コンクール出場団体あれやこれや:出張版 その4

さて、9年前は今年と同じ札幌だった全国大会。
収納ボックスを漁っているとこんなものを見つけました。





第53回全日本合唱コンクール全国大会

大学・職場・一般部門

2000年11月25日(土)・26日(日)

札幌コンサートホールKitara



9年前の全国大会のプログラム!

開いてみると、ほう、この年の全国大会にも出場して

さらに今年の全国大会にも出場する一般団体が8団体も。



・・・ちょっとした企画を考えました。



それでは今日も紹介をはじめましょう。

最初はこの団体です。





中部支部代表・長野県
合唱団まい
(混声16人・3年ぶりの出場)



合唱団まいは昨年、

イタリア・アレッツオでの「国際ポリフォニック・コンテスト」にて

グランプリ大会へ進み、

指揮者の雨森文也先生は最優秀指揮者賞を受賞しました。

詳細はハーモニー147冬号51ページをご覧下さい。



今年の課題曲はG1:ジェズアルド。

自由曲はモンテヴェルディ

「Messa a 4 voci da cappella」から「Gloria」「Agnus Dei」。


この選曲について指揮者の雨森文也先生にお話をうかがいました。

雨森先生とは毎年どこかでお会いしていますが、

こうしてちゃんと話をうかがうのはこのインタビュー以来で、

なんと7年ぶり!



文吾     それでは選曲についてよろしくお願いします。



雨森先生  「まいは平成4年からコンクールに出続けてきて

       色々な作品を勉強してきたのだけど

       今年は原点に戻ろうということで

       ルネサンスの作品だけを選びました」



文吾     なるほど、原点のルネサンス作品を選曲された、と。



雨森先生  「とは言うものの、まいが全国大会へ進めたときは、

       前回の三善先生の五つの童画以外は、

       すべてルネサンスの世俗曲だったので、

       今回は新たな挑戦をする意味で宗教曲を選んだんです」



文吾     …あ〜、そういえば、まいのモンテヴェルディだったら

       マドリガーレが印象に残ってます!



雨森先生  「そうなんです。

       新たな挑戦が無いと

       コンクールに挑戦していることの意味がなくなるから。

       …でも正直、全国大会へ出られるとは思っていなかった」          



文吾     え? では今まで宗教曲で挑戦されたことはあっても

       全国へ進めたことは無かったと?



雨森先生  「うん、以前ヴェルトの宗教曲を選んだ時も

       全国へは進めなかった」
          


文吾     それで今回は宗教曲を選ばれたんですね。

       そのような、「挑戦する」、という意識は

       どのような理由から?



雨森先生   「僕は惰性でコンクールに参加するのは好きではないので。

        一年に一回限られた曲をとことん勉強するわけだから、

        今合唱団に足りないものを学ぶために

        コンクールヘ出ないと意味がないと思ってます。

        ですから、いわゆる自分たちにふさわしい曲ではなく、

        自分たちにふさわしくない曲を選ぶ、

        それが挑戦だと思っています」



文吾      …は〜・・・。



雨森先生   「ただ、今回は運良く全国へは進めたんだけど

        課題は山積みだよ。

        音程は悪いし、響きの質は低いし、

        音楽的にも不十分だし…」

          

文吾      えー? そんな!

        何か 「ここが聴かせどころだッ」 とかお願いします!!



雨森先生   「いや〜・・・ 無いね。恥ずかしい限り」



文吾     (がっくり)



雨森先生   「…それでも、今年は課題曲が世俗曲で

        自由曲が宗教曲という

        全く異なるジャンルの曲、別物なわけで。


        その“別物である”ということを

        まいが今までやってきた活動の結果として

        表現できればいいな、とは思っています」



文吾      はい、楽しみです!



