合唱団訪問記:女声アンサンブルJuriさん その1

 

 


合唱団訪問記の再掲。
今回は「女声アンサンブルJuri」さん第1回です。

合唱団訪問記の再掲については前回の記事をご参照ください。


bungo618.hatenablog.com




藤井宏樹先生の指揮は
今年5月のTokyo Cantatでの「樹の会」による
素晴らしい演奏を聴かせていただきました。
またJuriさんの演奏も聴きたいものです。

 

 

(HP公開日 2001.11.30)

 

 

 

 

 

 

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「合唱団訪問記」

第5回その1
「女声アンサンブルJuri」さん見学記

 

 



 雲ひとつ無い秋晴れの空。
 山高帽、登山靴の登山客。
 富士急ハイランドに向かう家族連れに混じって
列車の床に揺れる、柔らかい陽をながめながら思う。

 (干してくれば良かったかなあ、ふとん・・・)

 んなアホなっ!
 列車に乗り込んだのが
朝4時45分。起きたのが4時。月と星がキレイだった。

 ・・・さすがに日が昇る前に干すヤツぁいねえよ、ふとんをよ!

 そんなに早く起きてどこへ何しに行くのか?
 はい、山梨県。演奏会を直前に控えて合宿中(10/14)の

 「女声アンサンブルJuri」さんを見学しに行ってきましたあ~!!


 富士河口湖駅で降りて、バスに乗り、河口湖を横目で見ながら15分。
 バスから降りる。
 うーん、山に囲まれているせいか、空気がキレイだ。
 田んぼに挟まれた道をさらに5分ほど歩くと
合宿場所の「合唱の家 おおば」に。
 着いた時には10時を回っていた。

 広め、洋風の邸宅、といった趣きの家に入ると
壁一面に貼られた合唱団、指揮者の色紙がお出迎え! ほーっ。

 おっ、奥から良く響く女声が。

 ・・・さすがに練習中は入りづらいので、
色紙を見ながらしばし待たせてもらう。

 少したつと、休憩になった!
 見学の労を取ってくれた藤野さん、という方が気づいてくれて
中に入れてもらう。

 練習会場は半地下のように低くなっていて、
床に向かう階段がちょうど山台のようになっている。
 その向こうに。


 おお、藤井宏樹先生がっ!!


 眼鏡の向こうの、柔和な目の奥がキラリ、と光る。

 
 ソプラノさんのすぐ(ほんとすぐ近く!)横に椅子を置かしていただく。
 (あんまり広い会場ではなかった。Juriさんの人数にはふさわしかったが)

 練習している曲は鈴木輝昭:無伴奏童声(女声)のための
「Five Songs of Nonsense」
 谷川俊太郎の詩を英語に訳し、作曲したもの。

 練習に参加している人数は15人。(全団員16人なのでほぼ全員)
 昨日は客演指揮の栗山先生の練習だったそうで、合宿2日目、ということ。


 全員立った状態で、団員の方々が歌いはじめると・・・
うわあー、これは後で詳しく書くけど、とにかく
ふくよかな、すっばらしい声が会場中に響き渡る。
 9時から練習を始めたそうだが、
 「これが始めて1時間強、の声?!」という印象。


 藤井先生は座ったままだが「情念の指揮」・・・という感じ。
 ppの出だしでも、張りつめそうなエネルギーを抑えて、音楽を放つ。
 指揮をするときの息づかい、呼吸が、旋律に合わせて長い。

 ややハスキーがかった、低めでおだやかな声の指示は
言葉や、歌のニュアンスに関するものが多かった。
(まあ、この曲だから、というのもあったが)

 Juriさんの素晴らしい声に比べて、指示はそんなに
発声に関するものが少ないんだな、と思った。
(・・・この時は、だった。後述)


 数十分たって、再び休憩。
 ぼー、としていると、さきほどの藤野さんが
 「場を作りましたので、
 藤井先生に何か聞きたいことがありましたら…」と食堂に。


 ひぃー。
 …そんなハメになるとは予想もしてなかったので慌てる文吾。

 藤井先生と、団長さん、ヴォイストレーニングもされる雨宮さん、などなど
団員の方々4人も同席して、即席インタビュー開始!!

 なんとか急いで考えをまとめて質問。


 < 「声」の秘密 >

 文吾「え、えぇと。Juriさんの魅力、というのは
    その素晴らしい声がまずあると思うのですが。
    その声、というのはどうやって作られるんですか?」

 藤井先生
 「団員の雨宮さんやヴォイストレーナーの萩原さんの力もありますが…。
 それとは別に練習場所の響き、というのもあると思いますね」

 練習場所?
 詳しくお聞きすると、ふだんの練習場所は甲府市にある
普通の公民館なのだが、
一カ所とても良く響く場所があるそうなのだ。
(団員さんの話によると『逆・冷暖房完備』でスゴイ場所らしい。
 夏暑く冬寒い、という(笑)。

 文吾「でもデッドな響きの方が、音像が分かる、という指揮者も
     いらっしゃいますが?」
 
 藤井先生
 「そういう方もいらっしゃいますね。
 Juriもデッドな場所で練習をしたりするけど。
 だけど、あの練習場所で“響き”を体感するのは、
  とても良い事だと思う」


 < 「コンクール」について >

 文吾「えーと・・・今年、コンクールに出場されない理由は?」
     (ちなみに昨年全国大会一般Aグループ1位、
      今年もシード:無条件で全国に出られる)

 藤井先生
 「もちろんコンクールの存在意義は認めるんだけども…。
 コンクールでは一定の評価を得られたと思うので、
 それよりも、秋という季節に音楽的重点を置いた活動
 させてあげたいですね。

 人生で歌える『歌』って限られているでしょう?
 コンクールに出るなら、9月から11月の3ヶ月間で2曲しか練習しない。
 それよりは、例えば今回の演奏会のように
 客演指揮で栗山先生をお呼びするとか
 委嘱初演のような多彩な活動をさせたいんです」

 文吾「・・・では、コンクールにはもう出場されないと?」

 藤井先生
 「メンバーの大半が変わって、レヴェルが落ち
  トレーニングが必要になったら出るかもしれないけど…。
  このメンバー、レヴェルがそう変わらない限り出ないと思いますね」


 

(その2へつづく)