「にっぽんの合唱オンライン・ティービー」第7回 作曲家の自作自演を聴こう!




カワイ出版さんが毎週金曜日に公開する「にっぽんの合唱オンライン・ティービー」。

 

 

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毎回、素晴らしい企画で楽しませていただいているんですが、今回は特に聴いて欲しい名演なんです!



作曲家:森田花央里さんのピアノによる「青い小径」も竹久夢二の抒情と、森田さんの音(端々にジャズピアノを思わせるカッコ良さ!)が心の琴線に触れる演奏でとても良かったのですが。

 

鼻水って!(笑)




次の作曲家:松本望さんと平林知子先生のピアノ連弾による「二つの祈りの音楽」。

 

 



この曲の広がりと、そして烈しさと気高い祈りの美しさはみなさんご存知だと思います。
2016年初演のCANTUS ANIMAEさんのDVDでは、初演後にピアノを弾かれた松本さんが、「終わった後私も思わず舞台上で感涙するという人生初の経験をしました」と仰られたように、目に当てた手では隠せないほど泣かれていました。




恥ずかしながら私もDVDで初めてこの曲を聴いたあと、胸の奥からせりあがるものをこらえきれず、声に出してまで泣いてしまったのを思い出します。
慶応義塾ワグネル・ソサエティー男声合唱団さんによる男声編曲初演版もDVDで聴きましたが、こちらも素晴らしい演奏。
あい混声合唱団さんによる弦楽アンサンブルとの演奏も、とても良いものです。
今後、児童合唱やオーケストラとの協演版などに広がっていくことを願ってやみません。

 

 




最後に、この楽譜から松本望さんの言葉を抜粋します。


「遠く離れた所にいて音楽で一体何が出来るのか、いつも無力感に苛まれる。(中略)それでもやはり音楽をする我々には、大変な状況にいる方々への気持ちを音に託して祈り、伝えようとすることが、自分たちが出来る精一杯のことなのかなと思う。」

 

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みなさん、期間限定ですので今週の金曜夕方までに、ぜひ、ぜひ! お聴きください。



 

 

 

九州男児と呼ばないで?! クェーサーさん




ブレーンさんとのコラボで全日本合唱連盟からこんなプレゼントが。


ツイッターで ハッシュタグ #珠玉のハーモニー を付けてあなたの名演をツイートしましょう!
25名様にお任せの珠玉のハーモニーCDプレゼントなのですが、まさにどのCDが当たっても聴き応えアリです!

 


さて、珠玉のハーモニーコラボ連載の第2回。
今回は1991年の岡山県での全国大会のお話。

↓ こちらは2008年全国大会直前、岡山駅からシンフォニーホールへの道を。


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岡山シンフォニーホール



その昔、全日本合唱コンクール全国大会の上位団体は、NHK-FMラジオで多くが放送されていまして。
1991年の全国大会も年末か次の年始か忘れてしまいましたが、演奏を聴ける番組が。

ナビゲーターは合唱指揮者の故・関屋晋先生。
あの独特のしゃがれ声、先生のユーモアと共に楽しく聴いたのを憶えています。
番組中でちょっと変わった団体の名前が。

関屋先生「このクェーサーっていう福岡の男声合唱団なんだけどね。
     出てくるときのプラカードが面白くって
     『九州男児 クェーサー』って書いてて!」

ははは、全国には面白い団体もあるもんだなぁ(笑)と半笑いで続く演奏を聴いたらナニコレスゴイ!
間宮芳生先生の名作「合唱のためのコンポジション」、日本各地の民謡、ハヤシコトバから成り立つ独創的な世界を、優れたソリストをはじめとしたAグループの上限に近い30名ほどで、密度濃く緊張感高く、見事に表現されていたのです。
忘れようにも忘れられない強烈な印象を残しました。
あの響きの良い岡山シンフォニーホールで、特に男声合唱のためのコンポジションからなんて、聴く方も、そして歌い手さんも気持ち良かったろうなぁ!



