見えない世界に色をつける声は


サカナクションというバンドが好きで
新しいアルバムがつい先日発売されたんですけど



その中の「エンドレス」という曲に心掴まれたんです。
(詩・曲:山口一郎)



歌詩
http://bit.ly/o19Zs9

誰かを笑う人の後ろにもそれを笑う人
それをまた笑う人
と悲しむ人


こんなふうに詩は始まるのだけど
非凡に思うのは客観的に見ているだけではなく、
自分自身の問題としての視点が織り込まれていること。

後ろから僕は何て言おう? 後ろから僕は何て言われよう?

「言う」人間を自分とは違う人間として批判するのではなく、
自分も同じだとし、そして同時に「言われる」人間だとする。
批判し、批判されるどうどうめぐり。まさに「エンドレス」。

耳を塞いでる僕がいる それなのになぜか声がする
見えない夜に色をつける デジャブしてるな


見えない世界に色をつける声は誰だ

見えない世界/夜のような息苦しい閉塞感。
耳を塞いでも声は否応なしに聴こえてくる。
そして、最後の連で山口氏はこう歌います。

この指で僕は僕を差す その度にきっと足がすくむ
見えない世界に色をつける声は僕だ

批判し、批判され続けるこの世界の際限のない行為。
その行為自体を客観的に否定するのではなく
山口氏は「この指で僕は僕を差」します。
足をすくませながら。
それでも「見えない世界に色をつける声は僕だ」と
勇気をもって宣言する力に自分は打たれるのです。


山口氏はユーストリーム
「エンドレス」と井上陽水氏の「傘がない」との関連性を挙げていました。
名曲はいまの時代に歌われるべき歌という気持ちを抱かせますが、
同時に時代を越える説得力も持つのだと思います。