ハーモニー冬号座談会・選曲のモチベーション






届いたのはかなり前なのですが
ようやくハーモニー冬号を読みました。

 

 

f:id:bungo618:20180215065355j:plain

http://www.jcanet.or.jp/Public/harmony/index.htm

 

 


全国大会の審査員座談会、
大学ユース、室内、同声、混声部門を読んだら
「…あれ? いつもこんなに褒めてたかな??」と(笑)。

栗山文昭先生、平松英子先生、
佐藤正治先生、長谷川冴子各先生のご性格でしょうか。
それとも編集部から何か一言あったのか?!

あまり良くないところのご指摘も当然勉強になるのですが
褒め方も非常に勉強になります。

我々の座談会の感想と同意見を目にし、
その記述の違いに「なるほど!」。


個人的に一番いろいろと考えてしまったのは
大学ユース部門のまとめとして
栗山先生が語られた選曲についての内容。
以下、転載しますね。

 

 

 

f:id:bungo618:20180215065452j:plain

 


それから、これは全体に言えることだけど、
選曲をみんなもうちょっと勉強してほしい。
最近はYouTubeとかで聴いて、
なんとなく真似をしちゃうでしょ。
悪いことではないけれど、
自分たちがこれをやろうという
モチベーションが今ひとつ感じられないんです。
他の団体の演奏を耳で聴いて探すんじゃなくて、
自分たちに合った選曲を楽譜から読み取ってほしい。
学生には時間があるし、必ずできると思うんです。




自分たちがこれをやろうという
モチベーションが今ひとつ感じられないんです。





おぉ・・・なかなか耳が痛い言葉です。
大学ユース部門だけじゃなく、
全ての合唱人が心に留めておく言葉ではないでしょうか。

YouTubeは確かに便利です。
私もよく合唱や他の音楽を聴きます。
コンクール、演奏会で毎年の流行を追うように
特定の作曲家、人気の作品を取り上げ演奏する、
多くの団体が存在します。

それが悪いこととは思わない。
流行っているということは時代のエッセンスが
その作品に香っているということだし、
素敵に演奏してくれることで
「合唱作品、演奏の今」を肌で感じられるから。

ただ、「自分たちがこれをやろうというモチベーション」。
栗山先生の言葉を言い換えれば
流行の既製服じゃなく、
オーダーメイドのような自分だけに合った曲を探し、
演奏するという気概を持て、ということかもしれません。



4年前の私のブログ記事で恐縮ですが、


ページ下部のMODOKI指揮者:山本啓之さんと
コールサル指揮者:大村善博さんとの
コンクール思い出の名演奏座談会、
時代の流れによるコンクールの選曲の変化を
ぜひ読んでいただきたいと思います。

栗山文昭先生が仰った
「選曲は、千の曲から選ぶから、選曲なんだ!」

そして、聴いた人をあっと驚かせた
「3つのブルターニュの歌」にしても
「をとこ・をんな」にしても
後にコンクールで演奏する団体がほとんど無いんです。
もちろん制限時間の変更や
協演楽器の問題もあるのですが、
これは栗山先生が「《自分たちが》これをやろう」、
つまり、いかに自分たちだけに合った、
他では追随できない作品をやろうとしたことの
証明かもしれません。


2017年の全国大会では
縄裕次郎さんが指揮の室内合唱団“零”さんが
千原英喜先生の
「混声合唱のためのピエタ-隠れ切支丹二つの唄-」を。
黒川和伸さんが指揮のVOCE ARMONICAさんは
三善晃先生の「レクエイム」を演奏されました。

どちらも著名な作曲家の、
しかし滅多に演奏されない曲です。
私はこの選曲から
「自分たちがこれをやろうというモチベーション」を
強く感じます。
他とは違う、自分たちだけに合った作品を、
自分たちが最高に素晴らしく演奏しようとする、気概。


そんな想いを抱きながら
作品を選んでいくって素敵なことじゃないでしょうか。
演奏者にも、聴衆にとっても。