観客賞座談会・同声合唱部門 その2

 



観客賞座談会、同声合唱部門の続きです。
今回は第3位と第2位の2団体の感想を。


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札幌テレビ塔

 

 



3

monosso

(女声38名)

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世界観がありました!


ホントそう。
抑えた表現の中で
十分世界を作り出していました。


課題曲F3:麦藁帽子はさりげない感じで。


そうそう! 
徐々に盛り上がってね。


力みがなく、
フレーズを丁寧に繋げていく歌唱に聴こえましたよ。


最初聴いた時に
「麦藁帽子っぽくないな」と思ったんですけど
だんだんこういう解釈もアリかな、と。


それは感じたな。
よく聞く鳴らしまくった「麦藁帽子」じゃなくて。


あんまり声で勝負する感じじゃないんだよね。
けど評価が高くて(金賞3位)嬉しい(笑)。


批判になっちゃうんだけど
他の金賞団体と比べて
発声面では練れていない。
でも、そこをどうするかが、
やっぱり指揮者の山本さんの音楽だよなあって。


音符の密度が若干軽かったかな。
これからどう年輪を重ねて
変化していくかが楽しみです。


最初の「微風(そよかぜ)の中で」
「そよかぜ」でデクレッシェンドして
「中で」でピアノになった瞬間!
あそこでもう涙出てきたからね。
あの繊細な表現!


山本さんの弱声の使い方は
本当に素晴らしかったですね。


淡さと儚さ…。
納得の「微風(そよかぜ)」でした。


3曲、ちゃんと表情を変えていたと思うんです。
「麦藁帽子」はそれをかぶる本人で
幼いというか若い人の設定で音楽を作っていて。
自由曲:三善晃「北の海」
団にいるお姉さま方に合わせました、みたいな(笑)。
情念のような感じが出ていました。


でもその情念…声に厚みを増そうとして
力みに繋がってしまったかなあ。


いや、あの曲は力みもプラスになりますよ。


続いての「ふるさとの夜に寄す」
音楽的な頂点、表現も感情もここぞ!と。


女声合唱団に対して
適切な言葉かわからないけど
美しいとか繊細とか可憐とかの前にまず
「カッコイイな」と。


一同 おー。


オレが女声合唱団に入るなら
こういうカッコイイ団体に入りたい。
女声合唱団だけど「男前」感が!


それは褒めてるのか(笑)。


演奏の余韻が凄かったです。
「ふるさとの夜に寄す」を聴いた後、
次の団体の演奏が始まって
頭が切り替わるまで
たっぷり20秒はかかりました・・・。



《文吾の感想》

「麦藁帽子」は実にさりげなく、
やや軽い感じで音楽が進みます。
しかし徐々に盛り上がり、
言葉も音楽も掌で温めるように
大切に奏でていくような雰囲気。

「北の海」の激しさ、
そして「ふるさとの夜に寄す」の前奏と
変わらず酒井信先生のピアノは素晴らしく。
合唱も「やさしい人らよ」と本当に呼びかけるように、
直線的ではなく、柔らかく高まっていき、
フレーズと音楽をきちんと繋げ、
この曲だけではなく
課題曲からの想いの結果としてのように
「忘れよ ひとよ」!と
強く訴えかける音楽に心が震えました。



ツイッターの投票では

 

すごく好みでした!

 

表現力があったと思います。

 

私的にとても印象に残った演奏でした。

 

複数の女声団体が麦藁帽子を歌う中で、驚異的な爽やかさで場の雰囲気を一変させた。
びっくりしました。

 

自分たちの世界をきっちり持っていて、堂々とそれを表現していたと思います。

 

ハーモニーもさることながら、なによりも伸縮自在な横の流れがとても心地よかった。
アルシステーシスの流れが美しかった。 

 
…という感想がありました。











2


Men’s Vocal Ensemble“寺漢“

(男声22名)

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良かった良かった!


オシャレでした!


うん、良い意味で無理をしないという感じ。


身の丈に合った感じの演奏でしたね。


そうそうそう!
コンクールの戦略的な「やってやる」感が
無いのが良かったです。


課題曲M2の「Die Nacht」
特に子音への気配りが良い、
素敵なシューベルトでした。


和声感もとても良かったですね。


メモに一言書いてあって。
「幸せ感いっぱい」!
幸せ過ぎる音だなあって。
曲の途中で歌詞を確認してしまうほどでした。


指揮者の寺沢希先生が
バロック音楽やロマン派音楽を
きっちり勉強されているから
歌い方を知っている感じがしましたね。


そうですね、外国語に対するノリが
寺漢さんだけ違うのが分かりました。
気品がある演奏に引き込まれましたよ。


あれだけ柔らかい響きで歌って。
普通そういう合唱団って
柔らかさがメインで終わっちゃうみたいな。


そこが寺漢の違うところだよね。
自由曲1曲目、
トルミス「Ühte laulu tahaks laulda」
(望むとするならば、ひとつのうたを歌ってみたい)
ガツン!と来たから「お~~~!!」と。


一同 うんうん。


続けて「Limu limu lima」ですよ。
ステージ上の立ち振る舞い、
自分たちの見せ方を分かっている感じ。


演技が徐々に盛り上がってくるのが良くて。
曲中の演技って大抵
「ハイ、ここからやりますよ」じゃないですか。
それが自然に、
だんだん広がってくる感じがすごくて惚れました。
みんなが肩を抱き合ったりして、
まるでスウェーデンの田舎に引き込まれたような。


自己プロデュース能力が高い合唱団だなって。
そういう所へとても共感しましたね。


課題曲から自由曲2曲、
すべてをステージングとして
「魅せたな!」という印象です。


とても楽しく聴けましたね!



《文吾の感想》

課題曲シューベルトはやろうとする音楽が明確でした。
自由曲のトルミスから
座談会でも触れられていましたが
音楽の切り替えが良かったです。
柔らかい印象から男らしい硬派な感じへ(笑)。
緊張感あるピアニッシモと
フォルテッシモを交互に鳴らす、
ある意味お約束な作品なんですが、
それでも聴かせてしまうのが見事。
「Limu limu lima」はロングトーンのクラスターが
美しくホールを満たし、夢のよう。
洒落た演技もその効果を強めていたと思います。
オシャレな赤いチーフを含め、
「聴かせる」だけではなく「魅せる」団体で、
次のステージが楽しみになるような演奏でした。


ツイッターの投票では

 

表現力があったと思います。

 

短編映画を一本観た気持ち🌟 
男声の合唱ってただ声だけで郷愁とか哀愁あるの羨ましい

  

ハーモニーが濃厚で繊細で密度がすごい。
自由曲は特に、ずっしり厚い和音が終始鳴っていて世界に取り込まれた。
最後のlowBの鳴り方すごい……

 

すごく好みでした!

 

歌詞の意味もわからないのになぜか涙腺がやられました…!
ありがとうございました!

 

いわゆるアカペラチックで楽しそうに歌われる姿が印象的でした

  

自分たちの世界をきっちり持っていて、堂々とそれを表現していたと思います。
ステージ上での振る舞いなども粋で、魅せ方を知ってるなという感じ。
カッコ良かったですね。

  

3曲の表情の使い分けがすごくよかった。

 

 自由曲の選曲が好みドンピシャでした。
テナーからベースまで各パート非常にレベルが高く、質の高いアンサンブルでした。

  

期待以上でした!
私も男性だったらこんな合唱団で歌ってみたいなぁ。
あぁワクワクした!!


…という感想がありました。



(第1位の団体の感想に続きます)