ロスコを観に行った 続き


 ロスコの反対側へかけられている
ジャクソン・ポロックの絵を観る。




 この絵は写真では分かりにくいが
中央の図形はキャンバスをくりぬかれて出来ている。


 見ているうちに、耳鳴りがしてくるような、
圧倒的な何か、に押しつぶされるような錯覚を味わう。


 冬の休みにポロックのドキュメンタリーを観たのだが、
オリジナルな作風ゆえの賞賛と批判。
 (ポロック宛に5歳の子供が描いた絵を同封し
  「あなたの作品とそっくりでしょ?」と送ったヤツもいるそうだ)
 長いスランプとアルコール漬け、そして自動車事故による死亡。


 「一度世間に認められた芸術家は
  その作風が変わっても変わらなくても批判されるのだ」
 という言葉が耳に残るドキュメンタリーだった。






 ジャクソン・ポロック 「カット・アウト」


 凄まじいエネルギーとともに
ポロックの苦悩が伝わってくるような絵。


 続いて小特集として、
ムンクの版画12点がまとめられて一室に。
 ムンクと言えば「叫び」が有名だが
「叫び」だけではなく、他にもある主題を何度も何度も描いた。


 昔から私が魅きつけられるのはこの主題。






 エドヴァルド・ムンク 「病める子供」



 「病気と狂気、そして黒い天使は幼い頃から私の周りにいた」
 と語ったムンク。
 版画でも独特な、そして暗い瘴気を撒き散らすような印象。


 ロスコ、ポロック、さらにムンク、という作品の力で
心はすっかり沈んでしまった。
 見る物がすべて暗く見える。


 うつむいたまま本館を出て、米倉を改装したという
工芸・東洋館へ入る。


 ここには棟方志功の作品がある部屋があるのだ。


 おおお、高い位置に掲げられた
「二菩薩釈迦十大弟子」の力強さ!








 この版画を見ると、なぜかいつも力が湧いて来る。


 さらに「無盡蔵」という書。


 掛軸からはみ出すほど大きく力強く書かれた
「無尽蔵」その3文字。
 その言葉の持つ魂が観ている自分に訴えかけるようだった。


 (・・・光が無きゃ、闇だって無いよなあ・・・)


 どしどし、と踏みしめるようにして美術館を出た。






 
 倉敷市民会館近くのピザ屋はウマイぜ!



 (おわり)