当時のプログラム、クェーサーさんのプロフィールを見ると、「クェーサーってなあに?」からはじまり。
クェーサー(準恒星状天体・準星)について説明した後に、クェーサー(九州支部に属する男声合唱団)の記述が。
曰く。

 


一見普通の男声合唱団のように見えるが、入団以前に男声合唱団を経験した者はほとんどいなく、大騒ぎしてエネルギーを発している。その性質は「無駄に明るい合唱団」と言われ、大変お騒がせな合唱団である。遠く九州は福岡県で活躍しているが、その実態は明らかではない。

 


「実態は明らかではない」と書かれたら知りたくなるのが常。
古くからの友人:歌うコンシェルジュさんが元クェーサー団員だったので、このCD収録を機会に尋ねてみました。



文吾:まず記憶にある関屋先生のご発言
   「プラカードに『九州男児 クェーサー』
   って書いてたの本当なんですか?


歌うコンシェルジュ(以下、歌コ)
  :100%実話です( ̄▽ ̄;)(笑)


文吾:実話だったとは(笑)。
   どんな団体だったのか教えてください!


歌コ:クェーサー、
   出身母体は福岡県立東筑高校で
   バリバリ歌ってたメンバーです。
   大学での活動に飽きたらず
   何か面白い事やりたいという
   思いで作られた団。
   今でいう「企画合唱団」の
   はしりだったかもしれません。


文吾:当時、そういう企画合唱団は
   珍しかったですからね。


歌コ:練習は県大会前に東筑の合宿施設を借りて
   1泊2日で集中的にやってました。
   県大会前に1回、九州大会前に1回、
   そして全国大会前に1回。
   現地での練習を合わせても
   一緒に歌うのは1週間程度という、
   端から見ればただただ
   わがままな団体だったかもしれません(^_^;)


文吾:実質の活動期間はどのくらいだったんですか?


歌コ:コンクールを主体としての活動は
   正直、あまり長いものではありませんでした。
   全国大会出場は1989福岡大会(ヴァジュラ讃歌)、
   珠玉のハーモニー収録の1991岡山大会、
   1992仙台(Duhaupas 荘厳ミサ曲)の
   3回だったと思います。
   実質の活動期間は4~5年ってとこですかねぇ。

   ただ、この時のメンバーとの繋がりが
   今でも大きな財産になっているのは事実です。
   指揮者の竹田享司さん(九大混声合唱団指揮者)、
   この演奏でソロを務めた
   MODOKIやうたうたいで歌ってるSさんなど、ね。


文吾:あとプラカードの件、
   他にエピソードがおありとか?


歌コ:岡山大会、私はトップテナー。
   並びの関係でアナウンスのおねーさんの
   すぐ近くに立っていたら、
   そのおねーさんに聞かれました。

   「アナウンスに九州男児って入れm」
   「勘弁して下さい」
   食い気味に言った記憶があります( ̄▽ ̄;)


文吾:(笑)。
   歌うコンシェルジュさん、ありがとうございました!



九州男児と呼ばないで、と歌うコンシェルジュさんの言葉をついタイトルにしてしまいましたが。
クェーサーさん、本当に漢らしさに満ち、まさに団名の通り鮮烈な輝きを心へ残す演奏です。
「珠玉のハーモニー」Vol.6に収録されていますので、どうかお聴きください。

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次回 「●作品そのものが立ちあがる 鶴岡土曜会混声合唱団さん」9月29日火曜更新予定です。

 

 

 

聴かずに土下座した日  日立コール・システム・プラザさん

 

 


一緒にブレーンさんとコラボ記事を書かれているぜんぱくさんのブログ「指揮者の独り言」。


「珠玉のハーモニーに寄せて」を書くにあたって の初回も良かったんですが、「その2」 もメチャクチャ面白く興味深いですよ!
「合唱人」という言葉が生まれた背景。
インターネットの影響や「史上かつてない2次会」の開催など、昭和から平成への時代と合唱の変遷をわかりやすく記されています。