雨森先生   「ジェズアルドの世俗曲は当時は例えば指揮者を置かずに

        5人で小さなオペラのように演奏したりしたと思われます。

        例えば貴族のサロンのような場所で。

        どこまで出来るかわからないけど

        その雰囲気を出したいな、と思ってます。

        そしてモンテヴェルディは同じ時代の曲でありながら

        世俗曲とは全く違った匂いを出せたらいいなあ…」



文吾      同時代だけど世俗曲と宗教曲との違いを、

        ひとつのステージで表現する、ということですね。

        …ところで今回、

        まいは一般の部で16人と最少人数なんですが。



雨森先生   「そうなんだよ〜。

        とっても広い会場だから

        ピアノのまわりにこぢんまりと集まって歌いますよ。

        だから文吾もあんまり盛り上げて書かないで欲しいな。 


        『どうか耳をそばだてて、

         補聴器を用意してお聴き下さい!』


        …とか書いといてくれると助かる(笑)」



文吾      そんな!(笑)




雨森先生、ありがとうございました!



さて、「まい」の印象をひとことで言うと

「個人が存在するひとつの合唱団」だと思います。

矛盾しているようですが

団員はそれぞれ個々を存分に主張しているのに

「まい」として引いて見るとひとつの命のように見える。


それは私たちが頭や手足はそれぞれバラバラの器官なのに

体というひとつの単体を成しているのと似ています。


「合唱団まい」は

メロディを骨とし、

ハーモニーを肉とし、

リズムを脈動とするひとつの生命体なのかもしれません。



脈動という言葉に繋げるなら、

「まい」には血が通い、今生きているという熱い体温があります。

過去のコンクールで

モンテヴェルディのマドリガーレが印象に残っている話をしましたが、

17世紀の遠い音楽という印象を全く抱かせずに

今、ここに生きている者の生きている証としての歌、

そんな思いにさせられる演奏でした。



今回課題曲G1:Dolcissima mia vita(わが愛しの人よ)の

作曲家であるジェズアルドは妻とその愛人を殺害した人物。

そんな人間が表現する「愛」と「死」とは。

わがいとしの人よ、なにゆえに、

わが熱望する救いを遅らせるのですか?

目をそらせば、私を燃やす情熱の火が、

たぶん消えるとでもお考えなのですか?

ああ、決して起こらないだろうか、

わがいとしの人が、おまえへの愛が、

あるいはおまえの死を望むようなことは?



(Dolcissima mia vita わが愛しの人よ)

音楽に血を通わせる「合唱団まい」。

その合唱団が演奏する「morire 死」という言葉で終わるジェズアルド。

そして始まるモンテヴェルディのミサ。


雨森先生が語られた「世俗曲と宗教曲の対比」も、もちろんですが

ステージで歌い演じる「まい」の愛、そして死という

人間の一生のドラマを期待したいと思います。





東北支部代表・福島県

会津混声合唱団

(混声32人・2年ぶりの出場)



