうなそさんの同じ表情だけを見せられてしまった感じ。
(Vineの選曲は課題曲含め
 自由曲3曲で世界を作っていますね。
 改めて考えるとあのコンセプトは凄い)

しかし、室内部門からここまでで
初めての振り付けがあった団体。
照れもなく、身体いっぱいの動き、輝く表情から
楽しさが伝わってきました。
とても未来を感じさせる団体です!




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<金賞受賞団体(全国出場団体)>

 



合唱団こぶ(岡山県・42名)


課題曲G3。
まず第一声から鳴る!鳴り響く!!
立派な男声。女声はもう少しイメージ豊かに。
しかしこの輝くようなサウンド。
うつろい、煌めく和声の色彩感は素晴らしい。
そういう印象を受けたのは全団体で「こぶ」さんだけ。
減衰やロングトーンもただ音量が少なくなる、
ただ伸ばすではなく、隅々まで神経が通っていました。

自由曲2曲目Nicholas White
「O Magnum Mysterium」
この良い曲を丁寧に、
そして良い曲と感じながら一心に歌う姿…。
過去のGuy Forbes「O Nata Lux」の名演奏を思い出しました。
中間の男声と女声の旋律が絡む箇所では
涙腺がゆるんでしまうほど。

ただ、全国大会出場団体なので
厳しいことを書かせていただくと
自由曲1曲目の
Edvard Grieg「Hvad est du dog skjön」は
繰り返しの表現をどうするか?
頂点にカタルシスがあるドラマ性が高い音楽の運び方は?
さらに、男声のソリストは良かったのですが、
ソプラノも「ソプラノパートの中のひとり」ではなく
各自がソリストのように
己の人生を懸けるような歌が欲しいんです。
18年前の課題曲なので
名演を数多く聴いているため、
期待値が高くなり過ぎてしまい申し訳ありません。
しかし、綺麗でまとまった宗教曲というだけではなく、
全知の神へ仕える自分という存在の卑小さ、
苦しみの中、神へ救いを求める悲痛など、
この曲の暗い側面を感じさせて欲しい…と
勝手に思ってしまいます。

そんな暗から明のコントラストがあれば
2曲目の「O Magnum Mysterium」が
いっそう輝いて聴こえるのでは?と、
少しもったいなく感じました。

それでも2日間全団体の中で最高位の団体へ贈られる
「コンクール大賞」も納得の高い水準の演奏でした。
きっと鳥取での全国大会でも良い演奏をして下さると
大いに期待しております。

 

 

 




Kammerchor "Hiroshima Kantorei"(広島・34名)


課題曲G1は最初の女声にもう少し表情が欲しいかな。
テンポが早めなためか、
感情が乗り切れず、
発声も浅くなっているような印象を受けました。
しかし、パートごとのまとまりは良く、
音楽の各箇所での主従をちゃんと理解し、
さらにダイナミクスの選択も優れたもの。

自由曲J.G.Rheinberger「Credo」。
おお、コンクールでラインベルガー!
全体にキビキビと躍動感を感じられる演奏。
弱音から揃えた音楽の始まりはもう少し丁寧に。
各部始まりの男声はとても良かったですが、
合唱全体のハーモニーではやや飛び出ていた時も?
前半は綻びがいくつかあったような。
しかし後半からは来て欲しい声がズバッと鳴り、
華やかに世界を広げるイメージがありました。

カントライさんの演奏を聴くのは初めてですが、
指揮者の寺沢希先生は
同じ広島の男声合唱団”寺漢”さんでも指揮をされていて
宝塚のコンクールや演奏会で聴いていました。
音楽が女声合唱団KIBIの指揮者:福島先生と似ている所が。

それは楽曲を高みから大きく見つめ、
しっかりとした骨格の音楽を作られること。

カントライさんの選曲と音楽、
鳥取でもその個性を発揮してくれると信じています。
結成して3年、全国大会初出場おめでとうございます!


 

 

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(次回は中国大会全体で思ったことを)