観客賞座談会・室内合唱の部 その3




それでは観客賞室内合唱部門、1位!

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大倉山展望台

 


合唱団まい

(混声24名)

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一同 イェーイ!(拍手!!)


文吾 なんだこのテンション(笑)。


まず課題曲G1、アルト良かったよねー。


そう! アルトがテノールっぽくて
テノールがアルトっぽかったんです。
「良い塩梅」とはまさにあのこと。


わかる! 「良い塩梅」ね!
そしてポリフォニー感もすごかった。


自分で書いたメモなのに
何を意図したのかわからないんですけど
「400年を感じさせる演奏」って。


一同(笑)。


たぶん作曲者のバードが生きていた時代の
アニュスディもこんな演奏だったんじゃないか。
現代とバードの時代を
繋ぐような演奏に感じたんですよ。


演奏ってテクニカルの上手さも大事だし
音楽のムーブメントも大事じゃないですか。
テクニカルはひょっとしたら
まいより上手い団体があるかもしれないけど、
ムーブメントが優れて、
テクニカルとのバランスが一番良かったのが
まいだと思うんですよ。


上手いし、心も動かすぞ、みたいな感じかな。


ところで雨森先生が課題曲で
珍しく指揮をされていたんですけど、
早送りしても変わらないくらい動きが少なくて(笑)。


打点が分からないというか、
打点が「無い」(笑)。
ほぼ静止したままなのに「A-gnus…」
「なんであれで入れるの?!」


一同(笑)。


準備ができて、
いつでも声が出せる状態にして。
そして指揮者が動き始めたら
どこかで出ればいい、のような。


メチャクチャ難易度高くないですか、それ!?


たぶん「指揮に合わせて、サン、ハイ」ってのが
好きじゃないんだと思う。
「歌いたい気持ち」が高まった時に
自然と声があふれ出すような状態を
目指しているんじゃないかな。


あとVOCE ARMONICAの黒川さんも書いていたけど
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2018/11/19/210622
この曲はカトリック教徒としての「おらしょ」だと。
そういう感じがまいの演奏から伝わって来たね。


本来ならカトリック教徒として出すはずなのに、
イギリス国教会に仮託していて、
本来の心は違うという…。
余談ですけどそれが一番感じられるのは
「4声のミサ」の「Credo」です。
(Mass for Four Voices)
そのドラマティックさは聴いたら
「もう!」です(笑)。


まいの演奏はアニュスディ1曲だけで
成立している気がしてしっくり来ました。


続いて自由曲の信長貴富「不完全な死体」から
「IV.歌曲」「V.不完全な死体」だけど、
「歌曲」はすごく良いラブソングだよね~。
「その曲を聴いた~だけで~♪」


泣いちゃいましたよ。
もう、「まい劇場」開幕!


一同(笑)。


ミュージカルか?!みたいな(笑)。


日本語が上手かったですよね~。


そして信長貴富「ヒスイ」のピアノバージョン。
平林知子先生のピアノ、すごいなー!


一同 すごかったね~!!


出だしから素晴らしかった。
あの前奏を聴いたら
歌い手のテンション高まりまくりですよ!
このバージョン超好き!


信長先生の曲は
単に弾くだけでも劇的なんですけど
それをさらに華やかにしてくれる。
そんなにまいさんって人数が多いわけじゃないのに
歌も聴こえるし、ピアノも聴こえる。
ピアノの音量を抑えている風でもないのに
ちゃんと調和が取れていて、魔法のよう!
平林先生のピアノ…本当に素晴らしい。


あと「ヒスイ」は何と言っても
あの年配の男性のテノールソロでしょう!
「だがヒスイはあまりにも高価すぎて…」


一同 それ!!!


あの方は若い頃、
きっと苦学生だったと思うんですよ。


文吾 そこまで読み取るかぁ?(笑)。


聴いて!(笑)
そういう時代があって、
重ねられた人生の深みと共に
「ヒスイ、買えなかったんだよね…」と
ポツリと言うような感じがあって!


そうそう! 朴訥なの!


年配の人が若い時の気持ちを
今歌っていることにグッと来たんですよ。


会場が、シン…となりましたよね。


あれを大学生みたいな若い子が歌うよりは
ずっと説得力がある!


一同 そうだよね!


「ぼくはあまりにも貧しかった」
年配の男性に歌わせるのが、配役の妙!


配役(笑)。
ほんと、ミュージカルだ。


「貧しい」なら今の大学生なんだけど
「貧しかった」、過去形なんです。
それゆえに響くんです!


そこから繋がるわけですよ。
「だからこそぼくは歌ったのだ」と!
合唱を始めた気持ちが甦る!


