観客賞座談会・同声合唱部門 その1

 





今回から観客賞座談会は同声合唱部門!
審査発表まで聴いた座談会参加者は大通のとある居酒屋の個室へ。

 

 

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まず第5位、第4位の2団体の感想を。



5


VOCI BRILLANTI

(女声34名)

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BRILLANTIは9番目に出場だったけど
課題曲、自由曲とも
5番目に出場のmonossoと選曲がかぶってました!


ねえ?!
来年3月にジョイントコンサートがあるから
わざとかぶらせたのかな?(笑)


文吾 いやいや、お話を聞いたら
   全くの偶然だって!
   monosso指揮者の山本さんが選曲について
   「12月ぐらいに決めてましたよ」と言ったら
   雨森先生は「…僕も同じくらいの時期かな!」
   ・・・いったい何を張り合ってるんだ、って(笑)。
http://bungo618.hatenablog.com/entry/2018/11/13/085504



一同(笑)


音符に対する言葉の割り振りが上手でしたね。
課題曲のF3:麦藁帽子なんて
例えば「八月の」は
すべて同じ四分音符が与えられているんだけど、
そのまま「はーちーがーつーのー」と
同じ音価で歌うんじゃなく、
本当に「八月の…」と言葉、
語感を活かして表現する。
圧倒的に上手だと思いました。


あと白鳥清子先生のピアノが繊細で好きでした。


同意です。
白鳥先生のすごく自由さを感じさせるピアノが
歌い手にも良い影響を与えていたかな。


自由曲:三善晃「ふるさとの夜に寄す」なんて
前奏はゆっくりめでかなり想いがこもり、
合唱が入るとテンポが流れ出す。
その対比が面白かったです。


「ふるさとの夜に寄す」では
「ただ! しばし!」という言葉が
2回出てくるんだけど
最後の「し」が無声音となっていたのが
ちょっとドキッとした。
「しばし…」と弱くするのが
余韻が残る印象で良かったです。


余韻と言えばこの曲は、
フレーズはデクレッシェンドで
息っぽいものを残して余韻を作るんですけど
極端な団体は全部のフレーズにそれをしてしまう。
BRILLANTIは余韻を作るフレーズと
そうじゃないものとのセレクトが上手かったですね。


若い人が大半な団体だけど豊かな音色で
しかも女性としての柔らかさも入った
音色になっていたから
慈しみの印象もありました。


全体的に高めの響きが自分は好きでした。


正直、すごい世界を持っているから
私は発声や響きがどうとかじゃないんですよね。
BRILLANTIの創り出す広い世界に
入れるか入れないか?だと思って。


その気持ちはわかる気がする…。
表現の幅がとにかく広かった。


うん。淡さ、儚さに加えて、
そこに確かにある存在感があったんですよ。
女声合唱にもかかわらず、
とは言っちゃダメだけど(笑)
音符に込められた声の密度に満足しました。



《文吾の感想》

課題曲はとても良い出だし。
座談会でも触れられていましたが、
語感に加え、
「言葉を発するスピード」が精妙でした。
歌い手さん個々人の実感がある表現から、
麦藁帽子がある情景が目の前に広がり
聴覚だけでは無く五感を刺激されるよう。
最後の「挨拶する」でさりげなく締め、
しかし美しい歌唱が印象に残りました。

「ふるさとの夜に寄す」もそこかしこに
緻密な速度変化があるんですが、
それが実に自然な流れで
フレーズを長く活かしていました。
「やさしいひとらよ」との
最初の呼びかけから魅了され、
音色の豊かさ、その世界の空気までも感じさせ。
ひとつひとつの言葉に
詩情がある演奏だったと思います。


ツイッターの投票では

 

まさかの某団体と曲だだかぶりでしたが(笑)、音の響きが一段高いと感じました

 


メールの投票では

 

豊かな音楽表現に女声合唱の真髄を見ました。


…という感想がありました。


 

 

 

 

 



続いて4



La Pura Fuente

(女声39名)

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まず課題曲F3:麦藁帽子は?


声が明るいし出てくるし!


一同(笑)


発語も美しいなと思いましたよ。


子音をちょっと前でつかまえていましたね。


そうなんです!
日本語としてすごく上手だなと思って
聴いていました。


実力があるから
何を歌ってもサマになるんだけど
自由曲:鈴木輝昭「幻の風・光の海」から
「3rd Scene」は特に合っていた気がしたな!


音楽もそうですけど、
英語の発音が上手かったな、と。


2群合唱ってふつうはバラけるのに
全然バラけずまとまっている!


やっぱり力のある団体なんですよ。
そうじゃないとあそこまでの演奏はできない。


最近、中学か高校でこの2群の作品の
違う曲をコンクールで演奏していたと思うけど。


母体の高校(清泉女学院音楽部)が
2年前に演奏されてCDにもなっていますね。

 

 

そういう風に歌ってきている伝統があるから
音楽面での素晴らしさ、
英語の発音の上手さなどが
経験として出てくると思うんです。


実は自分、
あまりOB合唱団って好きじゃなくって…。


文吾 ちょっと!(苦笑)


いや、聴いて下さいよ(笑)。
このLa Pura Fuenteは
自分が苦手な「OB合唱団」らしさが
あまりしないんですよね。


あー、わかる!


「先生と絆で繋がれている!」世界じゃない感じ(笑)。


いや別に繋がれても良いと思うよ?(笑)。
ただ、前の座談会にも出たけど
「その制服、いつまで着るの?」じゃなく、
制服を脱いで、他の音楽にいくつも触れて、
「やっぱり母校の〇〇先生の音楽は素晴らしい」と
戻ってこの音楽をやる良さが出ていると思うんだよね。


近い将来、室内合唱部門の
ソレイユみたいになるのかも?


それはなんとなくわかる気がするな。
先生のやろうとすることを
ちゃんと咀嚼してから
自分たちの表現として演奏できる団体だと思います。



《文吾の感想》

非常に練られた、明るく良い声がホールを満たします。
「麦藁帽子」「蝶よりも」のpiu fの高音域が
余裕をもって美しく歌われたことに
「これだよ!」と(笑)。
この部分を楽に聴かせてくれると、
世界が箱庭ではなく、現実のように広がる感じがして。

「幻の風・光の海」は輝昭先生特有の
金属的な音がとても効果的に響いていました。
座談会でも触れられていましたが
英語の発語に知性が感じられ、
さらに2群合唱の呼応する効果が
とても良くできていたと思います。


ツイッターの投票では

 

 

課題曲の伸びやかさとストレートな発声がとても好きでした。

 

輝昭作品の2群堪能、言葉とても聞き取りやすく発声もキレイ

 

自由曲の倍音バリバリ凄かった。

 

いやもうキレイすぎでしょう…どうやったらあんなまとまっていて透き通った芯のある声出るんですか…

 

あまりにも清らか

 

「La Pure Fuente」さんのソプラノがどんな高音でもどんな跳躍でも絶対に破綻しないだけじゃなくて、出す音が全部、歌声が、日本語が、英語が、有機的に結びついて何か究極の土鈴とか木管(どんな笑)のような音であれは何の奇跡だったんだろう

 


…という感想がありました。



(第3位の団体に続きます)