さて、「珠玉のハーモニー」に収録された演奏について書いていくこのコラボ企画。
初回はVol.9に収録されている2012年11月、富山市芸術文化ホール オーバード・ホールで行われた第65回大会。
部門改正のため、職場部門がこの年で最後となる全国大会のお話。

 

 

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「日立コール・システム・プラザさん」です。

初回から大変申し訳ないのですが、こちらの演奏、実は私、会場で聴いていないんですよね・・・。
うかつなことに寝坊してしまい職場部門の開始に間に合わず、なんと9団体目のパナソニック合唱団さんから聴き始めまして。

さらに知人から悪魔の言葉が。
「昼休憩55分しかないぞ。文吾が食べたいって言ってた富山ブラックラーメンの店には間に合わないな」
「ん~~~!」 悩む。葛藤。
聴いているパナソニックさんの後、職場部門は2団体。
どうしよう…ラーメン、合唱、ラーメン、合唱・・・私は知人へ決然と言いました「ラーメン!!」


職場部門を途中で抜けて食べた富山ブラックラーメンは大変美味しく、満足して次の一般部門Bグループから聴き始めたのでした。


全部門が終了したその日の打ち上げ「史上かつてない2次会」にて。
「いや~職場部門1団体しか聴けなかったけどブラックラーメン美味しかったよ~~」
呑気にそう話したとき、職場部門の全団体を聴いた一回り以上年下の知人女性2人の(ひとりは高校の後輩)、顔色がサッと変わりました。

「文吾さん、まずそこ座りなさい」

へ。なんで??


「「いいから!」」

ふたりのあまりの迫力に命じられるままその場に座り。
そして彼女たちの言うことには。
私の聴いたパナソニック合唱団さんの後は伊予銀行合唱団さん。
自由曲、伴剛一先生の「いのちの木を植える」。
最後に演奏した「木を植える」が自身の行いと未来への希望を語るテキストで、とても良い演奏だったと。
あまりに真剣な口調で、私、崩していた足を正座にする。

正座させたまま彼女たちは続けます。
職場部門最後の団体、日立コール・システム・プラザさん。
81名の新日鐵住金混声合唱団さんや76名のパナソニック合唱団さんが出場する中で、混声19名という職場部門最少人数。
自由曲が信長先生の「雲は雲のままに流れ」から、最後に演奏したのが木島始詩の「それじゃ」。
これが本当に、本当に!素晴らしい演奏だったと。
ふたりの語る言葉に涙が混じるんです。


キャンドル吹きけそうとするたびに 
 あさっての口笛がきこえるなら
 また会おう



「この全日本合唱コンクール全国大会、改正前、職場部門最後の年で」
「最後の出番、そして最後の曲が『それじゃ』」
「この曲を選んだ日立さんの想い……」
「あの演奏を聴かないなんて信じられない!」
「あなたそれでも合唱ブロガーなんですか?!」

真剣に、涙ながらに怒られました。


自身の行いを深く反省した私は、知人女性ふたりへ、正座のまま床へ手に着き。
深く、深く頭を下げ、土下座したのでした。
あの時の日立さんと職場部門出場団体のみなさんへ。
「もうしわけありませんでした!!!」

奇跡のような出演順、そして選曲。
時が戻るのだったら昼飯抜いても聴きたかったなあ。

 

 

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そして8年が経ち「珠玉のハーモニー」企画でこの日立さんの演奏が候補に上がっており、演奏を聴き直しました。

面白いことに2曲目の「海」まで、いわゆるコンクール的な緊張が感じられるのですが、最後の「それじゃ」で、ふっと緩むのです。
コンクールなんて忘れたように、いまこの場を楽しもう、ただ音楽を伝えようと。
後半、「また会おう」と繰り返し、たたみかけテンポアップし「それじゃ また」と明るく歌い終わるのが、逆に悲しみを隠すよう。
歌う場と聴く場そのものが失われた、コロナ禍の現在に聴くからでしょうか。
響きました、とても。
遠くから手を振ったんだ笑ったんだ涙に色が無くてよかった」 なんて短歌を思いだし、聴き終わっても余韻にしばらくじっとしていました。



