観客賞座談会:大学ユースの部 その1



大変お待たせいたしました。

観客賞の座談会、
まず大学ユースの部をお届けします。

 

 



観客賞とは…?


4年前から当ブログで始めた観客賞。
各部門の、全団体を聴かれた方の投票で決定する賞です。

この観客賞の意義を説明すると
審査員による順位、賞の決定は
音楽のプロフェッショナルたる審査員が
それぞれ真剣に誠実に演奏へ向かわれ、出された結果であり、
尊重しなければならないと思います。

しかし、「傷はあるけどあの演奏凄く良かった!」
「コンクールに向いてない選曲はわかるけど涙があふれた!」
…などという声を多く聞いていた自分は、
「じゃあ、観客による投票を行ったら
 演奏への新しい価値観が生まれるのではないか?」
と考えました。

さらに「銅賞だったからこの団体に私は投票する!」…のような
判官贔屓を無くすため、投票は審査結果前に締め切っています。

賞という絶対的な価値観があるコンクール。
その絶対的な価値観を横に、バカ話を交えながら
「あの演奏が良かった!」
と忌憚なく仲間と話し合うことの楽しさが伝われば幸いです。



ツイッター、投票用紙、メールでおよそ40票が集まり、
有志8人は鳥取市内のとある店へ。
(クール シェンヌ&広島カントライ団員さんの
 山氏@安芸さんにご紹介いただきました。
 とても良い店で感謝です!)


 

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私、文吾が司会となって座談会の開始です。

 

 



まず第5位

早稲田大学コール・フリューゲル


(男声36名)



課題曲:三善晃「松よ」



短かったですね。




そう、「もう終わり?」って(笑)。




一同(笑)。

 



(文吾) 大丈夫かこの座談会?!

 



まあまあ(笑)。




三善先生の傑作に対し「短かった」って…ブツブツ。




自分は楽譜を見ながら聴いていたんですが、
短くても課題曲にふさわしい、いろんな要素を
丁寧に演奏していましたね。




三善先生の楽譜は特に「設計図」だと思うんですよ。
その設計図を見ながら聴いたら「あ、的確だな」と。




それに言葉も聞こえてきたから
爽やかさすら感じましたね。




「スマート」な演奏・・・。




そう! 男声3団体の中では
一番スマートな演奏に感じました。


 

 




自由曲:高嶋みどり「落下傘」



自由曲で指揮者の清水先生がサウスポーなことに気付いた!


 


一同(笑)




指揮棒がね(笑)。
サウスポーと言えば関学の広瀬先生もそうだった。




私、この曲大好きで!
攻めるピアノがカッコイイ!!




小田裕之先生のピアノ、
「松よ」もそうだったけどキラキラしてた…(うっとり)。




「あ~」「そう!」など同意の声が次々に。




あとね、譜めくりさんが良かったんですよ!
「昨年と同じ人だ!」って。




一同(笑)。




「あの譜めくりさん、欲しい!」と思って。
「ベスト譜めくり賞」を差し上げたい!!




合唱の話もしようよ(笑)。
「落下傘が」「ひるがほのやうに」など、
繰り返すフレーズが良かったな~と。




そうそう、後のフレーズに息を混ぜて
立体的にしていたよね。




昔のグリー調から脱却した
新しい音楽性と響きで、この30年以上前の名曲を
聴かせてくれたのが有難かったですね。

 



それに「……わたしの祖国!」からのモノローグ。
言葉の出し方が上手くて泣きそうになりました。




一同 (感動した、などの声)


 


他の演奏だと、そこに行きつくまで
エネルギー切れでちゃんと歌えない団体があって。
フリューゲルはその点、
ちゃんとエネルギーが計算されていました。




余力を残して、ちゃんと聴かせてくれたよね。




うん、だからこそしっかり落下傘が開いた。




開かなかったら・・・大事故だ(笑)。




落下傘、終了(笑)。




一同(笑)。



《文吾の感想》

「松よ」は明るい響きで丁寧に演奏されていました。
「落下傘」は集中度ある、過不足の無い表現。
座談会でも触れられていましたが
中間の叙情的なモノローグには「じーん…」とさせられ。

「観客賞スポットライト」でも書きましたが
初演の指揮者と同じ、清水昭先生、
そしてフリューゲルOB合唱団である甍会と、
縁が深い並々ならぬ思いが、この曲の演奏にあったのでは?
などと感じさせる演奏でした。



投票用紙では

  

豊かな情感、整った発声!