会津混声合唱団は2年ぶりの出場ですが

全国大会に出場すれば銀賞の上位や金賞を獲得する

実力派の団体という印象があります。

そして自由曲に海外のカッコイイ現代作品を選曲し、

日本初演の曲でも「これぞ定番!」と思わせるほど、

実に完成度高く演奏することでも知られています。



今回の課題曲はG3:萩原英彦先生の「 風」。

自由曲はスヴィデル (J.Swider)の「Pater noster」「Wierze」。

スヴィデルは他の団体で違う曲を数曲聴きましたが

いずれも前に迫ってくる力強さを持つような

「カッコイイ!」印象の曲でした。

きっと会津混声に合っている曲なのでしょう。



その自由曲について

会津混声合唱団の団員さんにお聞きしました。

自由曲の曲紹介については、簡単で申し訳ございませんが、

定期演奏会パンフで使用した曲紹介をそのまま引用いたします。


『ヨゼフ・スヴィデルは

1930年生まれのポーランドの作曲家です。

会津混声では初めて取り上げる作曲家ですが、

ポーランドではかなり有名な作曲家だそうです。

オペラやピアノ協奏曲、宗教曲に室内楽、独奏曲、

さらに映画音楽まで幅広い分野で活躍しています。

1980年代以降はもっぱら合唱曲を中心に

作曲を行っているということです。


「Pater noster」は直訳すれば

「我らの父」とでもなりましょうか。

しかしこの9行からなる詞は「主の祈り」と呼ばれ、

実際に教会内で用いられている祈りの言葉です。

その祈りがなぜ「主の祈り」と呼ばれるかというと、

主つまり「イエスが教えてくれた祈り」

ということから来ています。


「Wierze」はラテン語の”Credo”を意味する

ポーランド語のタイトルによる曲です。

「信じる」という意味で、

英語で言えば「I believe〜」となるでしょうか。

よくミサ曲の中で歌われる「Credo」とは歌詞は違うのですが、

これがまるでロシア正教の聖歌のような趣にも聞こえます。

ラストステージ、

難解なポーランド語の発音と体力との勝負です。』


さらに、聴く人に伝えたいことがありましたら・・・

との問いには

昨年、今年と、団員の世代交代が進み、

若返りました(特に女性)ので、

演奏をお聴きになられたときに、

今までの会津混声とは違うなあと

感じられると思います。

(その若さが、良いほうに転ぶのか、

悪いほうに転ぶのかわかりませんが・・・)


3曲ともまだまだ表現しきれていないところが

多々ありますが、、

残りわずかの時間、曲の完成度を高めていき、

よりよい音楽を作り上げ、ご期待にそう演奏ができるよう

頑張りたいと思います。

ありがとうございました!

過去の会津混声の印象は、

高い技術に支えられ、しかも浅い感傷に陥らず、

強く、確固とした抒情が存在しているというものでした。


団員さんの言葉では若返りのため

「 今までの会津混声とは違う」とのことでしたが

それがどのように”違う”のか、楽しみにしたいと思います。




さて、9年前の全国大会にも会津混声合唱団は出場しました。

課題曲はRossini「O salutaris Hostia」

自由曲はJennefelt「VILLAROSA SARIALDI」



(※問題があればすぐ削除します)









関西支部・大阪府
創価学会関西男声合唱団
(男声27人・2年連続の出場)


一般Aの部で唯一の男声合唱です。
課題曲はM4:海へ(遠藤雅夫)
自由曲はR.シュトラウスの「Schwabische」
「Drei Mannerchore op.123」から「Traumlicht」。


昨年は課題曲:ラインベルガー、自由曲:ヴォルフを
グリー調とは違う、柔らかく幅広い表現で聴かせてくれたのですが
今年の自由曲もシュトラウスという
「コンクール的に攻める!」んじゃない選曲が興味深いですね。
名曲を、男声の魅力でたっぷり味わわせてほしいものです。



創価学会関西男声合唱団は9年前の全国大会にも出場。
課題曲はM4:「消息」(信長貴富先生)
自由曲は「Muistse mere laulud(古代の海の歌)」(V.Tormis)でした。







さて、一般A部門前半最後、9番目の団体です。



九州支部代表・熊本県
合唱団Le Grazie [レ・グラツィエ] 
(女声18人・2年連続の出場)



団名はギリシャ神話「美の三大女神の総称」であり
熊本ゆかりの細川ガラシャのお名前からいただいたもの、という
合唱団Le Grazie。
昨年で成人式を迎えたこの団。
若さだけでは表現できない演奏を得意としています。
指揮者:岩津先生の緊張感あるドラマティックな曲作りも
その理由のひとつでしょう。


課題曲はF3:「機織る星」。
同じ課題曲、同じ九州代表のソレイユと世代・音楽表現の違いが
どこまで演奏に表れるか、聴き比べるのが楽しみ。
自由曲は昨年に続いて西村朗作品の
「秋」(無伴奏女声合唱組曲「息の緒に」から)。
和泉式部の和歌による」、という副題が付いているので
昨年の「匂宮 源氏物語の和歌による」と似ている路線ですね。


Le Grazie、昨年は28人の登録が今年は18人と、
一気に人数が減って心配なのですが(遠方のため?)
がんばってください!




さあて、18分の休憩後、
17時半から一般Aの後半開始ですよ。


札幌、地元の団体の登場です。



北海道支部代表
ローズクオーツ アンサンブル
(女声26人・2年連続の出場)



名門:札幌市立真栄中学校合唱部のOG合唱団。
団名は昨年の全国大会プログラムによると
「愛と美の女神ヴィーナスにちなんだパワーストーンに由来」
しているそうで、お!昨年「あれやこれや」に書いた推測が当たった!?


昨年時は平均年齢17.3歳と、
小田原少年少女が出場していない今回、
一般の部で一番平均年齢が若い団体なのではないでしょうか。
(…逆に一番平均年齢が高い団体は・・・?)