時代が生み出す演奏なんて言葉は軽すぎるかもしれませんが、無くなった職場部門と重ね。
「また会おう」と時を越えて伝わる、普遍的な強さと希望を持った日立さんの「それじゃ」。
当時、聴かなかったことを涙ながらに責めた知人女性の想いに代わるわけはありませんが、私もぜひ多くの人に聴いて欲しいと願うのです。

 

 


やっと泣きやんでほっとするきみに
鳥が目くばせしかえすなら
また会おう


「それじゃ」 木島始








日立コール・システム・プラザさんの演奏は「珠玉のハーモニー」Vol.9に収録されています。 

※追記
この記事を読まれた高校の後輩さんがこんな反応をしてくれました。

 


パナソニック→伊予銀行→日立CSPを通して聴いてこその幕引きでした。
歌い切って晴れやかな日立のみなさん。
「ありがとう!」と日立さんに手を振る観客。
あたたかくて切なくて名残惜しい、職場部門の終わりでした…。

 

 


次回は「●九州男児と呼ばないで?! クェーサーさん」 9月24日更新予定です。

 

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新・珠玉のハーモニーに寄せて

 

 

「珠玉のハーモニー」
全日本合唱コンクール全国大会名演復刻盤


ブレーン株式会社さんより2020年9月下旬 Vol.6~10(5枚同時発売!)

 

 

 

 

 

「新・珠玉のハーモニーに寄せて」



「令和になった今、平成の『珠玉のハーモニー』を作りたい。ついては収録曲を文吾くんにも選んでほしい」とブレーンさん経由でぜんぱくさんからお誘いがあったのは昨年の春ぐらいだったろうか。
それは大変名誉なことと快諾し、ふふふ、私の審美眼が認められたのか!とほくそ笑んだが、単純に全国大会の観客賞を私が主宰していることが理由だろう。


ぜんぱくさんの住む尾道、私の住む倉敷でブレーンさんの担当編集者:イケメン原さんを交え、何度も話し合いをした。
全国大会の名演について語ることはとても楽しく、その一方で(約30年分の膨大な演奏から選りすぐった名演を集めたCDなんて、なかなか決まらないだろうなー……)などと呑気に思っていた。

状況が一変したのはこの新型コロナウイルス禍。
数々の演奏会、合唱イベントと同様、今年11月に山形県山形市で行われる予定だった全国大会も中止になってしまった。
代わりになるものを、と考えられたのでは無いかもしれないが、結果この「珠玉のハーモニー」企画も実現へ大きく進むことになった。

さぁ楽しい時間が地獄の苦しみに変わったのはそれからである。
CD5枚分はかなり長い時間のように思われるだろうが、話し合いで挙げられていた演奏曲の合計時間はその軽く2倍、いや3倍を超えるものだったのだから。
思い入れがある団体、演奏曲を削ってしまわなければならないこの辛さ!

ぜんぱくさんとの話し合いもエキサイトし、卓上の皿は飛び、コップは割れ、お互いの胸ぐらを掴み・・・ということはZoomミーティングなので無かったが、かなり白熱する瞬間が何度もあったように記憶している。
結果、譲ったり譲られたり、判断をブレーンさんのお任せにしたり。
このCDの収録曲をご覧になられた方は「なぜこの団体が収録されていないんだ!」「なんでこの演奏曲が!」とご不満な方も大勢いらっしゃると思う。
そのお気持ちは十分すぎるほどわかります、いや本当に。
そういう方はブレーンさん&全日本合唱連盟さんのコラボ企画「心に染みた珠玉のハーモニー大募集!」
https://www.brain-shop.net/shop/pages/gem.asp


