「コンクール出場団体あれやこれや:出張版2010」(その1)

さて、今年も
「コンクール出場団体あれやこれや:出張版」始めたいと思います!


ちなみに昨年の「あれやこれや:出張版」はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/bungo618/20091107


などと、昨年とまったく同じ調子で始めたこの連載。
む。昨年始めたのは11月7日か。
本番の前日まで書いていてツラかったなあ。
今年はせめて2日前には書き上げたいものだ。
今日は11月11日。
一般A部門2日前は11月18日の今日から一週間後、7日間。
一般AB部門、あわせて32団体。
するてぇと1日に書かねばならぬ団体は32÷7で・・・









ゴハァ(吐血




えええーとまあがんばります!
頂いたメールの返信など遅れがちですが察して下さい!!


2ヶ月前に行った
兵庫県立芸術文化センター」の下見旅行はこのリンクです。
http://d.hatena.ne.jp/bungo618/20100909/1284036891




楽しみですね〜。いいホールですよ〜〜〜。



さて、2010年11月20日(土)、
兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールにて
大学部門の後、15時45分からの
一般A部門全国大会の最初を飾るのはこの団体です!





1. 関西支部代表・奈良県
クール・シェンヌ <Choeur Chene>
(混声32人・9年連続出場)


おおおーっ!最初からシード団体の登場です!!
大学生のみなさん、悪いコト言わないから
大学部門終演後も40分ほど会場に残ってシェンヌを聴きましょうね。


今年のシェンヌの課題曲はG1:Victoria。
最初の音から「えっ、ホールが変わった?!」
との錯覚を引き起こしてくれるでしょうか。


そして自由曲、昨年に続いてブラームス
「Zwei Motetten op.74(2つのモテット 作品74)」から
「1.Warum ist das Licht gegeben den Museligen?」
(何故悩み苦しむ人々に光が与えられたのですか?)


この曲、私もかなり前に歌いましたよ。
冒頭の「Warum?(何故?)」と大きく問いかける声。
各パートに渋く魅力的な旋律があるけれど
それらを繋げてひとつの音楽を保っていくのが非常に難しい。
4楽章それぞれの個性を出すのも苦労したなあ。


さて、この曲の解説に関しては2007年5月に
クール・シェンヌが演奏会第2ステージで演奏した時の
プログラムから無断転載してしまいます!(いいのか?!)

 ドイツ・ロマン派の第一人者であるJ.ブラームス(1833〜97)は、
伝統的な形式とドイツ民謡の調べを巧みに融合し、重厚かつ
甘美な感情表現と内面的な渋い叙情性を特色とする。
彼は声楽曲にも数多の傑作を遺したが、
初期の作であるOp.74は19世紀最大の
讃美歌・伝記作家であるフィリップ・スピッタ(1801〜57)に
捧げられた作品である。
 No.1は4楽章から成り、テキストもヨブ記・エレミア哀歌・
ヤコブの手紙・ルターのコラールからの抜粋で組み立て、苦難と
深い悲しみに満ちた試練を乗り越え、やがてゆるぎない信仰を
克ち得て平安を見出す心理変化を巧みに表現している。それに続く
No.2は1より遥か以前に作曲しており、讃美歌を採取してドイツ
南部アウクスブルクの古旋律を変奏曲風に仕立て上げている。
No.1のソプラノから始まる旋律の模倣、バッハを想わせるコラール、
No.2の変奏など古典的な構築性をもちながらも独自の和声と
美しい旋律を併せる彼の音楽性を存分に発揮した、面目躍如たる
堂々の一作といえよう。


うん、シェンヌさん、私、人生初のスタンディングオベーションを捧げるので
No.1終了後、つづけてNo.2も演奏してくれませんか?



冗談はさておき、
シェンヌ現団長:福島さんからメッセージを頂いております。
前に団長だった私の生き別れの弟、中村くんは左遷…じゃなかった
多忙のため副団長になられたそうで。


シェンヌの最近の雰囲気はいかが?という私の問いに

練習中の雰囲気は見学に来て下さった方は
お分かりになると思いますが、
いつもいい緊張感に包まれています。
特に本番に近づくにつれ一層増していく気がします。
私が入団した約10年前からずっと変わりません。
ただ現役大学生が多く入団した事もあり、
一気に平均年齢が下がり、
最高年齢差も32歳となりました。
この様な親子関係の様な年齢差がある者同士が
一緒に音楽作りできるという点も
合唱のいい所だなとつくづく思います。
適度な緊張感の中でたま〜に指揮者が
面白い事を言って笑わせてくれます。
シェンヌに入団するまで、指揮者は笑ったりするんだろうか…
と思っていたのですが(笑)、実際は違いました。
特に男性メンバー相手に
超毒舌ぶりを発揮するお姿に女性達は大苦笑(笑)。


…いやいや、
そうやってリラックスできる瞬間を作って下さるんです!


