観客賞座談会:同声合唱の部 その2

 


観客賞同声合唱部門、第3位の団体をご紹介します。

 

 

 


第3位


合唱団お江戸コラリアーず

(男声82名)

 

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課題曲M2。
Fölszállott a páva (Ady Endre 詩/Kodály Zoltán 曲)




ピッチャー(ピッチパイプを吹く人)が良かった!



一同 凄かったね! ベストピッチング!…など同意の声が。



なんであんなに小さな音で出せるんだろう?



音量と音色が絶妙だったね!



合唱のあの荒々しさ…ワザとだと思うけど、
Voces Veritasと真逆の演奏で決めてきた感が。



攻めていたね~!



攻めていたというか…私たち、攻撃されてる?!(笑)



一同(笑)。



「行くぞー! オー!!」「これがオレたちだーッ!!!」



(笑)。
中間部、あそこまで攻められるのは
おえコラだけだと思ったな。



大人の男声合唱でしたね。



うん。
歌い手にすごく合唱をわかっている人たちがいるな。
そんな印象を持ちました。



歌い手の何人か音楽を完全に把握して
その人たちが末端まで指示を出しているような…。



あの大人数では指揮者だけで
コントロールするのは絶対無理だから、
そういう人たちの存在が
機能的に働いているんでしょうね。





自由曲:信長貴富
「無伴奏男声合唱のための Credo」



インパクトありましたね~。



この曲は…おえコラにしかできない!



一同 同意(笑)。



合唱団の中で「ザザザザッ」と
エコーのように音が移動する箇所なんかは
おえコラの大人数があってこそですよね。



さっき、指揮者の山脇卓也さんとお話したんですけど
指揮を見失う、一瞬目を離しただけで
自分がどこにいるかわからなくなる曲だからね、って。



一同 怖い~!



この作品の音響効果は
もうちょっと響かないホールの方が
効果的なのかな、と思いました。



そうだね、響き過ぎてズレて聞こえるところが
このホールだと絶対出てくる。
それが「指揮を常に見て合わせる必要性」と
通じる部分があるのかも。



休憩中、審査員のお一人の会話が
一瞬耳に入ったんだけど

「敬虔なクリスチャンが…」

…そこへ続く言葉はご想像にお任せします(笑)。



一同(笑)。
(※6番目に出場のおえコラ後すぐ休憩でした)



アメリカから来た審査員もいらっしゃったしなあ。



まあ作品の題も元々は
「異教徒による“Credo”考」だったしね。
https://www.facebook.com/oekora/posts/1096230097080877
(※お江戸コラリアーず公式Facebookページから。
 初演時の演奏会パンフレットの信長先生による紹介文)



でもクレドでそれをやるって凄いですね。
グローリアならまだわかるけど。



そうやって聴くと
最後の「アーメン」も皮肉っぽく聞こえたかな。



皮肉というか、さまざまな意味が含まれる深み。
人の「生の声」がガーン!と叩きつけられる!



「救えや、コラ!」「助けろ、オラッ!!」



神を脅してどうするんですか(笑)。



「助けへんのやったら、信じへんぞコラッ!!」



取引か! もうメチャクチャだ(笑)。



いろんな想い、いろんな声、
いろんな国の、いろんな人々が叫んでいる…
そんな印象を持ちました。




(楽譜を購入した人がいて…)



ほら、15声部、こんなんですよ!


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一同 お~!



1ページに3小節しかない部分ですよ!
恐ろしいでしょ~。



やっぱりおえコラらしいな、と思うのは
いったん始まったら終わるまで
目が離せなくなって集中力が保つというところかな。



作品も飽きさせないものだったからね。



「何が来るんだろう?!」って。



そして、あっという間に終わる。



一同 そうそう(笑)。



瞬きもできないくらい。
だからおえコラの演奏が毎回楽しいんですよね。





《文吾の感想》

課題曲は柔らかさと強さが共存する演奏。
座談会でもあったフォルテッシモの「攻めてる」音は
強い印象を残しました。
ベースが支える和音の色合いも良かった。

自由曲は、
生演奏を聴けて良かった!と思わせる大変な曲。
音の移動、ステレオ効果など
本当に「瞬きができない」くらい
集中して聴いてしまいました。

こちらもベースがソリスト、和声の要としても
欠かせない役割を果たしていたのが
「これぞ男声合唱!」とニンマリしてしまい。
最後の「アーメン」の
ダメ押し感も凄かったです(笑)。

「あっという間に終わったんでもう1回聴きたい!」
…とは座談会出席者の声。

・・・いや~、おえコラメンバーに
全力で拒否されるんじゃないかな~?

 

※「Credoは最大20声部ですよ!」というご指摘も。
感謝です!






投票用紙では

 

 

やっぱり楽しい! おえコラ!!