ぜひとも推しの名演をツイッター(ハッシュタグ #珠玉のハーモニー)で、つぶやいて欲しい。
書き込まれた団体や演奏曲に私も「いいね!」と反応してしまうかも。



多くの演奏会やイベントが中止になり、生の合唱演奏が聴けなくなり、実は腐っていた。
「これからは食と酒のおっさんになる。合唱? そういう趣味もありましたね」みたいに考えていた自分もいた。
でもこの「新・珠玉のハーモニー」を聴いたとき、「こんな良いものは滅ぼしちゃダメだ!」と叫びそうになった。

全日本合唱コンクールは、合唱文化の中で単にひとつのイベントに過ぎない、と考える人はいるかもしれない。
それでも約30年の期間で選ばれた曲は、音楽、合唱の変化というだけではなく、それぞれの時代背景を映し出す、幅広く、奥深いものになっている印象を受ける。
なによりどの収録曲からも今を生き、未来へ歌う人たちの熱い思いが伝わってくる。

どうか聴いて欲しい。
そしてできれば自分と同じように思って欲しい。
「またこんな演奏を聴きたいなぁ!」
それこそが合唱の未来への力になるはずだから。

 

 

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(次回:コラボ記事 「●聴かずに土下座した日 ~ 日立コール・システム・プラザさん ~」 9/20日曜更新予定です)

 

 

 

 

ガッSHOW TV!!が良かった!

 



26日20時からYouTubeのプレミア放送で流された「ガッSHOW TV!!」、みなさんご覧になられましたか?

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そういうわけで2週間限定公開ですが、未視聴の方も、ご覧になった方もぜひ!



東京大学柏葉会合唱団さんの音楽作りも表現もスマートな魅力で幕が上がり。
主催団体:Mu Projectさん(東京都)の森山至貴先生作曲によるリモートならではの作曲・歌唱、そして演出が一体化した引き込まれる世界。
CANTUS ANIMAEさん(東京都)は17世紀の作曲家Herediaの作品を古楽アンサンブルと自在で豊かな大人の音楽。
Choeur Cheneさん(奈良県)は髙田三郎先生の名曲「水のいのち」から個々人のうたを感じさせ、たっぷりと詩情あふれる。
合唱団お江戸コラリアーずさん(東京都)は宗左近と三善先生の火花散るような「縄文土偶」の世界を名ピアニストと共に集中度高く。
mugsさん(東京都)は8人の能力高い女声アンサンブルで流麗さと音楽の移り変わりが鮮烈でスピード感ある「花色カメレオン」。
MODOKIさん(佐賀県)は平林知子先生のシンフォニックなピアノとの対話で紡がれるブラームス「Nänie」は死者への哀悼で貫かれて。
北海道大学合唱団さんは繊細でノーブル!面川倫一先生「昼の月」の演奏も、学生指揮者とは思えない表情の襞があってとても素敵でした。
今回絶対聴いて欲しい団体をひとつだけ選ぶなら北大合唱団!
Chor OBANDESさん(東京都)は若さに満ち、ピアノと弦楽とのヤイロも美しかったです。
岡崎高校コーラス部・岡崎混声合唱団さん(愛知県)は最大人数で「ポジティブ太郎」と信長先生「Anthologyより」という対照的な作品を練られた演奏で締めてくれました!



「ガッショウTV」が良かった点はたくさんあるんですが



1)TV的な演出、放送形式による同時代性の楽しさ

ツイッターでの宣伝や予告動画、オープニング、CMにエンディング。
演奏前や後に、作曲家や指揮者等から楽曲や演奏への言及など。
加えて、動画に合わせた観客のコメントとハッシュタグを使ったツイッターでの感想という瞬間の共有の喜び。



2)個性ある選曲と演奏の魅力

各団体が相談したのでは?と勘ぐってしまうほどまったくカブらないそれぞれ個性ある選曲。
コンクール常連団体でもコンクールで聴かれるような曲から外し、新しい顔を見せてくれましたよね。
もちろんコンクールと関係無い団体も、「あなたたちはこれがやりたくて歌ってるんだね!」と演奏からじゅうぶん理解できるものでした。