 

Bassが充実し、良いバランス。
全体に人数以上の音圧で
しかも余裕が感じられまとまりがあったと思います。


などの感想がありました。





 

 

 

 

 

 

 



次に第4位。

北海道大学合唱団


(男声41名)

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課題曲M2 コダーイ「Fölszállott a páva」




声が柔らかくて、美しかったですね。




うんうん、ずーっとそれを保ってね。




言葉に説得力があったと思うんですよ。




そう、子音の処理がちゃんとしていた!




リズムのさばきも良かったですよ。




自分たちの良さを生かしつつ、
マジャール語を含め、
コダーイの音楽の特長を捉えていたかな。




この課題曲の演奏、腑に落ちました。


 


私、1団体ごとのCDで北大のを買いましたよ。

 



そこまで?!



だって、銀賞だったから「ハーモニーの祭典」には
課題曲は収録されないでしょ?



審査発表終わったら
ダッシュで売り場へ向かってましたよね(笑)。



それぐらい好きな課題曲でした!


 

 

 

 



自由曲:荻久保和明「ゆめみる」



泣いちゃいましたよ~。



一同 えー?!



ピアノが素晴らしすぎて…。



あ~、ピアノの豊田早苗先生、良かったよね。
その辺のお姉さんがふらーっと出てきたような感じで。



衣装も普段着っぽくて(笑)。
でも弾き始めると…「スゲーッ!!」って。



指揮者が学生指揮者だったんだけど
指揮者と歌い手がお互い信頼して
意見を交わし合い、煮詰めてここまで来た!
…そんな感じが凄くしたな。



そう! よくわかってますね~!!



一同 (笑) (↑の発言は北大事情に詳しい女性)



北大はそこまでやってるんですよ!
熱いんだ、彼らは!!



うん、粗もあったけど
お互い納得して演奏しているというのが
わかる演奏でした。



「この曲が好きなんだな!」と感じられる演奏。



フリューゲルもそうだったけど
昔の名曲を若い団体が歌うって凄いな、
胸熱だな、って。



やっぱり「季節へのまなざし」は
若い人が歌う曲だよねえ。



あの時期に歌って良かったと思います。
うらやましい!



当たり前なんだけど、
名曲ってやっぱり名曲なんだなあ、と。
そう思わせる演奏を北大がしてくれたね。



名曲はいつ演奏しても新しく聴こえるんですよ。



…名言いただきましたー!



一同(笑)。



《文吾の感想》

課題曲は持ち味の声を活かし、
柔らかく美しいコダーイ。
自由曲の「ゆめみる」は緊張感に満ちた、
若さから来るデリケートな表現に
惹きつけられる演奏でした。


投票用紙では「ゆめみる」について

 

歌心があってピアノとの一体感、
助け合い?を感じられる一曲になっていました!

 


ツイッターでは

指揮者のステージコートがピチピチなのが、
太ったからか、
先輩から代々ステージコートは受け継ぐが、
彼に合うのが無かったのかが知りたい・・・。


どうでもいい!(笑)
(ちなみに理由は前者だとか。
 あ、座談会で

 「指揮者は今年も脱いだのか、
  文吾さん、ぜひ載せて下さい!」なんて発言も。

 


これも本当にどうでもいい!!(笑) 

 


http://bungo618.hatenablog.com/entry/2015/12/06/180011
↑ ちなみに昨年の北大感想。


(観客賞座談会大学ユース部門 その2へ続きます)