観客賞スポットライト 同声合唱部門 その4





同声合唱部門、21分の休憩後、後半の団体をご紹介します。
今回は2団体!

 

 

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北海道庁旧本庁舎

 


最初は九州から初めましての女声合唱団です。






7.熊本県・九州支部代表

Coro Collegamento

(女声21名・初出場)



初出場おめでとうございます!

Coro Collegamentoさんの指揮者、大原靖久先生は、今年も全国大会へ出場された熊本第一高校合唱団の指揮者でもあります。

演奏曲は
課題曲:F3 「麦藁帽子」(立原道造 詩/三善 晃 曲)
自由曲:女声合唱とピアノのための「不可思議のポルトレ」から
Ⅲ.伴奏  Ⅳ.明日(与謝野晶子 詩/信長 貴富)

Collegamentoという団名の由来、どういう経緯で創団されたのでしょうか?
大原先生からメッセージをいただきました。

 


Collegamento(コーロ コレガメント)です。
Collegamentoはイタリア語で「つながり」を意味します。
「合唱を通して多くの合唱仲間とつながっていきたい」という想いのもと異なる環境で歌ってきたメンバーが集い、平成29年4月に結成されました。
今回の全国大会出場メンバーの半数が20歳以下という、非常に若い合唱団で、月1回のペースで練習を行っております。
優しく見守っていただければ幸いです。

結成年度からコンクールに参加しましたが、今回正直まさか!?の全国大会出場に、全国の合唱仲間とつながることのできる喜びよりも、今回素晴らしい出演団体が揃った同声部門で、恥ずかしくない合唱ができるのかという不安が大きいのが本音です。

自由曲は、言葉の力で社会を痛烈に訴え、波乱に満ちながらも時代の寵児として生き抜いた与謝野晶子さんの生きざまを感じ取れるように、信長貴富先生が作曲されました。
4年前の香川での全国大会で聴かせていただいたHIKARI BRILLANTEさんの演奏が非常に感動的で、その翌年から所属校でNコン自由曲に2年連続で「明日」に取り組みました。
特に熊本地震の年に取り組んだ時には、この曲からどのような状況でも前に進むことの大切さを教えていただき、励まされました・・・・。

~私の前には     
 まだまだ新しい無限の明日がある~

これは「明日」の一節です。
今現在、生きるうえで悲しい思いや辛い思いをされている方もおられるかと思います。
しかし、すべての人々に希望の持てる「明日」というものが必ずあると思っております。
そして合唱には、聴いていただく人々に明日への希望を感じさせる、勇気づける力があると常々思っております。

今回全国大会に出場し全国の合唱仲間とつながり、合唱における「明日」を生み出すことにつながることを願いながら、ステージに立たせていただきたいと思います。

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「九州大会の写真ですが、指でCも文字をかたどっているのはコレガメントの頭文字からになっております」だそうです。


大原先生、ありがとうございました。

なんと創団されて1年半と少し!
それで全国大会出場は、さぞかし驚かれたことでしょう。

Collegamentoさんは大原先生によると、「出身高校の枠にとらわれず、高校を卒業された方たちが中心になって集まった団体」とのこと。
合唱団が作られた経緯がそのまま団名の「つながり」を表す。
さらにその「つながり」は広く外にも手を伸ばそうと…素敵な団名だと思います。

今年の6月、CANTUS ANIMAEさんとMODOKIさんのジョイントコンサートのため、熊本を訪れたのですが、熊本城など予想以上に地震の被害が大きいことを感じました。
全国の舞台である北海道でも、9月に北海道胆振東部地震があり、まだその被害の爪痕が残ったままの場所もあります。

大原先生は4年前に聴かれたHIKARI BRILLANTEさんの演奏に触発され、自分たちも演奏することで、励まされたと書かれました。
演奏や作品が、大原先生、Collegamentoのみなさんの明日を生きる力となったのなら、きっと今度はCollegamentoさんの演奏が、この札幌で聴かれる誰かの力になる番です。
なぜなら、演奏が力になったのを一番実感し、うわべだけの言葉じゃなく心の奥まで染み込んだのは、みなさんのはずだから。

団名のままに、Collegamentoのみなさんと聴く私たちが、演奏によってつながることができますように。


何を持って来やうとも、
そなたこそ今日のわたしを引く力である

与謝野晶子「明日」








次も初めましての団体で、こちらは男声合唱団!







