観客賞スポットライト 同声合唱部門 その5

 

 

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秋の大通公園

 

 

 


そういえば全日本合唱連盟さんから全国大会のチケット情報が。

 

 

 

なるほど。
先ほど札幌にいる実家の父と「全国大会聴きに行くわ」「え?!」というやり取りをしたので、チケットを送るためセブンで購入してみました。


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多くのお客さんでいっぱいになれば良いですね。










同声合唱部門、ここからは女声が続きます。
今日は2団体をご紹介!




昨年は金賞・文部科学大臣賞を受賞。
観客賞でもしなの合唱団さんと同率1位だった、実力も人気も兼ね備えた団体と言えば?

 

 

 




9.愛知県・中部支部代表

VOCI BRILLANTI

https://twitter.com/brillanti0202

(女声34名・6年連続出場・第63回大会から7回目の出場)



ヴォーチ ブリランティさん、前身のHIKARI BRILLANTEさんから4年連続金賞、さらに観客賞でも3年連続1位という「絶対聴かねば!」という団体です。

昨年の観客賞のメール投票では


いい意味でコンクールと思っておられない、等身大で、現実味を持って、言葉と曲を自分のものにされている印象を受けました。
この演奏を聴いて、課題曲がとても好きになりました!

 


ツイッター投票では 


絶えず音楽が流れ音色に表情の変化があり、意味がよく取れる演奏だった印象

彼女たちの演奏が聴けただけで、ここに来た甲斐があったなと思いました。


座談会では


課題曲の「再会」、
自由曲の「早春」、「ほたるは星になった」。
ぜんぶ萩原英彦先生の「光る砂漠」から選曲されてね。

演奏会の1ステージのような趣き。
団員さんひとりひとりが自らの想いを歌い上げるその姿は、
オペラのようでした。

言葉、フレーズに躍動感と体温の熱さがこもり。
3曲すべてに生への希求。
生きることへの懐かしさのようなものまで感じられて。
切なさと同時に体の深いところから喜びが湧き起りました。

良い演奏が、作品の命を永遠にする。
そういう演奏だったと思います。

(しみじみと)
生きてきた中で、三本の指に入るくらい
良い演奏だった・・・。

 

http://bungo618.hatenablog.com/entry/2018/03/09/055448




指揮者は室内合唱部門で合唱団まいさん、混声合唱部門でCANTUS ANIMAEさんを振られる雨森文也先生。
さて、今年の演奏曲は?

VOCI BRILLANTI団員のみなさんからメッセージをいただきました。 

 

 

皆様こんにちは、VOCI BRILLANTIです!
中学生から社会人までの約40人が、雨森文也先生、白鳥清子先生と一緒に楽しく活動しています。

今回演奏する課題曲は「麦藁帽子」自由曲は、20世紀の女声合唱の名曲の一つと呼ばれる「三つの抒情」から「北の海」「ふるさとの夜に寄す」です。
どちらも私たちの大好きな三善晃先生の作品です!

 

「麦藁帽子」は、立原道造を温かく包み込むような豊かな合唱と、人間の優しさや自然の美しさを感じられるピアノが調和する美しい曲です。
道造が見た、八月のキラキラした風景が皆様の目の前にも広がるように歌います。
「北の海」は、中原中也が当時交際していた長谷川泰子に振られてしまったことに対しての憎しみや呪いが書かれた詩です。
激しく揺れ動く、怒りや悲しみの感情を表すような合唱とピアノが絡み合って、中原中也の心の内を表現しています。
「ふるさとの夜に寄す」は、立原道造が、苦しい闘病生活での絶望や、自分自身への葛藤の中でもがきながら、ふるさとにすがり、自分を受け入れ、安らぎのなかで天に救われていく、儚く美しい曲です。
道造の想いが届きますように、と祈りを込めて歌います。

練習では、一人ずつ詩を朗読する「語り」を通して、合唱でも語感や気持ちを表現できるようにしました。
また自由曲は無伴奏の部分が多いので、全員がハーモニーを理解して歌えるように「自分のパートを歌いながら、他の3パートをピアノで弾く」という練習を行いました。
この練習によって、和音の構造や自分がどのパートを聴くべきか等、沢山の発見がありました。
全国大会では、いつも応援してくださる皆様、大会に関わる全ての方に感謝を忘れず、ひとつひとつの言葉に気持ちを込めて、私たちらしい音楽をお届けします!

