観客賞座談会:混声合唱の部 最終回

 

 

 

大変お待たせしました。
昨年の12月9日から始まった観客賞座談会、
今回で最終回です。

 

 

まず、前回の続きで
5位までには入りませんでしたが
混声部門の団体の感想を出演順に。




合唱団こぶ

https://www.facebook.com/kobsoja/



課題曲G4 角を吹け




男声めっちゃ良かった!



そう! 若くてまっすぐなのに輝いてる!



女声が悪いってわけじゃないけど(笑)
でも男声が良かったですね。





自由曲はEdvard Grieg
「Hvad est du dog skjön(うるわしきかな神の子よ)」




この曲、なつかしかったな…。



18年前の課題曲ですからね。
まとまった演奏でした。




自由曲2曲目のNICHOLAS WHITE
「O Magnum Mysterium(おお大いなる神秘)」
こぶらしい選曲でしたね。



ソプラノのフレーズがとても美しかったです!



美しいと言えば、
指揮の大山敬子先生の髪のツヤが素晴らしかった!



一同(笑)。






投票用紙では

 

 

O Magnumで
2回涙が出た

 


…という感想がありました。








 




Kammerchor "Hiroshima Kantorei"

https://www.facebook.com/HiroshimaKantorei/



自由曲:J.G.Rheinberger
「Mass in E-Flat Major, Op. 109」
(ミサ曲 変ホ長調 Op. 109)より
「Credo」



バランス、響きにはこだわって作られていたな、と。



コンクールでラインベルガーを
選曲してくれたことに拍手!
こういう路線を続けて欲しいですね。





 

 

 

 

 

 



グリーン・ウッド・ハーモニー



課題曲 G1 Che se tu se'il cor mio



好きでした!



うん、入りがすごく上品で。



軽く、スピード感もありましたね。



個人的には一番納得がいく演奏でした。



今井先生の音楽性が非常に…。



そうだね、演奏へ豊かにあふれていた。
各部の表現に気を配りながらも
全体の流れを失わない。さすがです。




自由曲:György Kurtág
「8 Choruses to Poems by Dezso Tandori, Op. 23」より
(デジェー・タンドリの詩による8つの合唱曲)
I 3つのカノンより
「カノンi お前から離れるか?」
「カノンii 今やじっとして」




むずかしくてなにもいえなーい!!



一同(笑)。



でも、いつもより聴きやすい気がしました。



あ、それは自分も思ったな。



歌い手さんも現代作品の音を
聴けるようになってきてるんじゃないかと。
だって、クルタークをするって決まった時、
団員さんみんな喜んだらしいんですよ!



一同 へー!



「自由曲はクルタークです!」
その発表で拍手が起きる合唱団!



一同(笑)。



同じ世界の話とは思えないな(笑)。



GWHの団員さんは
違う次元から来てるんじゃないか(笑)。



たぶんみなさんハマって好きになってるんですね。
そんな風に作品を理解しているから
聴く側にも伝わってきてるんじゃ。



あ~、そうかも。良い話だね。



昨年より、今年の方が確かに聴きやすかった。
・・・我々はGWHに洗脳されているのでは?



一同(笑)。



いやいや、耳を鍛えられているんだよ!(笑)



GWHによる現代曲100本ノック(笑)。



緊張感の下、優れたバランス、
現代曲らしい音の重ね方が良かったな。
あと視覚化できるようなリズムも面白かった。




そして次の自由曲:Alfred Schnittke
「Stikhi Pokayanniye(12の回心の詩編)」より
「My soul, why are you in a state of sin?(わが魂よ)」
「O Man, doomed and wretched(呪われた貧しきものよ)」



「シュニトケ、わかりやすい!」って思ったな(笑)。



クルタークと比較するとね(笑)。
ロシア的な音に満ちて、
ラスト「混迷から光へ!」って感じで良かった。



正直、年配の方もいらっしゃるし、
並び方もそんなに整然とはしていないけど
音を聴くと「すごい!」ですね。



田中豊輝先生のボイトレが効いてきたのかも。



そしてやはり今井先生の指揮!
音楽が指揮に宿っていました。





投票用紙では

やっぱり理解できない自由曲。
でも好きです。
移調したG1とってもgood.


…という感想がありました。




 

 

 

 

 

 

 

 

 


鶴岡土曜会合唱団

https://twitter.com/tsuruokadoyokai





課題曲G1はフレーズの歌い方が良かった。



自由曲「嫁ぐ娘に」
テノールが軽やかですごく良かったです。



明るい響きでバランスも良かったね。




メールの投票では

個人的には、鶴岡土曜会の「嫁ぐ娘に」で
この二日間で唯一の涙腺崩壊でした。


…という感想がありました。


 

 

 

 

 

 



 




Baum

 

http://mtbbs.i.pxc.jp/ocg/index.html

 

 

 

すいません、この団の女声って
みなさん就活中なんですか?