課題曲は、一般の部ではこの団体で初めて聴ける
F1:Duo Seraphim(Victoria)。
自由曲はBardosの「Himnusz a Naphoz」(太陽への讃歌)。
そして、その2 伝説より 「哀怨」
(福島雄次郎・無伴奏女声合唱のための「南島歌遊び」から)


…今ひとつバールドシュと南島歌遊びのカップリングが
私には理解できないのですが
「哀怨」、こちらは真栄中学校、3年前のコンクール自由曲。
全日本の全国大会で文部科学大臣賞(1位)を獲得した
思い出の曲なのでしょう。


北海道大会を聴いた知人の感想は

こういう選曲でありがちな
「○○合唱団の劣化版」みたいな演奏ではなかったです。
中学生と比べること自体どうなのか、
というところもありますが、
ニュアンスはより深くなっているようでした。
とにかく発声の面で抜けているので、
音を「体感」するような演奏です。
ハーモニーに破綻がないため、
安心して聴くことができる演奏だと思います


ということでした。


この人数、この年代、この体の細さ(?!)で
驚くほど鳴る発声をものにしているこの合唱団。
その透明で美しい響きも特徴です。


地元での演奏ということで良い演奏を期待したいですね。




そして関東支部の代表がなんと4団体も続きますよ!
最初の団体は


関東支部代表・神奈川県
マルベリー・クワイア
(女声17人・10年ぶりの出場)



マルベリー・クワイアは3団体後に出場の
マルベリー・チェンバークワイア(混声)の女声部。
こういう団体って、一般の部では珍しいですね〜。
両方とも全国出場できるのが、スゴイ。


10年前、11年前に全国大会で金賞シードを受賞して、
「マルベリー・クワイア」としてのコンクール出場は10年ぶり。
どうして今年になって出場を決めたのでしょう?
指揮者の桑原妙子先生のお話によると

10年を経て、女声のメンバーも半分くらい入れ替わりました。
ひとつの曲に集中して時間をかけて仕上げていく作業を、
マルベリー・クワイアとしても経験してみたいと、
若いメンバー達から要望が出たので、
久しぶりに参加することになりました。


とのことです。
桑原先生、ありがとうございました!


さて、マルベリー・クワイアの曲紹介なのですが・・・。
実は、桑原妙子先生の娘さんであり、
小田原少年少女・マルベリーの音楽監督でもある桑原春子先生から
大変ありがたいメールを頂いたので、その内容を使わせていただきます。


春子先生は

使えるところだけ拾って、煮るなり焼くなり、
お好きなようになさってください


…と書かれていましたが、大変わかりやすく、
興味深い楽曲解説でしたので
「私が編集するなんてとんでもない!」
はい、そのまま転載させていただきます。

マルベリー・クワイアの自由曲、
1.3.4.の3曲は本邦初演です。


1. 「A Dream of Snow(雪の夢)」より
Lux Perpetua(絶えざる光)

詩:George Mackay Brown
曲: Peter Maxwell Davies
イギリスの現代作品。
「ゆりかごには星、農業には太陽、読書には暖炉、
そして死者にはロウソク。
絶えざる光の中に、我らは神を見出す」
という歌詞は、Lux Perpetua以外は全部、英語です。


2. Pseudo-Yoik Lite(偽ヨイク・ライト)
曲:Jaakko Mäntyärvi
今回、本邦初演でない唯一の曲ですが、
アンサンブルVineさんと重なってしまいました。
こちらは女声版をパフォーマンスなしで、
おとなしく歌います。


3. Melodi(メロディ)
詩:Bo Bergman 曲:Ture Rangström
1917年に書かれたスウェーデンの歌曲。
作曲家本人による合唱の編曲も、
北欧では人気があり、よく歌われます。
「あなたを遠くから見るだけで、
私の心には永遠の音楽が奏でられる。
あなたがメロディになる力を、
誰が与えたのだろう?」という、恋の歌です。



4. 「Tirikitauki (Mailuaren hotsa)
ティリキタウキ(ハンマーの音)」より
Arin-arin(速い舞曲)