 

 

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中部支部大会の写真だそうです。

 

 


団員のみなさん、ありがとうございました。
この選曲、どこかで見覚えが…。
そう! 5番目に出場のmonossoさんと課題曲も自由曲も全く同じなんですね。


3月3日に高松でジョイントコンサートをされるほど親交の深いこの2団体。
全く同じ曲の演奏を、異なった団体ではどんな風に聴こえるのか、とても楽しみです。

メッセージを読ませていただき、立原道造、中原中也という両詩人と、ブリランティのみなさんの距離がとても近いように感じました。
一人ずつ詩を朗読するという「語り」の練習の成果かもしれませんが、詩人と作曲家の得た感動を、そのまま自分の感動とし、聴く私たちに伝えてくれるような…。
いままでのブリランティさんの演奏もそのようなものでした。

「私たちの大好きな三善晃先生の作品」という気持ちはとても大切なこと。
「麦藁帽子」も「三つの抒情」も60年以上前に作曲された作品ですが、いま聴いても新しさを失わない。
しかし、もちろんそれは作品に対する姿勢、演奏に左右されるのですよね。

ブリランティさんの「大好き」、いま生きているみなさんのその感情のままに、札幌Kitaraホールでいま生まれたような「麦藁帽子」と「三つの抒情」をどうか聴かせて欲しいと願います。







続いては素晴らしい音圧と気品を兼ね備えた女声合唱団です。

 

 





9.神奈川県・関東支部代表

La Pura Fuente

https://twitter.com/la_pura_fuente

 

(女声38名・第66回大会から5年連続出場)



La Pura Fuenteとはスペイン語で「清い泉」とのこと。
神奈川県の合唱名門校、清泉女学院の卒業生さんが2010年に作られた団体。
2年連続金賞という、実力も素晴らしいものです。


昨年の観客賞座談会では


好きでした!

シンフォニックでもあるし、
アンサンブルも凄いし、
ソプラノの発声がとにかく素晴らしかったね。

ホールを凄く鳴らしていて。
さらに自由曲の鈴木輝昭「III.Psalmus22」が…。

最高!
なんか「シン・ゴジラ」みたいな!

一同 ゴジラ(笑)。

緊迫で息もつかないほどスリリングで
凄く変化も激しいし、
それでいて柔軟に表現するところは表現して
ドキドキしました!

彼女たちにとってこのホールは狭いのかも?

32人なのに(笑)。
でもそうですね、ホールを狭く感じさせる響きでした。

しなやかで自在な表現も魅せ、
この部門随一の音圧で
ホールを存分に鳴らしていたのも凄い!

 

http://bungo618.hatenablog.com/entry/2018/03/07/193718



さて、今年の演奏曲は?
La Pura Fuente団員さんからメッセージをいただきました。

 


課題曲 F3 麦藁帽子

立原道造の詩と三善晃のメロディーが織りなす美しさに惹かれて選曲しました。
若くして亡くなった立原道造の詩にはどこか死の陰が感じられるものが多く残されています。
この『麦藁帽子』という作品は立原道造が生きた最後の夏の情景を描いたものです。
白昼夢のような景色の中でゆふすげが甘く咲き匂う、それは立原道造にとっての天国だったのではないでしょうか。
彼の生命の輝きへの憧憬を透明感のある音でロマンチックにお届けできればと思います。


自由曲 二群の無伴奏童声(女声)合唱のための「幻の風・光の海 地球歳時記’95」から3rd Scene

この曲集は、世界の子どもたちが詠んだ俳句をまとめた『地球歳時記’95』の中から、海を取り巻く風や光、幻影を描いた「幻の風・光の海」をテキストとした鈴木輝昭先生の作品です。
今回演奏致します3rd Sceneは、碧々とうねる波、走る雲と風の息吹と大自然を謳歌する思い、そして音楽を通して生命体としての地球への思いを表現しています。

 


年々団員が増え、今年の全国大会は40人での参加となります。
様々な経験を積んだ人達がこれだけ集まったからこそできるものをと、この曲を選びました。
La Pura Fuenteにとっては全日本合唱コンクールで初となる二群の曲です。
今年は東京国際合唱コンクールに出場したこともあり、練習が例年以上に大変でしたが、佐藤先生のご指導の下皆で練習を重ねてきました。
ホールに真っ青な海と永遠に続く宇宙が広がっていくように、心を込めて演奏致します。

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昨年の全国大会の写真だそうです。



団員さん、ありがとうございました。
メッセージでも触れられている東京国際コンクール、私もLa Pura Fuenteさんが出場されたユース部門聴いてこんな感想を残していました。


気品と奥行きのある淑女の声で、どの曲も見事に演奏され、個人的には完成度が頭ひとつ抜けていたので1位かな?と感じたのですが、92.2点 金賞4位。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2018/08/16/201237

このように国際コンクールでも実力は折り紙付きの団体。

自由曲は昨年に続き、鈴木輝昭先生の作品です。
「幻の風・光の海 地球歳時記’95」から3rd Sceneは、音響効果に優れた輝昭ワールドの魅力あふれる作品。
しかし、昨年の「III.Psalmus22」に負けず劣らずの難曲。
さらに二群の合唱を40名ほどの人数では、非常に困難と予想してしまうのですが、La Pura Fuenteさんなら大丈夫!

きっと素晴らしい声でKitaraホールを「真っ青な海と永遠に続く宇宙が広がっていくように」別世界へ連れて行ってくれることでしょう。



(明日へ続きます)