一同(笑)。



せめてパンツスタイルならね~(笑)。



課題曲G1は隙がない感じで表情も細やかでしたよ。



自由曲:Pärt Uusberg
「Ave Maria」
フォルテの「Sancta Maria」のところなど
「美しい…」と思わせる箇所がいくつかありました。
あとソプラノのソロが上手かった。



就活中の女声(笑)はなかなか良くて、
全体に綺麗な音が鳴っていた印象です。




投票用紙では

難解な宗教曲が続く中で、
唯一救われた気になったAve Mariaでした。

 

…という感想がありました。




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




混声合唱団 うたうたい

 

http://utautai09.seesaa.net/

 

 

課題曲G3はフレーズの抑揚が良かったな。
この作品の抒情、
噛み砕いたわかりやすさで伝わってきました。




自由曲:信長貴富
無伴奏混声合唱のための「ルバイヤート」
- 中世ペルシア四行詩集 -より
「光の矢」
「時の小鳥」
「春は逝く」




スッキリしていましたね。



そう! 以前は年代の幅があって
音にも雑味がある印象だったんだけど
今回は非常にスタイリッシュな響きで。 



3曲目の「春は逝く」、良かったなー。



同意多数。「良い響きだった」など。



一番、この団体に合っていた曲でした。



素敵な瞬間が続いて
「アラ! いいじゃない!」って(笑)。



詩のメッセージがまっすぐ届きました。
あと、曲のラストが美しかった…。



こんなに綺麗な音を出す団体だったかな?って。



やりたいことが見えましたね。



一皮むけた感がありました。
ここにきて団の成長期なのでは?


 

 

 

 

 

 

 

 





Chœur Chêne



課題曲 G1 Che se tu se'il cor mio




良かった! 濃い!(笑)



シェンヌはシェンヌ!って感じでした(笑)



紳士・淑女の団体ですね~。



女声の真紅のドレス!すてき!



始まりの「Che」の絶妙なデクレッシェンドからもう!



ゆったりしたテンポで
あそこまで音楽を聴かせられる凄さ!



オーソドックスと言うか、王道と言うか。
「シェンヌ」の音が戻ってきた!




自由曲のMax Reger
「Drei Motetten op.110(3つのモテット)」より
「O Tod, wie bitter bist du
(おお死よ、なんと汝は苦きことか)」
オトナでしたね~。



声が他と違いましたよ。
やっぱり激戦区の関西支部を抜け出ただけはあるな、と。



複雑な和音を丁寧に、流れも素晴らしく。
そしてあの浄化されるような美しいラスト!



ねぇ〜。
たっぷり歌い、美しくこの大会を締めてくれましたね。





 

 






それでは今年度、混声部門観客賞第1位!


 

 



Combinir di Corista



f:id:bungo618:20170219201707j:plain










…焼き尽くしたね(笑)。



一同(笑)。



課題曲G2 Szép könyörgésは最初から驚くほどの声量で!



アレ、36人の声じゃないですよ!



本当に!
36人なのにここまで迫ってくる?!みたいな。



山台の中に隠れているのかもしれない(笑)。



一同(笑)。



いままでクール、冷静というイメージがあったけど
今回は熱かったな!



一同 同意。「うん、熱い熱い!」と次々に。



良い意味で予想を裏切ってくれましたね。



コンビニらしからぬサウンドで。



最後のコーダが凄かったですね!



Amenに行くまでのクレッシェンドが
なかなかあそこまではできないな~って。



クレッシェンド、まだ行くんだ?
まだ行くんだ! まだ行くんだー?!って(笑)。



あと、終止が常に綺麗なんですよ。
終始の和音で自然にスッとハマる!





自由曲:信長貴富作曲
混声合唱とピアノのための「春と修羅」より「II」




これまた凄かった!



いや、男声が色っぽ過ぎてヤバかったですね~。



男には無い聴き方だな、「男声の色っぽさ」(笑)。



一曲の中でいろんな声を使い分けてましたね。



サウンドスケープの世界がもの凄かったです。
あと最後の修羅感ヤベェ!



ヴォカリーズで鳥肌立った!!



正直、今までは上手いけど
記憶に残る演奏は少ない印象の団体でしたが
今回は本当に納得しました。
心に刻み込まれました。




投票用紙では

 

仕方ない



…うん、(コンビニさんに投票は)仕方ないよね?!


 

 

鳥取の全国大会はコンビニの演奏で
忘れられないものになりました。
素晴らしい演奏を、ありがとう。

 


…という感想がありました。




《文吾の感想》

いやあもう、圧倒的でしたね。
36人の倍ほどに鳴り渡るフォルテッシモ。

課題曲G2は迫力だけじゃなく、
中間部の流麗さとのびやかさ、
各部もしっかり表現されていました。
後半のAmenに至るまでの
クレッシェンドの説得力と来たら!