 


自由曲後半が特に良かった。
信長作品を知っている!!

 


…という感想がありました。


















続いて第2位。
午前10時、1番目に出場した

 

 


インターカレッジ男声合唱団Voces Veritas


(男声37名)

 

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演奏の感想の前に・・・一番のインパクトは
団名のプラカードだよね。「VV」ダブルピース!



一同 (笑)。



団名「Voces Veritas」は
プラカードに入るでしょ、って(笑)。



鳥取だから、蟹のハサミつながりで…。



一同 それだ!カニー! V[゚∀゚]V



(※コメントでtardy_さんから
 「プラカードは全角だろうが半角だろうが
 途中の空白も含めて11文字以内となっています」
 …という情報が。
 英語の「VocesVeritas」だと1文字入らないので
 この発言は間違いです。
 VVのみなさまにお詫びいたします。
 ちなみにカタカナの
 「ヴォーチェスヴェリタス」なら入るようです)

 

 


(文吾)えー、じゃあ「VV」演奏の感想に(笑)。
まずおえコラと同じ課題曲M2。



素朴な、若者らしい感じで。



母音がちょっと揃っていないのが気になったかな。
あれだけ歌えるならもうちょっと気を遣っても…。



朝一番の演奏というのもあるかも。
フォルテッシモが喉で押さず、
明るい響きになっていたのが良かった。



後半、整って来ましたね。



朝一番もあるし、全国初出場の緊張もあったのかな?
後半になってその緊張が解けてきたような。




自由曲1曲目エリック・ウィテカー
「Lux Aurumque(黄金の光)」



光に包まれた!



一同(笑)。



いや、自分にも光が見えました。
まさに「Lux」でしたね。



和声のハッキリとしたイメージがあって…。



そう! 全部計算されていました。
設計図があって、それを全員で共有している感じ。



うんうん。
今、このパートは出てはいけない、
ここは出るべき、みたいな。



ゾクゾクしました。



私もです!






自由曲2曲目:松本望
「天使のいる構図」より「Finale」



ウィテカーから間がない、アタッカでしたよね。



あのアタッカはアリ!



一同 同意。



確かに。
小見山純一先生の、
あれだけキラキラした素敵なピアノだったら…。



東京の団体が岐阜のピアニストと
鳥取で歌う、みたいな(笑)。



へー、岐阜の方なの?



はい!
今年の岐阜のワークショップでお会いして。
その時も素晴らしいピアノでした。



あの前奏でつい、笑顔になってしまいましたよ。



いや~、ウィテカーの光の中から
天使が降りてきた!と思ったな。



楽曲に対して声を使い分けてましたね。
対比も良くできてたし。



言葉が歌い手の中に入っていて・・・。



そうですね、彼らなりの実感があって。
ジーンとしました。



プログラムを見て「いいのか?」と
正直思っていたんですけど、
演奏を聴いたら良い方へひっくり返されて
「アリだ!」と。参りました!



「わたしたちじしん… Ah-!」のaccel.は
松下先生らしいなーと!



一同(笑)。



もう走り抜けてくれてOK!サイコー!!



いやあ凄かったです。
演奏会を聴きに来たみたいでした。



一同 同意。



コンクールを忘れさせる…。



最初の団体なのに(笑)。
でも、そうですね。
「コンクールに出てくれてありがとう!」と思いました。



東京もそうだし、
各地へ行けない身としては
VVをコンクールの全国大会で
いいとこどりみたいにして聴けて、
とても良かったです。



うん、全国大会を東京だけじゃなく、
各地方、持ち回りでやる意義が実感できました。



首都圏以外の演奏は
この鳥取が初めてだとか?



今度、VVを聴きに東京まで足を運ぼうかな、
って気になりますよね。



そうだね、団のプロモーションとして
非常に効果的だったと思うよ。
・・・聴けて良かったな。





《文吾の感想》

若さあふれる課題曲から
響き、和音への繊細な意識が光った「黄金の光」。
後半のリフレインからも素晴らしかったです。
そしてアタッカで続くピアノ前奏の「Finale」。
本当に会場へピアノの音のきらめきが撒かれるよう…。
小見山純一先生、名前をしっかり憶えました。

感想にもいろいろ出ていましたが、
VV団員さんの等身大の想い、
それが明晰な言葉になり、スッと心に入りました。

隠していた悪も含め、
自分自身を丸ごと天使が肯定してくれたような…。
やはり背伸びや自分を大きく見せるのではなく、
等身大の、その人が生きている実感が存在する声、音。
それこそが聴く人の心を動かすのだと思いました。
涙が滲みましたね。良い演奏でした。


 

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 昨日の朝一番をリマインドさせる
さわやかな演奏

 


…という感想が。
なるほど関学グリーも朝一番でしたからね!



(観客賞座談会 同声合唱部門 最終回へ続きます)