詩:スペイン・バスク地方民謡 曲:David Azurza
ヨーロッパの国際合唱コンクールで何度か聴いて、
是非一度やってみたいと思っていました。
題名通り、ハンマーの音の曲なのですが、中間に
「山頂には僧侶がいて、
その隣りで老婆がしゃがんで用を足している」
という、とんでもない歌詞が出てきます。
これはバスク地方に昔から伝わる有名な子守唄なのだそうです。
振り付けは作曲家本人から教わりました。
「ああ、これがその子守唄か」と、
よーくわかる振り付けになっています。



なお、課題曲はF1のDuo Seraphimです。
勉強不足でお恥ずかしい話ですが、つい最近まで、
Seraphimというのは「大天使」だと思っていました。
正しくは、9階級ある天使の一番トップの
熾天使(してんし=炎の天使)」なのですね。
朝から晩まで、神様の近くで褒め称えるのが役目だそうで、
翼も6枚あるとのこと。神への愛と情熱で体が燃えているため、
西洋の絵画では、翼が真っ赤に描かれていることが多く、
ちょっとビックリしてしまいました。


炎のイメージが伝わる歌い方が出来るといいのですが・・・。

・・・いや〜、春子先生、本当にありがとうございました!
こんな方が出場団体全部にいらっしゃったら、
この「あれやこれや」も鼻歌交じりで書けちゃうのになあ〜。
え。い、いや、紹介文を私独りだけで書くのもモチロンタノシイデスヨ?



混声のマルベリー・チェンバークワイアの演奏は何度も聴いていますが
特に女声の声楽的な練られ方は特筆すべきものがありました。
今回、女声だけの演奏がどういうものになるか、
いわゆるコンクール向きではない選曲、
詳細な曲解説(4曲目が楽しみだ〜)もあって期待がふくらみますね。


最後に春子先生からどうぞ!


マルベリー・クワイアとしての
コンクール出場は10年ぶりになります。
小田原少年少女合唱隊時代から歌い続けて
今年で31年目になるメンバーもいます。
小田原創立以来46年間指導を続けている指揮者の桑原妙子は、
今年ついに古稀をむかえましたが、まだまだ元気です。
チェンバーともども、
ずっと仲良く歌い続けていられることが一番の宝物です。


桑原春子先生、改めてありがとうございました!







関東支部代表・埼玉県
La mer
(女声30人・初出場)


初出場おめでとうございます!


団HPによると

浦和第一女子高等学校音楽部創部60周年の記念演奏会を機に、
卒業生OG有志で結成されました。
団体名の'La Mer'はフランス語で「母なる海」を表しています。
この言葉が意味するように、
胎児を包み込む羊水のような
深く優しい女性的な歌声を響かせることを目指しております。


♪Wind is blowing from the Aegean 女は海〜♪(古いよ!)
この団体のステージ衣装が
孔雀風のヒラヒラロングドレスなのか激しく気になるのですが。


いや待てよ、合唱人としては

海よ、僕らの使う文字では、お前の中に母がいる。
そして母よ、仏蘭西人の言葉では、あなたの中に海がある


…の方が良かったかな、って団名でいつまで引っ張るんだ。


課題曲は一般の部ではこの団体で初めて聴ける木下牧子先生の
F4:「ほたるたんじょう」。
自由曲は「南島歌遊び」から その2 伝説より「嗚咽」「野茶坊」。


お、曲は違うとは言え、2団体前のローズクオーツ アンサンブルと
同じ「南島歌遊び」じゃないですか!
浦和第一女子高等学校音楽部も全国に名の知られた団体。
創団されてからまだ間もなく、若いOG合唱団なのも共通しているので
中学と高校、名門合唱部OGの聴き比べも楽しいかもしれません。


ネットを巡ると関東大会を聴かれた他団体指揮者の方の感想には
「ものすごい演奏」というのもあって期待が高まります。



さて、浦和一女音楽部には「クール・ヴァン・ヴェール」という
La merのお姉さん格のOG合唱団があるのですが
こちらも関東大会へ出場していたそうです。
鱸さん情報によるとこんなエピソードが。

表彰式で「La mer 金賞ゴールド」と発表があったとき
そのひとつ前で「銀賞」と結果がコールされた
クール・ヴァン・ヴェールのお姉様が
我が事のように喜んでいたのが印象的でした。
浦和一女の年長組・若者組の繋がりでしょうか
伝統のようなものを感じ微笑ましかったです。
(自分たちの結果は残念だったと思いますが、
 そこを越えて喜べる気持ちってすばらしいですよね)


おお、これは良い話だ!
お姉様方の応援を背に、がんばれLa mer!!