今回の全国に向けてもそんなこんなの雰囲気でのぞんでいます。


え。上西先生とお話すると
「やっぱり関西の方だな〜」と私いつも思うんですが(笑)。


さらに聴かれる方へ何か伝えたいことは、に対しては

特に今年はコーラスガーデンやコーラスめっせ等、
他団の方々との出会い、
色々な音楽との出会いがありました。
そこで得たものは本当に温かで幸せなものでした。
全国もコンクールではありますが、
同じ思いを持った仲間が集まる場でもあります。
皆さんから素敵な音楽の贈り物を楽しみにしていますし、
私達も自分達が作りあげてきた音楽を
少しでも届けられたら幸せだと思います。


「音楽の贈り物」…福島さん、
素敵なメッセージをありがとうございました!
って、まだ続いてるがな。

あとちなみに今年は初だと思うのですが…
A部門トップバッターです!
関西4枠のうち、
この番号を引き当てたのはわたくしです。。。(笑)
皆さん、緊張しすぎないよう頑張りましょう!
(まるで他人事ですが…泣)

シェンヌの皆さん、深呼吸ですよ深呼吸!
客席のみなさんも笑顔とあたたかい拍手で出迎えてあげましょう!







2. 関東支部代表・神奈川県
マルベリー・クワイア
(女声21人・2年連続出場)



マルベリー・クワイアは13団体後に出演する
マルベリー・チェンバー・クワイアの女声部。
さらに大元の小田原少年少女合唱隊が一般B部門で出演します。
こんなこと過去にあったかな?


昨年のマルベリー・クワイアは練られた発声と
楽しい演出(4曲目が特に 笑)で印象に残るステージだったのですが
今年はどんな感じなのでしょう。


さあ今年も小田原少年少女合唱隊・マルベリーの音楽監督でもある
桑原春子先生からメッセージを頂いております!

マルベリー・クワイアは昨年のコンクール以来、
結婚・出産などでメンバーの3分の1が入れ替わり、
平均年齢が少し若くなりました。


課題曲はF1のSurrexit pastor bonusです。



自由曲は2曲とも未出版のため、作曲家の先生方から
直接、楽譜を譲っていただきました。


1. Mendian Gora(高い山で)
詩 Xabier Amuriza  曲 Xabier Sarasola(1960- )


昨年に引き続き、スペイン・バスク地方の作品を
選びました。
2004年トロサ国際合唱コンクールの課題曲です。
スペインから長年、独立できずにいるバスク地方の人々の
苦悩を訴えた内容ですが、同時に
「勇気に光を当てなさい。苦しみは自分の胸にそっとしまって。
人生は毎朝あたらしく作り出されるのだから・・・。
この世は楽しいことばかりではないけれど、
悲しいことばかりでもない。だから、私たちには
喜び歌う理由が数え切れないほどある」と
未来に希望をもって歌い上げます。



2. Zima(冬)
曲 Lojze Lebič(1934- )


作曲のLebic氏は合唱大国スロヴェニアの重鎮です。
ヨーロッパのコンクールで何度か聴き、
是非、歌ってみたいと思っていたのですが
楽譜を見てみたら、なんと(!)歌詞が日本の俳句を
スロヴェニア語に訳したもので、びっくりしました。


天も地も
なし ただ雪の
降りしきる
     梶原芭臣


朝晴れに
ぱちぱち炭の
機嫌かな
     小林一茶


十一騎
面もふらぬ
吹雪かな
     正岡子規


以上、冬にちなんだ3句をスロヴェニア語訳で歌います。
なお、梶原芭臣(はしん)の句は、日本では全く知られていませんが
ヨーロッパでは俳句といえば、この句が挙げられるほど有名で、
何ヶ国語にも訳されています。
本邦初演です。

春子先生、ありがとうございました!
毎度のことながら春子先生の曲紹介は
ポイントを押さえていて良いですよね。


希望を歌いあげるバスク民族の曲も興味深いですが
日本人がほとんど知らない句のスロヴェニア語訳の曲とは。
来週、西宮に雪が降るとは思えませんが
マルベリー・クワイアの演奏で
日本人の心とも言うべき俳句の
「冬」を感じさせてもらえるのでしょうか。期待です!



さて、今年からの新企画として
「合唱団の雰囲気が表れている写真をどうか」とお願いしてみました。
マルベリー・クワイアの写真はコチラ!