3)出演団体の幅広さ、ここから始まる繋がり

北は北海道から南は佐賀まで。
混声、男声、女声アンサンブル。
一般団体、大学合唱団、そして高校合唱団。
コンクール参加を活動の礎としている団体から、一貫してコンクールに背を向けている団体まで。
私自身も柏葉会さんの演奏は約20年ぶりに聴いたのですが、このようになかなか演奏を聴けない、知らないカテゴリーの団体を聴けるという機会。
この放送を出演者の多くが聴かれたと思いますし、それぞれの団体・カテゴリーのファンのみなさんも聴かれたはず。
その方々が、柏葉会さんを長年聴いていなかった私のように、今まで知らなかった団体・カテゴリーの良さに気付く、とても素晴らしい機会だったと考えるんです。

今後、コンクールに参加しないけど優れた個性を持つ地方の合唱団や、中学生、高校生、大学合唱団、いやいや少年少女合唱団やシニアも含めて、より広い繋がりができるようになったら素敵だなぁ~、なんて思うんですよ。





主催団体:Mu Projectさんからは「第2弾制作決定!!続報を待て!!」ということなので超期待しています。


そうそう、第2弾の制作が少しでもスムーズになるよう、ささやかながらカンパしました。
みなさんもぜひ是非!!

 

  

 

 

「ガッSHOW TV!!(ガッテレ)開催のお知らせ」



昨年の全国大会でも熱い演奏で大人気だった東京の男声合唱団:Mu Projectさん。
このコロナ禍の状況で、とても興味深い企画を開催するそうです。



Mu Project「ガッSHOW TV!!(ガッテレ)開催のお知らせ」
新型コロナウイルス(COVID-19)時代下における、新しいかたちのオンラインコンサート

 

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「新しいかたちのオンラインコンサート」?
どういうものなんでしょう。




名称 ガッSHOW TV!!(ガッショウテレビ/ ガッテレ)
主催 Mu Project
後援 東京都合唱連盟、株式会社ハンナ
配信媒体 YoutubeMu Projectチャンネル( https://www.youtube.com/c/MuProject )※プレミア公開


日時 2020年7月26日(日)よる8時~


料金 無料 ※電子チケットサービス「ライブポケット」にてカンパチケットを販売(500円~)
※詳細はムウラジ(2020年7月3日(金)公開)にて発表

 

 

Mu Projectでは、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響を受け、合唱の通常の練習や演奏会の実施が困難となる中、平時の合唱活動が取り戻せることを願う合唱団のひとつとして、また合唱団による新たな発信方法のひとつとして、「合唱専門音楽番組」という形でのオンライン合同演奏会を開催します。
これは、出演する合唱団が過去の演奏や新録した演奏を持ち寄り、ひとつの番組(動画)の演奏会として発表するものです。
録画ではありますが、公開時はテレビやライブ配信と同様に、視聴者が同時に演奏を聴くことができる機能を使うため、SNS上で感想を共有したり、オンライン飲み会をしながらといった様々なスタイルで「同時に」演奏を聴き合い、感想を共有することができます。
また、演奏者からの選曲に対するメッセージやこぼれ話などを併せて取り上げることで、視聴者が作品や出演者への理解を深めることにも繋がります。
本企画は、必ずしも新たな創作活動にはあたりません。
しかしコロナ禍の危機的状況下においても、参加団体や視聴者と合唱音楽の良さを分かち合い、これまで合唱団や団員、指揮者やピアニストが行なってきた取り組みを全国の合唱ファンに改めて周知し、再評価する場として機能することを望んでいます。
多くの合唱団から募った一押しの演奏を、演奏会と同じように多くの聴衆が感想を共有しあうという、これまでの合唱文化を保持し、来るべき感染収束後に向け、合唱活動再開の機運醸成を行うことが本企画最大の目的です。
たくさんの合唱ファンの皆さまに、合唱の魅力を改めて感じていただける時間になるよう団員一同全力で制作を進めております。
広報のご協力をいただけますよう、お願い申し上げます。

 

  