なるほど!「おじさまー!!」


一同(笑)。


いやあ、「ヒスイ」まで聴いて
なにか小劇場の舞台を
観終わったような感覚になりましたよ。


観客との親密度がエライ方向に行っちゃって。
・・・持ってかれましたね。



《文吾の感想》

課題曲G1はアルトの深い声が良かったです。
演奏は座談会にも出ていたように
裡に秘めた熱さがあり、
他の演奏とは別物のように感じました。
そして熱さで押し切るのではなく、
良い流れの中に細やかな抑揚があったのも◎。
ヒスイのピアノバージョンは初めて聴いたんですが
平林先生のピアノの良さも相まって
個々人が活きた演奏。
そして「だからこそぼくは歌ったのだ」から
合唱となる箇所に説得力が生まれるんですよね。
「まい劇場」を心から堪能したステージ。
いやぁ、聴かないで観光に行っちゃった人は
本当にもったいなかったですね・・・。

そして「不完全な死体」の「歌曲」には泣かされました。
「あなたにあげたい…」
CDを買ったので今も聴きながらうるうるしています(笑)。

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ツイッターの投票では

 

G1が美しかった。
自由曲の日本語がストレートに伝わってきた。

 

詩人:寺山修司というより、(ちょっとアンダーグラウンドな)舞台の脚本家としての寺山修司に寄り添った曲作りだと感じました。

 

ずるい。泣いた。

 

歌い手同士のコミュニケーションの精度が高く、音楽の共有が高いレベルで実現していると思いました。
まいのステージは演劇の舞台を見るようでした。
素晴らしかった。

 

途中から彼らの演奏会に来ているのかと錯覚するほど、世界観にのめり込んでしまいました。

 

指揮とピアノがあってもなくても、全員が「歌っている」感じで一体感とハーモニーが半端なかったです…!
ヒスイも好きな曲で、聴けて幸せでした!!

 

魂を鷲掴みにされました。
何故か、涙が溢れました。

 

「合唱団まい」のヒスイ。
だがヒスイは買うにはあまりにも高価すぎてぼくはあまりにも貧しかった …のソリストさんがもう合唱とか歌以前に、しんとしみる優しい優しい声で、何時間か経ったけど思い出すとまだ涙腺が弛む




メールの投票では

 

課題曲は、このG1が一番好きでした。各パートの受け渡しも、フレーズ感も、心地よく、安心して聴いておりました。
自由曲は、いずれも歌った曲でしたが、よかったですね。
あえて、指揮者が前に立たず、自発的に皆さんが表現していて、ソロもさりげなく、よかったと思います。
ヒスイは、初演したものとして、今後、もっともっと広がってほしいし、そうなると思います。

 

ソロが素晴らしく、さらにそれを生かすような合唱、そしてさらなる高みにもっていく平林先生のピアノと、、、もう言葉には表せない感動を味わわせていただきました。
本当にありがとうございました。


…という感想がありました。




室内合唱部門第1位ということで、まい団員さんよりメッセージをいただいております。

* * * * * * * * * * * * 


この度は、観客賞1位という栄えある賞をいただくことができ、団員一同大変喜んでおります。

バードの静謐な祈りの響き、「個」を前面に打ち出す「うたの劇場」のアンサンブル。
課題曲、自由曲それぞれに皆様の心に残るものがあったとしたならばとても嬉しいです。
素晴らしい響きのキタラホールで思い切り歌うことができ、本当に幸せでした。
お聴きくださったお一人お一人に感謝いたします。
ありがとうございました。

実は、合唱団まいは、今回演奏した「歌曲」「不完全な死体」が含まれる  混声合唱によるうたの劇場「不完全な死体」を、来年10/19(土)長野市芸術館で行われる第21回演奏会で全曲演奏させていただくことになりました。

三味線に誘われて展開するシュールで妖しく毒々しい序曲、終曲。
7/8拍子に乗せて語られる男娼マリーの長台詞、、、。
信長貴富先生が音楽によって鮮やかに浮かび上がらせた寺山修司の多面的な世界が、組曲を通すことで更に豊かに広がります。

最後に、皆さま。合唱団まいの歌はナマモノイキモノ表情ほっ汗
手づかみの踊り食いがもっとも美味しゅうございます。
お客様に近いホールでの演奏は、また違った魅力を発見していただけるかとも思います。
来年秋はぜひ、長野市芸術館にお越しください!!

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団員さん、ありがとうございました!
まいさんのナマモノイキモノ踊り食いを食べたければ、来年10月19日に長野市芸術館へぜひ!!



(観客賞座談会・室内合唱部門、次回は6位以内に入らずとも印象的だった団体の感想を)