昨年の全国大会ステージのものだそうです。
ああ、札幌を思い出しますねえ・・・。









3. 東京支部代表
harmonia ensemble
(混声20人・初出場)



初出場おめでとうございます!
さて、この合唱団はいろいろ凄い評判を聞いていましてね。
なんでも東京都大会で
東京都合唱連盟理事長賞・東京都知事賞を受賞し、
加えて一般A部門出場25団体もの中から、
審査員7人が全員1位をつけるという快挙!
指揮者はどうやらいないそうだし、若い人たちの集まりらしい。
ど、どんな合唱団なんだ?
「もっとharmonia ensembleを知りたーい!」という私の願いに
コメント欄で応えて下さった方がいらっしゃいまして。


さまざまな方のご協力で
harmonia ensembleコンサートミストレス:上田さんを
ご紹介いただきました。


上田さんは今年もB部門で出場する
大分市民合唱団ウイステリア・コールの団員だったこともあり、
WYC(World Youth Choir)の経験者。
harmonia団長の福永さんもEUROPE CANTAT Chamber Choirを
体験されています。
(2010年ハーモニー冬号のP45,P50は
 お二人によるそれぞれ大変興味深いレポートですよ)



団長の福永さんにharmonia ensemble
成り立ち、音楽理念を語っていただきました。

harmonia ensembleは、2009年の4月に、
WYC(世界青少年合唱団)やJYC(ジャパンユース合唱団)に
参加した経験のあるメンバーと、
合唱の好きな音大生を中心にして、
「若くて新しい合唱団を作ろう」という目標のもと、結成されました。
結成から一年半たった現在では、さまざまな大学の学生や、
社会人になりたての人まで、
「新しい合唱のスタイルを追求したい」
「高いレベルの合唱表現を実現したい」
という理念のもとに集ったメンバーが、
日々楽しく練習をしています。


「新しい合唱のスタイルを追求したい」と書きましたが、
harmonia ensembleの一番の特徴は、
「指揮者を置かない」というところにあります。


それは、指揮者を置かないことで生まれる、
メンバー一人一人の自発的な音楽性の発露が、
より豊かな音楽を生み出すと考えるからです。


みんなで、「あぁでもない」「こぅでもない」と話し合ったり、
音楽的なコミュニケーションを交わしあったりしながら、
少しずつ理想の音楽を創っていくことには、
確かに難しさも伴いますが、
一人一人が自発的に「音楽をする」ことの喜びを感じ、
その上でひとつの「合唱」として、
深みのある豊かな演奏を実現できる可能性を秘めたこのスタイルは、
harmonia ensembleの結成時から目指してきた新しい合唱の形であり、
今回、合唱コンクールという素晴らしい場所で、
多くの方々にそのスタイルが受け入れられ、
評価していただけたことは、とても嬉しく、また心強く感じています。

そして課題曲、自由曲を選んだ理由、
楽曲の魅力を伝えて下さい、という願いには

今回、harmonia ensembleが課題曲、自由曲に選んだ曲は、
「ハルモニアの魅力」が出せるようなプログラムにしよう、
ということで、メンバー全員で話し合って決めました。


harmonia ensembleは、ルネサンスポリフォニーから、現代音楽、
さらにはクラシックに留まらず、
JAZZやフォークロアの合唱作品までを、
その時代の様式感やスタイルを重視して、
演奏出来ることを目標にしています。


今回の選曲は、課題曲のヴィクトリアの作品では、
ルネサンスの時代の様式感と受胎の喜びを、
自由曲のKondalillaでは、オーストラリアの原住民アボリジニー
住む世界の雰囲気とその信仰を、
様々な自然の音−風の音や水の音、
鳥の声や動物の声−を用いて表現し、
With a Lily in your handでは、
厚みのあるハーモニーと躍動するリズムに、
最愛の人を残してこの世を去った哀しみと
それを乗り越えていく決意をのせて、
3曲それぞれが持つ曲のよさを提示することで、
ハルモニアが目指す「曲ごとの様式感やスタイルを重視した演奏」が
出せたらと思い、選びました。


もっとも、目標ばかり高く、まだまだ力不足で、
曲の魅力を出しきるには至っていませんが、
全国大会のステージでお聴きになるみなさんには、
そのような点に注目して聴いていただけたらと思います。


今回、初めての全国大会ということで、とてもワクワクしています。
私たちは出演順も早いので、
全国から厳しい予選を勝ち抜いてこられた合唱団の方々の、
たくさんの素敵な演奏を聴くことが出来るのがとても楽しみです。


私たちも自分達に出来る限りのよい演奏をしたいと思いますので、
どうぞよろしくお願いします!


うーん、素晴らしい!
福永さん、そして上田さん、ありがとうございました。
こんな風に広い世界を体験した若い人たちが
未来の合唱を作るんだなあ、と思うとこちらも「ワクワク」しますね。


演奏曲も「Kondalilla(滝の精)」は私も東京混声合唱団の演奏で聴き、
その演奏効果あふれる楽曲に耳を奪われましたが、
今回のharmonia ensembleの演奏も期待できそうです。
ガラリと雰囲気を変えた「With a Lily in your hand」の
「厚みのあるハーモニーと躍動するリズム」も楽しみ!


harmonia ensembleのみなさん、
初の全国大会、どうか楽しんでくださいね。



さて、harmonia ensembleからも写真を送っていただきましたよ。
・・・なぜムー◯ン?なぜニョ◯ニョ◯?(笑)






(つづきます)