「合唱専門音楽番組」という形でのオンライン合同演奏会!
しかもただ演奏を公開するだけではなく、選曲へのメッセージやこぼれ話もあるのは嬉しいですね。

気になる出演団体は?というと・・・




<出演団体>

 



MODOKI(佐賀県)

CANTUS ANIMAE(東京都)

合唱団お江戸コラリアーず(東京都)

岡崎混声合唱団・岡崎高校コーラス部(愛知県)

mugs(東京都)

東京大学柏葉会合唱団(東京都)

北海道大学合唱団(北海道)

Choeur Chene(奈良県)

Chor OBANDES(東京都)

Mu Project(東京都)



これは凄い!
コンクール出場団体に限らず、北は北海道から南は佐賀まで、学生、一般団体いずれも実力団体ばかり。



選曲テーマは全国の視聴者に「今聴いてほしい演奏」
※出演団体からのメッセージ動画とともにお届けします。
ということなのでこちらも楽しみですね。




<放送形式>
YouTube Mu Projectチャンネルにてプレミア公開
※プレミア公開はクリエイター、視聴者が同時に動画を視聴することができる機能です。
YouTube上のコメント機能やSNSを通じて、リアルタイムに感想を共有しながら動画を楽しめます。

2時間ほどの放送時間を予定しております。

Mu ProjectのMCのもと、各団体演奏動画を前後どちらかにメッセージ動画を添える形で公開します。


<曲目>
Mu Project Twitterアカウントについて順次公開

【本件に関するお問合せ先】
Mu Project 広報局
pr@mu-project.jp

 



そういうわけで7月26日20時からガッテレ!

 ハッシュタグ #ガッテレを付けて感想をツイートしましょう!
私も聴かせてもらう予定です!

 

 

 

Nコン中止に寄せる信長先生の言葉

 

 

大変残念ながら今年のNHK全国学校音楽コンクールは中止となりました。

 

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大防止にともなう「第87回NHK全国学校音楽コンクール」中止のお知らせ

 

 課題曲は来年に持ち越しなんですね。

 

 

 

「学校再開ガイドライン」を踏まえ、また「新しい生活様式」を心掛けても、コンクールでの集団による合唱は、十分な間隔をあけたり近距離での発声を避けたりすることに限界があり、感染拡大のきっかけに繋がりかねません。

https://www.nhk.or.jp/ncon/entry/pdf/2020_info.pdf

 

  

「いま」、合唱を練習の段階でも、実行することの難しさも実感してしまいます。

そんなとき、Facebookで作曲家:信長貴富先生がこんな投稿をされていました。

 


「私自身の体験から言うと、音楽的に満たされないフラストレーションが、そのあとの人生で音楽を続けるモチベーションになることもある、という話をざっくりしてみます。」

 

とても良い文です。
そして自分も信長先生ほどではありませんが、大学進学で似たような経験があります。
「こんなもんじゃない、まだまだ先の世界がある」と思うことは、短期的な視点では不幸かもしれませんが、長期的には幸せなんじゃないでしょうか。
もちろん個々人の見識、能力もありますが、中学や高校の部活で「合唱をやり切った」と思わせるシステムって・・・? などと思いを巡らせることに。


「音楽的に満たされないフラストレーションが、そのあとの人生で音楽を続けるモチベーションになる」。
自分の生きてきた経験から、凄く納得が行く言葉なんです。
「それって確証バイアスじゃない?」と批判されるのも当然のこととして、それでも進学、それに関係した合唱も希望通りにならなかった自分が、今もなお合唱を好んで聴く理由です。

これを読まれている学生のあなたの一瞬、今年のコンクールの機会は、もちろん何事にも代えがたいものです。

しかし手からすり抜けてしまったように思われる貴重な機会をその後、長年にわたって、さまざまな人生の経験を経て、さまざまな視点で見るとき。
それはひょっとしたら、「手に入れた」と思う瞬間より、実感と重みをもってあなたに確かな価値をもたらすのではないでしょうか。

 

信長先生には及びませんが、いろいろな経験と、年月を経たおじさんはそんなことを思うのです。