観客賞座談会:大学ユースの部 その1

 





大変お待たせいたしました。

観客賞の座談会、
大学ユースの部をお届けします。


 



観客賞とは
5年前から当ブログで始めた観客賞。
各部門の、全団体を聴かれた方の投票で決定する賞です。

この観客賞の意義を説明しますと
審査員による順位、賞の決定は
音楽のプロフェッショナルたる審査員が
それぞれ真剣に誠実に演奏へ向かわれ、出された結果であり、
尊重しなければならないと思います。

しかし、「傷はあるけどあの演奏凄く良かった!」
「コンクールに向いてない選曲はわかるけど涙があふれた!」
などという声を多く聞いていた自分は、
「じゃあ、観客による投票を行ったら
 演奏への新しい価値観が生まれるのではないか?」
と考えました。

さらに「銅賞だったからこの団体に私は投票する!」のような
判官贔屓を無くすため、投票は審査結果前に締め切っています。

賞という絶対的な価値観があるコンクール。
その絶対的な価値観を横に、バカ話を交えながら
「あの演奏が良かった!」
と忌憚なく仲間と話し合うことの楽しさが伝われば幸いです。


ツイッター、投票用紙、メールで
およそ50~70票が集まりました。
ご投票していただいたみなさま、
感想を送っていただいたみなさまに深く感謝いたします。


有志10人は芸術劇場近くのとある居酒屋へ。
私、文吾が司会となって座談会の開始です。

 




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観客賞:大学ユース部門、
第5位


混声合唱団名古屋大学コール・グランツェ
(混声136名)


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ピアニストの小見山純一さんが良かったんですよ。
めっちゃスゴくないですか、この方!


昨年もVoces Veritasのピアノで人気だったよね。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2017/01/09/124902


メロディがめちゃくちゃキレイに聴こえるんですよ!


音色がキレイだし、音が粒立っているし、柔らかいし。
そしてイケメンじゃないですか!!(興奮)


(男性陣から) 見てないな~()


文化系イケメンな感じで!


合唱の話もしよう()


大学ユースで100人越えは3団体あったんですけど
名古屋大はその大人数によるMax Forte
抑えるところのバランスが絶妙で上手かったですね。


課題曲「まぶしい朝」は大人数なのに
音圧を抑えていたような?
爽やかさを出すために意図的にしていたのかな。


声に大学生っぽい明るさがあったよね。

 

 

 

自由曲:Eric Whitacre作曲
Leonardo Dreams of His Flying Machine
(レオナルドは空飛ぶマシーンを夢見る)

 

 


「指揮の伊東さん、ここまで引っ張るかなー?!」って。


そうそう、引っ張ってたね!


課題曲で抑えていた分、
自由曲の最初から「ガッ!」って来ましたね。
あれは痺れました。


後半の打楽器の姿が全然見えなくて。
「あれ? スピーカーから流してるのかな??」


一同()


打楽器はあれぐらいのバランスの方が
合唱がフィーチャリングされていて良いですね。


ガンガン鳴らす演奏が多いよね。
見せない打楽器も含めて、センスだと思う。



名古屋大は「合唱の中から音が出てきている」感じ。


うん! そういう意味で聴きやすかった!


聴きやすいという面では音楽でも
整理されていた印象です。



《文吾の感想》

課題曲から伊東さんは大人数を運ばせる前進力、
ドライブ感があるな~と感じました。
レオナルドは各部の緊張感の表出から
後半からの高まりも聴いていて沸き立つような。
見えない()打楽器との
アンサンブルも良かったですね。



メール投票では


この人数で よく まあ こんな声の柔らかさが出るものだと

という感想がありました。



 

 

 

 

 

 


第4位


都留文科大学合唱団

(混声67名)

 

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課題曲「子どもは……
レガートがとても良かったですね。


67人中男声が16人でしょう?
それなのにバランスがとても良くって!


毎回思うけど凄いよね。
良く聴き合っているし、
アンサンブルを考えているんだろうなあ。


13小節のピアニッシモで
「子どもはなおもひとりの天使」と歌い始めるところ!
あそこ、泣けました!
ピアノからピアニッシモだから
あまり意識していない演奏が多い中、
都留文はちゃんとやっていました。





自由曲
信長貴富作曲
ぼくの村は戦場だった ~あるジャーナリストの記録~より
第二章 「111000000
第三章「ぼくは兵士だった」
第四章「ねがい」




最初から「1!1!1!0!0!」と
激しく始まって「なんだろう?」と疑問を抱かせ
まだ埋まっている地雷の数と明かす
この流れが上手いなーと思いました。


テキスト元の亡くなられたジャーナリストの方が
都留文出身ということで
団員みなさんの想いのこもった演奏というのが
とても伝わってきました。


「ぼくは兵士だった」も
少年兵の幻肢痛の苦しみが迫って来たね。


「いたいよー」の音型が
三善晃先生「オデコのこいつ」の
「こわいよー」と同じなので
「海外の戦争の悲惨さ」というテーマからの
信長先生のオマージュ?


さすがにそれは穿ち過ぎかも?
でも、「ぼくは兵士だった」の激しいリズムから
静かに落ち着いた「ねがい」の対比、
心に染みました。


あのユニゾンの美しさ!


他の大学と比べて声も音の作り方も大人っぽい!
そういう面で演奏に説得力がありました。


最終曲の「ねがい」の終わりが
課題曲の「子どもは……」とつながり、
リンクしていることに気付いて、また、涙が


「平和ってなんだろう?」
そんな問いが浮かんでくるような。
・・・聴き終えた後にも
ずっと余韻が残っていました。

 

 

《文吾の感想》

課題曲は少ない男声を活かすアンサンブルが
相変わらずお見事!
ぶつ切りではなく、
フレーズを大きく取り、
流れを感じさせる演奏でした。
そして
自由曲は


一時は、曲の持つテーマの重さに
つぶされそうにもなりました。
しかし、それを受け止め、支えあい、
表現を磨いてきました。
今この曲を歌える喜びを胸に抱き、
全国大会でも精一杯歌います。

という団員さんの言葉通り、
団員さんの
並々ならぬ想いが伝わってきました。
戦争の悲惨さ、苦しみを訴える激しさから
静かな曲調の中、切々と歌われる「ねがい」。
祈りで会場が満たされているのを感じました。

この都留文さんの演奏で、これから広く永く、
演奏される曲になったかもしれません。



メール投票では    

  

 

さすがの音楽。
説得力もダントツでした。

 

  

 
歌詞も明瞭で最後まで一気に聴いてしまった。
説得力があった。

 

  


都留文さんのメッセージにあった
「曲の持つテーマの重さにつぶされそうになりました」
という言葉を思い出し、
それでも都留文の皆さんはそれを受け止め
自分たちの形で表現しようとしている姿が伝わってきて、
言葉に表せないような感銘を受けました。
他の団体も、迫力も技術もエンターテイメント性も
十分ではありましたが、
歌の「想いを伝える」という特性からして、
私は都留文さんの演奏が1番良かったなあ、と思いました。

 

 …という感想がありました。

 

 

 
(第3位の団体に続きます)