8.広島県・中国支部代表

Men's Vocal Ensemble”寺漢”


(男声22名・初出場)



初出場おめでとうございます!
寺漢さんは宝塚国際室内合唱コンクールなどで、選曲も響きも既存の日本の男声合唱とは違う方向を指向されているようで、非常に興味深く聴いておりました。
課題曲はM2 Die Nacht (Friedrich Wilhelm Krummacher 詩/Franz Schubert 曲)
今大会では関西学院グリークラブさんと寺漢さんが演奏される、31年前にも課題曲になった名曲。
さて、自由曲は?

チーフマネジャーの山氏@安芸さんからメッセージをいただきました。

 


初めまして、広島東洋カープのセリーグ3連覇に沸く広島市から参りましたMen's Vocal Ensemble“寺漢”です。
団名の「寺漢」の由来ですが、指揮者寺沢の「寺」と男声なので「漢」を加えて「寺漢」。ジャンプ方式「強敵と書いて“とも”と読む」に従って「漢と書いて“おとこ”」と読みます(笑)。

結成は2007年の11月、当時寺沢が常任指揮者に就任したばかりの合唱団の飲み会で、寺沢、私(山氏@安芸)と関西の男声経験者とが意気投合し、「広島で先ず演奏されない珍しい男声合唱曲を演奏する」ことをコンセプトに、そこに広島の男声合唱命!組も合流し10名で結成されました。
結成後は定演以外にも、作曲家・ピアニストのS.ドブロゴスへの曲委嘱(Miserere)&共演、フィンランド男声合唱団LAULU-MIEHETとのジョイント、軽井沢国際合唱フェスティバルへの招待出演等幅広い活動を行い、今年7月に開催されました「第1回東京国際合唱コンクール室内部門」にも出場(金賞受賞)しております。

自由曲の2曲は寺漢がここ1年取り組んできた曲です。

1曲目のV.トルミスのÜhte laulu tahaks laulda(望むとするならば、ひとつのうたを歌ってみたい)は、エストニアの詩人であるG.スーツ(1883-1956)の詩に、同じエストニア人であるトルミスが作曲したもの。
作曲された1983年時点では旧ソ連に併合されていたことに対するプロテストの様に、PPで囁くように始まり感情が溢れsub.FFへ。その後PP、FFの繰り返しで曲は進んでいき、最後に冒頭PPで歌われた歌詞が、再度今度はFFで宣言の様に歌われ曲が締め括られます。

2曲目のLimu limu limaは、スウェーデンエルブダレン地方の民謡を、スヴァンホルム・シンガーズの指揮者ソフィア・セーデルベリが自団の為に2011年に編曲したもの。
元の旋律を生かしながらもクラスターによる音響効果を加え、エネルギッシュでありながらも幻想的な作品になっています。

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東京国際合唱コンクールでの写真ということ。

 

 


山氏さん、ありがとうございました。

メッセージでも触れられている東京国際合唱コンクールで、寺漢さんの演奏を聴かせていただいたのですが、年輪を重ねた男声の魅力を表出され、「Limu limu lima」には優しい旋律が心の奥に染みるものがあり、とても良かったことを憶えています。
トルミスの「Ühte laulu tahaks laulda」は男声ならではの迫力!のため対照的でメリハリあるプログラムですね。

「広島で先ず演奏されない珍しい男声合唱曲を演奏する」というコンセプト。
寺漢さんの演奏で、合唱の新しい可能性を感じられ、嬉しくなる想いが何回もありました。
東京国際合唱コンクール金賞受賞が示すように、実力もどんどん上がってきている印象です。
初出場、そして広島カープの勢いと共に、「漢」をぶちかましてください!

 

 


(明日に続きます)