「第2の江原を探せ!」


かなーり面白い本を読みました。
ノンフィクションライター:高野秀行氏がブログで絶賛した本。
http://aisa.ne.jp/mbembe/index.php?eid=560



「第2の江原を探せ!」

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4594058485/aisa09-22/



高野秀行氏は大真面目に
世界各地へ怪獣を探しに行く人でもありますが
氏の本を読んだ人は、
その姿勢が「トンデモ」なんかでは決してなく
極めて高い知性と科学的な思考の持ち主ということを理解していると思います。
その高野氏が絶賛している
「スピリチュアル」の本なんです、これは読まねば!



内容は口コミやメディアで評判が高い
自称「スピリチュアルカウンセラー」16人に対し
ジャーナリスト5人が実際にカウンセリングを受け、
その真偽を徹底的に調査するというもの。



この調査方法がなかなかスゴイ。
まず、5人のジャーナリストの観察眼が
肯定にしても否定にしても、ちゃんと論理的思考に基づいていること。
頭から信じず、かといって理由無く強硬に否定するわけでもない。

そして「これは!」と思ったスピリチュアルカウンセラーには
一人だけで判断を下さず、
必ず複数のジャーナリストでカウンセリングを受ける。
また、可能な限りカウンセリングの内容は録音し、
その場の印象や記憶の変更に左右されないようにしている。



面白さのひとつは
「インチキスピリチュアルカウンセラーの手口公開!」…のようなもので。
例えば、前もって住所を伝えることによって
カウンセラーがグーグルのストリートビューで調べ
カウンセリングを受ける人が住んでいる場所の様子を
実際面談した時に喋るのではないか、という仮説。


ホット・リーディング(hot reading)と呼ばれる手法ですが
他にも本籍や家族構成なども
代理人として役所へ申請すれば前もって分かりそうです。
(いわんや芸能人だったら!)

後は誰でも当てはまるようなことを宣言し、
さも当てているように見せかける(バーナム効果)も
当然のテクニックのよう。


バーナム効果については、こちらを是非やってみて下さい。
血液型性格判断を信じている人は特に!


「究極の血液型心理検査」
http://www.senrigan.net/bloodmind/index.html



他にも質問に答えた反応で
質問内容を絞り込み、当てているように見せる、など。
コールド・リーディング(Cold reading)の手法ですね。



ただ、この本の本当に面白いところは
そういった事前情報無しでも
本人しか知らないような事実を当ててしまう人が存在する、ということ。
例えば最高評価を受けている一人は
事前情報無しで名前と生年月日を書いた紙に手をかざすだけで
対象者の性格や行動、
それも浅薄なものではなく本質に迫るような所まで
ずばり言い当ててしまうのですよ。
他にもその日の朝食のメニューを事細かに当てたり
近未来の出来事を当ててしまう人など、
超自然な能力を否定するには難しい人が出てくる。



しかし、対象者の本質を当てる人といえども
その能力が霊界に関わっているものなのか?という
疑問も示される。
(対象者の本質を当てた人、数人でも
 対象者のすぐ前の前世に対してはまちまちの答えが出たことから)


それが霊界からのメッセージなのか、
前世やカルマは存在するのか、という疑問はさておき
超自然的な能力を持つ人物は確実に存在する、というのが
この5人のジャーナリストの出した結論であり、
その論にはとても説得力があるように私も思いました。


でもですね〜、口コミなどで評判の高い16人でも
最高評価の5ツ星が1人。
4ツ星が2人、なんですよ。
それなら大して評判になっていない占い師レベルなら
その能力がどういうものかは想像がついちゃいます。


この本を読んだ後では
占いやスピリチュアル・カウンセリングを頭から否定する気は無いけど
「ホンモノ」は非常に稀な存在であることも分かりました。
従って、受ける人にはあまりハマらないことをお勧めし、
受ける前に上に書いた心理学用語を是非調べてみることも勧めます。



それにしても最高評価5ツ星、青山のAさん、
この人には見てもらいたいなあ〜。
でも、こういう人に「アナタの本質はこうです!」と
ネガティヴな指摘をされたら立ち直れないかも・・・。