関東支部・静岡県
浜松フラウエンコール
(女声31人・初出場)


初出場、おめでとうございます!
浜松フラウエンはおかあさんコーラスの大会にも出場している
今年で創団18年になる団体です。


さて、こちらも関東支部名レポーター鱸さんの報告を早速。

浜松フラウエンは指揮が岸信介先生
課題曲が「機織る星」とくれば、
浜松ラヴィアンクールを思い出しますが
人数が多い分、雰囲気にゆとりが感じられました。
その分、精度が甘くという話もありますが、とんでもありません
甘い精度の曲で5人中1位は2つもつきません
岸先生の曲作りは、まさに作り込んでいく感じ
機織る星もテンポや強弱の設定など非常に細かいです。
いろいろ仕掛けが楽しめます。
(以前、学生の時、
 学指揮としてこの曲振ったのでよく知っているのですが
 浜松さんの演奏を聴いて、なるほど、そうきたか。
 という感じでした。)


自由曲の新実徳英先生「松の針」
(女声合唱とピアノのための2章「無声慟哭」より)は、
ラヴィアンクールの世界(笑)
ママさんコーラスの真骨頂でしょう(褒めてますよ)
あの年代の女の人にしか出せない心情を
歌い上げているように思いました。


鱸さん、ありがとうございました!
ああ、全支部に鱸さんのような方がいたら「あれやこれや」も鼻歌交じりに…
・・・もういいって? はい。


ところで鱸さんのレポートにもありましたが
昨年まで10人で出場していた同じ岸先生の「浜松ラヴィアンクール」。
気になったので検索してみると・・・。


「普通のおばさんに戻りたい」?!


はー、解散してしまったんですか・・・。
この「浜松フラウエン」にも元・ラヴィアンクールのメンバーがいるのかな。
ちょっとしんみりしてしまいましたが
こうして同じ指揮者と一緒に18年歌い続けられるのも幸せなこと。


浜松フラウエンのみなさん、がんばってください!



さて、関東支部4連星、大トリの出番です。



関東支部代表・神奈川県
マルベリー・チェンバークワイア
(混声30人・2年ぶりの出場)



3団体前に出場した女声のみなさんも加わり
混声としての演奏。


課題曲はG1:ジェズアルド。
その抑えられた暗く熱い感情を爆発させるように
自由曲のDies Irae(Z.Lukas)が激しく、速いテンポで。
そして2曲目の「Angele Dei」(Balsamo)は打って変わって
静謐で美しい世界を描き出す・・・。
さすが、選曲がヴァラエティに富んでいて楽しいですね。

混声の方の曲は、プログラム紹介文にも書いたのですが
合唱団のダイナミックレンジを試されるような感じです。
ただ、前回の札幌から9年たってますので
それなりに風景を描き出せる仕上がりになっていると思います。
特に「Angele Dei」はここ何年かの中でも美しさ?では一番。
Kitaraで歌うのが楽しみです。


団員の鱸さん、ありがとうございます。
曲名で検索すれば某動画サイトの映像がすぐヒットしますね。
うむ、これは確かに美しい・・・。
初演曲もあるから絶対とは言い切れませんが
今年の一般の部で1、2を争うほどの美しい自由曲ではないでしょうか。
それでは最後に鱸さん、どうぞ。

今回は、まあ、金賞とか狙っているわけでも無く
お気に入りの曲をぜひ札幌の人に聞いてもらおう
喜んでもらえたらいいな、というスタンスです。
今から楽しみです。


はい、私も楽しみです!
マルベリーの関係者さんには今回の「あれやこれや」で
非常にお世話になったので力いっぱい応援しますよ!!



鱸さんが書かれたようにマルベリー・チェンバークワイアは
9年前の全国大会にも出場しました。


課題曲はG1:Kyrie(Guillaume Dufay)
自由曲は「2.Du sollst nicht,du musst(偶像を崇拝せず、魂を信ぜよ)」
(A.Schoenberg)
「たゆまず祈る聖母」(S.Rachmaninov) でした。






(続きます)