自由曲の「春と修羅」も、もの凄く。
まず織田祥代先生とのアンサンプル!
キラキラしたピアノと声が絡み合ってうっとり。
さらに緊張感が充溢する中、
さまざまな声、声の演技が錯綜し、
宮澤賢治の世界を眼前に迫るまで創り上げていました。

この上なく練られた発声が
さまざまに煌めく世界を表現するために存在し、
表現したいものがあるからこそ、技術はあるんだ…
そんな当たり前のことを
コンビニさんの演奏で改めて気付かされました。


「春と修羅 Combinir di Corista」で検索すると
YouTubeに東京都大会の演奏が上げられていますので
是非とも聴いてみてくださいね。
…う~ん、さらに進化した
全国大会の演奏を聴きたくなってしまいます。



観客賞第1位ということで
Combinir di Corista団員…(店員?)さんから
メッセージをいただいております。

 

 


Combinir di Coristaです!
この度は初の鳥取出店、
観客賞1位をいただけましたこと、
大変嬉しく思います!
コンビニ史上初めての観客賞1位受賞、
店員一同とても喜んでおります。
ありがとうございます。

今回演奏いたしました自由曲「春と修羅」は
宮沢賢治の生前に唯一刊行された詩集、
およびその表題作として知られる「春と修羅」に
信長貴富先生が曲をつけられた作品です。
とても壮大な曲で、信長先生ご自身はこの曲の特徴を
「日本の伝統音楽的な粘着質の音使いと、
 そこから解放されたロマンティックな音響の対比」
と仰っています。

品揃えの豊富さを掲げて活動してきた私たちにとっても、
大変な「新商品入荷」となりました。
信長先生がイメージした賢治の心象世界を
どうすれば表現できるのか、
音楽的な技術はもちろん、
それぞれがどれだけこの詩と向き合えるか、
という点も大きなテーマでした。
詩集を読んでみたり、
様々な文献・考察を参考にしたりしながら、
それぞれのイメージを
共有する時間を設けたりもしました。
また、昨年話題となった
「シン・ゴジラ」を繰り返し鑑賞し、
イメージを膨らませた店員も多くいたとか、いなかったとか…

とある日の練習では信長先生をお迎えし
直接ご指導いただく機会に恵まれました。
かけがえのない一時であるとともに、
この曲・詩への理解を進めていく上での
大きなターニングポイントでもあったと思います。
そうやって、半年以上をかけて
一人一人が想い描いた心象スケッチを、
力の限り精一杯表現できた、
そんなとりぎんホールでの本番だったことを思い出します。

賞はもちろん、
演奏後に本当に多くの方々から
ご感想をお寄せいただけたことも、
大変ありがたく、嬉しかったです。
この場をお借りして御礼申し上げます。


最後に、少し宣伝をさせてください。
今回の全国大会で見事金賞・鳥取市長賞を受賞された
クールシェンヌさんと、
今年の5月13日に東京・紀尾井ホールで
ジョイントコンサートを開催します!
合同演奏は
「Brahms:Fest- und Gedenksprüche
 (祭典と記念の格言)」と
「三善晃:唱歌の四季」です。
2012年のいずみホールでのジョイントから5年。
東京にお迎えできることを楽しみに、
絶賛仕込み中でございます。
ぜひお越しください!

この度は本当にありがとうございました!

 

 


コンビニ店員さん、
素敵なメッセージありがとうございました。

「春と修羅」の詩世界と音楽の魅力、
そしてあの演奏に至るまでの道筋と
コンビニのみなさんの真摯な姿勢が伝わってきました。
「シン・ゴジラ」ならぬ「シン・コンビニ」さんの
今後の演奏がますます楽しみです。


改めてCombinir di Coristaさん、
混声合唱部門、観客賞第1位、おめでとうございます!





《ありがとうございました》

投票用紙、ツイッター、
メールで観客賞へ投票してくださったみなさん、
そして座談会に出席してくださったみなさん、
本当にありがとうございました!

友人にこんなことを書くのは照れ臭いけど
座談会に出席してくれて本当に感謝してます。
ある人がボヤくには

「…これって審査員より大変じゃない?
2日間全団体聴くのはまだしも、
昼ご飯食べる時間削って、
ほぼ全団体の感想を言うんだから・・・」

いや、いつもいつも感謝してます!
・・・今年もよろしくね(笑)。


昨年度は1月中に最終回までたどり着いたのですが
今年は2月下旬までかかってしまう始末。
そりゃ昨年の1月は病院のベッドの上、
iPhoneでひたすら書きまくる日々だったので
時間は湯水のように使えましたが・・・。
うーむ、反省しないとですね。
来年はもっと早く終わらせられるよう努力します!
座談会の最終回を上げた後に届いた
ハーモニー冬号の座談会を読むのが目標です(笑)。



合唱を始めた頃、
全国大会のラジオ放送を聞き、
そしてハーモニー誌の座談会を読み、
たまに褒めてある箇所に
「へ~、そういう聴き方があるんだ!」と
驚いたことを思い出します。

世の中にはさまざまな音楽があって、
そしてさまざまな聴き方があって。
自分があまり好きじゃない演奏でも、
他の人にとっては凄く大切なものだったり。

格調高きハーモニー誌の座談会とは大違いですが
バカ話の中に「この演奏が良かったんだ!」という
熱い想いが、読まれるみなさんの聴く耳を
ちょっとだけ広げられたらなあ、と願います。


それでは2016年度の観客賞座談会連載、
お読みいただき、本当にありがとうございました!




(おわり)